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INTERVIEW

2018.11.10

ついに最終章が公開!アニメーション映画『GODZILLA 星を喰う者』マイナ役上田麗奈インタビュー

ついに最終章が公開!アニメーション映画『GODZILLA 星を喰う者』マイナ役上田麗奈インタビュー

ゴジラ映画初のアニメーション作品となった『GODZILLA』(通称:アニゴジ)シリーズ3部作の最終章『GODZILLA 星を喰う者』が、11月9日に全国の劇場で公開される。

劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』で知られる静野孔文と、『シドニアの騎士 第九惑星戦役』『亜人』の瀬下寛之が監督を務め、『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS サイコパス』の虚淵 玄がストーリー原案・脚本を担当した本シリーズ。最新鋭の3DCG技術を駆使した迫力ある映像と、名匠・服部隆之による壮大極まりない音楽、そしてこれまでのゴジラ史を踏まえつつ新たなゴジラ観を提示するコンセプチュアルな内容が大きな話題を呼んでいる。

約2万年後の地球でゴジラと遭遇する第一章『GODZILLA 怪獣惑星』、ゴジラとメカゴジラの戦いを描いた第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』に続く今回の作品では、地球の覇者となった<ゴジラ・アース>と高次元怪獣<ギドラ>が激突。主人公のハルオや異星人「エクシフ」の軍属神官であるメトフィエスの対立を軸に、物語は佳境へと向かう。今回は2万年後の地球に住む民族「フツア」の巫女のひとり、マイナ役を演じる声優の上田麗奈にインタビュー。本作の魅力についてたっぷりと語ってもらった。

――まずは、上田さんが演じられているマイナというキャラクターについてお聞かせください。

上田麗奈 マイナは小澤亜李ちゃんが演じるミアナとの双子の姉妹で、ふたりは「フツア」という種族の卵を守る巫女なんです。ミアナは活発で好奇心旺盛なんですが、お姉さんのマイナはその真逆で、冷静かつ慎重で警戒心が強くて、見た目の年齢感よりも少し大人っぽい、どこか達観したイメージのある女の子なんですね。彼女は第二章から登場したのですが、(主人公の)ハルオに対して少しずつ特別な想いを抱くようになって、ミアナとは少し違う形でハルオに心を開いていくキャラクターになっています。

――第三章に突入して、マイナ自身にはどのような変化がありましたか?

上田 第二章のときは、ハルオのことが気になる存在ではあったんですけど、あまりその気持ちを表には出していなかったんです。それが第三章では行動で表すようになって、テレパシーでなく言葉を発して会話をするようにもなるので、ハルオや他の人に何かを伝えたり踏み込んでいくシーンも増えたんです。「フツア」はずっと守りに徹してきた種族なんですけど、ハルオたちの行動に自分から首を突っ込んでいくところが、第二章とは違うところだと思います。

――おっしゃるとおりマイナは第三章で自分の気持ちを表現する機会が増えていますが、元々は感情をあまり表に出さないタイプのキャラクターです。そういう意味でキャラの心情を掴むのは難しかったのでは?

上田 たしかにマイナは言葉が拙い部分もありますし、感情を表に出すタイプではないですけど、それはただ不器用なだけで、一生懸命な気持ちはあると思うんです。その根本の気持ちは大事にしつつ、実際の言葉には熱量をあまり乗せないバランスを取るのは難しかったですけど、気持ちとしては一本の芯が通ってるので、演じるにあたってそこまで苦労することはなかったです。

――最終章ではハルオとメトフィエスが対立することになって、メトフィエスは神官として自身の信じる「救い」を求めて行動します。上田さんは今回の物語に触れてどのように感じられましたか?

上田 率直に言うと、私はこの作品で描かれてるのは本当に身近な問題だと感じたんですね。もちろんゴジラやギドラは登場しますけど、やはり作品的には人間ドラマというところがありますし、もちろん私も人間ですから(笑)、その立場として考えるべき問題があるというか。ハルオの立場で考えるとハルオの気持ちもわかるし、私はメトフィエスの気持ちもわかるなと思いましたし、第二章に出てきたビルサルドの皆さんの気持ちもわかりますし。それぞれに思い描く理想の未来や今があって、それは自分たちと関係のない話ではないと思うんですね。

――もし、上田さんが最終章の冒頭の状況、ゴジラの圧倒的な力に誰もが絶望している場面に置かれたなら、メトフィエスの唱える「救い」に気持ちを傾けてしまうかもしれない?

上田 そうですね。私だったら、もう抗えないし挑めない気持ちになってしまうと思うんですよ。ハルオみたいに最後まで挑み続ける強さやエネルギーはないだろうし、きっと挑むほうが苦しいと思います。それにやっぱり怖いですしね。なのでメトフィエス側に行くか、もしくはフツア側に行って種族として後を継いでいくほうを選ぶか、そのどちらかだと思います。それぞれに守りたいものがあって、みんな幸せになりたいだけのはずなんですけどね。見てるものが今なのか未来なのかで違ってくるところもあると思いますし。

――今回の最終章全体を通して、上田さんのなかで印象に残ってるシーンは?

上田 わ~、これは(ネタバレするから)言えないやつだ!(笑)……あっ、でも、そういうシーンのひとつとして、モスラが一瞬出てくるところは、登場の仕方がすごく印象的でした。監督が「人間のそれぞれの目的や思いの象徴としてゴジラやギドラやモスラが出てくる」とおっしゃってたんですが、モスラの登場シーンにはそれが感じられて、マイナ的にも上田的にもうれしかったんです。登場の仕方にマイナとミアナの気持ちが表れてる気がするんですよね。

――「上田的にも」ということは、個人の感情としてもうれしかった?

上田 やっぱりマイナに感情移入しちゃうというか、どうしても贔屓目に見てしまうので。マイナには幸せになってほしいし、マイナのやることがすべてうまくいけばいいなと思うぐらい極端な愛着があるので、個人的にも(モスラの登場シーンは)良かったなあという気持ちはあります。

――アフレコで印象的なエピソードがあればお聞かせください。

上田 アフレコでは基本、ミアナ役の小澤亜李ちゃんと一緒に過ごすことを心がけていたんです。たぶんお互いが意識的にも無意識でもそうしていて、アフレコ現場の席も隣に座ったり、お昼ご飯も一緒に食べに行ったりして。亜李ちゃんとは「フツア」という部族が何を大事にしてるか、とか、ハルオに対してお互いの演じるキャラがどんな気持ちを抱いてるか、といったことを話したりしました。双子と言えどもミアナとは違う部分がたくさんあるし、そこは各々が自分で考える時間が多かったと思うんですけど、ふたりでユニゾンで話すことも多かったので、テンポ感とかブレスの物理的な技術面の話し合いもしましたね。

――上田さんとしてはマイナとミアナの違いをどのように受け止めていましたか?

上田 もともとの性格が違うので感じるところが違うことはわかってたんですけど、ハルオに対しての想いが違うものだったことは私にとって驚きだったんですよ。同じように過ごしてきたので、お互いハルオに対して同じ熱量の気持ちを持っていてもおかしくないと思ってたんですけどね。マイナは責任感が強いタイプだし、決して楽観的ではないので、そのぶんミアナよりも危なっかしい人に惹かれるのかもしれないですね。

――アフレコはキャストの皆さん一緒に行われたでしょうか?

上田 最初は一緒に収録したのですが、今回はプレスコだったので、本編を録り終えてからの追加録りも結構多くて、それらは個別で録ったんです。しかも追録のたびにシナリオが少しずつ変わっていって(笑)。ただ、骨組みの部分や大まかな流れは変わってなくて、そこに肉付けをしていく作業がどんどん進んでいってるなかで、それと並行して収録も行っていたので、最初に本編をまとめて録ったときに比べて台本上の構成も変わりましたし、すごくこだわりを感じました。

――瀬下寛之監督は役者さんの演技によってキャラクターを変えたという話もされてましたが。

上田 私もそうお聞きしました。マイナもかなり変えたというお話でしたし、他の役者さんのお芝居も、絵や演出に影響を与えてたんだろうなといは感じました。たしかにプレスコをしてる際に、みなさんの演技を聞いてると、どれぐらいの距離感や熱量でしゃべってるかが絵に想像できる感覚があったんです。それにインスピレーションを受けて作りを変えられたというお話も納得できるなあと思うぐらいでした。

――実際に完成版の映画をご覧になっていかがでしたか?

上田 プレスコしたときと同じ熱量が絵から伝わってきましたし、プレスコとは思えないぐらい違和感がなくて。やっぱり事前に絵がない状態で演技をしていたぶん、自分の想像と違う部分も出てくるのかなと思ってたんですけど、収録のときに生で感じた熱量のままの人間ドラマがフィルムにもちゃんと表われていたので、すごくうれしかったですし、感動しました。そのなかでも自分の想像を超えてきたのは、ゴジラ、ギドラ、モスラの圧倒的な迫力ですね。そういう大きい力のぶつかり合いのシーンは、絵からも音からも想像していた以上のクオリティーが感じられたのでビックリしました。プレスコのときにはギドラがこんなにキレイだなんて思ってなかったですし、ゴジラもすごくカッコいいんですよね。

――上田さんは怪獣がお好きなんですか?

上田 好きです!(笑)。その怪獣が生まれた理由とかテーマを掘り下げていくと、作品がより面白くなるだろうなと思いますし、それを知ることで愛着もすごく生まれると思うんです。悪としての怪獣というよりも、生き物としてそこに存在してるのがいいですし、人間と同じように怪獣側も愛せると思うんですよ。

――たしかに、ゴジラも別に悪いことをするために生まれたわけじゃないですからね。

上田 そうなんですよね。それぞれの目的とか意味があって行動してるはずなので、うまいこと共存できるのがいちばんだと思うんですけどねー。

――そんな怪獣好きの上田さんが、もし今作に登場した、ゴジラ、ギドラ、モスラの3体の中から一体だけ自分のものにすることができるとしたら、どれを選びますか?

上田 わーっ!悩む~!本当はモスラって答えたいんですけど、やっぱりどれも魅力があるんですよねー。ギドラもキラキラしててキレイだなあと思いますし(笑)。でも、今回のゴジラは樹木みたいでいいなあと思って。私は森とか木とか草原が好きなので、癒されそうだなあって思うんですよね。なので癒しを取ってゴジラにします!ゴジラの上に乗ったら森っぽくて癒されそうですよね?

――ずいぶんスケールの大きな森ですけどね(笑)。

上田 そうですね(笑)。

――今回で最終章になりますが、最後まで演じ終わった今、改めて上田さんが思う『GODZILLA』の魅力についてお聞かせください。

上田 やっぱり人間の話だということがいちばんの魅力だと思いますね。ゴジラがドーンと出てきて、アクションがいっぱいあるというだけではなくて、全三章をかけてすごく精神的なお話を描いているので、そこをフィーチャーすることによって、「人間として今を守ることを選んできたハルオがどこに行きつくのか?」とか、いろんなことを考えることができると思うんです。そこは見どころだと思いますし、個人的にもいちばん観てほしいところですね。

――最後に、上田さんは以前に第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』のことをひと言で例えて「意外性」とおっしゃってましたが、今回の第三章はひと言で例えると何でしょうか?

上田 え~!悩みますね~、う~ん……私は今作を観終わった後に「これで終わりじゃないんだなあ」と思ったんですよね。ハルオ自身の決着はつきましたけど、それですべてが終わったわけではないと思いますし。なので「続く」を意味するような言葉があったらいいなあと思うんですけど……「継承」とか「継続」みたいな感じの……あっ!「可能性」かも!今回はハルオ視点の物語でしたけど、人間ドラマとしてまだまだ広がっていける部分があると思いますし、また別の視点から考えることもできると思うので、いろいろな「可能性」を感じさせる作品だと思います。

Interview&Text By 北野創
Photography By 小賀康子


●作品情報
『GODZILLA 星を喰う者』
2018年11月9日(金)全国公開

【スタッフ】
監督/静野孔文・瀬下寛之
ストーリー原案・脚本/虚淵玄(ニトロプラス)
キャラクターデザイン原案/コザキユースケ
音楽/服部隆之
副監督/吉平”Tady”直弘・安藤裕章
プロダクションデザイン/田中直哉・Ferdinando Patulli
CGキャラクターデザイン/森山佑樹
造形監督/片塰満則
美術監督/渋谷幸弘
色彩設計/野地弘納
音響監督/本山 哲

【キャスト】
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶 裕貴、小野大輔、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘、上田麗奈、小澤亜李、早見沙織、鈴村健一

主題歌:XAI「live and die」(TOHO animation RECORDS)
製作:東宝
制作:ポリゴン・ピクチュアズ
配給:東宝映像事業部

©2018 TOHO CO., LTD.

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