TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』主題歌担当ZAQ×キリエ役・鈴代紗弓スペシャル対談!

2019年1月よりオンエアがスタートした『荒野のコトブキ飛行隊』は、商船・羽衣丸に乗り込み、雇われ用心棒としてレシプロ機を駆って空賊と戦う6人の女性パイロットたち=「コトブキ飛行隊」と仲間達の活躍を描いている。迫力とリアリズムに満ちた空戦と仲間達の絆や葛藤も見どころとなる本作。そのオープニング主題歌「ソラノネ」を歌い、コトブキ飛行隊のメンバーが歌うエンディング主題歌「翼を持つ者たち」の両楽曲で作詞・作曲・編曲を手がけたのは、幅広いジャンルの楽曲を我がものにする新世代アニソンアーティストのひとり、ZAQだ。そして今回、本作の主人公キリエを演じ、「翼を持つ者たち」で初のシンガーデビューを果たした声優・鈴代紗弓とZAQが初対談! 2曲の主題歌に込めたZAQの想い、キリエとして歌唱を担当した鈴代の想いを語ってもらった。

――女の子パイロットがレシプロ機に乗り込んで戦うという個性的な設定と、西部劇を彷彿とさせるハードな世界観が話題を呼んでいた『荒野のコトブキ飛行隊』の放送がいよいよ始まりました。本作は原作のないアニメオリジナル作品ですが、オープニングとエンディング主題歌の両方を手がけたZAQさんは、どのように曲想を固めていかれましたか?

ZAQ 原作がないので、まずは作品の設定資料とシナリオを読むところからでしたね。私がアニメの主題歌を作る考え方は2パターンあって……ひとつは、キャラクターのひとりの視点から世界を見る場合。もうひとつは作品全体の世界観を俯瞰で見て、それをふんわりと表現していく場合があります。

鈴代紗弓 そうなんですね!

ZAQ そうなんですよ(笑)。

――オープニング主題歌の「ソラノネ」はZAQさんご自身が歌っていらっしゃいますが、こちらはその2パターンのどちらの作り方だったのですか?

ZAQ 「ソラノネ」はオープニングでもあるので、テーマ性も大きくありたかったんです。なので、世界を表現するほうを重視して考えていきました。

鈴代 すごい……アニメのお仕事をしていても、アフレコ現場でアーティストの方にお会いする機会はまずないので、音楽のお話をご本人から聞ける機会はすごく貴重で。もう感動しちゃってます、私。

ZAQ いやいや、そんなふうに言われちゃうと照れますよね(笑)。最初は、キャラクターの心情に入り込んだ曲にしようかなとも思ったんですけど、『荒野のコトブキ飛行隊』は世界が大きくて、しっかり構築されているから、そちらを表現した方がオープニングにはふさわしい。西部劇っぽいというのも、この作品には大切な要素だと感じたので、その雰囲気も表現するために、西部劇=マカロニウエスタン風のサウンドにして、荒野といえば口笛(笑)。

鈴代 ああ!

ZAQ カントリー音楽などでおなじみの、ドブロギターの♪ジャンジャカジャカジャンという独特のサウンドも採り入れました。でもそれだけだとシブくなりすぎて、“女の子たちの物語”とはマッチングしにくくなってしまう。そこで全体をビッグバンドジャズの明るいサウンドにして、コトブキ飛行隊の空戦の突き抜けるような速さを表現しようと思いました。

鈴代 マカロニウエスタンとか西部劇って、言葉は私も聞いたことがあったんですけど……。

ZAQ 世代的にはそうですよね。私もリアルタイムで西部劇を観てきたわけじゃないんですけど、音楽的なイメージは湧きました。

――鈴代さんは、出演者として「ソラノネ」にはどういう印象を持ちましたか?

鈴代 全部がめちゃめちゃかっこよくて……本当に「カッコいい!」しか言えないんです。じつは私、この作品に携わる以前から、ZAQさんの楽曲が大好きで、カラオケでもよく歌わせていただいていたんです。なので、大好きなアーティストさんの曲が主題歌の作品に出させていただけたなんて、今でも夢みたいで。

ZAQ わー、うれしい! えっへん!(ドヤ顔)

鈴代 本当にそうなんですよ。「ソラノネ」は曲もZAQさんの歌声もとにかくカッコいい。そして、ちゃんとコトブキ(飛行隊)の歌だ!と思えて、めちゃめちゃ感動しました。

――やはり、最初にとても印象に残るのが、最近のアニメ主題歌としては珍しいビッグバンドサウンドですね。懐かしいアニメでいうと、『ルパン三世』的な。

ZAQ そうですよね。そしてビッグバンドサウンドの曲って、だいたいがインストルメンタルなんです。しかもアニソンで使われることはほぼなくて。有名な作品でいえば、『カウボーイビバップ』や『ルパン三世』、『バッカーノ!』くらいかなと。それもだいたいがインスト。なので「ソラノネ」は、女性の私が声を乗せることで表情をつける挑戦をしてみたいなと思ったんです。こういうサウンドで歌っている人も、他にはいないので。

――それをきちんと歌もののポップスに昇華されているところが、幅広い音楽性を持つZAQさんらしさですね。

ZAQ 私もビッグバンドサウンドに挑戦したのは初めて。ただ、これまでもアシッドジャズやブラスロックには個別にチャレンジしてきたので、そのふたつの融合が「ソラノネ」にいかされました。

鈴代 イントロの口笛から、素敵です。この口笛をZAQさんが吹かれたと聞いてびっくりしました。

ZAQ そう、私が吹いてるんですよ。前に「Last Proof」(『劇場版 トリニティセブン 悠久図書館と錬金術少女』主題歌)のイントロでも口笛を吹いたことがあって。アニサマでも披露したことがあるんですけど、歌より上手いんじゃないかと評判です(笑)。

鈴代 そんな!(笑) サビもすごいですよね、映像でも「♪飛び立つ~」のところでコトブキの操縦する隼が飛んでいって。映像とシンクロするとなおさら素敵です。音楽の専門知識がないから、上手くお伝えできなくて申し訳ないんですけど……。

ZAQ いえいえ! 音楽をやっている身としては、鈴代さんのように「全部がいい!」と言っていただけるのが、いちばんうれしいんですよ。好きになってもらえて良かったです。

――先ほどZAQさんがおっしゃったように、コトブキ飛行隊が空を翔ける情景描写から始まる歌詞も、作品の全体的な世界観を表現されていますね。

ZAQ そうですね。キャラクターの誰かひとりというわけではなく、この世界のこと、全員のことを歌いつつも……ひとつテーマとして、空戦に飛び立ったら帰ってこないかもしれない世界で待っている人の「生きてほしい」という気持ちも込めました。大切な人と別れて戦う人たちも、何のために戦うのかで葛藤することだってあると思う。だからこそ生きることの素晴らしさがある。歌詞カードでも、あえてカギカッコをつけて、無事に帰還してほしいと待っている人たちの気持ちを、セリフのように表現しました。

鈴代 こうしてZAQさんから、歌詞に込めた思いを聞くと、何百倍も感動が増しますね。今、 ZAQさんがおっしゃっていた歌詞の中のセリフの部分は、『荒野のコトブキ飛行隊』の物語全体にも通じているものがあって、すごいなと思います。

――そんな鈴代さんは、「ソラノネ」ではどのフレーズが印象的でしょうか。演じているキリエの気持ちにマッチしていると感じるフレーズもありますよね?

鈴代 はい、すごく!“何度でも笑いながら”は、いつも元気なキリエっぽいです。そして、コトブキ飛行隊全体にも通じるんですけど“僕らは後ろを向いて飛ぼうとはしない”というところも、いつも前向きに笑顔で飛んでいくコトブキ飛行隊らしいなと思います。

ZAQ じつは私、その“僕らは後ろを向いて飛ぼうとはしない”という歌詞を書いたとき、ほんとに後ろ向きに飛んでみたんですよ!(笑)。

鈴代 えええっ!?(笑)。

ZAQ 皆さんもぜひ一度やってみてほしいんですけど、人は真っ直ぐ立って後ろに飛ぶことって、絶対上手くできないんですよね。そして飛行機も、滑走路をバックで走ることはできるけど、後ろ向きには飛べない。そのふたつの意味を、ここで表現したかったんです。間抜けな制作秘話ですけど(笑)。

鈴代 そうだったんですね。しかも“重力を味方につけて”というフレーズもあるじゃないですか。コトブキ飛行隊が乗っているレシプロ機は「隼」なんですけど、「隼」はパイロットの技量が操縦に顕著に出る機体だと聞きました。なので“重力を味方につけて”というフレーズには、キリエたちの力のことも描かれているんじゃないかなと、私は思いました。

ZAQ キリエにそう感じてもらえるなんて、うれしいですね!

――そういう意味でも、作品の世界観がたっぷりと歌詞にも込められていますね。ZAQさんのこだわりがすごい。

ZAQ 1番と2番では、同じメロディで歌われる言葉も、韻を踏みながら対比させているんですよ。「青い青」と「淡い泡」をかけたり、1番で「重力」と言っているところは、2番で「引力」 にしていたり。

鈴代 ほんとですね!

ZAQ 「踊る羽根」と「泳ぐ影」で韻を踏んでみたりね。ただ……これ、ライブで歌うときが大変なんですよ。去年の冬のライブでさっそく披露したんですけど、歌詞がほんとに間違えやすくて(笑)。両方が混ざって、「踊る影」とか言っちゃう(笑)。

鈴代 セリフでも似た言葉って間違いやすいから、すごく分かります。でもこの曲、ライブでも絶対に盛り上がりますよね。

ZAQ レコーディングでも、スタジオを大空に変えるくらいの疾走感を意識して歌いましたし、ライブではノリを重視して。歌ってても飛びたくなっちゃいますね。

――そして、『荒野のコトブキ飛行隊』のエンディング主題歌「翼を持つ者たち」もZAQさんの作詞・作曲・編曲によるナンバーですね。こちらは、どのように作られましたか?

ZAQ 最初にいただいたアニメスタッフさん側からのオーダーは、ハッピーになれる曲でした。来週もまた番組を観たいと思える、ほんわかした雰囲気で終わりたいと。なので、温かみのあるアコースティックギターをメインに、Aメロ、Bメロは言葉を細かく詰めつつも、サビはゆったり大きく。サビで気持ちグッと開いてもらいたいなと。サウンドは、「ソラノネ」もそうなんですが、ちょっとレトロで土臭い感じを意識して。印象的でテクニカルなギターを弾いてくださったのは、佐々木“コジロー”貴之さんです。

――土臭さの中にも、シティポップに通じるアーバンな雰囲気がありますね。

ZAQ サビはそうですね。イントロにもチョップしたギターが入っていたり、歌の始まりがドライだったり、そういうところには、ちょっとおしゃれな感じを出してみました。

――それを歌っているのが、コトブキ飛行隊メンバーを演じている6人のキャストさんです。

ZAQ 鈴代さんは、初めてのボーカルレコーディングだったんですよね。

鈴代 はい、初めてでした。

ZAQ スタジオに入ってきたときの鈴代さん、反応がとてもフレッシュでかわいかったんですよ。「わー、音が大きい!」とか。私も初めてスタジオに入ったときはそうだったな~と思って、ノスタルジーを感じましたね。でも、歌ってもらったら、歌が初めてとは思えないくらい、キリエになりきって、素晴らしかったです。

鈴代 そ、そんな……(照)。キリエ自身が、自分の素に近いようなキャラクターでもあるので、すんなり歌えたんだと思います。ZAQさんにもわざわざ来ていただいて、スタッフさんもみんな優しくて、とても楽しかったです。曲もすごくおしゃれで大好きです。歌詞もコトブキ飛行隊の一人ひとりに当てはまるフレーズがあって、とても歌いやすかったです。

ZAQ 鈴代さんも他の皆さんもそうなんですけど、声優さんは、お芝居として歌うことが本当にお上手。「そこはもう少しキリエっぽく歌ってください」とオーダーすると、すぐに応えてもらえるんですよね。

――こちらの歌詞は、コトブキ飛行隊の皆さんの心情が描かれていますね。

ZAQ そうですね。6人の歌い分けも私が考えたんですけど、このキャラクターにはこう言わせたい、この子はこうは言わないだろうな、というのを振り分けていくのも楽しかった。「なんのために戦うのかな」は、やっぱりキリエに言わせたいな、とか。

鈴代 最初は、パート分けされていない状態で歌詞をいただいたんですけど、「多分ここはキリエが歌いそうだな」というところが、まさに私のパートになっていて、さすがZAQさんだなって思いました。「ソラノネ」のお話にもありましたけど、“なんのために戦うのかな”というフレーズは、作品を通じてのテーマにも繋がっているんです。そこをキリエとして歌えたのは、とても印象的ですね。“この空は誰にも奪えない”という歌詞も、コトブキ飛行隊が空を駆け巡っている感じがすごくあって、大好きです。

――カップリングナンバーの「太陽が呼んだ虹」もZAQさんの曲をコトブキ飛行隊6人で歌われましたね。

ZAQ 「太陽が呼んだ虹」は、「翼を持つ者たち」のアンサーソングになっていて。「翼を持つ者たち」がコトブキ飛行隊が空を飛ぶ理由を描いているとすると、「太陽が呼んだ虹」は6人の仲間の絆の大切さがテーマ。内容はかなり6人がキャッキャしてて(笑)、曲調もジャクソン5風。ダンサブルな曲にのせて、6人がセリフを言っていたり、キリエが好物のパンケーキを食べてたりします(笑)。

鈴代 はい、劇中にもパンケーキ、たくさん出てくるんですよ(笑)。「太陽が呼んだ虹」はアップテンポで、よりお芝居感覚で歌えました。本編の会話劇シーンに流れていてもいいなと思える曲ですね。

――楽しそう! コトブキ飛行隊が歌う初めてのシングルですから、タイプの違う2曲でアニメとキャラクターの魅力を存分に感じていただきたいですね。さらに、3月にリリース予定のキャラクターソングミニアルバム『コトブキ飛行隊、一曲入魂!』もZAQさんの作詞・作曲・プロデュースなんですよね?

ZAQ はい。いま、コトブキ6人のソロ曲を制作中です。

――キリエの曲は、どんな感じになりそうですか?

鈴代 私も気になります!

ZAQ キリエは主人公ですし、他のキャラクターにはないヒーロー感を出していきたいですね。そこに、鈴代さんらしさも盛り込めたら最高ですね。

鈴代 キリエは王道の主人公だと私も感じているので、楽しみです。「翼を持つ者たち」のレコーディングでは、歌の未熟さを痛感したので、次のレコーディングはもっと頑張ります。

ZAQ 私の中のイメージは、「荒野のコトブキ飛行隊のキリエがソロデビュー!」みたいな感じ。主人公らしい強いメロディーで、勝負したいと思います。そちらもお楽しみに!

Interview & Text By 阿部美香
Photography by 山本マオ


●リリース情報
TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』オープニング主題歌
「ソラノネ」ZAQ
1月23日発売

品番:LACM-14829
価格:¥1,200+税

<CD>
1.ソラノネ(TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』オープニング主題歌)
作詞・作曲・編曲:ZAQ
2.カゼノワ(ゲーム『荒野のコトブキ飛行隊 大空のテイクオフガールズ!』主題歌)
作詞・作曲・編曲:ZAQ
3.ソラノネ(Off Vocal)
4.カゼノワ(Off Vocal)

TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』エンディング主題歌
「翼を持つ者たち」コトブキ飛行隊[キリエ(CV.鈴代紗弓)、エンマ(CV.幸村恵理)、ケイト(CV.仲谷明香)、レオナ(CV.瀬戸麻沙美)、ザラ(CV.山村 響)、チカ(CV.富田美憂)]
1月30日発売

品番:LACM-14830
価格:¥1,200+税

<CD>
1.翼を持つ者たち
2.太陽が呼んだ虹
3.翼を持つ者たち(off vocal)
4.太陽が呼んだ虹 (off vocal)

●作品情報
TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』

TOKYO MX、テレビ愛知、MBS、BS11にて放送中

【STAFF】
監督・音響監督:水島努
シリーズ構成:横手美智子
メインキャラクター原案:左
キャラクターデザイン:菅井翔
ミリタリー監修:二宮茂幸
ミリタリー設定:中野哲也、菊地秀行、時浜次郎
設定協力:白土晴一
副監督:神戸洋行
3D監督:江川久志
テクニカルディレクター:水橋啓太
アセットディレクター:小薬健太郎
総作画監督:中村統子
作画監督:上野翔太
美術監督:小倉一男
美術設定:須江信人、志和史織、小川さくら
色彩設計:山上愛子
撮影監督:篠崎亨
編集:吉武将人
音楽:浜口史郎
音響効果:小山恭正
サウンドミキサー:山口貴之
制作:デジタル・フロンティア
アニメーション制作:GEMBA
作画制作:ワオワールド

【CAST】
キリエ:鈴代紗弓
エンマ:幸村恵理
ケイト:仲谷明香
レオナ:瀬戸麻沙美
ザラ:山村響
チカ:富田美憂
マダム・ルゥルゥ:矢島晶子
サネアツ:藤原啓治
アンナ:吉岡美咲
マリア:岡咲美保
アディ:島袋美由利
ベティ:古賀葵
シンディ:川井田夏海
ナツオ:大久保瑠美
ジョニー:上田燿司
リリコ:東山奈央

©荒野のコトブキ飛行隊製作委員会

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