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INTERVIEW

2018.07.25

織田かおり初のベストアルバム『THE BEST -REPLAY-』リリース記念インタビュー

織田かおり初のベストアルバム『THE BEST -REPLAY-』リリース記念インタビュー

2013年にリリースした1stアルバム『PLACE』以降、「自分の場所」を増やしてきた織田かおり。それはソロ活動でありながら、クリエイターとの共同作業を繰り返していった5年半とも言える。今回のベストアルバム『REPLAY』は、彼女にとってのターニングポイントが詰まったアルバムとなっている。織田かおりがソロ活動のなかで得たものとは?

自分の「PLACE」を作ろうとした1stアルバム

――ベストアルバムがリリースとなりますが……。

織田かおり びっくりでしょ?(笑)。

――そんなことは(笑)。

織田 本当ですか?私は聞いたときにびっくりしましたよ。周りに、最近10周年を迎えるアーティストさんが多くて、ベストアルバムを出したり、ライブをしたり。でも、自分にとってそれは去年リリースした『Gift』だったんですよ。だから「ベストアルバム……?」みたいな感じがありました。そもそも、ベストアルバムなんて出せないと思ってましたから。

――(笑)。

織田 なので、自分にとってベストアルバムとは?を考えることからのスタートだったかもしれないです。

――織田さんの考えるベストアルバムとは?

織田 通常、シングルの表題曲をまとめるというやり方が多いと思いますが、自分の場合、それは難しいんですよね。シングルだと、ゲームのOPテーマが表題曲で、カップリングがEDテーマということがあって、しかも3曲目には別のゲームのOPテーマが入るとか。必ずしも表題曲が代表曲とは限らないんですよね。じゃあ自分の場合は何を集めるのがふさわしいかと考えたら、今までを振り返ってみて「そのときのベスト」と思える曲を集めた方が私らしいメッセージの詰まったアルバムになると思いました。乙女ゲームとの出会いの曲、アルバムを作ることになった転機の曲、ライブでみんなが盛り上がれる曲などですね……。

――織田かおりのソロ活動を語るうえで外せない曲ですね。

織田 そうです。だからベストアルバムといいながらも、通常のアルバムを作るような感覚もあったんです。制作中、いろいろと思い返すことも、「この曲への思い入れがこんなに強かったんだ」っていう発見もありました。なんとなく、先のことを考えながらベストアルバムを作っている感覚でした。

――つまり、一つひとつ、明確な理由の元に曲を選んでみた?

織田 はい。外した曲にも理由があります(笑)。

――収録曲を見ていると、まるで原点に還るように1stアルバムの曲で14曲を挟んでいますね。それでいて2ndアルバムのリード曲でオリジナルの「true colors」が入っていなくて。もちろんどのベストアルバムもそうではあるんですが、曲順からも織田さんには強い意図、意思があったように感じられるので、そこをお聞きしたいんですが。最初に入れると決めた曲はどれでしたか?

織田 「PLACE」です。しかも絶対最後の曲にすると決めていました。

――それはなぜ?

織田 大事な曲だから。

――(笑)。

織田 なぜ大事かって話ですよね(笑)。それは、私が1stアルバムを作ったとき、それこそベストアルバムを作るような気持ちだったからです。というのも、今もそうですが、織田かおりはソロ以外の活動があまりにも濃すぎるので、織田かおりの場所を作らなきゃいけないという葛藤と不安から生まれたのが「PLACE」という曲だったんですよね。だから当時、曲を歌いながらも「(歌詞のように)胸を張っていたいのに」という気持ちも入り混じっていましたし。でも、ライブを続けることでこの曲が超ポジティブソングに変わっていったんです。当時書いた言葉が今ではポジティブに受け取れるし、「この言葉を残しておいてよかった」って思えるようになりました。それは多かれ少なかれ、応援してくださる方に響いているだろうし、響いていてほしい。だから、シングルやアルバム表題曲にこだわらない選曲という基準で16曲を選ぶとき、「PLACE」を真っ先に選びました。そして、最後に置くことで「さあ、次のPLACEは?」という自分への問いかけにもなるし、「ついてきてくれる?」というみんなへの問いかけにもなれる終わり方ができると思ったんです。

――織田かおりのこの5年半をいちばん語れる、年月を感じさせる曲でもありますね。

織田 そうですね。こんな曲になるとは当時は思っていませんでした。そこから派生して、「true colors」、そして「Make it Real」につながり……。ある意味、出したアルバムの表題曲すべてがそういう気持ちなんですが、「PLACE」が始まりだったんですよね。

――その意味では、「PLACE」の延長線上にある曲は「PLACE」を入れることで外せた?

織田 そうなんですよ。「PLACE」がベストアルバムを作るうえでいちばん必要なキー曲だったんです。

――最後に置く曲を決めた次は?

織田 やっぱり「1曲目をどうする?」という感じですよね。となると「PLACE」の対になる「No sing, No life」。この2曲は言っていることやめざしてることはまったく一緒なんですが、内に問いかけるか、外に発信しているかみたいな、そんな違いがあるんです。

――「PLACE」は織田さんが作詞をし、「No sing, No life」はmaoさんの作詞でした。

織田 はい。自分では書けない、でも見せたい自分をmaoちゃんに書いてもらったんです。そうしたらすごいポジティブソングがあがってきて。「これは10年、20年、30年後もずっと変わらないテーマだな」と思えましたね。「No sing, No life」のsingをそれぞれのテーマに置き換えれば、きっと誰にでも当てはまるような、誰にでも重ねやすいメッセージが詰まった曲になると思うんです。だから、ベストアルバムの1曲目から、みんなに元気になってもらおうという気持ちもあって選びました。

――逆に、最後に収録が決まった曲は?

織田 最後まで入れたいと思っていて、泣く泣く落としたのが「君と愛になる」でした。「君と愛になる」は『AMNESIA CROWD』のEDテーマで、OPテーマの「暁のバタフライ」と対になる曲としてすごく人気のある曲です。ここ最近、アコースティックライブをやらせていただくなかで、ピアノやエレクトリックピアノで歌ってもいて。「今のベスト」という意味では入れたかったのですが、アコースティックアルバムにそのライブバージョンの「君と愛になる」が入っているので。逆に滑り込んだのは「サバンナの疾風」でした。

――「サバンナの疾風」は入れるには迷う曲ですよね。

織田 最後まで生き残ったって感じですかね。「サバンナの疾風」も「私」を比喩的に書いたものなので入れるかどうかはすごく迷ったんです。「No sing, No life」と「PLACE」で十分メッセージは伝えているので。ただ、今回のアルバムは作家の色が出た曲も多いので、なるけさんの代表曲として選びました。この曲がなかったら『Gift』は完成できなかっただろうな、と思うと。

――織田・なるけの集大成感がありますよね。

織田 そうなんですよ。「かおちゃんの為に好きに作っていいかな!」みたいな、なるけさんのワクワクが詰まっていて。そういうのは大事にしたかったですし、今一度「REPLAY」っていう意味でも入れました。

――脚光を浴びさせようと。「REPLAY」にはそういう意図があったんですか?

織田 この言葉にたどり着くのには、結構時間がかかったんですが、あらためて再生するとか、もう1回聴こうみたいな意味でつけています。10周年のアルバムで『Gift』を出したとき、次にどんなことをやっていこうかというワクワク感もあり。そのためのひと区切りが今回のベストアルバムなのかと考えたとき、一度立ち止まって今までの曲に耳を傾けてもらってもいいんじゃないかな?と思ったんです。なので、「REPLAY」がいちばんシンプルで伝わりやすいと腑に落ちたんです。

――もう一度聴いてもらいつつ、その先も考えつつ。

織田 そうなんです。例えば、ライブに来ている人は「PLACE」をライブ会場で定期的に聴いているかもしれませんが、1stアルバムを買ったっきり一度しか聴いていない人だって当然いると思うし。

――「REPLAY」を続けることでエンドレスにもなりますね。

織田 それも考えました。アルバムを作るとき、常に最後の曲が終わってから頭に戻るタイミングも実は結構気にしているんです(笑)。今までのアルバムでもそうしてきたのですが、今回の「PLACE」が終わったあとからの「No sing, No life」も楽しんでもらいたいです。

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