歌と映像と朗読による共感を呼ぶストーリー。1本の映画のような特別なライブ“三月のパンタシア ワンマンライブ ~星の川、月の船~”レポート

ボーカル“みあ”を中心とした音楽ユニット、三月のパンタシア。そのセカンド・ワンマンライブ“~星の川、月の船~”が2018年6月23日、東京・TSUTAYA O-EASTで行われた。人気曲「星の涙」をテーマにしたオリジナルストーリーを軸に、歌と映像と朗読で構成されていて、まるで1本の映画のような感覚を味わえるライブだった。

ライブは三月のパンタシアの楽曲「星の涙」の世界観から生まれたストーリーを軸に展開。ストーリーは原案をみあ、脚本を加東岳史、ナレーションを声優の豊崎愛生が担当した。ストーリーは全四章で、映像が流れた後にみあが物語の展開に沿って歌を披露するという流れだ。

【第一章 はじまりの歌】
STORY:“私”(物語の主人公)はクラスでも地味な女の子。古い映画が好きな“私”は、映画館で偶然同級生の“キミ”に出会う。それがきっかけで共通の趣味を持つ相手ができて、学校でも何かと話をするようになる。

みあがステージに登場し、1曲目の「群青世界」を歌い始める。ステージには紗幕が下りていて、みあの姿はほのかな照明で映し出されるだけで表情をはっきりと見ることはできない。それでも会場に詰めかけたファンは彼女を一心に見つめている。紗幕には歌詞とMVの映像が映し出され、視覚的な効果も加わって歌詞が心に深く届く。

次の曲「フェアリーテイル」はTVアニメ『亜人ちゃんは語りたい』のEDテーマ。なんでもない日々がかけがえのない宝物だという歌詞は今回のストーリーの主人公である少女の心境ともシンクロするものなのだろう。そんな情感も込めて、みあは1つひとつのワードをていねいに歌っていく。

3曲目の「イタイ」は一転して強い感情を歌った曲。続く「青に水底」では何度も繰り返される「青」という歌詞に合わせてスクリーンに大きく「青」という文字が映されるなど、映像的な演出でも心を揺さぶっていく。

「七千三百とおもちゃのユメ」では曲中のセリフに合わせて演劇のような動きも見られた。そして、曲が終わると次のストーリーの映像が映される。

【第二章 重ならない空】
STORY:“キミ”に誘われ、映画研究部に入った“私”。文化祭用の短編映画を撮影し、仲間たちと楽しい時間を過ごすなかでいつしか“キミ”に惹かれていく。だがそんなある日、“キミ”に好きな人がいることを知ってしまう。

主人公が内に秘めた恋心に悩むというストーリーのあと、「ブラックボードイレイザー」で“秘密の想い”“臆病な私”の心情を歌っていく。

「花に夕景」ではさらに突き刺さるような想いを、「リマインドカラー~茜色の記憶~」ではいつまでも忘れられない想いを心に訴えかける。さらに 「ないた赤鬼、わらう青空」では近くて遠い“あなた”への想いを歌っていて、このあとのストーリーを暗示しているかのようだ。

そんな重い雰囲気が「風の声を聴きながら」で一変。のどかな田園風景の映像の中でさわやかな歌声が心地よく響く。

【第三章 さよならの季節】
STORY:あの日以来、“私”は“キミ”と距離を置くようになった。三年生になり、“私”は地元の大学へ進学する。“キミ”は夢をかなえるため東京の映像系専門学校へ。そして卒業式の日、“キミ”は「好きな人に告白したいと思う」と切り出し、“私”は耐えきれなくなって部室を飛び出してしまう――。

「day break」はまさに“さよならも言えないまま”離ればなれになってしまったふたりを描いた曲。夏の夜の美しい情景を切り取った「キミといた夏」は“私”の輝かしい季節を思い出させる。

「シークレットハート」は自分の想いを隠して友達の恋を後押しするという歌詞で、“私”の心情とリンクするかのよう。この曲では観客から手拍子も起きていた。

このゾーンの最後の曲は「#最高の片想い」。さて、ストーリーはどんな結末を迎えるのだろうか。

【第四章 星の涙】
STORY:二年後――。“私”は母校の部室を訪れ、完成しなかった学祭用の映画を見ようと思い立つ。映写機に映し出された映画はちっとも面白くなかったが、そこには確かに“私たち”のあのときが焼き付いていた。すると、もう1本のフィルムを見つけ、“私”は何気なく映写機にかけてみる。それは“キミ”が密かに撮りためていたフィルムだった。そこに映っていたのは――。

物語が結末を迎え、ここでみあが初めて紗幕の前に姿を現す。ストーリーテラーとしての役割を終え、今度は等身大の彼女が歌を届けるという趣向なのだろう。ほのかな照明が当たるだけのステージではあったが、はっきりと表情をうかがうことができた。

まず歌ったのは1stシングル「はじまりの速度」。これまで歌に耳を傾けることに専念していた観客たちからは、自然と手拍子が起こる。

次の曲は「ルビコン」。オールスタンディングの会場で、歌詞のとおりに手を伸ばせばそこにいるという近い距離で彼女の歌声を感じることができた。

この日初めてのMCで、みあは今回のストーリーを振り返る。そして、近くにいても想いを伝えることができなかったふたりについて話すと、「いつも自分のそばにいてくれる人には、言わないと伝わらないことがあると思います。だからこそ、いま目の前にいてくれる大切なあなたに、私はちゃんと伝えようと思います。本当に、いつもありがとう」とファンへ感謝の気持ちを伝える。

「この物語の最後の涙は、どんな涙だったのか。それはあなたに空想してもらうことで、この物語は完成します」。そんな言葉を残して、歌ったのは今回の物語のモチーフになった「星の涙」だった。

こうして観客にさまざまな想いを残して、物語と歌が一体となったライブは幕を閉じるのだった。

【アンコール】
観客からの“三パシ”コールに応えて、ゆっくりとみあが再登場。まずは「前に進んだり、走り出すのが難しいと思ったときも、皆さんのことを思い出して、背中を押してもらっています。いつもありがとございます」と改めて感謝の言葉を述べる。それは決して饒舌ではないが、どこまでも誠実で、まっすぐにファンの元に届く言葉だった。

バンドメンバー紹介のあとに歌ったアンコールの1曲目は「恋を落とす」。これはWEBドラマ「恋を落とす」の主題歌で、「主人公の女の子の喪失から再生までを描いた物語を楽曲にした」とのこと。作品とのリンクが強い曲ということで、紗幕にはドラマの映像が映し出される。

「次で本当に最後の曲です」と言うと、観客からは「ええ~!?」と残念がる声があがる。その反応がおかしかったのか、思わずみあは吹き出してしまう。それは彼女の素の表情が垣間見えた瞬間で、会場全体がほのぼのした空気に包まれる。

そんな温かい雰囲気をみんなで共有するかのように最後の曲「コラージュ」を爽やかに歌って、みあはステージを後にしたのだった。

みあの歌声と物語がリンクしたライブが終わると、まるで1本の映画を観たような感覚になった。まったく別々の曲が、物語のなかで1本の線で繋がっているかのように見事に構成されていたからだろう。豊崎愛生の朗読も見事で、感情移入を呼び込む役割を果たしていた。今後、三月のパンタシアがどんな物語を紡いでいくのか、大いに期待したくなるライブだった。

なお、7月7日(土)20時からLINE LIVEで「三月のパンタシア七夕企画~ワンマンライブを一緒に振り返ろう~」が配信予定。みあがライブの感想などを語るとのことで、ライブに行った人も行けなかった人も注目だ。

Text By 金子光晴

三月のパンタシア セカンドワンマンライブ ~星の川、月の船~

2018年6月23日(土)TSUTAYA O-EAST

<セットリスト>

第一章:はじまりの歌(物語)
M-01:群青世界
M-02:フェアリーテイル
M-03:イタイ
M-04:青に水底
M-05:七千三百とおもちゃのユメ

第二章:重ならない空(物語)
M-06:ブラックボードイレイザー
M-07:花に夕景
M-08:リマインドカラー~茜色の記憶~
M-09:ないた赤鬼、わらう青空
M-10:風の声を聴きながら

第三章:さよならの季節(物語)
M-11:day break
M-12:キミといた夏
M-13:シークレットハート
M-14:#最高の片想い

第四章:星の涙(物語)
M-15:はじまりの速度
M-16:ルビコン
M-17:星の涙

Encore
M-18:恋を落とす
M-19:コラージュ

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