アーティスト活動25周年、これからも「潔く、カッコよく」“奥井雅美 25th ANNIVERSARY &「HAPPY END」発売記念ライブ~celebration~”レポート

奥井雅美のアーティストデビュー25周年とアルバムの発売を記念したライブ“奥井雅美 25th ANNIVERSARY &「HAPPY END」発売記念ライブ~celebration~”が、2018年10月21日(日)に東京・duo MUSIC EXCHANGEで行われた。新曲の他にも思い入れの強い懐かしい曲も数多く披露し、満員の観客を熱狂させた。

奥井雅美は1993年8月に「誰よりもずっと」でデビュー。今年でアーティストデビュー25周年を迎えた。女性アニソンシンガーのトップランナーとして走り続け、JAM Projectのメンバーとしても活躍しているのはご存じの通りだ。8月21日には25周年のアニバーサリーアルバム「HAPPY END」をリリース。今回のライブは前半ではアルバムの曲、後半では思い出深い曲を歌うという構成になっていた。

純白の衣装で登場した奥井は、まずアルバムの1曲目でもある「カーテンコール」を披露。大人の雰囲気が漂うロックで、25周年を迎えて等身大の自分に合った曲を歌っていこうという意図でこの楽曲を作ったという。最初の挨拶では今回のライブのタイトル“celebration”には“予祝”という意味が込められていると語り、「今日幸せな気持ちになって帰ったら、あら不思議、明日すごいことがあるかもしれない。そういう魔法をかけられる一日になったらいいなと思ってこういうタイトルにしました」と魔法のようなライブの始まりを告げた。奥井のライブではお友達(バンドメンバー)紹介を最初に行うということで、ギターの山崎淳、ベースのTABOKUN、キーボードの今井隼、ドラムの山内“masshoi”優、そしてもう一人のギター・IMAJO(サイキックラバー)の5人を紹介。デビューする前からの大先輩という山崎淳をはじめとして、いずれも長い付き合いのメンバーである。

「イノセントバブル」、「THE COUNTDOWN」と重厚な曲が続いた後、バラードの「アイヲシル」では圧倒的な歌唱力で聴かせた。「若い時は世の中へ反抗するような曲があったけど、幸せな曲がない」という彼女は、「『HAPPY END』ってタイトルにしたらだいたいの人が引退すると思ってたみたい(笑)。そうじゃなくて、ハッピーに終わる曲をたくさん作ろうと思ったんです。でも作ったら案外作れないの(笑)。人生、何かを乗り越えての幸せのほうが大きいかなというので、そういう曲になってしまった」とアルバムのコンセプトを説明していたが、この「アイヲシル」も苦しみを乗り越えて幸せを知るという甘いだけではない歌詞だった。なお、この曲は井上俊次(ロックバンド“レイジー”のメンバーでバンダイナムコアーツ副社長)が作曲している。

今回のアルバムはminamiやrinoといった関係の深いアーティストに曲を依頼しているのも特徴で、6曲目に歌った「天使の悪戯~happy ending~」は影山ヒロノブの次女である景山菜奈が作曲を担当している。「若いクリエイターをどんどん使っていきたいと思ったので、今回は影山さんのお嬢さんに。お父さんの曲は歌い飽きちゃってるんで(笑)」とこの曲ができた経緯を語っていた。ここからは「Prince&Princess」、「あの頃の僕と今の僕」としっとりとした曲が続く。

ここまでアルバム曲を歌ってきたが、その締めとして『牙狼-GARO-』の楽曲を3連発で披露。TVアニメ『牙狼-GARO- -VANISHING LINE-』EDテーマの「ソフィア」は哀愁を感じさせるバラードだ。JAM Project featuring 奥井雅美として歌っていた「PREDESTINATION」に続き、曲が熱すぎてアルバムの中では浮いてしまうためボーナストラックとして収録された「炎~闇の飛翔~HIKAGE」で燃え上がって前半を終えた。

後半戦の前に、会場のファンと少しおしゃべりすることに。オールスタンディングの観客に「後ろの方の人見えてる?」と何度も気遣う言葉をかけていた。「私のライブに初めて来た方いらっしゃいますか?」と問いかけると、手を挙げる観客がちらほら。25周年ともなるとベテランのファンも多い中、JAMがきっかけで来たという方、ラジオで知ったという方、なんとドイツからこのライブを観に来たという青年もいて、会場は拍手喝采だった。さらにマカオ、台湾、上海から来たファンもおり、いかに彼女の歌が世界的に聴かれているかがうかがえた。

さて、後半は25周年を振り返るような曲を歌っていくということで、まず最初は1999年の楽曲「kiss in the dark」。そして『スレイヤーズ』に関連する曲(だが本人は『スレイヤーズ』のラジオドラマの曲だということを忘れていたという)で「最高のGAMBLE」、トドメは林原めぐみの「Give a reason」(TVアニメ『スレイヤーズNEXT』OPテーマ)をカバーという90年代のアニメファンには涙ものの曲が続いた。会場もクラップやPPPHでなんとなく90年代っぽいノリに戻るところが不思議な感じだ。

ここでちょっとライブの進行が早いということで、MCの時間を長めにとることに。最近、愛猫を亡くしたばかりで落ち込んでいたという彼女だが、「ライブで歌っていると元気をもらうんだなと。特に古い曲を歌った時のみんなのうれしそうな顔(笑)。がんばって歌ってよかったという気持ちにさせていただいた」と、ファンや自分が書いた曲に支えられていることを実感したという。「JAM Projectのメンバーも大人になりましたので、身体のほうに気をつけながら……すごい丈夫そうな人間離れした集団に思われるところもあったりしますけど(笑)、それぞれ一生懸命に生きてはるんだと思います。これからも健康に気を付けて歌っていきたいと思うので、ちょっと気にかけてくれたらうれしいです」と控えめに今後の抱負を語った。

「恋しましょ ねばりましょ」ではサビを観客が合唱する熱い盛り上がり。そして最後は「女神になりたい~for a yours~」、「その時誰もが女神になる」と、「神様とか女神とかが大好き」という彼女が選んだ曲が歌われた。楽しそうな表情で観客を指差したり、奥のほうにいる人にも見えるようにステージの端から端まで移動する姿が印象的で、きっとファンはそんな彼女に元気をもらっているのだろう。

アンコールで最初に歌ったのは、アルバムに収録されていたカバー曲「ダンデライオン」。実は彼女はアニソンシンガーとしてデビューする前にコーラスの仕事をしていて、斉藤由貴、Wink、原田知世のバックコーラスを担当していた。その中でも一番お世話になったのが4年間ツアーに参加した松任谷由実で、後に同じくアニソンを歌うことになる高橋洋子とも一緒だったという。元々ファンであったこともあって松任谷由実の曲をカバーしたいとずっと思っていて、今回のアルバムのテーマに合っている「ダンデライオン」を歌うことになったという経緯が説明された。そして「みんなが会場を出たら幸せスイッチが入るように」という気持ちを込めて、優しく歌い上げた。その後、定番のライブ曲「そうだ、ぜったい。」、ファンと共にタオルを回して盛り上がる「Shuffle」でアンコールを締めくくった。

だが、25周年ライブはまだ終わらない。「もう一回」の声に応えて奥井が再登場。旧知のバンドメンバーたちと思い出話で盛り上がった。そして、最後に歌ったのは代表曲である「輪舞-revolution」。「なんで“潔く カッコよく”なんていう歌詞を書いたんかな?私って。それをテーマに掲げて生きてきて、そんな生き方はリスクがあるって思ったこともあるけれど、今日の時点でやっぱりそうやって生きていこうと思っています。これからも私なりの潔さと自分が思うカッコよさで、歌手として、人として生きていこうと思いますので、ぜひ応援よろしくお願いします!」と、歌詞を自分の人生に重ね合わせてメッセージを送った。最後の曲ではあるがこの日一番の熱さで、観客のコールも大音量で響く。ファンの声援に応えて魂を込めて歌う奥井雅美の姿は、どこまでも潔く、カッコよかった。

Text By 金子光晴
Photo By Miyakawa Reika

“奥井雅美 25th ANNIVERSARY &「HAPPY END」発売記念ライブ~celebration~”
2018年10月21日(日)東京・duo MUSIC EXCHANGE

<セットリスト>
M01.カーテンコール
M02.ジオラマの鳥
M03.イノセントバブル
M04.THE COUNTDOWN
M05.アイヲシル
M06.天使の悪戯~happy ending~
M07.Prince&Princess
M08.あの頃の僕と今の僕
M09.creation L
M10.ソフィア
M11.PREDESTINATION
M12.炎~闇の飛翔~HIKAGE
M13.kiss in the dark
M14.最高のGAMBLE
M15.Give a reason
M16.恋しましょ ねばりましょ
M17.乙女心無限
M18.「女神になりたい~for a yours~」
M19.その時誰もが女神になる

EN1.ダンデライオン
EN2.そうだ、ぜったい。
EN3.Shuffle

W.EN.輪舞-revolution

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