みかこしのバースデーライブ“ハピこし!ライブ2018 ~30 years, 30 songs~”レポート!

毎年恒例となっている声優アーティスト・小松未可子のバースデーライブ“ハピこし!ライブ”が、今年は“ハピこし!ライブ2018 ~30 years, 30 songs~”と題して11月25日(日)に、東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにて開催。今年の11月11日に30歳の誕生日を迎えたばかりの彼女が、その年齢にちなんで30曲(+α)もの持ち曲を次々と披露していき、思わぬサプライズゲストも含め、最初から最後までお祝いムードいっぱいの公演となった。

広々とした会場に満杯のファンが、みかこしのバースデーを祝うべく駆け付けたこの日のライブ。小松自身が読み上げる注意事項のアナウンスに続き、会場が暗転してスクリーンにまず映し出されたのは、なんと赤ん坊時代の小松の写真。そして「Restart signal」のオルゴールアレンジをBGMに、小松とは同学年で仲良しの声優・三上枝織のナレーションが入り、「これは一人の少女がアーティストとして、30歳を迎えるまでの、30編に渡る音楽の物語」と紹介。続いてスクリーンに一本目のローソクが表示され、赤をベースにした華やかな柄物のワンピースを着た小松が登場し、2ndアルバム『e’tuis』の1曲目を飾っていたナンバー「Sky message」でライブがスタートする。

近年のライブではそれほど歌われることのない楽曲からの始まりに、この後の展開への期待が高まるなか、小松は台に乗って「ようこそ!小松未可子です!」と自己紹介し、2曲目「Happy taleはランチの後で」へと移行。この日のライブはバンドマスターの黒須克彦(ベース)を筆頭に、新井弘毅(ギター)、鈴木浩之(ドラムス)、今井隼(キーボード)というお馴染みの面々が演奏でバックアップ。スカ調のテンポの良いアレンジで観客をノセていく。

そこから『e’tuis』より今度は「Re:ing」が披露され、ライブでは久々の楽曲なんてことは関係なく、オーディエンスは合いの手もバッチリ入れて大合唱。その1番までを歌ったかと思ったら、ここから急に演奏が怒涛のメドレーに突入。まずは2ndシングルより「夏至の果実」が歌われ、サビ部分のみながら懐かしい楽曲を聴くことができてファンも満面の笑みだ。さらに1stアルバム『THEE Futures』のリード曲だった「Baby DayZ」では会場が一体となって〈シンデレラ!〉と声を合わせ、〈夢を夢で終わらせない〉という気持ちを明るい歌声でポップに表現する。

そして「Sail away」「虹の約束」とシングル曲の山場の部分を立て続けてドラマティックに盛り上げると、かつてライブ会場限定シングルとして発表された「波乗りグライダー」を披露。小松はタオルを片手にブンブンと振り回し、会場も一気に沸騰する。さらにサイトウ“JxJx”ジュン(YOUR SONG IS GOOD)提供曲として知られるコール&レスポンス入りの鉄板曲「MAGIC RADIO」でガッツリと盛り上げると、「純真エチュード」のサビ部分を挟み、近年のライブでは欠かせないアップチューン「HEARTRAIL」へ。Bメロで巻き起こるクラップから開放的なサビでの熱狂、〈誰より高く 高く 高く 高く、ね!〉でのジャンプと、オーディエンスの反応は凄まじいもので、小松もラストにガッツポーズを見せて「ありがとうございます!」と会心の笑みを漏らす。

ここまで11曲を歌ったところでステージが暗転し、スクリーンには再び映像が。公園を散策する小松と、どこかで聞き覚えのあるBGM、突然始まった密着ドキュメンタリー(?)「小松大陸」に会場は大爆笑。もちろんナレーションを務めるのはみかしーこと三上枝織だ。小松は「11歳の頃はどんな女の子でしたか?」との質問に、男子と混ざってバスケやドッヂボールをやるほど活発だったと説明。当時の写真にはムスッとした顔のものが多く、その頃から中学一年生までは自分の一人称が「ボク」だったという発言に会場が沸く。歌は好きだったものの人前で歌うことは苦手で、その時期は自宅で弟に向けて倉木麻衣や安室奈美恵の曲を歌って披露していたという。それを見ていた母親がオーディションを受けることを薦め、彼女の夢は本格的に動き出すことに――という真面目なナレーションから一転、「それにしても11歳の頃のみかこしはかわいかったんだろうなあ、会いたかったなあ」と急にデレるみかしー。さすがとしか言いようがない。

そしてライブは「Maybe the next waltz」で再開。バンドも楽器をアコースティックに持ち替え、通常よりもゆったりとしたテンポのアレンジに、小松も優雅さを増した歌声をしっとりと聴かせる。続く「エメラルドの丘を越えて」もアコギを軸にした柔らかなサウンドに仕立てられ、小松自身が作詞/作曲したナンバーが新しい形で生まれ変わる。

エメラルド色の照明と観客のクラップも加わって、何ともあたたかな気持ちになる。さらに「ちょっと懐かしい曲をメドレーでお届けします」(小松)と語って、まずは「おすしのうた」をさわりの部分だけ披露。続いてシングル曲「Latimer road」の冒頭のフレーズがピアノで弾かれると客席からは歓声が。照明が暗い青色に変わり、「終わらないメロディーを歌いだしました。」では澄んでいるのに深みも感じさせる素晴らしい歌声で観衆を魅了。そこから流れるように始まった「Piña colada & Caipirinha」ではスウィンギーな演奏に乗せて大人なステージを展開……と思ったら一気に駆け抜けて「Romantic noise」のスキャット部分に移行し、お客さんとコール&レスポンスを楽しむ。

ここで一旦メドレーを締め括り、今度は「M/MASTER」をフルサイズで歌唱。シャッフル系のお洒落なアレンジの楽曲を立て続けに披露し、自身の成長していく姿を表現した形だ。

再びステージが暗転し、「小松大陸」の映像が再開。小松は学生時代に住んでいたという戸越銀座をぶらぶらと散歩。母親と行った思い出のある中華料理屋、よくヒトカラを楽しんでたというカラオケボックスなどを紹介していく。彼女は15歳の時にオーディションに受かってグループ活動を開始、17歳で地元の三重から上京。だが、19歳でその歩みを一度止めることになる。「その頃はどんな日々だった?」という質問に、「ある意味路頭に迷っていた」と答えつつ、地元に戻る気はなかったとのことだ。そして周りの友達の後押しもあって事務所のオーディションを受け、声優の道に進むことになる。

締めは「大学生のみかこし見たかったなー。私と出会うまであと2年、待っててね、みかこし!」というみかしーのラブコール。やはりブレない。

そして照明が星屑のようにきらめくなか、小松は初期のシングル曲「冷たい部屋、一人」を歌い始める。ピュアな美声が神秘的な光景を描き出し、切なくもロマンチックなひと時を提供すると、次いで壮大なシンセを導入に「群青サバイバル」へ。小松も先ほどの哀切的な表情から一変、激しいロックサウンドに乗せてエモーショナルな歌声を叩きつける。

その21曲目が終わった直後、突然みかしーのナレーションがカットイン。「21歳になったこの年、彼女は運命の出会いを果たす。そう、この私、三上枝織との出会いだった」との言葉に客席はバカ受け。「二人は出会った瞬間に意気投合。お互いを親友と認め合い、以来、全てを共にする仲となり……」(三上)、「えっ、そうかな?」(小松)という齟齬がさらに笑いを誘う。さらにここで「みかこしー!来ちゃったー!」と三上本人が登場。小松の誕生日を直接お祝いする。

二人が出会ったのは21歳の時、文化放送のラジオ番組「A&G NEXT GENERATION Lady Go!!」で共にパーソナリティーを担当していたことがきっかけだ。ということで、ここで同番組のパーソナリティー5人で結成していた声優ユニット、.lady.(ドットレディー)の楽曲「Open Tuning」を歌うことに。あまりのサプライズに歓喜の叫びが飛び交うなか、二人は懐かしのタイトルコールを行ってパフォーマンスをスタート。彼女たちが揃ってこの楽曲を歌うのは、2015年10月に行われた卒業イベント以来のこと。右に左にと指を指すかわいらしい振り付けも当時のままで、ラストは背中合わせでポージングして決め。「私の人生を振り返るのにあたって外せない」(小松)という「Lady Go!!」楽曲の3年ぶりとなる披露に、ファンは大歓喜だった。

そんなスペシャルゲストの登場を経て、ライブはいよいよ終盤戦。流麗なピアノのフレーズが会場の空気を塗り替え、23曲目「また、はじまりの地図」、そして24曲目「だから返事はいらない」へ。新鮮な気持ちで日々を楽しむ気持ちが爽やかに歌い上げられるこの2曲が、ここに置かれた意味は大きいはずだ。

ここで再度「小松大陸」が上映され、小松は移動の車中で自身の歌手活動について語り始める。自身が主演を務めた作品『モーレツ宇宙海賊』(2012年)のオーディションで、小松が歌っている映像を観たプロデューサーに声をかけられ、アーティストデビューすることになったのだという。元々は倉木麻衣に憧れて歌手をめざしたという彼女が、子供の頃に思い描いていたものとは違う形に遠回りしながらも掴んだ夢。自身のポリシーである「愛、運、縁、恩」の積み重ねによって今の自分になれたことへの感謝を口にする。

感動的な締め括りに続き、25曲目に歌われたのは彼女のデビュー曲「Black Holy」。イントロから大きな歓声が巻き起こったのはもちろん、徐々に熱を高めていくドラマティックな楽曲によって、オーディエンスにも大きな熱狂の渦が形成されていく。歌詞の最後のフレーズ〈聖なるカオスの果てに 拡がる未来へ 自分のままで かまわないと知った〉は、回り道の果てに自分の歌を獲得した彼女自身の心情に重ね合わせられるのではないだろうか。そこから間髪入れずに歌われたのが、最新アルバム『Personal Terminal』の1曲目に置かれていた「Restart signal」というのも感慨深い。例え別れがあったとしても、その先には出会いがあり、人は前を向いて歩く。その諦めない気持ちこそが、彼女を今このステージに立たせているのだ。

そしてライブはfhánaが編曲で関わった「My sky Red sky」へ。赤いライトが明滅して劇的な景色を生むなか、towanaのコーラス音源と掛け合うようにエモーショナルな歌声を高みへと押し上げていく小松。台に乗って「東京! 恵比寿! ハピこしライブ!」と煽った彼女は、カオティック極まりない「おねがいフューチャー」の早口歌唱でオーディエンスのボルテージをさらに一段階引き上げ、そこから休みなくスピーディーな「Catch me if you JAZZ」を畳みかけていく。飛び跳ねまくってライブを楽しむ観客にとどめの一撃とばかりに投入された30曲目、本編ラストのナンバーはもちろん小松の誕生日(11月11日)にちなんで制作された「エンジェルナンバー」。小松の「最後はみんなで歌いましょう!」との呼びかけに盛大なクラップや大合唱が巻き起こり、新井と黒須が向き合ってワイルドに演奏するなどバンドメンバーも白熱。最後は小松の「みんなの大きな声を聞かせて!」の声に合わせて会場中が「ハッピーバースデー!」と彼女の誕生日を祝して、終わりを迎えた。

「みかこし」コールに応えて、肩の開いたアレンジTシャツ姿に着替えた小松がステージに再登壇。去年に兄が結婚したのに続き、今年はいとこが結婚したことを報告したり、三上とカラオケに行った時は必ず「冷たい部屋、一人」をリクエストされるので「(みかしーは)意外と闇を抱えてるのかも(笑)」などといった近況を報告していると、三上がバンドの演奏する「ハッピーバースデートゥーユー」の演奏と共に登場。今回のライブのロゴとマスコットの〈みかねこ〉をあしらったケーキが運ばれて、あらためて小松の誕生日が祝われる。

30歳の抱負として「みかこしは〈市〉から〈県〉になることを誓います!」と「みかこし」ならぬ「みかこけん」宣言を行った後は、次回のライブとして2019年3月31日に東京・EX THEATER ROPPONGIで自主企画ツーマンライブ“Humming Maps vol.3”を開催することを告知。対バン相手はラジオ番組「エブリスタ・マンガボックス presents 豊永・小松・三上の真夜中のラジオ文芸部」で共演中の豊永利行ということで、本公演ならではの試みにも期待できそうだ。さらにライブ翌日の深夜0時より新曲「友情ZABOOOON!!」を配信限定シングルとしてリリースすることを伝えた彼女は、ここでその新曲をライブ初披露することに。TVアニメ『爆釣バーハンター』のEDテーマとしてオンエア中の同曲は、リズミカルな譜割りが特徴の軽快なアップチューンで、フルサイズの公開はこれが初だったものの、観客も身体を揺らせて陽気に盛り上がっていた。

続いてバンドメンバーの紹介と共にソロ回しが始まり、各プレイヤーがその腕前を発揮すると、ここで2人目のスペシャルゲスト、Q-MHzのメンバーとして小松の音楽活動を支えるUNISON SQUARE GARDENの田淵智也が、ベースを持って突如乱入。ステージ袖から文字通り飛び出してきた彼を交えて、ラストはQ-MHzの全面プロデュース体制になってから最初のシングル曲「Imagine day, Imagine life!」を歌唱する。ただでさえ激しいアクションで演奏する新井に、同じく演奏時の激しさには定評のある田淵も加わって、ステージ上は賑やか極まりない状態に。そしてラストは全員でジャンプして大団円。懐かしのナンバーからレア曲、新曲までが披露され、彼女のこれまでの歴史を辿ると同時に〈まだ見てない夢〉の楽しさを予感させる公演になったのではないだろうか。

Text By 北野 創(リスアニ!)

“ハピこし!ライブ2018 ~30 years, 30 songs~”
11月25日(日)東京・恵比寿ザ・ガーデンホール
<セットリスト>
01. Sky message
02. Happy taleはランチの後で
03. Re:ing
04. 夏至の果実
05. Baby DayZ
06. Sail away
07. 虹の約束
08. 波乗りグライダー
09. MAGIC RADIO
10. 純真エチュード
11. HEARTRAIL
12. Maybe the next waltz
13. エメラルドの丘を越えて
14. おすしのうた
15. Latimer road
16. 終わらないメロディーを歌いだしました。
17. Piña colada & Caipirinha
18. Romantic noise
19. M/MASTER
20. 冷たい部屋、一人
21. 群青サバイバル
22. Open Tuning
23. また、はじまりの地図
24. だから返事はいらない
25. Black Holy
26. Restart signal
27. My sky Red sky
28. おねがいフューチャー
29. Catch me if you JAZZ
30. エンジェルナンバー
EN1. 友情ZABOOOON!!
EN2. Imagine day, Imagine life


●リリース情報
小松未可子「友情ZABOOOON!!」
作詞・作曲:Q-MHz 編曲:Q-MHz, eba

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●ライブ情報
小松未可子自主企画ツーマンライブ「Humming Maps vol.3」
2019年3月31日(日)東京都 EX THEATER ROPPONGI
OPEN 16:00 / START 17:00
出演:小松未可子 / 豊永利行
チケット:アリーナ立見 / スタンド指定席ともに¥6,480(税込、ドリンク代別、未就学児入場不可)
チケット一般発売:2019年2月9日(土)

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