リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2019.03.25

fripSide全国ツアー“fripSide Concert Tour 2018-2019 -infinite synthesis 4-”ファイナル公演レポート!

fripSide全国ツアー“fripSide Concert Tour 2018-2019 -infinite synthesis 4-”ファイナル公演レポート!

fripSideの全国ツアー“fripSide Concert Tour 2018-2019 -infinite synthesis 4-”のファイナル公演が、3月9日(土)に神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールで開催された。2018年10月にリリースされた最新アルバム『infinite synthesis 4』を携え、5都市を回ってきた本ツアーだが、横浜2デイズの2日目にあたるこの日は、それまでの公演とはセットリストを大幅に変えた「お祭り」仕様に。ライブでは久々となる曲も披露され、ファンにはうれしい一夜となった。

『infinite synthesis 4』のリリースに伴うツアーということで、同作のリード曲「Edge of the Universe」のMVに登場した宇宙船を彷彿させるようなセットが組まれたこの日のステージ。会場の期待が高まるなか、照明が暗転してSEが流れ始めると、satこと八木沼悟志(キーボード)と、バックバンドの大島信彦(ギター)、星野 威(ギター)、キタムラユウタ(ベース)、八木一美(ドラムス)、川﨑 海(マニピュレーター)がステージ下段に登場し、各自の持ち場につく。さらにステージ上段にシスターズの恰好をしたダンサー4人が現れ、上段中央のカプセル状のゲートがゆっくりと開くと、スモークと共に南條愛乃が出現。1曲目からいきなり代表曲「sister’s noise」が投入され、会場の熱は一気に急上昇する。

そこからシームレスに「fermata -Akkord:fortissimo-」へと繋げ、赤いレーザー光線が情熱的なムードを醸成するなか、オーディエンスものっけから盛大なコールを連発。さらに「fortissimo -from insanity affection-」を立て続け、『カデンツァ フェルマータ アコルト:フォルテシモ』主題歌から『fortissimo//Akkord:Bsusvier』のOPテーマへと同ゲームのシリーズを遡るような流れを作る。続く「eternal reality」では再びシスターズダンサーが登場し、八木沼もDメロ部分でマイクを持ってコーラスを担当。この時点で、ライブが始まった当初はステージ上空に掲げられていた『infinite synthesis 4』のロゴは消えており、この日のライブが『infinite synthesis 4』ツアーの千秋楽でありながら、その収録曲には捉われないセットリストが組まれていることに気づく。

怒涛の滑り出しを終え、ようやく最初のMCパートを迎えるも息切れしながら「疲れた……」と語る南條。彼女の「今日はまさかのセトリ一新」という言葉に客席からは喜びの歓声が上がるが、「オー!じゃないよ、最後はみんな倒れるんだから(笑)」と、この日のセトリがいかに大変なものであるかを暗に示す。八木沼いわくこの日のライブはスーパーベストという位置づけらしく、「昨日のライブで爪が割れちゃったんだけど、そんなの関係ないから」と並々ならぬやる気を見せる。

今度はダンサー4人を従えた「Luminize」、彼女たちの時計の針のようなアクションと南條の過酷な運命に立ち向かうような力強い歌声が印象的だった「clockwork planet」と派手なアップを続けた後は、八木沼の弾く切ないフレーズを導入に哀感溢れる世界観を広げた「come to mind -version3-」、イントロが奏でられた瞬間、客席が喜びの声に沸いた「last fortune」と、ライブではご無沙汰となっていた曲を次々と披露していく彼ら。その後のMCで八木沼はfripSideでこれまで作った楽曲数が300曲近くになることに触れ「よく作ったと思わない?最近若いクリエイターに会うと言うのは、20や30いい曲を作るのは簡単なんだよ。それをずーっと続けることができたら本物」と持論を語る。

そのように数多くの名曲を生み出してきたfripSideにとっての近年のヒット曲となる「divine criminal」でライブを再開すると(9曲目にしてようやく『infinite synthesis 4』収録曲を演奏!)、その儚く厳しい歌世界から一拍置いて、曲が始まるとほぼ同時に会場のサイリウムが一面真っ白に染まったのが「Hesitation Snow」。ステージ上を左右に移動しながら勇ましい歌声を届ける南條。彼女の「ワイ!」という声を合図にオーディエンスも熱狂の声を上げる。

ここでバンドメンバーの紹介を挿み、「次の曲はちょっとしっとりと」(八木沼)と前置きして歌われたのが、秘めた想いを託した美メロ曲「Secret of my heart」。切なさたっぷりに歌い上げる南條と、まるで留めることのできない気持ちを表したかのような終盤のギターソロが、泣きの情景を映し出す。そこから「crescendo -version2016-」でトランシ―なアップに急転回すると、「Heaven is a Place on Earth」「future gazer」とシングル曲を連打。ふたりも「今日ヤバくない?」(南條)、「フェスっぽいよね、このテンション感が続くの」(八木沼)と語るとおり、とにかくアガれる曲が矢継ぎ早に繰り出されていく。

そして八木沼が観客に向けて「痩せたほうがいい?」アンケートを取ってひと盛り上がりした後は、会場の横浜という立地にもぴったりのナンバー「whitebird」にいくはずが、八木沼と南條の曲入りのタイミングがうまく噛み合わず、南條が珍しく歌い出しを失敗。さらにそれが笑いのツボに入ってしまったのか、2度目の歌い出しもミスってしまうという異例の事態に、お客さんも笑いながら「頑張れー!」と応援の声をかける。なんだかお客さんとの距離感も以前より縮まっている様子が感じ取れて、微笑ましい一幕だった。

ステージにスモークが立ち込めるなか、アコギとピアノを軸にしたバラード曲をじっくりと歌い切ったのに続き、今度は第1期fripSide楽曲のセルフカバーとなるドラマチックなアップ「prominence -crossroads version-」で客席に活気を送り込む。「一時はどうなることかと思いました。いい曲でしたね!(笑)」(南條)、「珍しいね、それだけ楽しいってことだよ」(八木沼)といった和やかなやり取りを経て、ライブはいよいよ終盤戦。「ここから鬼ヤバが続きます」(八木沼)の言葉に客席も異様な盛り上がりを見せると、ここでfripSideの近年の鉄板曲「killing bites」へ。ヘビーなギターときらびやかなシンセ、南條のクールな佇まいから放たれる熱い歌声に会場は熱狂の渦に叩き込まれる。

次の躍動的な「magicaride -version2016-」で、八木沼の「せーの!」という煽りを合図に会場が揺れんばかりの大コールが巻き起こると、「fortuna on the sixteenth night」では八木沼がBメロでマイク片手にコーラスを歌い、さらに大きな盛り上がりを見せる。とにかく無尽蔵に名曲が飛び出すので、まさに息つく暇もない状態だ。そして「いちばん今のfripSideらしい最新の曲」と紹介して歌われたのが、最新アルバム『infinite synthesis 4』のリード曲「Edge of the Universe」。ステージ上段から炎が上がり、ラストスパートを文字通り熱く演出する。その宇宙感のある壮大なナンバーで最新のfripSideを提示すると、ライブ本編は今や彼らの音楽性を表す言葉にもなっている「infinite synthesis」でラスト。盛大な発破音と共に幕を開け、勇ましくもまばゆいデジタルポップサウンドに南條の透明感に満ちた歌声が重なり、演者とオーディエンスとの「無限の統合」が膨大な熱気を生んで、ステージは一旦幕を閉じた。

当然のことながら客席からはアンコールの声が間断なく上がり、その期待に応えて再度ステージに上がったfripSideは、『ブラック・ブレット』のOPテーマ「black bullet」でアンコールをスタート。ゴシックな要素を取り入れた楽曲の世界観に、艶めかしいダンサーの動きや炎の上がる演出が合わさって、舞台には激情的な赤の景色が広がる。さらにシズターズ衣装のダンサーが登場したかと思うと、ここで「LEVEL5 -judgelight-」「only my railgun」という『とある科学の超電磁砲』のOPテーマ2曲を連続で披露。お客さんも疲れるどころかますます元気になり、盛大なコールはもちろん、「only my railgun」では南條がマイクを向けるのに合わせて大合唱して、心を一体にする。ここにきてまだ多数のヒット曲を温存しているその事実に驚くばかりだ。

さらにそこから休む間もなく「Two souls -toward the truth-」に雪崩れ込み、天井知らずの高まりを発生させると、この日最後のMCへ。まずはちょうどこの日に受賞式が行われていた「第十三回声優アワード」において南條が新設のインフルエンサー賞を獲得したことを報告すると、会場は祝福ムードに沸く。さらに2019年11月4日に、南條がfripSideに加入してちょうど10年を迎えることを記念して、11月4日を皮切りに全国10か所のホールツアーを行うことを発表。しかも10周年イヤーにちなみ、今年はそれを含む10大発表を用意しているとのことで、今後も新たな展開が期待される。

そしてこの日のラストに歌われた楽曲は、現時点での最新シングルでもある「Love with You」。開始と同時に金テープが発射され、明るく華やかな曲調と一面ピンク色に染まったサイリウムが、ツアーの終わりというよりもむしろ、これから始まる彼らの10周年イヤーと春の訪れを同時に祝うかのようだ。最後は八木沼の「みんな飛ぶぞー!」という掛け声に合わせて会場全員のジャンプで締め。終演後、バンドメンバーとダンサーを含む全員で横に並んで挨拶する際には、前日の公演で機材トラブルの原因になったためこの日は控えていたスモーク噴出の特効演出も使う大盤振る舞いで、最初から最後まで「お祭り」と呼ぶにふさわしい貴重な公演だったように思う。

Text By 北野 創(リスアニ!)

“fripSide Concert Tour 2018-2019 -infinite synthesis 4-”
3月9日(土)神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール
<セットリスト>
M-01. sister’s noise(『とある科学の超電磁砲S』前期OPテーマ)
M-02. fermata -Akkord:fortissimo-(ゲーム『カデンツァ フェルマータ アコルト:フォルテシモ』主題歌)
M-03. fortissimo -from insanity affection-(PCゲーム『fortissimo EXS//Akkord:nächsten Phase』サクラルートオープニングテーマ)
M-04. eternal reality(『とある科学の超電磁砲S』後期OPテーマ)
M-05. Luminize(『フューチャーカード バディファイト 100』前期OPテーマ)
M-06. clockwork planet(『クロックワーク・プラネット』OPテーマ)
M-07. come to mind -version3-(2ndアルバム『Decade』収録→1stアルバム『first odyssey of fripSide』の収録曲のセルフカバー)
M-08. last fortune(PCゲーム『ティンクル☆くるせいだーす -Passion Star Stream-』主題歌)
M-09. divine criminal(『されど罪人は竜と踊る』OPテーマ)
M-10. Hesitation Snow(PCゲーム『はつゆきさくら』OPテーマ)
M-11. Secret of my heart(3rdアルバム『infinite synthesis 2』収録)
M-12. crescendo -version2016-(4thアルバム『infinite synthesis 3』収録→第1期ベストアルバム『the very best of fripSide 2002-2006』収録曲のセルフカバー)
M-13. Heaven is a Place on Earth(『劇場版ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』主題歌)
M-14. future gazer(OVA『とある科学の超電磁砲』OPテーマ)
M-15. whitebird(『Decade』収録)
M-16. prominence -crossroads version-(『crossroads』収録→第1期4thアルバム『binarydigit』収録曲の別バージョン)
M-17. killing bites(『キリングバイツ』OPテーマ)
M-18. magicaride?version2016-(4thアルバム『infinite synthesis 3』収録→第1期5thアルバム『split tears』収録曲のセルフカバー)
M-19. fortuna on the sixteenth night(『十六夜のフォルトゥーナ』OPテーマ)
M-20. Edge of the Universe(5thアルバム『infinite synthesis 4』収録)
M-21. infinite synthesis(3rdアルバム『infinite synthesis 2』収録)
<Encore>
EN-01. black bullet(『ブラック・ブレット』OPテーマ)
EN-02. LEVEL5 -judgelight-(『とある科学の超電磁砲』後期OPテーマ)
EN-03. only my railgun(『とある科学の超電磁砲』前期OPテーマ)
EN-04. Two souls -toward the truth-(『終わりのセラフ 名古屋決戦編』OPテーマ)
EN-05. Love with You(『寄宿学校のジュリエット』OPテーマ)

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP