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REPORT

2019.03.27

亜咲花、スピラ・スピカ、halca、和島あみが集結!“リスアニ!CIRCUIT Vol.08”ライブレポート!

アニメ音楽誌「リスアニ!」がプロデュースする、ライブハウスでの近距離戦をテーマにしたイベントシリーズ“リスアニ!CIRCUIT”。その約4年ぶりとなる単独公演“リスアニ!CIRCUIT Vol.08”が、2月16日(土)に東京・新宿ReNYで開催された。今回の公演には、亜咲花、スピラ・スピカ、halca、和島あみという、次世代を担うフレッシュなアーティストたちが集結。各々の個性と魅力を存分に見せつけるステージングによって、アニメ音楽シーンの明るい未来を予感させる一夜になった。

この日のイベントはオールスタンディングということで、ステージ前方には開演前からオーディエンスが密集するように詰めかけ、その期待の熱気が会場中にも伝わる。4組の出演者のうち、トップバッターを務めたのは、昨年8月にSACRA MUSICよりメジャーデビューしたピュアポップ・ロックバンドのスピラ・スピカ。天真爛漫な幹葉(vo)をはじめ、寺西裕二(g)、ますだ(b)という、若さ溢れるピュアな魅力を持った3人組だ。ライブは幹葉の「スピラ・スピカ、はじめま~す!」という元気いっぱいな声を合図に、アニメ音楽情報番組「LisAni!NAVI」のテーマソングだった最新シングル「小さな勇気」からスタート。勢いよくステージに飛び出してきた3人とお客さんとの距離は、「手を伸ばせば触れられるのでは?」と錯覚するほどの近さで、ライブハウスならではの臨場感にオーディエンスは早くも熱く盛り上がる。

続いて幹葉は「スピラ・スピカのライブ観るのは初めてやけん、ついていけるのか心配じゃ~、という人も大丈夫! 人類みんな1回はやったことある、じゃんけんの歌を持ってきました~!」と、出身の徳島訛りを交えたキュートなMCで、「じゃんけんキング」を紹介。サビの最後に“さぁ みんないくよ じゃんけんぽん!”というフレーズがあるこの楽曲。そのタイミングでお客さんは手を上げてグー、チョキ、パーのいずれかを掲げ、幹葉とじゃんけん勝負をするという、秀逸なアイデアのお客さん参加型ナンバーだ。結成以来、関西のライブハウスを中心に地道な活動を続けてきたスピスピらしい、対バンライブなどで自分たちのことを知らないお客さんを惹きつけるための工夫と言えるだろう。

続くMCで「ほしたら私のしゃべる時間ですか」と流暢に話し始め、改めてバンドの自己紹介などを行う幹葉。2ndシングル「小さな勇気」とそれに伴う4月の全国ツアー“スピスピがハッピーを届けにゆくよツアー”の告知を行うと、さらに「いち早くお届けしたいハッピーなお知らせを持ってきましたー!」と、ここで2019年4月より放送されるTVアニメ『みだらな青ちゃんは勉強ができない』のEDテーマを、スピラ・スピカが担当することを報告。会場は祝福の声に包まれる。しかもその新曲「恋はミラクル」を初披露。恋していることに気づいたドキドキ感、世界の見え方が一瞬で変わってしまったような気持ちが、快活なギターロックに乗せて届けられ、ステージ上でクルクルと回ったりしながら楽しそうに歌う幹葉の姿に、お客さんもつられて無邪気な笑顔になってしまう。

そして最後はTVアニメ『ガンダムビルドダイバーズ』第2クールのEDテーマでもあるメジャーデビュー曲「スタートダッシュ」をパフォーマンス。幹葉と元チャットモンチーの高橋久美子が共同で作詞を手がけたこのナンバー、冒頭の“世界中の空が見たくて 気がついたら駆け出していたんだ”という歌詞が楽曲そのものを象徴するように、その爽やかかつサビにかけて一気に上昇していくロックサウンドは、まるで広大な青空を映しているかのよう。オーディエンスもその昂揚感溢れる楽曲を身に浴び、クラップなどを交えて熱く盛り上がる。幹葉は最後に上空に向けて指をさし、“上昇気流でスタートダッシュ決めるよ 行け!”と喉を震わすロングトーンを響かせてキメ。ライブハウス上がりのバンドであるスピスピが、“リスアニ!CIRCUIT”の一番手として見事なスタートダッシュを飾ってくれた。

<セットリスト>
スピラ・スピカ
M01:小さな勇気
M02:じゃんけんキング
M03:恋はミラクル
M04:スタートダッシュ

その熱気を引き継ぐように登場したのが、「ホリプロ×ポニーキャニオン 次世代アニソンシンガーオーディション」でのグランプリ受賞を経て2016年にデビューした和島あみ。まだ20歳ながら深い情感を湛えた心に真っ直ぐ突き刺さる歌声で、数々のアニメ作品を彩ってきたシンガーだ。彼女がこの日のライブの1曲目に歌ったのは、自身のデビュー曲でもあるTVアニメ『迷家-マヨイガ-』のOPテーマ「幻想ドライブ」。冒頭から特徴的な深みのある歌声でオーディエンスの心を一気に掴むと、「こんばんは、和島あみです、楽しんでいきましょう!」とワイルドに挨拶し、ラフでストリート感のある恰好そのままのロッキッシュなステージを繰り広げていく。若干ハスキーさを感じさせるボーカルは、ヘビーなギターを中心に構築されたサウンドとも相性抜群だ。

初っ端からいきなりオーディエンスの「オイ!オイ!」という熱いコールを引き出した和島は、MCでこの日初めて自分のライブを観る人に挙手してもらい、新しく出会ってくれたことに感謝の気持ちを述べる。そして次に歌う曲「オレンジと逆光」について「ファンの方に向けて歌詞を書いた曲なんです」と説明。スピーディーかつパンキッシュなギターロックに乗せて歌われるのは、“君がオレンジにしてくれた声 消えないよう”“まだね 夜は明けない だから 歌うの”という、自身が歌う意味と歌い続けていくことへの決意。一時期活動を休止していた彼女がそのような言葉を届けてくれるのは、ファンにとって何よりもうれしいこと。ライブを想定して書かれたコール&レスポンスのパートも熱く盛り上がる。

そこから間髪入れず歌われたのは、『クロムクロ』第2クールのEDテーマに起用された「永遠ループ」。転調をふんだんに盛り込んだドラマチックな曲調と、切なくもエモーショナルな歌唱が会場のボルテージをさらに引き上げる。今をときめく大石昌良の作詞による、作品の世界観に寄り添いながらも、誰もが気持ちを投影できる、諦めず前に進むことの大切さをしっかりと刻んだメッセージも、会場の熱気を上昇させるのに一役買っているようだ。歌い終わって「楽しい~!」と心からの言葉を漏らした和島は、以前から親交のある亜咲花に加えて、スピラ・スピカ、halcaと対バンできるということで、この日のライブを本当に楽しみにしていたと語る。

だが、「こんなに楽しいのに、次が最後の曲になります」と名残惜しそうに告げる和島。彼女がこの日のライブの締め括りに選んだのは、德永英明の名曲「壊れかけのRadio」のカバーだ。2018年秋クールのアニメ『あかねさす少女』にてEDテーマとして使われたこの楽曲。そのときの和島はまだ19歳で、まさに歌詞の中にある“思春期に少年から 大人に変わる”時期にあったので、そんな自分だからこそ表現できる歌を目指したと説明する。「まだ大人になりたくないんだよね(笑)」と微笑む彼女は、「今の私にしか届けられない歌を、今この場にいるあなたに届けたいと思います」と、スタンドマイクを握りしめながら切々と歌い上げ、繊細な年頃の淡い心の揺れを哀愁味たっぷりに表現してみせた。

<セットリスト>
和島あみ
M01:幻想ドライブ
M02:オレンジと逆光
M03:永遠ループ
M04:壊れかけのRadio

続いてステージに上がったのは、先日に日本武道館で行われたライブイベント“リスアニ!LIVE 2019”にもUPCOMING ARTISTSとして出演したhalca。「皆さんこんばんは、halcaでーす!」とかわいらしい笑顔を浮かべて登場した彼女は、“リスアニ!LIVE 2019”のときと同様に、TVアニメ『‎逆転裁判~その『真実』、異議あり!~Season2』のEDテーマ「スターティングブルー」からライブをスタートさせる。キラキラと駆け抜けていくサウンドに、爽快感があって歯切れの良いhalcaの歌声はピッタリ。会場中が華やかなムードに包まれていく。

「最初から、うれしい!楽しい!ってマックスになりました」と、思わず癒されてしまうほわほわとした口調で感想を語るhalca。“リスアニ!LIVE 2019”についても振り返り、「イベントに出演できるのは皆さんのおかげです、本当にありがとうございます!」と感謝する。そしてこの日ならではの趣向として、最新シングル「センチメンタルクライシス」のカップリングに収められている新曲「Knockin’ on!!」をライブ初お披露目。「“ウォーオーオー”とか“ヘイ!ヘイ!”とかあるんですけど、もしよかったら一緒にやってくれたらうれしいです!」と呼びかけた甲斐もあって、お客さんも彼女の歌や動きに合わせてアクティブに楽しむ。halcaも客席に向けてマイクを向けたり、最後はピ―スサインでポーズを決めたりと、実に楽しそうだ。

初めて披露したにも関わらずみんなが声を出してくれたことに喜ぶhalcaは、「皆さんともっともっと楽しい曲にできたらいいなと思います!」と抱負を語ると、今度は「センチメンタルクライシス」を歌唱。TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のEDテーマとして好評を博しているこの楽曲は、恋する女の子のややこしいようでいてピュアな心情が歌詞に表れており、デビュー前から「キミの空」などのキュンとするような恋模様を描いたラブソングを得意としてきたhalcaが歌うに相応しいナンバーと言えるだろう。ライブでもその甘く真っ直ぐな歌声が際立っていて、力強く響くのに耳心地はあくまでも柔らかという特殊な声質が活きていたように思う。

続くMCでは、4月27日(土)に開催される2ndワンマンライブ“LAWSON presents halca second LIVE Help Me!!~part 2~”に昼公演の追加が決定したことを発表。「初めての2部公演で右も左もわからなくて緊張するのですが、皆さんぜひ来てもらえるとうれしいです!」と伝える。そして「最後の曲、聴いてください!」と歌ったのは、彼女のデビュー曲となるTVアニメ『ヲタクに恋は難しい』のEDテーマ「キミの隣」。スイートでよく通る歌声がライブハウスいっぱいに響き渡る。デビュー当時はインタビューで「歌いながら動くのが苦手」と語っていた彼女だが、この日のライブではいずれの曲でもかわいらしい振りも見せてくれ、着実に成長していることを感じさせるステージだった。

<セットリスト>
halca
M01:スターティングブルー
M02:Knockin’ on!!
M03:センチメンタルクライシス
M04:キミの隣

そしてこの日のトリを飾ったのが、2016年に高校生アニソンシンガーとしてデビューして以来、その卓越した歌声とパフォーマンス力で日々存在感を増し続けている亜咲花。髪をサイドに結わえ、ミニアルバム『19BOX』のジャケットと同様の、全身を黒で統一したシックな新衣装でステージに登場した彼女は、TVアニメ『セントールの悩み』のEDテーマだった「Edelweiss」からライブをスタート。朗々とした歌声は安定感も抜群で、2番のサビで聴かせたビブラートも実にパワフルだ。オーディエンスはその美声に身を委ねながらも、全力の掛け声を上げるなどしてライブならではの空気感を目いっぱいに楽しむ。

亜咲花の「“リスアニ!CIRCUIT”盛り上がってますかー?」「新宿ReNYぶち上がってますかー?」という問いかけに「イェー!」と応えて熱狂する会場。ここで亜咲花は、昨年の“リスアニ!LIVE”を観に行った際に、憧れの存在であるシェリル・ノーム starring May’nの「ダイアモンド クレバス」を歌手デビューしてから初めて生で聴き、「ただただ泣いてるオタクになっていまいました(笑)」というエピソードを披露する。そのように自身もひとりのアニメファンとして親しんできた「リスアニ!」関連のイベントで初めてトリを務められることを喜び、お客さんに感謝の気持ちを伝えた彼女は、「私をアニソンシンガーにしてくれて、今日このステージに連れてきてくれたデビュー曲」と紹介して、『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』のEDテーマ「Open your eyes」を歌唱。時おり艶めかしい仕草を交えつつ、おそらく自身の持ち曲の中でも最も歌い込んできたであろうことが伝わる、威風堂々とした歌声で会場の熱気を一気に掌握する。

「“リスアニ!CIRCUIT”かかってこれるか!レッツゴー!」と威勢よく檄を飛ばした亜咲花は、次いでシンセの激しい音色が心を高ぶらせるBPM高めのデジタルロック「Unfulfilled Butterfly」を投入。ステージ上でクルリとターンして髪を揺らせながら情熱的なパフォーマンスを繰り広げる彼女の姿に、フロアはこの日いちばんの熱狂で応える。そこから間髪入れずにTVアニメ『ISLAND』のEDテーマ「Eternal Star」を畳みかけ、先ほどまでの激情感溢れるムードから一転、爽やかな景色を新宿ReNYに広げてみせる。間奏で「まだまだいくよ、3、2、1、GO!」とお客さんを煽る姿も堂に入ったもので、デビュー3年目とはいえ、そのパフォーマンスにはまだ19歳とは思えぬ貫禄が備わっている。

どこまでも高まり続ける会場の熱気を受けてか、「私、こんなに汗かいたの久しぶりかもー!」と興奮気味に語る亜咲花。ここで3月の東名阪ツアー“亜咲花 1st Tour 19BOX ~Once In a Blue Moon FMA~”と、4月から放送されるTVアニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』のOPテーマ「この世の果てで恋を唄う少女」について告知すると、この日最後の曲へ。客席からの「え~!」という声に亜咲花本人も「今来たばっかりー!」と残念がる。しかし、彼女の「最後にふさわしいみんなで一緒になれるような曲を」という言葉に、多くの観客が次の曲が何であるかを察し、両手の指で三角形を作って掲げると、会場は早くもピースフルな雰囲気に。そして亜咲花の「新宿ReNYでゆるっとキャンプしたい人~?」という呼びかけを合図に歌われたのは、もちろんTVアニメ『ゆるキャン△』のOPテーマ「SHINY DAYS」。パーカッションの効いたファンキーなサウンドに、聴く者に元気を与えてくれるような溌溂とした歌声が響き渡り、サビではお客さんも頭上に三角印を作って左右にウェーブする。落ちサビではオーディエンスのクラップのみをバックに亜咲花のソウルフルなボーカルが弾け、会場中が笑顔に覆われるなか、ライブは大団円を迎えた。

<セットリスト>
亜咲花
M01:Edelweiss
M02:Open your eyes
M03:Unfulfilled Butterfly
M04:Eternal Star
M05:SHINY DAYS

ニュージェネレーションらしい新鮮さと勢いを感じさせる4者4様のステージを、ライブハウスならではの距離感で堪能することができた“リスアニ!CIRCUIT Vol.08”。アニメ音楽シーンの成熟を受けて様々な新しいアーティストが登場している今と、その先に待っているであろう「SHINY DAYS(=輝ける日々)」を肌で感じることのできる、有意義なイベントになったのではないだろうか。

PHOTOGRAPHY BY 小賀康子
TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●イベント情報
リスアニ!CIRCUIT Vol.08
2019年2月16日(土)
開場 16:00/ 開演 17:00

会場
新宿ReNY

出演者(※五十音順)
亜咲花/スピラ・スピカ/halca/和島あみ

問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00-19:00)

主催:エムオン・エンタテインメント
企画:リスアニ!編集部
制作:バンダイナムコ ライブクリエイティブ
協力:ソニー・ミュージックエンタテインメント
運営・問い合わせ:DISK GARAGE

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