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INTERVIEW

2018.06.27

久しぶりに高瀬一矢とタッグを組んだ、入魂の一枚の裏側に迫る!KOTOKO『teras cyclone -廻-』リリースインタビュー

久しぶりに高瀬一矢とタッグを組んだ、入魂の一枚の裏側に迫る!KOTOKO『teras cyclone -廻-』リリースインタビュー

アニソン・ゲーソン界の歌姫・KOTOKOが、このたび久方ぶりにフル・アルバム『teras cyclone -廻-』をリリース。「リスアニ!Vol.33」でも語られたとおり、本作は二部作構成の第一弾として発表された。そんな本作では、“廻”の文字通り“原点廻帰”をコンセプトに、1枚を通じてI’veの高瀬一矢とのコラボレーションを行っている。今回は、アルバム完成後にインタビューを敢行。本誌では語られなかった、旧知の関係だからこその高瀬とのやり取りも含め、制作秘話を語ってくれた。

――発売中の「リスアニ!Vol.33」では、この作品に至るまでの概要みたいなものをお伺いしましたが、今回はまず、アルバムが仕上がっての感想からお伺いしたいのですが。

KOTOKO 率直に言うと「よく出来たな」っていうのが正直なところで(笑)。「アルバム出しましょう」って決まったのが約3ヶ月前だったので、実質作業時間は2ヵ月半ぐらいだけだったと思うんです。そんななかで、よくここまでのものを仕上げられたなっていうやりきった感でいっぱいです。それは私だけじゃなくて、全曲アレンジからレコーディングやMIXまで楽曲を作っていた高瀬一矢さんが相当頑張ってくださったからだと思いますし、今できることを全部出し尽くせたと思うので、すごく満足しています。

――拝聴させていただきましたが、情報量がすごくて。本当にすごいチャレンジをされた作品なんだな、というのが伝わってきます。

KOTOKO 普段ならもっとぼんやりと「全体のなかで、こんな感じの曲が欲しいな」っていうざっくりしたリクエストを出すんですけど、高瀬さんと完全タッグと決まったときには過去の高瀬さん曲をバーっと出して、「こういう曲をお願いします!」とひとつずつお願いをして作ってもらったんです。

――ただ、たしかに既存曲の流れをくんではいますけど、全体的には進化みたいなものをすごく感じる1枚になっていると思います。

KOTOKO そこは特に意識したつもりはなくて。お互いにいろんな経験を積んできたので、それはあまり意識せずにできていたんですよ。逆に、自分たちの昔の作品のいいところを発掘する、というのは結構大事なことだったように思います。過去に対して背を向けないことって、まずチャレンジじゃないですか?しかもそれって、最近ファンになってくださった方々に対しては、自分たちをプレゼンするような1枚になるわけで。なので、「これが、今のKOTOKOと高瀬一矢がコラボレーションしたサウンドです!」というものを作るために、まずはお互いのいいところを全部出さなきゃ!ということはすごく明確にありました。

――それは音源だけではなくて、今までのライブのなかで発見された部分も?

KOTOKO ありますね。やっぱりライブでの反応とか、ライブ後の感想を受けて皆さんの今の趣向に対してのリサーチというものもあって。以前もお話したかもしれないんですけど、「私も皆さんも両方いいと思ってる楽曲って何かな?」っていうデータがどんどん蓄積されていくなかで「KOTOKOのカラーであったデジタルサウンドは、今も求められてるんだな」と感じた部分があったので、今回はせっかく高瀬さんとやるなら、デジタルサウンド推しのものにしよう……というところに繋がったんですよ。

――今回のアルバムは、トータルの世界観なものの統一感も素晴らしいなと思ったのですが。

KOTOKO 今回は“tears cyclone”が二部作だというのもあって“涙”という部分を二部に分けるという難しさもあったんですが、今回は“廻”だからこそ作れる世界観をピンポイントで描けたなと、手応えを感じています。

――もしかしたら、短期間で作ったことで純度の高いものになったのかもしれない。

KOTOKO すごくあると思います。その苦しさもある反面、ブレずに「これを描く!」という一点に向かっていくという意味では、逆に良かったかもしれないですね。

――製作中のI’veスタジオからのツイートを拝見する限り、大変充実したレコーディングだったように見えたのですが。

KOTOKO 充実を超えた感じって言うんですかね?(笑)。レコーディングスケジュールは3日間で3曲録って、1週間空いてその間に新曲が上がってきて、作詞をして、またレコーディングで……っていう感じにぎっちぎちに組まれてたんですよ。なのに、なんといちばん最初に録った「廻-Ro-tation」のレコーディング2日前に、謎の胃腸炎のようなものになってしまって。当日もおかゆしか食べられない状態だったんです(笑)。でも、すぐ次の日に「SA*KU*RA 白書」をやって……みたいな状況で。その間に海外公演もあったので、その期間で高瀬さんがまた曲を書いて、戻ってきたらGW中は来た曲全部の作詞をして曲を録る……っていうような、本当に一分一秒を争うような感じでやっていました。

――ちなみに高瀬さんは、今回製作中にどんなことをおっしゃられていたんですか?

KOTOKO 「うん!頑張るからね!」っていうのが、もう口癖のようで。「もうネオ・タカーセだから、任せて!」って言ってました(笑)。

――ネオ・タカーセ。

KOTOKO それと、ちょっと遅れても「ごめんね!」って結構密に連絡ももらえていたので、実は私は「これなら行けそうかな」って思ってて。まわりの人たちのほうが、心配してたと思います(笑)。

――その分、高瀬さんご自身も相当な想いをもってトラックダウンを終えられたのでは?

KOTOKO そうですね。高瀬さんが「これは、僕とKOTOKOちゃんのアルバムだからね」とおっしゃったことがあって。少し語弊はあるかもしれませんけど、私自身、KOTOKO名義ではあるけどそう言っても遜色ないぐらい、高瀬さんのアーティストとしての部分が色濃く出たアルバムだと思ってるんですよ。私がI’ve Soundを抜けてから「またやりたいね」っていう話は時々してくださっていたんですけど、今回は時間がないというところで請けるかどうか迷われたと思うんですよ。だから請けるには覚悟が必要だったんだと思いますし、そこにかけた想いは高瀬さんも大きかったのかな、と思いますね。

――さて、今回はアルバム完成後ということで、楽曲のお話もお聞かせください。まず1曲目「nonfiction~悪魔が棲む惑星~」は、歌詞を拝見したときにいきなりすごくメッセージ性が強いなと思いまして。

KOTOKO 一般的には「人間、心底悪い人はいない」と言われる反面、やっぱり誰の心にも悪魔が棲んでいるなと思ったので、「人間の誕生は悪魔の誕生」というところから物語を始めて。その悪魔の一生を終えるまでの世界で1枚を作れたらと思って、これを1曲目に置きました。

――曲調も1曲目からぶっ飛ばしているといいますか、KOTOKOさんと高瀬さんの昔の活動の、復権と進化みたいなものが思い切り詰まっていて。

KOTOKO 本当にそのとおりで。この間もお話したかもしれないですけど、「よく『羽 -hane-』みたいなダークなアルバムでデビューしたよな」って(笑)。そんな私たちだからこそ、人間の悪魔性みたいなことを歌詞にするというのも、全然臆することなくできましたし。その反面イントロ部分のサウンドは、OPにふさわしい始まりを予感させるアレンジになっているんです。ただ実は、リード曲である12曲目の「廻-Ro-tation」を1曲目に置こうかなっていう構想ではあったんですよ。でも物語を構築する意味でもこの曲が1曲目のほうがいいなという気持ちがあって。たとえばアニメや映画で、EDが主題歌になってることって結構あるじゃないですか?そうなると、終わった瞬間の余韻とかがすごくて。「もう1回見たいな」と思わせるようなものが最後に来るのって、すごくドラマチックだなと思うんですよね。私もそういうのが好きだから、今回はそのワガママを通させていただきました。

――続く2曲目「雲雀」は、ラウドロック×デジタルロックの進化系という感じがしまして。

KOTOKO これは私の作詞作曲ということもあって、すごくKOTOKOっぽいローテンポでちょっと悲しげなサッドソングになりました。最初の私のデモの段階だと、ちょっと悲しげなピアノサウンドの曲だったんですよ。なので、そのままおまかせするとおそらく『羽-hane-』をすごくイメージされる楽曲になるだろうなと思っていて。そうすると過去曲に寄りすぎちゃうので、そこにもうちょっとデジタルサウンドを混ぜてほしいとリクエストしたところ、いい具合にしてくださって。実はこの曲がいちばん最後にアレンジができてきた曲なので、歌のレコーディングも私が作ったオケでやったんです。だから最後の最後までずーっとどんなアレンジになるのかわからずにめちゃめちゃ心配だったんですけど、ものすごくいい感じに仕上がってきて。最後「『回転木馬』と『雲雀』が俺も今のいちばんのお気に入り。自分でも満足できるアレンジだ」って言ったぐらい、アレンジはホント逸品だと思います。

――それと、歌の雰囲気が太く強くなった印象がありまして。言葉として正しいのかわからないんですが、ちょっと大人な感じもありました。

KOTOKO そう感じることは、私もありました。でも私は、特に5曲目の「effacer」でそう感じていたんですけど。

――曲調的にも、新しくてチャレンジな感じというのもありましたし。

KOTOKO 私、「effacer」は今回の新曲の中でいちばん好きな曲なんですよ。実はすごく思い入れがある曲で……私がI’veのオーディションに受かってすぐのときにI’veのGIRL’s COMPILATIONシリーズの『regret』と『verge』を渡していただいて、先輩方が歌った楽曲をまず聴かせていただいたんです。そのときにすっごい感動したのがMELLさんの声で、特に「Fall in Love」という曲がいちばん刺さったんです。だからいつか自分にもそういう曲を書いてほしくて、今回も「『effacer』は、1曲決め打ちで『Fall in Love』がいいです」って言ったんです。でも仕上がってきたのがぜんっぜん違う曲だったんですよ!(笑)。実は高瀬さんは私の書いた「硝子の靡風」が大好きみたいで、それっぽい曲を作りたくてこれを書いちゃったらしいんですけど。

――お互いにオマージュしあっていたんですね。

KOTOKO そうなんです。私は「Fall in Love」のイントロのピアノの、ちょっとジャジーで大人っぽく刻む感じがよくて、でも中に入ったら切ないメロディで……っていうのがすごく好きなんです。でも上がってきた楽曲もすごくきれいで素晴らしいメロディのバラードだったのですごくもったいないなと思ったし、時間もないからイチから作り直せもしないし……なので「メロディはすごくいいと思ったから、イントロにピアノだけは入れてほしい」と言ったんです。で、高瀬さんが「どんな曲かもう忘れちゃった」って言ってたので(笑)、もう1回聴いてもらって。そしたらその場で「こんな感じ?」って弾いてくれたんです。で、「それ、そのまま入れて!」みたいにやってもらって(笑)。それに、良いメロディはそのままにして、高瀬さんの楽曲では私跳ねるのがすごく好きだから、とムリヤリ跳ねさせてもらって。そうしたら、ものすごくいい曲になったんです。だからタイトルソングではないんですけど、「effacer」がいちばん好きなんです。

――この日常的な歌詞も、すごく素敵ですよね。

KOTOKO 何気ないアンニュイな感じで昔をただただ思い出して、「こんなんだったなぁ」「ちょっと切ないなぁ」って言うだけの歌詞なんですけど。でもそういう日ってみんなあると思うから、いろんなことに想いを馳せてほしいなっていうすごく力の抜けた歌詞にできたなって感じがします。

――今回はポップソング寄りの曲だと3曲目の「夏恋」もまさにそういう曲ですよね。こちらはサビのリズム感がすごく気持ちいい、爽やかなラブソングになっています。

KOTOKO これも私作詞作曲の楽曲なんですけど、これは“高瀬一矢の申し子”だからこそ書ける楽曲を作りたいって思ったんです。実を言うと、「雲雀」とか「回転木馬」は「次のアルバム出したい」っていう気持ちがずっとあったなかで書き溜めていた楽曲だったんですけど、「夏恋」を書いたのは高瀬さんとタッグを組むことが決まってからで。だから、それこそ高瀬一矢オマージュ作品なんですよ。私は高瀬さんの楽曲の中で「LOVE A RIDDLE」と「I pray to stop my cry」が大好きなので、その2曲を足して2で割ったみたいな曲を作りたい!と思って、「LOVE A RIDDLE」のコード進行にオリジナルのメロディをつけたんです。デモのアレンジは「I pray to stop my cry」っぽい感じで、ちょっと跳ねて刻んだハイハットが入ってるようなアレンジにして高瀬さんにお渡ししたんですけど、そこでもまた一悶着ありまして(笑)。跳ねてほしかったのに跳ねてなかったんですよ。高瀬さんは「この曲を聴いた瞬間『ひとりごと』みたいなイメージが出て、そういう感じにしたくてアレンジしたんだよね」っていう想いもあったみたいで、「ごめん、これはもう跳ねれないかなぁ」と言われてしまい。

――完成形が、高瀬さんの中で見えてしまったんですね。

KOTOKO そうなんです。なのでそこは、高瀬さんの気持ちに沿う形で決着はしたんですけど。でも、こういうふうにお互いに相手のいいと思ってる部分をオマージュし合うようにできていった曲がすごく多くて。そういう意味では長年やってきたからこそのやり取りはできていたし、それまでなかった掛け合わせから結果的に新しい曲にできてるっていうミラクルも起きていて。本当に感動しました。

――タイアップ曲では、バルドシリーズの『BALDR HEART』の主題歌「Sign of Suspicion」が収録されています。

KOTOKO バルドシリーズっていうのは、『BALDR FORCE』で私の代表曲でもある「Face of Fact」を主題歌として歌わせていただいてからシリーズをほぼほぼ担当させていただいているので、そういう意味ではずっとスタッフの一員として携わってきたというような思い入れがある作品なんですよ。実はバルドシリーズって、C.G.mixさんが多いんですけど、前回のアルバムに入れた「WING OF ZERO-the ring-」のときに初めて高瀬さんがバルドシリーズの曲を書いて、それがまたすごく良かったんです。そこからの流れで、高瀬さんもKOTOKOもまた指名していただいてっていうことだったと思うんですよね。そういう、メーカーさんにも信頼いただいておまかせいただけた楽曲をこうやって自分のアルバムに入れる機会ができたっていうのは、すごく嬉しいことですね。

――そして「回転木馬」からは、大変な狂気を感じたのですが……。

KOTOKO 今回のアルバムでは、途中で全然別の楽曲が始まるようなものを作る、っていうことをどうしてもやってみたかったんですよ。それで作っていくうちに、「ガラッと変えよう」と思って4拍子から3拍子にしたら意外とうまくいって。そこに対してどんどんメロディを付けたり、デモとしてお渡しするために簡単にアレンジしていたら、やっていくうちに面白くなっちゃったんです。すごくミュージカル調のアレンジになって……(笑)。

――変拍子満載で、「プログレだなこれ」と思いました。

KOTOKO それで歌詞ではすごく怪しい世界観を描きたくなって、書いていくうちに“廻”がテーマの今回じゃなきゃ……というものになっちゃったんです。それで高瀬さんにお渡ししたんですけど、やっぱり「これ、俺無理……」という反応で。でも「今回じゃなきゃダメなんです」とか、「アレンジも、高瀬さんの音でいいんです!」という話でねじ伏せ(笑)、ムリヤリやってもらったんですよ。でも、手がけ始めて2割ぐらいの段階のものを送ってもらったら、まさにイメージしていたものの骨組みのようなものが来まして。それで、「この方向で行ってください!」って言ったら、あっという間に上がってきましたね。あとは、歌詞も怖すぎて問題だと思うんですけど(笑)。

――1行目から、想像したら戦慄が走りますよね(笑)。でもそれを気にしながら、“石をめくる”気持ちで聴いてほしい曲というか。

KOTOKO そうなんです。イメージ的には『本当は怖いアンデルセン』なんですけど。私、小さい頃から虫が好きで。今でも生まれ変わったら虫になりたいって言ってるぐらいなんです。

――そうなんですね。僕はてっきりカフカの『変身』あたりをdisっていたのかと思ってしまって。

KOTOKO それが、そういうわけじゃないんですよ。ほとんどの虫って嫌われ者じゃないですか?でも人間界にも、見た目でいじめられたりして辛い想いをして育つ子はいっぱいいるし、私もそのひとりだったから、そちら側からの目線を虫からの目線として代弁することで、救われる人もいるかもしれない……というメッセージも込めつつ、あえて狂気の世界を描きました。

――本当にアートですよね。歌詞も曲もそうですけど……たとえるなら、牛丼を食べに吉野家入ったら全然違うどんぶり出てきた、みたいな(笑)。

KOTOKO あはははっ(笑)。よくわかんない創作料理出てきた、ぐらいの感じですよね。でもそういう部分を1ヶ所設けて、あとは思いっきりノスタルジーに浸っていただけるようにというふうに構成したので、この曲は本当に外したくなかったんですよ。

――こういう曲があるから、次にある「ミュゲの花束を、君へ」みたいな曲の壮大さもまた引き立ってきていて。ひとつの大きな世界観の映画の中の、短編が詰まっているような感じですよね。でも全体のメッセージ性は統一感があって。

KOTOKO そうなんですよ。物語も繋がっていて、「回転木馬」で「心から愛しているよ」って言われて、この曲では結婚しちゃうんです。

――あんなボロボロな世界観だったところからパーッと一気に晴れやかな気持ちになる、それぐらい人間の気持ちというのは情緒が豊かだということ。

KOTOKO そういうことだと思うんです。ものすごく嫌っていた相手を愛してしまう瞬間みたいな、人間の不思議ってきっと」ありますよね。

――それで最後には「廻-Ro-tation」になって、このアルバムとはいったい何だったのか、みたいなものが紐解かれるような感じですよね。

KOTOKO そうです。この曲では本当に、アルバムコンセプトに込めた想いをそのまま歌詞にしています。人が生まれてから育っていく間には、いろいろ試行錯誤をして頭の中でぐるぐる考えが変わっていくと思うんです。その繰り返しのなかで、人生ってそこに立ち向かっていったり戻ったりを続けていくんだなぁ……というある種悟りのような部分をこの1枚で表現したくて。それを歌詞にしたのが「廻-Ro-tation」ですね。

――いろんな人の、たとえば人生や生活、考えがあったり。あとはいいとか悪いっていう価値観があって。それら全部含めての世界だ……みたいなことなんでしょうか。

KOTOKO そうですね。まず“涙”っていうコンセプトを考えたときに、涙にもいろいろあるよな、と思ったのが最初で。「悲しい」というのが最初に来るとは思うんですけど、それだけじゃなくて嬉し涙もあれば別れの涙もあるし……だから「じゃあ、涙ひとつとってもいろんな心模様が描けるな」と思ったところから、こういういろんな人の良きも悪きも、っていう世界観に繋がっています。

――それこそ1曲目の「nonfiction-悪魔が棲む惑星-」で歌われているようなことも含めて、良くも悪くも1回「そういうものだ」と認めるところに至った、というか。

KOTOKO そうですね……I’veから独立してから、起こったことを受け止めて解決策や別の案を考えたり、「次に進むにはどうしたらいいんだろう」ってシフトしていく思考回路にどんどんなっていった……っていうところが大きいかもしれません。だから、自分で言ったらおかしいんですけど(笑)、「大人になったな」って思います。あとは根本的に、「人って、なんでここにいるんだろう?」って考えることが大好きなんですよね。過去の作品も全部、根底にはそれが入ってるんですけど、私なりの今の人間に対する気持ちっていうのが、そういうところに達してるのかもしれないですよね。命なんて、限りはあるじゃないですか?だったらそのなかでいったい何ができるのかを考えたほうが、よっぽど生産的じゃないのか、って。そこにとどまって頑張るのもひとつの選択肢なだけど、辛ければ別のところに行く、っていうのもひとつ選択肢で。それができずに苦しんでしまったり自殺してしまう子もたくさんいると思うんですけど、そういう子たちの光になればいいなっていう気持ちも、ずっとあるので。そういう人間の汚い部分だったり泥臭い部分だったりを書くっていうのが私にとってはライフワークだと思っているんですけど、やっとそういう機会が巡ってきたので、今回はすごく思い切りやっちゃったのかもしれないです(笑)。

――ただ全体的なトーンは、すごくポップなアルバムだなという印象もあって。

KOTOKO そうなんです!手前味噌なんですけど、それこそ遅い時間に完成して「さぁ全曲聴きましょう」となったとき、聴き始めたらあっという間に1枚聴けちゃっていて。それはきっと曲がポップで流れもいい仕上がりだから、すごく聴きやすくなってるんじゃないかな、と自負しています。

――最後に、このアルバムを引っさげての久々のアルバムツアーとなる、全国ツアーについてお聞かせください。

KOTOKO ここ数年は企画もののツアーが多くて、その企画自体も皆さんすごく楽しんでくださっていたのでよかったんですけど、久しぶりにアルバムありきのツアーができるので、ぜひ全曲やりたいと思っています。それに、せっかくここまで“高瀬一矢”っていうサウンドとやったので、今回は高瀬一矢オンリーにしようかなとも思っていて。実はファンの方からのアンケートには「作家別のライブをやってほしいです」という声も結構あるので、いいきっかけだなと思うんですよ。なのでちょっとマニアックなテイストにはなってしまうかもしれないですけど、きっとかっこいい曲とか素敵な曲がたくさん聴けると思います。ぜひ、そんな名曲を味わいに来てください!

Interview By 冨田明宏
Text By 須永兼次


●リリース情報
KOTOKO 7th Album
『tears cyclone -廻-』
6月27日発売

品番:GNCA-1528
価格:¥3,000+税

<CD>
M01「nonfiction~悪魔が棲む惑星~」
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢
M02「雲雀」
作詞・作曲:KOTOKO/編曲:高瀬一矢
M03「夏恋」
作詞・作曲:KOTOKO/編曲:高瀬一矢
M04「Onyx」
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢
M05「effacer」
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢
M06「Sign of Suspicion」(PCゲーム「BALDR HEART」主題歌)
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢
M07「a-gain」(TVアニメ「蒼の彼方のフォーリズム」ED)セルフカバー
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢
M08「回転木馬」
作詞・作曲:KOTOKO/編曲:高瀬一矢
M09「ミュゲの花束を、君へ」
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢
M10「dusty days」
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢
M11「SA*KU*RA 白書」
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢
M12「廻-Ro-tation」
作詞:KOTOKO/作・編曲:高瀬一矢

●ツアー情報
“KOTOKO LIVE TOUR 2018 「tears cyclone-廻-」”
7月21日(SAT)京都:KYOTO MUSE
7月22日(SUN)愛知:名古屋 Electric Lady Land
7月28日(SAT)島根:松江 AZTiC canova
7月29日(SUN)広島:SECOND CRUTCH
8月05日(SUN)北海道:札幌cube garden
8月18日(SAT)宮城:仙台 CLUB JUNK BOX
8月19日(SUN)新潟:LOTS
9月01日(SAT)大分:DRUM Be-0
9月02日(SUN)福岡:DRUM Be-1
9月08日(SAT)岡山:CRAZYMAMA KINGDUM
9月09日(SUN)愛媛:松山 サロンキティ
9月15日(SAT)大阪:umeda TRAD
9月30日(SUN)東京:渋谷 TSUTAYA O-EAST

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