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INTERVIEW

2018.11.13

待望の1stアルバムが完成!石原夏織『Sunny Spot』リリースインタビュー

声優の石原夏織が待望のファーストアルバム『Sunny Spot』を11月14日にリリースする。ダンサブルな楽曲「Singularity Point」を提供した俊龍をはじめ、松井五郎、畑 亜貴、中山真斗、kz(livetune)、佐藤純一(fhána)、岩橋星実(Elements Garden)ら豪華作家陣が楽曲を書き下ろし、多彩な曲調が並ぶ中で石原が1曲ごとに様々な表情を見せてくれる本作。「陽のあたる場所」というタイトルにふさわしく、彼女の太陽のような眩しさに元気をもらえる1枚となっている。作品に込めた想いについて、本人に話を聞いた。

――今作『Sunny Spot』は石原さんにとって初のアルバムですが、自分的にはどんな作品にしようと思ったのですか?

石原夏織 デビューのときからひとつのジャンルに捉われずいろんな曲が歌える人になりたいという思いがあったので、今回のアルバムでは一曲一曲まったく違うテイストの曲を歌わせていただいたんです。収録曲も今までのシングルと同じようにほぼコンペ形式で選んでいったんですけど、例えば「Singularity Point」なら「かっこいい曲」、「CREATION×CREATION」なら「楽しい曲」というふうに、曲ごとにテーマがありまして、それに沿って選抜していただいた楽曲の中から、私とスタッフの皆さんで歌う曲を決めていきました。

――『Sunny Spot』というタイトルは、夏生まれの石原さんらしいものですね。

石原 このタイトルは、このアルバムが聴いてくださる方にとって「陽のあたる場所」になったらいいな、という思いを込めて付けたんです。

――自分自身がアーティストとして「陽のあたる場所」になりたい、という思いはありますか?

石原 自分で言うのは恥ずかしいですけど、なれたらいいなとは思ってます(笑)。例えばライブは来てくれたみんなにとって穏やかで楽しい場所、もし悩み事を抱えてたとしても「頑張れるかも」と前を向いてもらえる場所になればいいなと思ってるので。自分自身もそういう人でありたいし、このアルバム自体もそういう作品になったらいいなと思いますね。

――ただ、アルバムのCD+BD盤、CD+DVD盤のジャケットやアーティスト写真は、『Sunny Spot』というタイトルから連想される晴れ模様とは逆に、石原さんが傘を持って佇むビジュアルになってますね。

石原 そうなんです。やっぱり今回はファーストアルバムで自分自身が一歩を踏み出すタイミングなので、「これから陽のあたる場所を探しにいく」という意味を込めて作っていただいています。なので、このビジュアルを最初に公開したとき、「もっと太陽感のあるものになると思った」という反応をたくさんいただいたんですけど、実はそういう意味が込められていて。逆に通常盤のジャケットは黄色い洋服を着て太陽のイメージを表しました。

――特にCD+BD盤の石原さんはこちらを真っ直ぐに見つめていて、すごく印象的な表情をされています。

石原 そうですね、何かを物語っているかのような感じで。今はまだ自分が完成してるわけではないし、これから「陽のあたる場所」を探している段階なので、少し不安はありながらも希望を持って進んでいく、という気持ちがこの表情には表れてると思うんです。撮影のときは笑顔とかいろんなパターンの表情を撮ってみたんですけど、きっとこれからの可能性を感じさせるという意味で、この表情が選ばれたんだと思います。

――では、アルバムの収録曲について順番に聞いていきます。まず1曲目「Sunny You」は、幕開けにふさわしいキラキラしたアップチューンですね。

石原 この曲はアニメ『怪獣娘(黒)~ウルトラ怪獣擬人化計画~』のEDテーマなので、その作品のテーマともリンクするんですけど、自分の憧れの対象だったり好意を寄せている人を太陽に見立てて、「憧れの人みたいになりたい」とか「一緒にいたい」という気持ちを歌っている曲なんです。

――たしかに歌詞は“太陽のようなその背中 追いかけたいから”から始まって、誰かに対する憧れの気持ちが溢れていますね。石原さんにもそういう「憧れの存在」はいますか?

石原 はい。特に歌の活動では明確に憧れの人がいるんですけど、海外のアーティストの方なので、別に知り合いでもなんでもないし、ただ単純に私が好きなだけで(笑)。その方は歌も上手だし、特に人柄や精神面、ファンに対する考え方や優しいところに憧れがあって。別にその人になろうとしてるわけではないんですけど、その方の「いいな」と思ったところを吸収して、「自分ならどんな行動を起こそうかな?」というふうに考えさせてくれる、太陽のように素敵な存在なんです。

――2曲目の「CREATION×CREATION」は先ほど「楽しい曲」というテーマで作られたとおっしゃってましたが、2019年配信予定のゲームアプリ『絵師神の絆』の主題歌でもありますね。

石原 この曲は、「一人ひとりがお互いに楽しいと思うことを作っていけば、最終的にすごく楽しい世界ができるんじゃないか?」ということを歌っていて、そのテーマが作品ともリンクするようになってるんです。歌詞は畑 亜貴さんに書いていただいたんですけど、“もっともっと”とか“笑って笑って”みたいに同じ言葉が続くところが多くて、レコーディングのときもこのアルバムの収録曲の中ではいちばんテンションを上げて、楽しいことを思い出しながら歌いました。朝一で録ったので最初はなかなか掴めなかったんですけど(笑)。

――アップテンポなピアノロックなので抜群にライブ映えしそうですし、歌詞の乗せ方も畑さんらしいリズミカルなもので、歌うだけで楽しそうですね。

石原 そうなんですよ。「さすが畑さんだな」と思わせてくれる歌詞で、字面だけで見るとすごい文字数なので「大丈夫かな?」と思うんですけど、歌ってみるとすごくしっくりきて、口が楽しい感じになるんですよ。歌えば歌うほど面白いし、ライブで成長していきそうな曲です。

――ちなみに石原さんは『絵師神の絆』に、火の鳥役の声優としても関わられているとのことで。このゲームは「手塚治虫作品キャラクター美少女化プロジェクト」として話題を呼んでいますね。

石原 まさか手塚治虫さんの作品に関わる日がくるなんて思ってもみなかったので、うれしかったですし、身がきゅっと引き締まる思いでした。でも、実は世代的に手塚先生の作品をあまり読んだことがなかったんですよ。今回こうしてご一緒させていただくことになったので、せっかくだから『火の鳥』から読んでいこうと思ってます。いろんな方に「『火の鳥』なんだ!すごいね」と言っていただくので(笑)。

――続く3曲目「虹のソルフェージュ」は優雅かつ華やかなアップチューンで、ドラマティックなエモさがあります。

石原 この曲はfhánaの佐藤(純一)さんに作っていただきまして、今までの自分にはなかったジャンルの曲が歌えたなと思っています。歌詞には、自分に自信がない人や幸せになってはいけないと考えてる人に向けて、「この先には虹のように何色にもなれる未来があるよ」というメッセージが込められてるので、私自身も歌いながら励まされる部分があって。歌の活動もそうですけど、「自分もこれから何にでもなれるな」ということを教えてもらった曲です。

――今までの石原さんにはないテイストの曲なので、歌うのも苦労されたのでは?

石原 家で練習しているときに今までの歌い方では若干違和感を感じたままレコーディングに臨んだんですけど、現場で佐藤さんが「この曲は感情の赴くままナチュラルに歌ったほうがいいです」と、すごくていねいにアドバイスをしてくださったんです。なので、いつものように声をちゃんと出すというよりも、薄く出しながらも歌詞に寄り添った感じで録ってみたんですね。それで実際にアレンジもすべて完成したものを聴いたら、「この曲はこういうものだったんだ」ということが全部一直線に繋がったので「面白い!」と思って。やっぱり歌は無限大だなと思いましたし、貴重な経験でした。

――そして4曲目の「Orange Note」も石原さんにとっては新鮮な感じのエレクトロポップなナンバーで。

石原 しかもアルバムで唯一の恋心を歌った曲なので、すべてにおいて新鮮でした。今までは聴いてくれる人の背中を押したり、自分を奮い立たせるタイプの曲が多かったので、甘酸っぱい恋心の曲も歌いたかったジャンルではあるんですけど、どう向き合えばいいのかわからず、ちょっと苦戦しました。演技のお仕事でも、恋心に全力で立ち向かって想いを伝えるタイプの子を演じることが多かったので、今までなかった「かわいらしく悩んでる自分」を自分なりに表現しました(笑)。でもそれだけでは「Orange Note」のリズム感に乗ることができなくて、編曲のkz(livetune)さんにアクセントとか語尾の雰囲気を一個一個検証していただきながら作っていきました。私は新しいことに出会ったときに楽しいと思うタイプなんですけど、この曲は「難しいけどめっちゃ楽しい!」と思いながら歌いましたね。

――ここまでの4曲は明るい感じが続きましたが、次の「empathy」からは切なめなパートに突入します。この曲はどんなテーマで作られたのですか?

石原 これは今は離れ離れになってる友人や仲間に向けて、「心の中ではずっと想っているし大切だよ」という気持ちをテーマに作られた曲なんです。だからちょっと切ない感じなんですけど、今でも大切だしお互いに想い合っているので実は明るい曲なんですよ。でも、そういう状況の中で離れている距離感の寂しさがメロディやアレンジに組み込まれていたり、歌詞も“誰も来ないのに 広いテーブル 時だけが流れる”とか、過去を振り返るような情景が思い浮かぶものになっています。

――この曲は聴いた瞬間に泣けるなあと思ったんですよね。

石原 私もうわーと思って。実際に今でも大切に想ってる友達に昔ほど会えなかったりする情景とか、過去に戻ることはできなくてそれを懐かしんでる感じとか、ばっちりハマらなくてもいろんなベクトルに当てはまる内容だと思うんですよ。大人になっていくにつれて距離がどんどん離れていく感じが、良くも悪くも切なくて、レコーディングのときは泣いたら録れなくなると思って泣かないように頑張りました(笑)。

――泣きそうではあったんですね(笑)。

石原 泣きそうでした。特にサビが大変で、Aメロ・Bメロでは情景が描かれていて、そこからサビで一気に盛り上がってメロディもすごく切なさが増してくるので、「泣いちゃいかん!」と思いながら歌って。でもライブでは泣いてしまいそうだなと思ったりして、こらえながら歌ってましたね。

――作詞が松井五郎さんというところもポイントで。

石原 ウフフ(笑)。やっぱり松井さんの歌詞は情景がものすごく浮かんできて、ダイレクトに伝わってくる感じがしますね。

――それとこの曲のアレンジには高瀬一矢さんが関わっていますが、石原さんと高瀬さんの繋がりと言えば、I’ve soundが劇伴を手掛けたアニメ『あの夏で待ってる』を思い出しまして。

石原 私も『あの夏で待ってる』はデビューしたばかりの頃に出演した作品なのですごく思い出に残ってて、曲も含めて今でも忘れられない作品なんですよ。なので、もしいつか機会があったら高瀬さんの曲を歌えたらいいなあ、という思いを話したりとかしてて。でも、私ひとりの意見なので叶うのは難しいと思ってたんですけど、今回のタイミングで実現することができました。こうして自分にとって大事な曲でご一緒できるのはすごくうれしいですし、『あの夏で待ってる』に出会った思い出や思い入れも全部この中に込められている気がして。新曲ではありますけど、私の過去を全部ひっくるめた曲でもあるし、私個人としては今までの歴史が詰められたと思います

――自分もこの曲の中にそういう意図を感じて、泣けたんですよね。

石原 過去の出来事が遠のいていく切なさというのは『あの夏で待ってる』にも当てはまることで、あのときはすごく楽しかったんですけど、もう戻ることはできないじゃないですか。そういうことも含めて、「でも今でも想ってるよ」という気持ちを歌ってますね。

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