進化しつづけるアーティスト福山 潤。新曲「Tightrope」にこめた「勇気」から日本語へのノイローゼぎみの(?)こだわり、怒涛の音楽ヒストリーまですべてを語る!

楽曲コンセプトから作詞までを自ら担当した2ndシングル「Tightrope」を発表する福山潤。
1stシングルのラップテイストや、イベント「ひとりのBOCCHI SHOW」でのオモシロのイメージを覆す、クールでエッジの聴いた新曲にこめられた思いや今後の展望とは――?その独特の話術に隠されたこだわりや本音、本邦初公開のヘビロテ曲まで、じっくり伺った。

――今回、コンセプトから作詞までを手がけられましたが、いかがでしたか?

福山 潤 これまでアーティスト活動でいえばかなりトリッキーなことをやらせてもらいましたが、やっぱり、歌をうたうという本線もやってきたい。だからあえてド直球なかっこいいテイストを目指しました。しかし、作詞は難しいですね。自分の中に作りたいもの、込めたい思いはあるんです。でも、自分の過去や経験の中で感じたことってたくさんあって、どんどん分量がふくらんでいってしまう。それを一個一個削って完成させるのが作詞。リーディングなら、自分で書いた文章の道筋は100%わかるんですが、作詞は言葉を減らした分、聴いた人に解釈が委ねられる。そこが面白かったです。

――「Tightrope」には「綱渡り」、転じて「危ない橋を渡る」という意味もありますね。

福山 そうです。最初にタイトルを決めたあと、まずやりたいと思ったのが、1コーラス目と2コーラス目で視点立ち位置が逆になるというもの。綱渡りを危険と考え、進む勇気と、進まない勇気。その両方を書きたかった。そして、サビは共通にしようと。

――“勇気の先しか無いのさ 喝采は”。印象的なサビです。

福山 僕、言葉にしてもWミーニングだったり、角度によって見え方が違うというのが根本的に好きなんですよ。だから勇気にしても、決断することが大切で、そのなかで「やめる」というのもひとつの決断だと思ったんです。勇気を出して綱を渡って、失敗するのも結果。渡らずに現状維持で終わるのも、自分の意志であれば立派な結果なんです。ほとんどの人の悩みや相談って、答えが出てるケースって多いじゃないですか。本当は、やりたいことって決まってるはず。でも、そこに踏みこむ勇気がないだけ。やめることも進むことも、決断っていう勇気だよ、それがないとなにもできないよと伝えたかったんです。

――勇気。誰もが知っている言葉ですが、とても新鮮に聞こえます。

福山 僕が「勇気」って言葉を使うようになったのは、人の相談に乗ったことがきっかけかもしれません。悩んでいる人って「自信がない」って言うんですよね。僕、これが嫌いで。昔は「そんなことないよ。自信持ちなよ」って言うしかなかったんですが、ずっと気持ち悪くて。自信って何だろうとずっと考えていました。でもこういう仕事を始めて、失敗も含めて自分で一つひとつ決断をするようになって、なんとなく自信のようなものがついてきて……そこでひとつ答えを得たんです。「君は自信がないんじゃなくて勇気がないだけじゃない?君が自信といってるのは、勇気の範疇だよ」って。

――すとんと腑に落ちますね。

福山 自信は、誰の中にもあるんですよ。でも多くの人は、やったことがないことに対して自信がないと言う。勇気を出してないだけなのにみんな勇気がないことを「自信がない」と言っちゃうから、「自信がある」と言う人を卑下する風潮になっちゃうんですよね。僕はその風潮も嫌いで。そういう思いをなんとか言葉にできないかな、と考えて辿りついたのがこの“勇気の先にしかないのさ”なんです。

――勇気のフレーズはもちろん、全体的に力強さ、攻める姿勢を感じましたが、ご自身の独立など、環境の変化も影響が?

福山 たしかに変化があった時期に作ってはいるんですが、それより作詞を共作した松井(洋平)さんと話しながら、「自分の本質を探った」ほうが近い気がしますね。僕は傍目にはちょっとテンション高めのおっちゃんに見えると思うんですが(笑)、根本はネガティブで、コミカルというよりシニカルなんですよね。皮肉もブラックジョークも風刺も好きで、パブリックイメージと逆。かといってそれを重く受け止めてもいなくて、ネガがあるからこそ表では明るくいたいな、と思っていたりするんですけどね。そういうわけで、歌詞にも明るくいこうよとか、君が好きだよとか、とても書けない(笑)。そんな僕が紡げる言葉を模索し試行錯誤した感じです。「唾棄」とか「蛮勇」とか「渇望」とかも、大仰な言葉かもしれないけど、僕にとってはわりと普段使いなんですよね。

――取材のたびに、福山さんの知性と語彙力に驚かされます。普段からインプットされているのでしょうね。

福山 それは大きな誤解です(笑)。僕、ほんとうにインプットしない人間なんです。インプット量が少ないので、数少ないインプットをちゃんとしたい派です。活字の本なんて、年2冊しか読みませんよ。

――ではその言葉へのこだわりは、どこから来るのでしょう?

福山 やっぱり読む仕事なので。「てにをは」ひとつとっても気になっちゃうんです。僕らが声にするのは口語なので、たとえば「俺はおまえが好きだ」というセリフに、そう言わないほうが伝わるだろうと考えちゃったりする(笑)。アフレコのとき、自分のセリフがないところでは、よく言葉を置き換えてみるということを試みています。あと、最近は倒置法も多すぎる。「いやあ、こないだ大変な目に合ったんだよ。そう、あいつのせいでね」みたいな。そこからどんな大変なことが起こるのかと思いきや、大したことなかったりするんですよね。いや、だったら倒置法にすんなよって、思わずつっこむ(笑)。そういう言葉の細部――正誤じゃなくて、自分にとっておさまりがいいあり方みたいのを、すごく考えますね。

――面白いですね。声優というお仕事の違う側面を見た気がしました。

福山 国語の詳しい方にこの話をしたら、「あなたも立派なノイローゼですね」って言われました(笑)。ほめ言葉として受け取っています。

――音楽も相当お好きなようにお見受けするのですが、いかがでしょう?

福山 もうバラバラですよ。聴くのは好きなんですけど、「このジャンルが好き」とかはなくて。プレイリストもめちゃくちゃです。たとえば学生時代にドハマリしたのが、ウルフルズと徳永英明とヘビメタって感じ。これだけで伝わるでしょ?(笑)。そこにジャズも入るっていう。今でもカサンドラ・ウィルソンさんが大好きです。男のように聴こえる女性ヴォーカリストで、メロウでカッコイイんです。メタルだと、昔はGargoyleとかカセットテープで借りたりして。他にも父親の影響で小さい頃によく聴いていた懐メロなどを探してダウンロードしています。

――まさに、音楽好きの行為ですね。福山さんのいろんな音楽、聴いてみたいです。

福山 これ、初めて言いますけど……長渕 剛さんのアルバム『BLACK TRAIN』をヘビロテしてるんですが、その中に「嘆きのコーヒーサイフォン」っていう曲があって、めっちゃ面白いんですよ! これ歌なのかな?ただの愚痴じゃないかなっていう……ああいうのを、自分発信で楽しく歌えるようになりたいなっていう願望はありますね。『BLACK TRAIN』、最初から最後までものすごくいい曲ばかりなので聴いてみてください。「嘆きのコーヒーサイフォン」はほんとにどうかしてます。最高です(笑)。

――初挑戦を経て、進化するアーティスト福山 潤を今後も楽しみにしています。

福山 今回は、フリートークもコントも入っていないCDという、どうかしてる仕様でございます(笑)。ただ普通に本線を、という僕にしては珍しい作品ですが、今までとは違った僕を楽しんでいただけると思いますので、2曲あますところなく楽しんでいただければ幸いです。でもまた、なにか笑えるものやりたいですね!

Interview & Text By 高野麻衣


●リリース情報
福山潤 2ndシングル
「Tightrope」
11月21日発売

【初回限定盤(CD+DVD)】

品番:PCCG-01736
価格:¥1,800+税

<DVD>
「Tightrope」ミュージックビデオ

【通常盤(CD)】

品番:PCCG-70438
価格:¥1,500+税

【きゃにめ限定盤(CD+DVD)】

品番:SCCG-00030
価格:¥1,800+税

<DVD>
「Tightrope」ミュージックビデオ+メイキングショット

※各盤ともジャケット(ブックレット)は変わります。

<CD>※全形態共通
M1.Tightrope
作詞:福山潤、松井洋平 作編曲:竹田祐介(Elements Garden)
M2.Breaking Dawn
作詞:松井洋平 作編曲:神田ジョン
M3.Tightrope(Inst.)
M4.Breaking Dawn(Inst.)

●イベント情報
福山潤2ndシングル「Tightrope」リリースイベント
2019年1月26日(土)
【1回目:きゃにめ購入者対象】 開場:12:00 開演:13:00
【2回目:アニメイト購入者対象】開場:14:30 開演:15:30
会場:全電通労働会館 多目的ホール(〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3丁目6)
出演:福山潤
内容:未定

※「きゃにめ」もしくは「アニメイト」にてCD購入した方が抽選応募対象となります。
※購入店舗によりイベント時間が異なりますのでご注意ください。
※イベントの日時・内容は変更になる場合がございます。
※応募方法等の詳細は福山潤アーティスト公式サイト(http://fukuyamajun-music.com/)をご確認ください。

[イベントに関するお問い合わせ]
ポニーキャニオン03-5521-8000 平日11:00~17:00

<福山潤 プロフィール>
11月26日生、大阪府出身。アニメグランプリ2006最優秀男性声優賞、初代声優アワード主演男優賞、第30,31回アニメグランプリ声優部門2年連続グランプリ、東京国際アニメフェア2009声優賞、第3回声優アワード海外ファン賞では史上初の賞を設立。

主な出演作:PERSONA5 the Animation(雨宮蓮)、イナズマイレブン アレスの天秤(野坂悠馬)、ブラッククローバー(フィンラル・ルーラケイス)、暗殺教室(殺せんせー)、おそ松さん(松野一松)、七つの大罪(キング)、中二病でも恋がしたい!(富樫勇太)、青の祓魔師(奥村雪男)、弱虫ペダル(岸神小鞠)、K(八田美咲) 、コードギアス反逆のルルーシュ(ルルーシュ)、THE FLASH/フラッシュ(バリー・アレン/フラッシュ)、その他多数。

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