2017年11月から音楽活動の充電期間に入っていたスフィアにとって、1年3か月ぶりとなるライブ「LAWSON presents Sphere 10th anniversary Live 2019″Ignition”」が、2月17日(日)、舞浜アンフィシアターで行われた。前日に毎年恒例のイベント“チョコ祭り”で10th Anniversary Album『10s』のリリースを発表した4人は、音楽活動再開に気合い十分。「初心に帰るため」、バンドメンバーなしの4人だけでライブ活動を再開した。
スフィアのライブを待望していたファンで埋まり、開演前から熱気に満ちた舞浜アンフィシアター。会場が暗転し、透過スクリーンの奥に4人のメンバーが登場。メンバーそれぞれの元に舞い降りる4色の光を映し出し、スクリーンは上昇。揃ってファンの前に姿を現した4人は、デビュー曲「Future Stream」でライブをスタートさせた。アウトロからクラップを煽りつつ、寿 美菜子による「舞浜の皆さん、こんにちは!」という挨拶からメンバーがひと言ずつ自己紹介。そしておなじみのポーズで「私たち、スフィアです」と元気よく名乗りを上げると、そのまま「A.T.M.O.S.P.H.E.R.E」「Ding! Dong! Ding! Dong!」「LET・ME・DO!!」といった人気ナンバーを笑顔で届ける。
音楽活動こそ充電していたものの、ラジオなどその他の活動は継続したこともあり、メンバー間に流れる雰囲気は以前と変わらず和やかな雰囲気だ。MCタイムに入り、高垣彩陽が「改めましてこんばんは、LAWSON presents Sphere 10th アニバーシャリー……」と早速噛んでしまうとメンバーもファンも苦笑。改めて「スフィアです」と名乗ると、4人はすぐに「やっぱこれやで~」と顔をほころばせる。極めつけは戸松 遥による土下座から始まった失態の告白だ。充電期間前に、寿からお揃いの指輪をプレゼントされたという3人。しかし前日の“チョコ祭り”で一緒につける予定だったが、戸松が忘れたためこの日に持ってくることに。しかし戸松はその後に必死で探しても指輪を見つけられなかったという。結局、4人は人差し指にマジックで書いたお揃いの指輪を見せ、ファンを笑わせた。
記憶に新しい「SPHERE-ISM」や、定番の「GO AHEAD!!」「MOON SIGNAL」で会場を温めると、4人はそれぞれの個性がより発揮されるソロ曲も披露する。ピンクのドレスに早着替えをした高垣がオペラ要素の強いプログレッシブロック「愛の陽」を歌い上げると、紫のワンピース姿の寿は「Another Wonderland」で元気よく飛び跳ねて観客にジャンプを煽り、一体感を作り出した。「らくがきDictionary」や「Spring is here」といったミドルナンバーや緩い雰囲気のMCを挟んで、緑のワンピースをまとった豊崎はバラードの「クローバー」で心地よい空気を届ける。白のTシャツにオレンジのつなぎというアクティブなスタイルで登場した戸松は、アッパーな「オレンジレボリューション」でライブ後半に向けてテンションを一気に引き上げた。
カラフルなチェック柄の衣装に着替えた4人は、SPHEREの文字がひとつずつ書かれたブロックをバックに「NEVER ENDING PARTY!!!!」で後半戦を開始する。曲中には寿が音頭を取って、観客とダンスでコール・アンド・レスポンス。ハイスピードの「Miracle Shooter」を経て、「H」と「P」ののブロックのみが残ったステージで披露されたのは「HIGH POWERED」。間奏で各メンバーがセンターでパフォーマンスしていくなか、トリを務めた戸松は「すしざんまい!」の掛け声と共に両手を広げてキレよくポージング。音楽活動再開前にメンバーで同店に行ったのを思い出したのか、唐突なパフォーマンスで会場中を爆笑させた。
ラストスパート宣言から突入した「vivid brilliant door!」では、全員がステージから会場中段の通路に移動しファンの間近へ。お立ち台の上に立って、360°全周囲の観客に存在をアピールする。ステージに戻って「Planet Freedom」を歌い終え、本編のラストナンバーとして届けられたのは4人が揃って出演したTVアニメ『夏色キセキ』のOPテーマ「Non stop road」。これからの展開に期待を抱かせるような1曲で本編をフィニッシュさせた彼女たちは、「私たち、スフィアでした!」と言い残してステージから去っていった。
1年3か月分の鬱憤を晴らすかのような大声量のアンコールに応え、メンバーはライブTシャツに着替え再登場。「キミが太陽」でライブを再開させると、肩を組み、顔を見合わせながら「かけがえない出会いに感謝してる誇りに思ってる」と歌った。その後のMCでは、この日の高垣が得意のダジャレを炸裂させていないという話に。それを受け、俄然やる気になった高垣はグッズのシェルジャケットを紹介するくだりで「皆さん、買ってくだしぇる?」「(チャックを上げるときは)ちゃんと注意して、よーくチェックして上げてね」などと畳みかけ、メンバーとファンの笑いと拍手を誘った。
「Super Noisy Nova」のあとには最後の挨拶へ。戸松は「ツアーも決まったし、(展示イベントの)スフィア10もやっています。これからもスフィアとしていろんな展開をしていきたいので、ベテランアイドルの活躍を楽しみにしてください」とユーモアを交えてコメント。豊崎は「10年を振り返ってみるといいことばっかりじゃなかったかもしれないし、いろんな壁があったかもしれないけど、思い出すと楽しいことばっかり。そしてそこには皆さんのキラッキラの笑顔があった」と回顧しながら、「スフィアの豊崎愛生として、大好きなスフィアを作ってくれた皆さんへの感謝を、これからも声や歌、いろんな表現に変えて、しっかりと届けていける1年にしたい」とファンに素直な思いを伝えた。
高垣は“チョコ祭り”前日の切ないエピソードを披露。彼女は深夜2時頃から充電前ラストのライブを収めたBlu-ray Discをチェックし始めたそう。そして「Endless Anniversary」で高まってメンバーのLINEグループに「めっちゃエモい」と送ったものの、ひとつも既読がつかなかったと明かしファンを笑わせる。しかしそこから同曲にある“帰っていける最高の居場所があるんだ”という歌詞を引用し、「自分たちにとっても、みんなにとってもスフィアが、いつでも帰ってこられる最高の居場所であってほしい」と伝え、一気にシリアスモードに。それでも最後は「最高の10周年イヤーにしないと嫌~」としっかりオチを付けた。
寿は「1年3か月前はどういうふうに復活するかわからなかったけど、今日、無事にみんなと一緒にイグニッションできて本当にうれしい。これから4人でしか見られない景色を、皆さんと一緒に見ていきたい」と力強く宣言。そして彼女は公演の最後に選んだ曲について「10周年の幕開けという意味を込めた」と説明。さらに作曲をこれまでもスフィアに多数の楽曲を提供してきたrino、そして作詞は同じくrinoに加え、ソロパートは初めてメンバーが担当したことを紹介する。そして4人は10th Anniversary Album『10s』のリード曲となる「Music Power→!!!!」を初披露。スフィアの結成10周年を華やかに彩るであろう新曲で、1年3か月ぶりの“放電”を終えた。
なおアンコール中には「LAWSON presents Sphere 10th anniversary Live tour 2019 “A10tion!”」が発表された。スフィアにとって2年ぶりのツアーは、9月7日(土)、8日(日)の大阪・オリックス劇場での2DAYSを皮切りに、東京や静岡、愛知を巡って10月26日(土)、27日(日)の千葉・幕張メッセイベントホールでの2DAYSまで9公演となる。結成から10年の時を経て、声優ユニット史上もっとも成熟したと言っても過言ではない4人の現在を目撃してほしい。
Text By はるのおと
「LAWSON presents Sphere 10th anniversary Live 2019″Ignition”」
2月17日(日)舞浜アンフィシアター
【セットリスト】
M01.Future Stream
M02.A.T.M.O.S.P.H.E.R.E
M03.Ding! Dong! Ding! Dong!
M04.LET・ME・DO!!
M05.SPHERE-ISM
M06.GO AHEAD!!
M07.MOON SIGNAL
M08.愛の陽
M09.Another Wonderland
M10.らくがきDictionary
M11.Spring is here
M12.クローバー
M13.オレンジレボリューション
M14.NEVER ENDING PARTY!!!!
M15.Miracle Shooter
M16.HIGH POWERED
M17.vivid brilliant door!
M18.Planet Freedom
M19.Non stop road
EN01.キミが太陽
EN02.Super Noisy Nova
EN03.Music Power→!!!!
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