意外性のあるカップリングにも注目!加藤和樹 ニューシングル「Answer」リリース記念インタビュー

2018年夏には、9年振りのフルアルバム『Ultra Worker』をリリースし、役者業のかたわら、夏~秋にかけて全15公演におよぶ全国ツアー「Kazuki Kato Live “GIG” TOUR 2018-Ultra Worker-」を精力的に展開した加藤和樹。そのツアー中に、ファンにいち早く届けられていた新曲「Answer」が、シングルリリースされた。混迷する現代社会を生き抜くための強い意志を歌詞に込めた「Answer」と、今の加藤和樹が本音で思うこと。意外性もあるカップリングナンバーへの想い。開催中の全国ワンマンツアーへの意気込みを、たっぷり語ってもらった。

――今回のシングル「Answer」は、昨年のツアー中からファンの方にお披露目されていたそうですね。

加藤和樹 はい、秋のツアーで。でもそのときは、純粋に新曲として歌わせてもらっていたので、シングルになりますという発表はまだしてなかったんです。

――シングルの発売自体も、2017年の「冬恋」以来。先行してライブで聴いていたファンの方をはじめ、加藤和樹ファンにとっても、まさに“待望”という言葉がよく似合う曲ですね。

加藤 そう、僕にとっても久しぶりのシングルではあったんですけど、曲をライブでお披露目することは決めていたので、今回に関しては、まずは「ライブで映える曲を!」というのが大前提にありました。そして新曲候補をいくつか聴かせてもらうなかで、この「Answer」が耳にとまり、自分で歌詞を書かせていただくことになりました。

――その加藤さんが書かれた歌詞。これまでも多数の自作詞を歌われていますが、今回は曲の冒頭から、“目には見えない情報が飛び交う現代社会”というフレーズが登場。社会に向けたメッセージ性の強い内容に、ドキッとしました。

加藤 そうですね。今回、作詞をするにあたっては、自分なりに今の時代、今の世の中にちょっと思うところがあったんです。今の時代って、例えばフェイクニュースだったり、様々な情報が飛び交う中で惑わされてしまうものが、すごく多いと思うんですよ。SNSでも自分を偽って、誰かが言ったことをあたかも自分の言葉のように発する人もいるし、わざと誰かを傷つけようとして言葉を放つ人もいる。何が間違いなのか本当に分からない世の中なんだなと。だからこそ、自分自身がしっかり今の時代に向き合う事が、すごく大切なことだと、改めて感じたんですね。それを、僕自身の言葉で伝えたいと思い、「Answer」の歌詞に託しました。

――加藤さん自身の身にも、SNSを通じて何かが起こった?

加藤 あははっ、そういうわけではないんですけどね(笑)。これだけ SNS が普及してきて、僕もTwitterをやっていますけど、たまにね、事実をゆがめて攻撃的なことを書いてくる人はいますね。その発想はどこから出てくるんだろうと不思議に思うし……関係ないところで、事実と違う情報を信じてしまう人ももちろんいるじゃないですか。だからこそ、僕のように表に出る人間は、誠実でいなくてはいけないと思うんですね。僕が考えていること、思っていることは、直接、皆さんに届けられる歌として表現できる。だからこそ、自分自身の意見や想いを、この曲に込めることができるなと。

――たしかにそうですね。「Answer」を聴いて、SNS社会に物申したいことがあるのかな?という印象は強く受けました。

加藤 声を大にして! というのはおこがましいですが、やはり思うことはある。これだけインターネットが身近になると、ネットに依存する人もいるし、そこでしか誰かと繋がれない人達もいる。SNSが繋がるきっかけになることは、いいことだと思うんです。僕のファンの方の中にも、僕の音楽活動やSNSでの交流を通じて、ライブ会場で待ち合わせて、友達になる人も多くて、それで救われた、仲間ができて楽しいという方もたくさんいらっしゃる。けっして悪いことばかりじゃないんですよ。でも、虚実が入り乱れる難しい社会で生きていくうえでは、自分の意志というものがちゃんとないと、安易に流されてしまったり、道を誤ったりするじゃないですか。若い人はとくに、そうなりやすいんじゃないかなと。

――加藤さん自身が、30代半ばを迎えたからこそ、若い世代に向けた想いを発信したいという気持ちも強くなっているのかもしれないですね。

加藤 それはあるかもしれないですね。僕も役者デビューが2005年、音楽活動を始めたのが2006年で、もうすぐ15周年になろうとしてますし(苦笑)。舞台などの共演者も、年齢がひと回り下というのが当たり前になってきてるんですよ。まだまだ僕自身も若造ではあるんですけど、もっと若い子たちを見ていると、自分のTwitterの評価やフォロワー数だけを気にして、振り回されているだけなんじゃないかと感じることが多いんですね。それはあくまでネット上の数字であって、実像じゃない。僕はそれよりも、実像があるものに対して、ちゃんと真摯に向き合っていかなければいけないと、すごく思うんです。

――実像……それは例えば?

加藤 僕にとっては、ライブや握手会、CDのリリースイベントに来てくださる、ファンの人達との触れ合いですね。自分が発した言葉を、直接受け取ってくれて、直接反応をいただける機会が、この数年ものすごく増えている。そこで僕も生で声を届けられるし、皆さんの顔を見て、声を聞くことができる。それがすごくありがたいことだと、実感するんです。

――たしかな繋がりが、そこにはある。

加藤 そうなんです。最近、読んでる漫画に『リアルアカウント』という作品があるんですけど、それがまさにネットのSNS世界の話で。その中に、「ネットの繋がりは家族よりも強い」というようなセリフがあったんです。それもあながち間違いじゃない。身近な人には言えないけど、見ず知らずの人だからこそ本音が言えることもあるでしょうし。でも結局、繋がっているのは生身の人と人。実際に会って、目と目を見て対話しないと、“生きている”ことに対して、何かが違うような気がするんです。だから自分なりの“答え”を導きだしていかなければいけないんだという意味で、「Answer」というタイトルを付けました。その“答え”も結局、正しいか間違っているかは自分自身が判断すること。人に決めてもらうことじゃないですからね。

――曲のラストは、“見つけろ 自分だけの答えを”という言葉で終わります。それが、加藤さんが「Answer」を通じていちばん言いたいことかなと。楽曲も男らしいハードで疾走感あふれるかっこいいロックナンバー。曲調と歌詞が共振して、とても真っ直ぐ心に刺さりますね。

加藤 とくに今回は、ストレートな歌詞を心掛けましたね。楽曲がかっこいいので、ただかっこいいだけの曲にはしたくなかったんです。ノリのいい曲だからこそ、ちゃんとしたメッセージをダイレクトに乗せたかったんですよ。

――普段、性格的にも攻撃的なことを言わない加藤さんが、包み隠さない本音のメッセージを叩きつけているところに、アーティストとしての矜恃も感じました。

加藤 そんなに大層なつもりはないんですけど(苦笑)、いい意味で隠すものが、ほとんどなくなってきてるんですよ。言葉にしろ行動にしろ、包み隠さずいられるようになりました。僕が『ミュージカル テニスの王子様』の出身だったということもありましたが、昔はどこかアイドル的な部分、素を少しだけ包み隠して、かっこよく見せる部分がなきゃいけないと思っていましたけど……応援してくれている人たちと触れ合っていくなかで、僕も皆さんも“同じ人間だ”という“共感”が大事だと、ますます思うようになったんです。もちろん僕は、表に出ている人間として追いかけられる存在でなければならない。それは重々分かっているんですが、生身の加藤和樹とファンの方々との関係性の中では、それ以上に“寄り添う”ことが大切なんだと思えるようになったんです。

――でも昔から、役者仲間、アーティスト仲間の方に加藤さんの印象を聞くと、誰もが、一見クールでかっこつけていそうに見えるけど、とても気さくだし、真面目。まったく裏表がない楽しい人だとおっしゃいますよね。

加藤 あはは、いや~、ダメなんですよ。どうしても素が出ちゃう(笑)。昔は、元々そういう人間だから、あまり素を見せすぎず、アーティストという仮面を被ることが必要だったんですけど……年を重ねることで、その仮面を自分自身で剥がしていけるようになったんです。30代半ばになって、ようやく本当の自分、自然な自分でみんなに向き合えるようになったのかなと思います。歌詞を書くときは、いつも自分に問いかけている。「Answer」の歌詞は、僕自身に言いたいことでもある。それをみんなと、直接顔の見えるライブでまず、共有したいと思いました。

――ミュージックビデオが、「Answer」が初お披露目された昨年秋のツアーのライブ映像をフィーチャーしているのも象徴的ですね。

加藤 これまでいくつもMVを撮影してきて、今回はどんなものにしようかとスタッフともずいぶん考えたんですけど、やっぱりライブの映像がいちばん、この曲を伝えられるんじゃないかと思ったんです。僕もライブで歌ってるときが、いちばん楽しいですし。そもそもアレンジやサウンドも、ライブ感や生感を意識して作っている。久々のシングルナンバーとして、すごくパンチのあるものになりました。

――さらに今回のMVを観て確信を深めたんですが、加藤和樹のアーティストとしての真価は、ライブでこそ発揮されるなと。

加藤 僕もそう思います(笑)。

――2月に発売された、昨年11月11日、豊洲PIT でのツアーファイナルの模様を収録したライブBD/DVD『Kazuki Kato Live “GIG” TOUR 2018 ~Ultra Worker~』では、より臨場感のある「Answer」ライブバージョンも堪能できる。他にもかっこいい曲がたくさんあるので、ひとりでも多くの方に観てほしい映像作品です。

加藤 そうですね。この公演は、dTVチャンネル(ひかりTVチャンネル+)でも生配信されたんですけど、パッケージ版は別編集になっているので、配信を観た方にも新鮮に楽しんでいただけると思います。

――ではカップリングナンバーのお話しもぜひ。「ordinary days」も加藤さんが作詞を担当。こちらもライブ映えするポップチューンですね。ハンドクラップが入っていたり、とても楽しい。

加藤 そうですね。みんなで掛け声を言い合いたい曲になりました。歌詞のイメージは「日常」。これも去年のツアーに関係があるんですけど、僕が去年2役を演じさせていただいた『マタ・ハリ』というミュージカル・ナンバー「Ordinary Lives(普通の人生)」を、ライブでカバーしたんです。その曲からも、日々の生活からも、ここ最近、「普通」であることがどれだけ特別かというのを、すごく感じるんですよね。

――それで、「ordinary days」=普通の日々というタイトルに?

加藤 はい。普段見えない景色へ一歩踏み出せば、ありきたりな日でも特別な日々に変わる。日常の中の小さな幸せが、この歌詞のテーマ。ご飯が美味しいとか、知らない景色が美しく見えるとか……そういう些細なことで「ああ、自分は生きてるんだな」と思う。基本、僕はマイナスなことを言わないようにしてるんです。「疲れた」とか「眠い」とか。そうすると、自然と自分自身がプラスになっていける。だから今は仕事が楽しいですし、ここ数年がいちばん、自分自身が充実してると思います。

――その充実感が、この曲を生んだんでしょうね。素晴らしいですよね、仕事が楽しいと思えることは。

加藤 もちろん、昔は仕事が辛いと感じた時期もあったんですよ。自分に自信と余裕がなかった時期は、新しい環境に飛び込むこと、新しいことを覚える楽しみ方を、僕自身が知らなかったから。でも音楽活動を続けることで、曲を書く喜び、その曲を聴いてもらって反応してもらえる楽しみが、かけがえないものだと知ることができました。言い方は悪いんですけど、いちいち楽しい(笑)。きっと、それによって僕が「生」を実感できてるからだと思うんです。そんな「生きている」喜びを、この曲で発見してもらえたらなと。これもライブでは、きっとすごくノって楽しめる曲だなと思います。

――もう1曲のカップリングは「奇跡~大きな愛のように~」。なんと、さだまさしさんのカバーですね。以前からお好きだったんですか?

加藤 いえ、さだまさしさんのことはもちろん存じ上げていましたが、この曲とは去年のファンクラブ・ライブで初めて出会いました。いつもカバー曲のコーナーがあって、ファンの方からリクエストをいただき、そこで初めて歌ったら……すごくいい曲で、聴く人に寄り添う歌詞にすごく共感できたんです。とても柔らかい言葉、僕自身が思い付かないフレーズで、僕がずっと言いたかったことを歌ってくれていた。とても染みました。僕が目指しているもの、僕が書きたかった歌詞はこれなんだな!と思ったんです。

――この曲は、1991年の曲だそうですね。

加藤 そう、僕が小学校に入るか入らないかの頃ですね。だからこそ、カバーをやる意味があると思うんです。いい曲は、世代を超えて若い人にも浸透してほしいし、名曲を自分の歌として歌うことは、僕自身が成長ための、大きな財産になると思うんです。せっかく自分で歌うのだから、アレンジもアコースティックな音色が良いと僕から提案させてもらい、生のストリングスを入れて、歌い方もさださんのコピーになることなく、ストレートに気持ちのままに歌うことを意識して、レコーディングしました。

――そんなニューシングル「Answer」を皆さんに届ける全国ワンマンツアー「Kazuki Kato Road Tour 2019 ~Thank you for coming!~」が、3月下旬からスタートしましたね。

加藤 タイトルに“Road Tour”、“Thank you for coming!”とあるように、今回は本当に僕ひとりで全国を回って皆さんに感謝の気持ちを伝えるツアーなんです。今まで行けなかった街もあれば、約10年ぶりくらいにライブで訪れる土地もある。音楽活動をたったひとりで始めたときの気持ち、原点に返って、今このタイミングで自分ひとりでできることを追求しようというのがテーマ。もちろん弾き語りもやりますし、新しい表現にも挑戦したいと考えています。

――まさに“ワンマン”ですね。

加藤 そうですね。正直、僕ひとりで何ができるのだろう?と悩んだこともありました。そんなとき、背中を押してくれたのが、友人のA9のヒロトくん。去年、久々にうちにご飯を食べに来てくれて、今回のことを相談したら、「絶対にやるべきだ」とアドバイスをくれた。その言葉があったからこそ、ひとりで全国を回ろうと決断することができました。それに続いて4月の終わりには、東名阪で「Kazuki Kato Live “GIG” Tour 2019 ~Thank you for coming!~」も開催しますが、そちらはいつものバンドスタイル。ガラリとテイストの違うライブパフォーマンスを、両方楽しんでもらえたらなと思います。

――役者業のほうも精力的ですね。愛染健十役で声優として出演中のアニメ『B-PROJECT~絶頂*エモーション~』もクライマックスを迎え、5月にはザ・ビートルズの創成期を描いた舞台『BACKBEAT』でジョン・レノン役を演じます。

加藤 『B-PROJECT』では先日、愛染健十が所属するグループ「THRIVE」のワンマンライブ(“B-PROJECT THRIVE LIVE 2019”)にもたくさんの方にいらしていただけて、本当に楽しかったです。『BACKBEAT』もビートルズ初期の音楽がフィーチャーされ、そこでジョン・レノンを演じさせていただけるのは本当に光栄。僕は世代的にそれほどビートルズを通ってきてはいないので、憧れが強すぎないぶん、逆にすんなりと役に入り込めると思います。ギターを弾いて歌う場面もありますし、お芝居や歌の中で少しでも、ジョンの影を感じてもらえたらいいですね。今年は、春から様々なチャレンジをさせてもらえる年になりました。役者としてもアーティストとしても、またひとつ大きくなれるよう、目標を高く持って何事にも挑戦していきたいです。

Interview & Text By 阿部美香


●リリース情報
「Answer」
3月27日 発売

【TYPE A(CD+DVD)】

品番:TECI-665
価格:¥1,852+税

<CD>
1.Answer
2.ordinary days

<DVD>
・「Answer」ミュージックビデオ
・「密着ドキュメンタリー KAZUKI KATO 前編 +未公開映像」

【TYPE B(CD+DVD)】

品番:TECI-666
価格:¥1,852+税

<CD>
1.Answer
2.奇跡~大きな愛のように~

<DVD>
・「Answer」ミュージックビデオ
・「密着ドキュメンタリー KAZUKI KATO 後編 +未公開映像」

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