INTERVIEW
2018.11.28
――このミニアルバムのリード曲である「Lost Small World ~檻の向こうに~」はどのように作られていきましたか?
atsuko 制作は公開の順番に行なっていったのですが、Episode 1の「BLAZE」で、「やっぱり戦いの曲だよね」となり、Episode 2「天狼の如く」はデジタルと和の融合を行ない、「上書き世界」でスクナの寂しさ孤独さをしっとりと歌い上げた後で、ネタが尽き気味になりまして(笑)。Episode 4は中学生の男子ふたりの心が通い合っていくお話で、そこで『K』は初期衝動であるということに立ち戻ったわけです。で、音楽の衝動は何かと言えばまずアコースティックギターをジャカジャカ鳴らすことだと、KATSUさんにとりあえず何か弾いてもらいながら、ラララと歌メロを載せていきました。
KATSU これ、最初はEmというコードで、なぜEmかと言うとこれはアコースティックギターを持った人が最初に覚えるいちばん簡単なコードなんです。
atsuko 中学生ふたりの幼い衝動の歌にはしているけれども、妙にブルージーで大人っぽい風味があるという(笑)。でも、私たちの音楽的な初期衝動という意味では正解なんです。
――レコーディングの方の歌はいかがでしたか?
atsuko 最初はもっと一生懸命に歌っていたのですが、もっと無になって、感情を載せず淡々とした歌い方の方がいいんじゃないかとKATSUさんに言われてサビに行くまでは淡々と。どちらかと言うと世間に対して何も期待してない感じ。若い頃にありがちな、「どうせ世界なんて」とか、「誰も俺なんて見てないよ」みたいな、諦めを思い出せたらと。サビからはドラマチックなメロディ展開になっていくので、そこからは「もしかして信じていいのかな」とちょっとだけ人にすがるように心を開いていったり、ぐらぐら揺れている感情を載せて歌っていった感じですね。
――そのときはご自身でも若い頃の無力感を思い出すことはありましたか?
atsuko 結構入りましたね。Episode4「 Lost Small World~檻の向こうに~」は、先に2.5次元ミュージカルの世界を観てたので、より世界観が浮かびました。「自転車に乗ってどっか行こうぜ」みたいな時期ってあったよね、とか。この曲はキャラや映像が見える感じの中で歌いました。でも、アニメの世界って中学生高校生のキャラクターの世界が多くて、どんどん歳の差は離れていくので、より意識していかないといけないなと思います(笑)。だから、若い人の気持ちを書き続けていられる作家さんは本当にすごいなと尊敬しますね。
――Episode 5の「BURN」は独特な構成も印象的なロックでした。
atsuko Episode 5は《赤のクラン》のお話で、悲しい歌だからまずは言葉で説明するよりかっこいいギターのリフからだと思って、今度は「エレキを持ってきて!」と言いました。
KATSU これはTVの第1期に繋がるお話ですから、多々良の結末も決まっているわけで、お客さんもそれを念頭に観るわけです。最初はバラードという案もあったのですが、それだとあまりにそのママすぎるなと思ってエレキに。これは悲しみではなく怒りだということで、そのフレーズに対してatsukoが「BURN」と連呼したり、つねに叫んでいる。そのループ方法が今回の間奏もすべてそのキーで出てくるわけです。最初はしつこさを感じると思うのですが、そのしつこさが《赤のクラン》の人たちの怒りに聞こえたらいいなと。
atsuko 歌詞も説明臭くしたくなかったんです。なるべく説明を省いて、「BURN」とか「BLOOD」といった印象を重視した歌を作り上げて行きたかったんです。以前、梶浦由記さんがインタビューで、ご自身が歌の中で使う謎の言葉について、「自分の中で意味を想像してほしいと」とか「その人の受け取り方によって悲しさやうれしさ神々しさといったものが聴こえてくるはず」とおっしゃっていて、それが素敵だなと思いました。この曲も歌詞を載せてはいますが、叫んでる感じの中に、受け取る方が怒りや悲しみ感じてもらえたらと思いました。
KATSU この曲のAメロ後の間奏のZIPPOの音が、TVシリーズ第1話冒頭の赤のクランの周防尊のZIPPOの音なんです。これはデモの段階からアニメの音響監督さんに相談して、いただきました。Episode 5の最後のシーンはTVシリーズ第1話に繋がっているのですが、これは曲制作をしているときにはなかったので、だったら主題歌の方で付けておこうと思って作ったのですが、後からやっぱり付くようになって、みんな考えることは一緒だなと(笑)。
――さて、ここまで長く『K』という作品に携わってこられましたが、現在のangelaにとって『K』という作品の位置づけをどのように捉えていますか?
KATSU 原作者集団のGoRAさんと制作のGoHandsさんがangelaを巻き込んでくれたという感じがすごく強いですね。いろんな作品で歌わせてもらっていますが、『K』ほど中に入っている作品は珍しいですね。「この曲はここでこういう使い方をしてほしい」とか「セリフで1回曲を止めて」とか、僕も希望を言うだけ言うんですよ。それで向こうが良いと思ったら本当にそれをやってくれるチームなんです。普通、主題歌歌手がそこまで口を出したりはしないと思うんですよ。
atsuko 主題歌も1曲で良いと言われているのに2曲出したり(笑)。
KATSU 作品の中にangelaの看板があったりして、その意味で愛してるし、愛されているなと。何と言うんだろう。ただ曲だけで関わってる感じではない部分が『K』は特に大きくて、今まで「To be with U!」(第1期13話EDテーマ)とか「KIZUNA」(第2期13話EDテーマ)とか、『K』を終わらせるために作っていた曲なのですが、そういう意味ではこのEpisode 6の「Nameless Song」は何か次に繋がったらいいなという思いがあります。「KIZUNA」で終わってから、『K SEVEN STORIES』が始動すると聞いたときの自分の中での喜びとファンの人の喜びって、きっと同じだったと思うんです。これをきっかけに『K』は終わらせてはダメなアニメなんだなと思いました。
atsuko 『K』に関わってきた6年の中で、小松未可子さんや堀江由衣さんに提供した曲も含め20曲以上あります。当初はそんなに作ることになるとは思ってなかったので、それがびっくりではあるのですが、わりとどの曲も自分たちのバンド感をフィーチャーして作れるものが多かったなという感じです。この前、鈴木信吾監督と対談させてもらう機会があったのですが、さっきみたいに演出面まで口出してくる私たちのことをホントはどう思ってるんだろうと思っていたんです(笑)。そうしたら、ちょっと自分で恥ずかしくなるくらいangelaのことが好きでいてくれて、私たちの曲を聴きながらコンテを書いてくれたり、「そのときすごく気分が乗ってくる」とおっしゃってくれました。私たちも『K』に関わることで自分たちのバンド感であったり初期衝動をフィーチャーした曲作りができるようになりました。その結果、ライブで最後に盛り上がって締めるような主要曲が何曲も生まれたんです。5月の15周年記念ライブの最後は「KIZUNA」でした。そういう意味で大事な局面で歌える曲を作れたのは『K』に出会えたからだなと思います。
KATSU atsukoがこの前言っていたのですが、『K』に向けて作った曲をライブに入れ過ぎてしまうと感動が過ぎると(笑)。そういうものを与えてもらった上に、やっとこの先の希望が残る終わり方ができたんじゃないかなって、今は思っています。
Interview & Text By 日詰明嘉
●リリース情報
劇場アニメーション「K SEVEN STORIES」エンディング主題歌集ミニアルバム
『K SEVEN SONGS』

11月28日発売
品番:KIZC-464
価格:¥2,800+税
<CD>
1.BLAZE(Episode1「R:B ~BLAZE~」ED主題歌)
2.天狼の如く(Episode2「SIDE:BLUE ~天狼の如く~」ED主題歌)
3.上書き世界(Episode3「SIDE:GREEN ~上書き世界~」ED主題歌)
4.Lost Small World ~檻の向こうに~(Episode4「Lost Small World ~檻の向こうに~」ED主題歌)
5.BURN(Episode5「メモリー・オブ・レッド ~BURN~」ED主題歌)
6.Nameless Song(Episode6「Circle Vision ~Nameless Song~」ED主題歌)
<Blu-ray>
・OP主題歌『SURVIVE!』MV、CM SPOT
※初回製造分のみジャケットイラストステッカー封入
※「K SEVEN STORIES」描き下ろしイラストジャケット仕様
(C)GoRA・GoHands/k-7project
SHARE