「“Day”が“Way”になってここに辿り着いた!」涙と笑顔の “LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[eN]”@日本武道館2日目レポート

大ヒットとなった初のベストアルバム『LiSA BEST -Day-』&『LiSA BEST -Way-』を引っさげて開幕した“LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[eN]”は、2018年6月14日(木)、15日(金)の日本武道館2days公演からスタートした。LiSAがファンと紡いできた“eN”を辿った圧巻のステージは、デビューから7年間積み重ねてきた“Day”のすべてを“レガシー”に変え、未来へと延びる新たな“Way”を作り上げた。アリーナから2階スタンドまで、びっしりと埋め尽くされた13000人とともに今を綴った、感動的な武道館公演2日目の模様を振り返ろう。

LiSAはよく自分の音楽活動をファンと“遊ぶ”と言う。ライブはそんな彼女が最も楽しみにしている遊び場だ。武道館が遊び場となるのは、3年半ぶり3度目。だが今回は、ヒット曲が満載のベストアルバム『LiSA BEST -Day-』&『LiSA BEST -Way-』を掲げたツアーということもあり、いつものライブとは違う試みがあらゆるところに表れていた。360度を全方位ファンに開放し、センターが客席の中までグッとせり出したステージセットは、いつも以上にオーディエンスとLiSAの距離を縮める。客席に着いて思わず口をついて出た言葉は「うわっ、ステージが近い!」。あまたのアーティストが“ライブハウス武道館”と呼んできたロックの聖地が、より濃厚な空間に変身することを、この[eN]は、始まる前から予感させる。

18時半の開演時間、客電が落ち真っ暗になった客席が、一斉にペンライトのピンクの光で埋め尽くされる。センターステージが延びたバンドエリアの頭上、全方向に向けて設置された3台のビジョンに映画のオープニングを思わせる映像が映し出され、スクリーンに登場したのは、“LiSAッ子”にはおなじみのピンクのカエルのキャラクター「モモコ」だ。だが、今日のモモコは、カエルに成長する前のおたまじゃくし姿。忙しく飛び回っている“彼女”に出会わなくちゃならない、と言う“おたまモモコ”は、「[eN]を辿っていけばいい」という天の声に導かれ、旅立つことを決意する。「[eN]は魔法の言葉」「彼女そのものが[eN]」というセリフが、アジアツアーのサブタイトルになった、様々な言葉に置き換えられる「えん」の言葉に込められたメッセージを伝えてくれる。もちろん、モモコと天の声が語る“彼女”とは、LiSAのことに違いない。ちなみに、この映像はすべて英語の日本語字幕付き。LiSAとモモコの物語が武道館から日本を飛び出し、アジアの各会場でも語られるのかと思うだけで、じんわりと胸が熱くなる。

映像が終わると、ピンクの光にぐるりと囲まれたセンターステージにLiSAの姿が浮かび上がる。アカペラで歌われる「Believe in myself」の冒頭。客席のどよめきを断ち切るように、「行くよ、武道館―!」のLiSAの元気な声がきらめくピアノのアルペジオを呼び寄せ、大歓声の中で「Rising Hope」がスタートする。

大会場のワンマンでは毎回、趣向を凝らした“ストーリー”をライブに散りばめているLiSA。「リスアニ!」Vol .33のインタビュー中に彼女は、『LiSA BEST -Day-』&『LiSA BEST -Way-』の選曲は、何度も繰り返して聴きたくなる曲順にこだわったと言っていた。『LiSA BEST -Day-』のラスト曲「Believe in myself」から、同アルバムの1曲目「Rising Hope」へと繋げたこのオープニングも、LiSAがこのツアーのために想いを込めて“ねりねり”した、特別な物語の始まりを予感させていた。

ラストでミステリアスで物憂げな表情も見せてくれた「ASH」まで、アッパーチューンを駆け抜けたオープニングブロック。有無を言わせず熱を上げていくLiSAは、1日目も相当ヒートアップしていたと噂に聞いていた。だが、疲れは微塵も感じさせない。客席のあらゆるところから、彼女の名前がステージに降り注ぐ。その声を受け止めながら、LiSAは眩しそうに客席をぐるりと見渡して「武道館2日間も貸し切りですよ! 今朝はテレビにも出してもらって。それは昨日がすごすぎたからだと思います。今日はそれ以上に、すごいの見せてもらおうかな!」と煽る。「ベストアルバムを持って、武道館、帰ってきました。みんな準備はいいね? ちゃんと着いてきてよ! 愛と思いやりを大切に、ここにいるみーんなで最高に楽しんで行きましょう、ピース!!」。

おなじみのライブコールを全員で叫んだ後は、ポップゾーンに突入だ。「Rally Go Round」では歌詞やコールをアメコミ調の映像で観せ、8ビットゲーム風映像が楽しい「エレクトリリカル」では、LiSAがバンドエリアをぐるりと回りながら、ステージバック席まで走ってピアニカを吹きまくる。何度も「最高じゃん!」「めっちゃいい!」とファンと声を合わせて走り回る軽やかな足取りは、武道館という名のアミューズメントパークを、朝から晩まで遊び尽くそうとする、休日の子どものようだ。

ポップなゾーンをキュートでフレッシュに駆け抜けたLiSAは、ここから空気を一変し、ミステリアスな大人の女へと姿を変える。青いライトが強烈に差し込み、ビジョンに現れたのはおどろおどろしい「怨(えん)」の文字。ほぼ真っ暗なステージを真っ赤なライトが包み、天井の漆黒のマントをまとってフードを目深に被ったLiSAが降臨。頭上から吹き出すスモークを蹴散らすかのように、ノイジーな「EGOiSTiC SHOOTER」が放たれる。さっきまでのカラフルな空気は一転し、武道館をデンジャラスゾーンへと叩き込む。ブレイクでマントを空に放り投げ、「L.Miranic」がスタートすると、ベビードール風のブラックドレスに変身。お立ち台の上で体をセクシーにのたうって、クールな歌声でオーディエンスを挑発する。水の雫のSEとジャジーなピアノが絡み合う妖しげな雰囲気のインターバルを挟んで、「DOCTOR」ではもう一度、鮮やかにコスチュームチェンジ。赤い番傘を差し、赤い和柄の着物風ドレスに身を包んだLiSAが、花魁行列のようにしゃなりしゃなりとセンターステージへ。静かに傘を床に置き、なまめかしく身をくねらせながら、セクシーなボーカルを響かせ、マイクスタンドも着物の帯も放り投げた「Empty MERMAiD」へと「怨」の世界を続けていく。女の性と情念をハイキーに、妖艶に歌い上げる姿は、ロックアーティスト・LiSAのもうひとつの顔だ。

狂おしい熱を鎮めるように、ビジョンに再び、LiSAを探すおたまじゃくしモモコが登場。早くLiSAに会ってみたいとつぶやくモモコが、「次はどんな [eN]かな?」とステージを促すと、リリカルなピアノの音色が響き渡り、「円(えん)」の文字が浮かび上がる。そこに登場したのは、真っ白なロングドレス姿のLiSAだ。曲は「シルシ」。これまで数々のステージで感動を呼んできた壮大な名バラードの熱唱はこの日も、柔らかなファルセットとパワフルな歌声にのせて、ファンとの絆の強さをたしかに“記し”てくれた。

「ここまで一気にいろんな曲をやってきましたけど、ついてこれてますか?」と、赤いギターを肩にかけながら、静かに始まったMC。3年振りの武道館ワンマンのステージで、LiSAは自分の夢の場所だった武道館への想いを語る。アクシデントに見舞われた初武道館ワンマンから4年。様々な経験を積み、「あ、こんなにみんなが近くに感じる」と思えるほどに成長したLiSAは、「ベストアルバムのお祝いで武道館に帰ってこれたことを、とてもとてもうれしく思います」と笑顔を見せる。そして「話、長くなるね!」と笑いながら、小学4年生で歌手をめざした頃を振り返り、「こうやって夢の武道館という場所で、こんなにたくさんの遊べるシンガーになれたんやなぁ。ひとつのレガシーをみんなと一緒に残したんやなぁと」と感慨深い表情で、手にしたギターをつま弾き出す。力強いストロークで弾き語られたのは、LiSAが歌手をめざすきっかけとなった名コンポーザー・伊秩弘将とコラボレーションした新曲「WiLL~無色透明~」。ミラーボールが反射する鮮やかな光たちが、LiSAの子どもの頃の夢をスクリーンに映し出すように、武道館の天井に大きな星空を描いた。

ここから夢の宴は、ノンストップのロックゾーンへと一気にギアを踏み込んでいく。「Hi FiVE!」ではオーディエンスと掛け合いながらドレスの裾を持ち上げ走り回り、ニューアレンジの「ROCK-mode’18」では、「炎(えん)」の文字が現れ、ステージに揺れるたいまつの炎が噛み付くような激しいLiSAの表情を照らす。パンキッシュなパワーをぶつける「Thrill, Risk, Heartless」の後、メンバー紹介を交えた「Psychedelic Drive」からは、また違う景色が目の前に広がった。LiSAが放つ強烈な光はより明るさと伸びやかさを増し、休む間もなく飛び跳ねる13000人のオーディエンスの一体感が、武道館のすべてを飲み込んで大きなうねりとなっていく。レインボーカラーのミラーボールが祝福を送る「コズミックジェットコースター」。360度の観客の真ん中で、マイクを天に掲げてみんなの声を集めた「crossing field」。「一緒に歌って!」と、アカペラの大合唱を誘った「Catch the Moment」。すべての想いが銃弾となって降り注ぎ、「♪僕らはまだ終わらない」と声を張り上げ、高々とピースサインを掲げた「Mr.Launcher」――立て続けに繰り出されるナンバーすべてが、LiSAとファンが7年間ともに作り上げてきた誇るべきレガシー(遺産)だ。

そしてステージでは、1本のドキュメンタリー映像が流される。今現在のインタビューから始まったこのムービーには、デビューから今日までのライブ、イベント、キャンペーンやオフショットなど、LiSAが歩んできた道のりすべての風景が凝縮されている。「Believe in myself」をBGMに、最後に映し出されたのは「見に行こう 一緒に作り上げた景色の向こう側へ」の言葉だ。映像が終わるとともに、ビジョンに浮かんだのは「縁(えん)」の文字。そして始まる「Believe in ourselves」。天井を指さしながらロングトーンを響かせ、センターステージの真ん中でみんなの気持ちをキャッチするように、左手を高く伸ばすLiSA。何度も何度も「超サイコー!!」と繰り返し、「ありがとー!」と叫ぶと、次の瞬間、彼女はタオルで顔を覆い、喜びの涙に崩れ落ちた。大きな拍手に励まされ、「今日ここに来てくれて、本当にありがとうございます」と、涙で声を震わせながら、想いの丈を語るLiSA。

いいことも悪いことも、一つひとつをみんなと歌にして音楽活動を続けてきたこと。この2日間、1曲ずつ、あらゆる思い出と、今見ている景色を重ね合わせて歌ったこと。キッカケは何でもいい。LiSAという名で発信してきたものを、受け取ってくれた1人ひとりとの[eN]が、この武道館公演になったこと――「1日、1日一生懸命生きてきた“Day”が、いつの間にかLiSAの“Way”になって、今日ここに辿り着いていると思います。でも、その先もみんなと一緒なら、もっともっと作れる気がしちゃいました」とLiSAは言う。曲中でファンが掲げるピンクのペンライト。その光を思い出しながら、「みんなが私の存在を肯定してくれたんです、ありがとうございます」と感謝の気持ちを語る。涙で顔をくしゃくしゃにして始まったMCも、いつしかその表情は笑顔に変わっていた。

あらゆる感情をあふれさせた2日間を締めくくったのは、シルバーとピンクの銀テープが舞い降り、喜びの笑顔に満ちた「best day, best way」だった。『LiSA BEST -Day-』の1曲目「Rising Hope」から始まり、『LiSA BEST -Way-』のラストナンバー「best day, best way」で円環を閉じた“LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[eN]”。会場の全員と写真&ムービーを撮影し、360度のすべての人へ投げKISSを放ってステージを駆け下りていったLiSA。「アジアツアー、行ってきます!」の力強い言葉と、13000人の「いってらっしゃい!」の言葉が、LiSAのヒストリーブックに、新しい1ページを付け加えていった――。

Text By 阿部美香

“LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[eN]”
2018年6月15日(金)日本武道館(2日目)
<セットリスト>
0..Believe in myself
1.Rising Hope
2.AxxxiS
3.ASH
4.Rally Go Round
5.No More Time Machine
6.エレクトリリカル
7.EGOiSTiC SHOOTER
8.L.Miranic
9.DOCTOR
10.Empty MERMAiD
11.シルシ
12.WiLL ~無色透明~
13.Hi FiVE!
14.ROCK-mode’18
15.Thrill, Risk, Heartless
16.Psychedelic Drive
17.コズミックジェットコースター
18.crossing field
10.Catch the Moment
20.Mr.Launcher
21.Believe in ourselves
22.best day, best way

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