映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE -2人の英雄-』主題歌担当 菅田将暉インタビュー

8月3日に公開となる映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE -2人の英雄-』。人気アニメシリーズ『僕のヒーローアカデミア』初の映画化作品として話題が集まるなか、その劇場版主題歌「ロングホープ・フィリア」を菅田将暉が歌うことが発表された。自らジャンプっ子と語る菅田将暉が『ヒロアカ』の世界に向けてどんな想いを歌うのか。本人に直撃した。

――今回、劇場版『僕のヒーローアカデミア』(以下、『ヒロアカ』)の主題歌のお話が来たときにはどのようなご心境でしたか?

菅田将暉 びっくりしました。ジャンプっ子なんですよ、僕。『ヒロアカ』が登場する何年も前からジャンプも毎週買っていましたし、今も毎週定期購読しているので。もちろん『ヒロアカ』も連載開始からずっと読んでいました。やっぱり男の子にとってはいろんなものを知る場所なんですよね。そんななかでも、個人的にこの『ヒロアカ』に注目していたんです。好きな理由としては、久々にすごく王道な、まっすぐな作品で、週刊少年ジャンプの掲げる「友情、努力、勝利」の3つをちゃんと背負ったサクセスストーリー。僕は最初からなんでもできる主人公よりも、むしろ劣等生みたいなところからスタートする少年マンガにすごく惹かれます。『ヒロアカ』の主人公・デク(緑谷出久)はまさにそんな存在。そういう作品に、音楽で携われるんだなっていうのが驚きでした。

――そうなると、音楽で『ヒロアカ』のどこを抽出して、どういったところを歌おう、とご自身でもすごく考えられたのではないかと思います。それだけお好きな作品ですし。

菅田 僕がやる意義でいくと、「どこを抽出していくのか」というのはやっていきながら見つけられるものだとも思うんですが、ありがたいことに、表でいろんなことをやらせてもらっている身としては、今回の曲を作ってくださったamazarashiの秋田ひろむさんがおっしゃってくれた「デクという存在と今の菅田くんが重なる部分がある」という言葉がうれしくて。ちゃんとみんなが面白いと思えるものであったり、カッコいいと思えるものや楽しそうだなと思うものを提供できたらな、と思っているんです。それは別に“先頭を切っていく”ということでもなく、僕自身もやりながらいろんなことを知るので、それを伝えていけるような存在でいられたらいいなと。そういうヒーロー像は僕のやりたいことのひとつでもあって。そんななかでこれまでのTVシリーズの『ヒロアカ』の音楽はオープニング、エンディング含めて、様々な才能溢れる方が担ってこられている。今回の劇場版はオールマイトの若いときの物語が描かれることもあって、オールマイトからデクへ、繋いでいくこともひとつのテーマだと感じるんです。そこで新しいバトンを渡されて、何ができるかわからないけれど、とにかく“繋いでいく”ことが今の世の中、大事なのかな、とも思っていて。そういう部分ですかね、抽出したかったのは。あとは普段からお芝居という形で感情表現をやっているので、人肌の感覚、「人間ってすげぇだろ」っていう熱量みたいなものですかね。そういうところを出したいな、と思いました。

――たしかに『ヒロアカ』は人間の熱量を感じさせる作品なので、その菅田さんの姿勢は、秋田さんのおっしゃるように重なる部分でもあるんでしょうね。

菅田 そうだったらうれしいですね。

――今回、秋田さんにお願いした経緯というと?

菅田 いろんな経緯を経てだったんですが、過去、秋田さんが『ヒロアカ』のアニメ主題歌を担当されていたり、僕のアルバムでもご一緒させてもらっていたこともあって。

――アニメ『僕のヒーローアカデミア』に於いて、amazarashiの「空に歌えば」は非常に物語ともリンクした印象深いオープニング曲でした。菅田さんからの印象はいかがですか?

菅田 今回の僕の曲もそうなんですけど、なんかやっぱり言葉の強さと、ともすれば現代に於いてはクサくなりすぎるような、ちょっと引いちゃうような理想像とか夢物語のようなメッセージ、そういうものを秋田さんが描くとまっすぐ伝わるというか。そこは僕がamazarashiファンとして好きなところなんです。それは「空に歌えば」から感じました。それがしっかりあることは安心感でもありました。

――こうして届いた「ロングホープ・フィリア」について、最初に聴いたときにはどんなことを思われたのでしょうか。

菅田 難しい曲だなぁ、と思いました。やっぱり秋田節があるんですよ、めちゃくちゃ。幸いにも以前、アルバムでお世話になっていることもあったので、なんとなく秋田さんの作る曲に対して自分のなかでの耐性みたいなものはあったんですが、そのなかで多分、秋田さんも今回は僕が歌うというところで選んでくれた言葉やメロディがあるんだろうな、というのを歌いながらすごく感じて。だから、最初に聴いたときには「これは難しい曲だな」と……感情表現に行き届くまでにいっぱい関門がある曲だなと思ったんですけど、やってみるとそうでもなくて。まっすぐ歌えた気がしました。

――amazarashi節だけれども菅田さん節になる。コラボレーション感でしょうか。

菅田 うん。そうなんでしょうね。結果、みんなめざす方向は一緒だからだとも思いますね。「末永い希望」という、この曲のテーマみたいなものは。ただ歌うことで言うと、結構、歌っていても余白のある曲なんですね。ものすごく速いわけでもないから、合間合間に、言葉をかすれさせたりちょっと苦しそうにしたり、という部分もあったので、そこは秋田さんに向けて僕がどう演じるのか、という気持ちもありましたね。

――様々な方の楽曲を歌われている菅田さんだからこそ感じる、この曲のamazarashi節はどこにあるとお感じになりますか?

菅田 やっぱり言葉ですね。だって普段使わない言葉なのに、人に伝わるってすごいですよね。これは戯曲とかもそうなんですけど、今、常用として普段使う言葉ではないもののほうが、的確に状況を説明できるというのはすごくあるんですよね。特に人の気持ちとか行動原理みたいなものって言葉にするとちょっとヤボだったり、整理がつかなかったり、そういうちょっとしたニュアンスだったり雰囲気みたいなものが。多分、人間的な部分で、そういう部分の空間の作り方が特徴的というか。きっとこの歌詞を聴いていなくても、メロディからも、最初に転んだりつまずいたり世界がぐちゃぐちゃになっているところから這い上がっていくようなダイナミックさが感じられて。その辺こそがamazarashi節なんじゃないかと思います。

――その「ロングホープ・フィリア」はデクの歌というよりもオールマイトの歌というニュアンスが強いかとも思うのですが、歌っていて意識したのはどんなことですか?

菅田 意識したのは、はっきりと歌うことですね。言葉が大事だと僕は思ったので。普段、人の書いたセリフをしゃべることを生業にしているというのもあるんですが、一字一句、ていねいに歌う。こんなにもいろんなシーンが明確にある曲っていうのも意外と珍しくて、でもすべてに通っているのが「どうか末永い希望を」という願い。それさえ念頭に持って歌えば成立する、と思っていました。あと、テクニカルな面では「これは秋田さんからの試練だな」と思う部分が結構あったんですね。サビでちょっと裏声を使うとか。そんなのカラオケでもやったことがなかったので、「これはできるのかな」って不安もあったんですけど、やってみたらすごく気持ち良くて。これはまた一個、新しい歌の表現を秋田さんに拓いてもらったなと思いました。

――完成した今、この曲を改めて聴かれると、どんなことを感じられますか?

菅田 これはタイミングもすごくあるんですけど、たまたまラジオで初O.Aした日に関西で大きな地震があって。それも地元で。震災に関わらず決していいとは言えない、なんとかしなきゃいけない状況があって。そこで「ロングホープ」っていうところがすごくいいなと思っていて。瞬間、瞬間的には人間って希望を持ちやすいんです。そういうふうにできている。でも大人はしばらく経つと客観視して、現実を見てしまって「やっぱりこのままじゃダメな気がする」というように打ち砕かれる瞬間ってあると思うんです。でも、それでもどうか、末永いものを、というこの曲のテーマっていうのは、個人的にも、たとえ大阪と東京、世界のどこか、距離は決して近くはないけれどお互いがそう思っていれば勇気づけられるな、と思いましたね。

――そんな一曲をスクリーンで聴けるのが楽しみですね。

菅田 もう、普通に公開が楽しみです。オールマイトの若い姿とか、早く観たいですもん。やっぱり好きで読んでいたマンガが、映像で動き出すのって興奮しますよね。実は歌っているときにもうひとつ、ハキハキと明るい声で歌おう、というのも決めて歌っていたんですよ。キー的に高い部分が続いたりもするので、そうなると楽なところは落ち着いて歌ってしまいそうになるんですけど、それだとちょっと(落ち付きの部分が)オールマイト目線過ぎてしまう。僕が歌うからには両方の存在があるなと思うんです。押し付けだけではなく、かといって上を見るだけでもなく、一緒に、という感じはしたんです。だからこそ映画が楽しみです。

――そしてシングルのカップリングに収録の「ソフトビニールフィギア」。こちらは菅田さんの作詞作曲の一曲です。

菅田 やっぱり男の子って、ソフトビニールフィギアで遊んでいるときって、圧倒的に自分が正義だと思って遊んでいるんですよね。それがいつの日か、自分が正義だと100%言い切ることができなくなってくるので。いろいろと後ろめたいことも出てきたりするもんじゃないですか。でもソフトビニールフィギアで遊んでいるときって、すごく自由で、自分が正義で。この曲の物語としては、そんな幼少期を経て会社員になった主人公が、ソフトビニールフィギア展を見かけて足を踏み入れたときに「懐かしいなぁ」なんて思いながら、今は今で仕事のことや家族のこととか、いろんなことと変わらず戦っているのに、あの頃と違って自分が100%正義だと思えていないことに気づいて、今一度熱量を持って挑んでみようかなと思っている、というストーリーではあるんです。すごくよく言えば、ですけど(笑)。それは今回の「ロングホープ・フィリア」のカップリングということで同じようなテーマ性でやりたいなと思って作りました。だから「ロングホープ・フィリア」ありきで作った曲なので、タイトルの「ソフトビニールフィギア」も響きで決めたようなところもあります。「ロングホープ・フィリア」と「ソフトビニールフィギア」……秋田さん、怒らないかな(笑)。

――非常に楽しみな一枚になりました。では最後にリスアニ!WEBの読者へメッセージをお願いします。

菅田 原作マンガ、そしてジャンプ好きの皆さんにとっては待望の劇場版になると思いますし、そこに今回、amazarashiの秋田さんと共に参加させてもらって、個人的には自信を持って聴いてもらえるものになっているので、どうか映画が終わって、エンディングが流れ終わるまで席を立たないでいてくださることを願うばかりです。よろしくお願いします!

Interview&Text By えびさわなち


●リリース情報
映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE -2人の英雄-』主題歌
&TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』EDテーマ
「ロングホープ・フィリア」菅田将暉
8月1日CD発売
7月14日配信開始

【初回生産限定盤(CD+DVD)】

品番:ESCL-5090~5091
価格:¥1,900+税

【通常盤(CD)】

品番:ESCL-5092
価格:¥1,000+税

<CD>
1.ロングホープ・フィリア(映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE -2人の英雄-』主題歌)
2.ソフトビニールフィギア
3.ロングホープ・フィリア(Instrumental)

<DVD>
『菅田将暉 Premium 1st TOUR 2018』02.23 渋谷WWW X /Song Selection

【期間生産限定盤(CD)】

品番:ESCL-5093
価格:¥1,300+税
※書下ろしアニメジャケット

<CD>
1.ロングホープ・フィリア
2.ソフトビニールフィギア
3.ロングホープ・フィリア(TV Limited)(TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』新EDテーマ)
4.ロングホープ・フィリア(Instrumental)

●作品情報
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄(ヒーロー)~』
8月3日(金)全国東宝系ロードショー

【スタッフ】
原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:長崎健司
脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ

【キャスト】
山下大輝、三宅健太、岡本信彦、佐倉綾音、石川界人、梶裕貴 ほか

TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』
毎週土曜夕方5:30~ 読売テレビ・日本テレビ系全国29局ネット放送中
※一部地域を除く

©2018「僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE」製作委員会
©堀越耕平/集英社

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