【北川勝利・藤村鼓乃美 ボーダーズの“音の場” season2】~#25 田端篇~

ボーダー柄の服のコンビが、サイコロ片手に“ノー・ボーダー”の精神でナイスな音楽を聴き歩く――。

「ボーダーズの“音の場”season2」第25回は田端。山手線と東北線の切り替え駅であり、明治から昭和にかけて多くの文士や芸術家がが住んだ文化の香り高い街。この田端でふたりは一体どんな曲を聴くのでしょうか?

――ボーダーズ連載、今回は田端篇ですが……山手線の駅のなかでもメジャーでないといいますか、馴染みのない駅ですよね。

北川勝利 駅から出たことないし、そもそも降りたこともないし。改札を出た瞬間に、「あー、なんか観たことないわー」って。

藤村鼓乃美 そうですよね。観たことない景色が広がるという。

北川 で、いつもの感じで、駅前で写真を撮るんですけど、田端感ってなんですかねーって。結局何やったんだっけ。

藤村 田端なので“TBT”って手でやりました。もうひとり欲しかったですね。

北川 駅前カットはTBTで逃げ切ったんですけど(笑)、駅前見たことないから右左見ているうちに、新幹線の頭を見つけて。

――田端はJR東日本の東京支社があり、実は鉄道の聖地的な街なんですよね。駅前にはふれあい橋といって、新幹線の連結器カバーや車輪などが展示されているんですよ。

藤村 それに惹かれて、そっちのほうに勝手に歩き出してしまったと。

北川 それを「へー」って見ているうちに、僕ら全員置いていかれて迷子になりました(笑)。

藤村 しかも案内する人がいなくなるという(笑)。あれなんでだったんですかね。

――北川さん、藤村さん、カメラマン、ライターの僕と全員置いていかれましたからね。ガイド役の編集者は、僕らがついていっていないのに気づかなかったという(笑)。

北川 振り向いて!(笑)。しょうがないから地図検索して「あっちのほうだ」って歩いていったら、遠くの橋の上にその姿があって「いた!」って!(笑)。

――それで無事合流、田端篇再スタートと相成りました。

北川 田端って駅前の地形が独特で、高低差がすごくあるんですよね。

――もともと田端は崖地だったということもあって、住宅地に行くにも急勾配な階段を登らなくちゃいけないんですよね。

北川 それも3階建ってぐらい高さがあるでしょ? 階段登りきったところから下を覗いたら、「酔っていて足滑らせたら大怪我するな」ってぐらい。

藤村 私はあの高さを見て、「下から登りたいなー」って気持ちがありました(笑)。

――藤村さんはボルダリングをやられているんですよね。

藤村 石の壁を見るとオブザベし始めちゃう(笑)。

北川 えっ、レンガとかでもいけるの?

藤村 いけますいけます。この前ディズニーシーのセンター・オブ・ジ・アースってアトラクションで、並ぶところの壁が岩なんですよ。そこで友達3人で「あそこからスタートで、あそこがゴールで」ってオブザベして。

北川 オブザベっていうんだ。

藤村 オブザベーション(観察)の略ですね。どこをどう使って登っていくのかっていう。それを友達とやっていたら並んでいる2時間なんてあっという間ですよ(笑)。

北川 えっ、それは、ここ(インタビュー中の喫茶店)の壁見てもそうなるの?

藤村 やりますね。あそこのレンガの白いところを右まで行って、あそこを持ったらガバだから、あっちはカチだからって。

北川 ……えっ?

藤村 持ちやすいのがガバで、ちっちゃいところがカチっていうんですよ。カチだから得意だわって。

――ピンと来てないご様子ですが、北川さんはボルダリングにご興味は?

北川 何もない(笑)。

藤村 難しいなー(笑)。

北川 やりたくない、全然登りたくない(笑)。えーだってほら、それってさ、楽器弾けなくなっちゃうもん。

藤村 たしかに指使うし、指の皮ボロボロになるし。

北川 いやいや、ダメでしょ(笑)。

――ギタリストとしては致命的ですね(笑)。

藤村 知り合いの作家さんでボルダリング仲間がいるんですけど、仕事やライブの前は休んでいますね。

北川 そりゃそうでしょ(笑)。でも田端のあそこはブロックでしょ? 規則的な感じで、そんなに難しくないでしょ?

藤村 おおっ、言いましたね?

北川 だって右左右左って、よいしょよいしょって行けそうな……なんかそういうゲームあったよね?

――「クレイジー・クライマー」ですか。

北川 そうそれ(笑)。

藤村 知らないです。

北川 知らないの?

藤村 でもまあボルダリングはゲームじゃないですし、クレイジーじゃないし(笑)。

北川 で、田端の崖は実際は簡単じゃないの?

藤村 ついている石によりますね。

北川 出っ張りがあったら簡単じゃないの?

藤村 最初は簡単です。でも上にいくにつれて恐怖とも戦わなくちゃいけないし。命綱ありかなしかでも違いますよ。

北川 命綱かー。それを持つ人も大変だなあ。俺だったら手怪我しちゃうから放したりして。「ツアー近いから」って(笑)。

藤村 私の命よりツアーが大事ですか!(笑)。

北川 命綱離しながら「今月ツアーがあるからダメだった」って(笑)。

藤村 先に言ってー!(笑)。

北川 で、藤村が「最初に言ってー!」って落ちていく(笑)。

――話を田端に戻しましょう。

北川 そうだった(笑)、最初はどこ行ったんだっけ?

藤村 河童ですよ。

――田端商店街のマスコットといいますか、河童ですね。

北川 “りゅうのすけくん”だっけ? 河童の看板があって、そこに水墨画みたいな河童の絵があって、写真撮るときに河童のポーズをさせられましたよね。河童のポーズってなんだよって(笑)。

藤村 しかも水墨画だからどんなポーズかもわからないし(笑)。

――田端は芸術村・文士村と呼ばれていて、大正期に芥川龍之介が移り住んだことをきっかけに、多くの文士が集まる地となったそうです。

北川 有名な人がいてその知り合いが集まってきて。

――それもあって芥川龍之介の「河童」からマスコットを作ったと。

北川 で、名前もりゅうのすけくんで。でもキャラクターを作りやすいから河童を選んでいるんだよね。別に河童がいちばん有名な小説じゃないもんね。

藤村 ほかは……「羅生門」とか?

北川 羅生門くん?(笑)。

藤村 追い剥ぎするやつみたいな(笑)。

北川 僕らが行った、芥川の家の跡でいくつかの作品を書いたんだよね。

藤村 今は何もなかったですね。

――ほかにも田端の有名人の居住地がいくつかありました。佐藤ハチロー先生、田河水泡先生などなど。

北川 今は普通の家の前に看板が立っていて、昔ながらの家と最近の家が混ざっていて不思議なところでしたね。

――さて、それでは田端にマッチする音楽をプレゼンしていただきましょう。

★藤村’s Select★
「うつし絵」新垣結衣

藤村 田端にはもう縁もないんので、私がずっと前から好きな曲を紹介しますね。

――これは……新垣結衣さんですか。

北川 田端出身だからね。

――沖縄出身です(笑)。

藤村 この曲はガッキーさんが歌う前にメレンゲさんが歌っているのを聴いていて、そこから新垣結衣さんの曲を聴いたとき「これ知ってる」ってなって。

――新垣結衣の「うつし絵」という曲で、同じタイミングでメレンゲも同曲をリリースしています。

藤村 ウィスパー・ボイスで歌っているのも素敵で、すごくいい曲なんですよ。カラオケに行くとMVも流れて、川島海荷ちゃんも出ています。

北川 田端にぴったりだった!

★北川’s Select★
「見る前に飛べ」鈴木みのり

――それでは北川さんはなんですか?

北川 何持ってきたっけなー。1曲は、鈴木みのりんごの曲で、「見る前に飛べ」って以前にも持ってきた曲。ツアーが始まってるので……(笑)。

藤村 リピート?

北川 そんな感じで。ツアーのメンバーは、NONA REEVESの小松(シゲル)くんと奥田(健介)くん、ベースはキリンジ千ヶ崎(学)くん、鍵盤は末永(華子)と楽しく一緒にやっています。そしてもう一曲は、NHKアニメ『少年アシベ GO! GO! ゴマちゃん』で、尾崎由香さんが歌っている「Smile! Smile! Smile!」が4月からオンエアされています。

★北川’s Select★
「Smile! Smile! Smile!」尾崎由香

――ちなみにどんな感じの曲ですか?

北川 ……元気な曲です。結構ドカスカいう曲になっています。いい感じです!

藤村 いい感じです!

北川 藤村は仮歌と、レコーディングでコーラスもやっているもんね。ギターはよくやっている堀崎(翔)くんにお願いしてロッキンな感じにして、沖井(礼二)くんは関係ないんですけど、尾崎さんの1枚目のシングルのカップリングをやっていた流れもあって「遊びに行くわ」ってなって、しょうがないんでみんなで一緒にクラップを録って。

藤村 沖井さんがいる光景が面白かったですね(笑)。

北川 そこで僕がアコギ弾いたりタンバリン叩いたりしているとき、横からディレクションして「はいやり直し」って(笑)。

藤村 遊びに来たのに仕事してる。

北川 そんな感じでいい感じに陽気な曲が出来上がりましたので、ぜひこちらも聴いてください!

――さて、ボーダーズ山手線の旅も残すところ4駅となりました。

北川 少なくなってきましたよねー!

――となると気になるのが次のシーズンについてですが……。

藤村 やりましょう!

北川 また面白い企画があればね。それも考えつつ、残りを頑張っていきましょう。

藤村 めざせ、超ロング連載。

北川 もうだいぶ長いけどね。

藤村 「ウォーキング・デッド」ばりの長さに。誰かがゾンビになるぐらいまでは(笑)。

――さて、それでは次回の目的地を決めるサイコロを北川さんお願いします。

北川 よっと。

――サイコロの目は27。次回は五反田に決まりました。それでは次回五反田でお会いしましょう。

Interview & Text By 澄川龍一
Photography By 山本哲也


●今回のSelect Song

★北川’s Select★
「見る前に飛べ!」鈴木みのり

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