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REPORT

2018.06.07

鈴木このみ初の野外ライブ!“鈴木このみ 4th Live Tour 2018 ~Magic Hour~”ファイナル公演レポート

鈴木このみ初の野外ライブ!“鈴木このみ 4th Live Tour 2018 ~Magic Hour~”ファイナル公演レポート

鈴木このみのライブツアー“鈴木このみ 4th Live Tour 2018 ~Magic Hour~”のファイナル公演が、5月19日に東京・日比谷野外大音楽堂にて行われた。これまで数々のステージに上がってきた彼女だが、「ライブの聖地」として知られる野音の舞台に立つのは今回が初。多くの伝説的なライブが行われてきたその場所で、彼女もまた、今後ファンの間で語り草となるであろう、圧巻のパフォーマンスを見せてくれた。

午前中から空には厚めの雲が浮かび、曇り模様だったこの日。もしや雨が降るのでは……という心配もあったが、ライブ開始時間となる17:30頃には、雲も晴れて青空が見えるようになり、傾きかけた太陽が野音のステージを明るく照らし出す。野外の開放的な空気に心を躍らせていると、オーケストレーションによる壮大なSEが流れ始め、バンドメンバーの奈良悠樹(ギター)、櫻井陸来(ベース)、北村 望(ドラムス)、岸田勇気(キーボード)が登場。客席は拍手と大歓声で迎える。

メンバー全員がそれぞれの定位置につくと、黒と青の大人っぽい衣装に身を包んだ鈴木このみが、颯爽とした足取りでステージ中央へ。微かに笑みを見せながら、だが芯のある表情を崩さない彼女は、野音での初ライブを意外な楽曲からスタートさせる。1曲目に選ばれたのは、劇場版アニメ『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』のテーマソングでもあるバラード「THERE IS A REASON」。イントロのしっとりとしたピアノが奏でられると、客席からは「おおーっ!」という驚きの声が上がる。まずはピアノとベースをバックに包容力のある歌声を響かせると、1番のサビからはドラムスとギターが加わり、彼女のボーカルも奥底にある熱を増していく。終盤ではその熱い想いを解放するかのように“We will always be together”と歌い、客席に向けて右手をゆっくり差し伸べ、握り、下ろす。自分はいつもファンと共にあるということを、いきなりの気迫溢れるパフォーマンスで伝えた彼女は、青空を見上げて、客席を見渡し、にこやかな笑顔を浮かべて野音ライブの幕を切って落とした。

そこから一転、「ついにここまでやってきたぜ! 最後まで楽しむ準備はいいですかーっ!」とオーディエンスを威勢よく煽った鈴木は、楽しさ全開のアップ「Join us」で会場を一気に盛り上げる。コール&レスポンスのパートもバッチリと決まり、1番のサビ終わりで思わず「最高っ!」と漏らす彼女。お客さんとの交歓に気持ちが高まったのか、曲終わりには両手を広げてグルグルと回る。さらに間髪入れず「Blow out」を畳みかけ、右足を蹴り出したりなどの全身を使ったアクションと吠え猛るようなフェイクでワイルドさをアピール。“全力で ぶっ飛ばしていけ”という歌詞そのままの暴れっぷりだ。続いて鈴木が初めて自分で作詞作曲したナンバー「夢へ繋ぐ今」へ。サビの“憧れ色の キミの空へ 繋ぐから”というフレーズで客席を指さし、改めてファンとの繋がりを確かめる。歌唱後、深々とお辞儀する彼女が印象的だった。

MCで「天気も無事に晴れてくれて、今、予想よりももっともっと気持ちいいです!」と喜びを露わにした鈴木は、「次は夏の曲を聴いてもらおうと思います」と語って、今夏にリリースされるKeyの新作PCゲーム『Summer Pockets』よりOPテーマ「アルカテイル」を披露。広げた手を華麗に揺らめかせて、まるで鳥が空を舞うように動きながら野音の青空へと声を届けていく。続けて蝉の声から始まる「東のシンドバッド」へと繋げ、客席に「みんな、大きな声出せそう?」と呼びかけて、疾走感あるバンドサウンドと共に一気に駆け抜けていく。そこから立て続けに激熱な「Redo」を投入し、オーディエンスはますますヒートアップ。盛大なクラップと「オイ!」という掛け声が野音の会場に怒号のように響き渡るが、鈴木のパワフルな歌声はその熱量をさらに上回るのだから凄まじい。

互いの熱気をぶつけあって最高の高みへと至った後は、ふたたびMCへ。客席からバンドメンバーの名前ばかりが呼ばれることに触れて「鈴木の名前呼んでくれな~い……」とお茶目なところも見せつつ、次の曲「Sky Blue OASIS」はこの野音公演のために作ってもらったタオル曲だと説明。「みんなの今日いちばんの頑張りどころかもしれません、みんなしっかり(タオルを)回せる?」と檄を飛ばし、勢いよくスタート。ここでなんと鈴木はステージを降りて客席へ。そのまま歌いながら移動し、客席中央に設けられた特設ステージに上がってパフォーマンスする。ステージの周囲360度をファンに囲まれ、手を伸ばせば触れられそうな距離に、思わず「近ーい!」と笑みをこぼす彼女。オーディエンスも予想外の展開に度肝を抜かれつつ、笑顔とタオル回しが止まらない。ラストはみんなでタオルを上空に放り投げ、鈴木が自身のタオルを客席に投げ入れるサービスもあった。

「360度みんなに囲まれてるね。背中から声を感じるって不思議な感じ(笑)」と喜ぶ彼女は「久々の曲、やっちゃいます!」と宣言して、スピーディー極まりない「Tomorrow’s best」へ。お客さんの「ウォウウォウウォウウォー!」という合いの手の声も高らかで、先ほどのタオルから持ち替えられたピンク色のサイリウムが、夕暮れで赤く染まりつつある空の色と合わさって美しい光景を生む。再び歌いながら移動してメインステージに戻った鈴木は、同曲の途中で一旦舞台からはけ、バンドの怒涛の如き演奏を挿んで戻ってくると、今度は赤黒のチェック柄の衣装にチェンジ。そのまま曲を引き継いでラストまで歌いきる。

オレンジ色に染まりつつある空の下、鈴木はスタッフから赤いボディーのアコースティックギターを受け取り、「ここからは一人でギターを弾きながら歌ってみようと思います」と語る。15歳だったデビュー当時からの軌跡を振り返りつつ、「今ここに立ってると、今がいちばん幸せだなと思います」と感謝する彼女。そんな今があるのは誰かと一緒に走り続けてこられたからこそであり、今後もまだまだ誰かと一緒に走り続けたい、そしてもし走るのに疲れた人がいたのなら、自分が手を引いて一緒に走りたい……夢へ向かって前進を続ける彼女の強い決意が表れた言葉に、会場からは自然と暖かな拍手が巻き起こる。

「私らしく歌で届けようと思います。これからのことと、みんなのことを思って」と告げた彼女は、「miss blue」を歌い始める。「DAYS of DASH」をはじめ数々の鈴木このみ楽曲を手掛けてきた白戸佑輔が作詞・作曲したこのナンバー。原曲はシンセと打ち込み主体の幻想的なダンスチューンだが、この日はギター一本で弾き語られることによって、メロディーに含有されたセンチメンタルなトーンが増幅。夏の思い出を懐かしむような歌詞と相まって、甘酸っぱくも眩しかった青春時代の叙景が浮かび上がる。鈴木の切々とした歌声、繊細に掻き鳴らされるギター、野外の空気と匂い、吹き抜ける風の音。野音というロケーションだからこその体感が、新しい思い出となって心に刻まれる。

歌い終わった後、「ありがとう」と簡潔に感謝の言葉を伝えた鈴木は、続いて「Love is MY RAIL」のサビ部分を弾き語りで歌い始める。優しく朗々とした歌声でサビの一節を届けると、ここでバンドの演奏が加わって「Love is MY RAIL」の印象的なイントロへ。鈴木はギターを下ろして「みんな行くよー!」と、畑亜貴×白戸佑輔コンビによる名曲をいつもの溌剌としたパフォーマンスで披露する。Dメロのダイレクトに直進してくるようなメロディーと“ああ…ただひたすら信じていたい”における力強いハイトーンは、この日もっとも胸が高鳴った瞬間のひとつ。ラスサビの“自分らしくあろうと 真っ直ぐに見た 夢の色は変わらなかった”という言葉の意味がさらに引き立つ。最後はお客さんの合唱も加わって、会場中の気持ちが一点に集中。鈴木はアウトロで右手を大きく突き上げ、人差し指をピンと立ててその気持ちを集約してみせた。

「こんな景色が見られるなんて思ってもみなかったです」とにこやかに感想を伝える彼女。「小学校1年生のときから、人生の3/4ぐらいは歌い続けてきて、いろんな出会いと別れを繰り返してきたけど、全部が今日のためだったんだなとすごく思います、本当にありがとう」と、感慨もひとしおのようだ。そして「これからマジックアワーを一緒に迎えましょう!」と呼びかけた彼女は、ここでGARNiDELiAが楽曲提供した新曲「My Days」を投入。ドライヴ感満点のサウンドと鈴木の裾を振り乱しての熱い歌いぶりに、オーディエンスもサイリウムを振って熱狂的に盛り上がる。続く「真聖輝のメタモルフォシス」でもその熱は冷めることを知らず、むしろどこまでも高まるばかり。鈴木の「そんなもんじゃないでしょ! もっともっとー!」という言葉に、全力で応えるお客さんたち。アーティストとファンとの強い絆が、ライブという特別な場所を通して可視化される。

空の色はいつのまにか濃さを増し、日没直後のマジックアワーと呼ばれる時間帯に。ここで自身が声優として主演するTVアニメ『LOST SONG』のOP主題歌でもある新曲「歌えばそこに君がいるから」のイントロが奏でられ、客席からは歓声が沸き上がる。鈴木と畑亜貴が歌詞を共作し、みずからの「歌う意味」と支えてくれる人々への思いを形にしたこの楽曲での盛り上がりは想像以上のもの。ステージの壁面にはスライドプロジェクターを使って、夕日の景色が映し出される。白戸佑輔のペンによるエモいメロディを力強い歌声でなぞりながら、時に身体をクルリと回したりする彼女は本当に楽しそう。ステージの下手から上手へと移動しつつ、会場にいるみんなの気持ちを受け止めて歌で返していく。

月が静かに輝くなか、「みんなのサイリウムが星みたいにキラキラ見えて、夢のような気分で気持ち良く歌ってます」と語る彼女。以前に野音でライブを観たときに夜の雰囲気が大好きだったので、今そのステージに自分が立っていることを思うと気持ちが滾ってくるという。「私も明日のことは考えない、みんなの持ってる力を全部ぶつけてください!」と煽り、ライブはラストスパートへ。「ありったけの声、全部ちょうだーい!」と叫んでライブの鉄板曲「Absolute Soul」でお客さんのハートに着火。この日最高潮ともいえる大合唱&コールの応酬に、夜の野音が熱く燃え上がる。続けて「鈴木このみ、投げキッスぶっ放しまーす!」と笑顔全開で「DAYS of DASH」を歌唱。客席のサイリウムはピンク一色、2番からはステージ壁面に街並みの風景が投影されて、<君と僕の世界>が表現される。

立て続けに披露された「Beat your Heart」では冒頭に銀テープが発射され、ライブの勢いは終盤に向けて右肩上がりに上昇していく。お客さんは途中の“1,2,3,4,5”というカウントパートを含め、統率の取れたコールで盛り上がり、鈴木の「今日いちばんのジャンプ見せてよー!」という声にも応えてみせる。そしてライブ本編のラストを飾ったのは、この日のバンドマスターである奈良と鈴木の共作曲でもある「Moment」。スタッフから手渡された赤いエレキギターを持った鈴木は、スタンドマイクを使って歌唱する。奈良と向き合ってのギター演奏もありつつ、ラスサビではステージ壁面に羽が降り注ぐ映像が映し出され、祝福感に包まれながら終幕を迎えた。

すかさず巻き起こった「このみん」コールが続くなか、突然オーケストラの優雅なサウンドが流れ始め、ステージには星座図が投影される。そして純白のロングドレスにお色直しした鈴木がゆっくりとステージ中央へと歩を進め、映画音楽のように壮大なナンバー「MY SHINING RAY」を歌い出す。たおやかな歌声を遥かなる夜空へと伸ばす彼女の姿は、まるで歌で人々を救うお姫様のよう。少し冷たい春の夜風が、白いドレスの手元についたフリルを静かに揺らす。ドリーミーで幻想的な光景に、客席も息を呑みながら、耳をそばだてて聴き入っていた。

鈴木はアンコールの1曲目にこの曲を選んだ理由について、「どうしても野外で「MY SHINING RAY」を、星空の曲を歌ってみたかったんです」と語り、その夢がかなったことに感謝する。そしてバンドメンバーを再度呼び込むと、自身はいったんステージ袖に引き返して、赤のツアーTシャツに赤のロングスカートという身軽な姿に早着替え。ここで改めて野音というステージに立てた喜びを伝えるが、ここで満足してるわけではないという素直な気持ちも吐露。「私はみんなとならもっと大きなステージに行けるって本気で思ってます。それこそ武道館とかアリーナでやってみたいと思うし、かなうって今本気で思ってます」と強い意志を滲ませる。そしてお客さんの喝采を浴びるなか、ここでファンクラブイベントの第2弾と、香港・台湾・中国大陸と日本各地を含む全8公演のアジアツアー〈Konomi Suzuki Asia Tour 2018〉の開催を発表。彼女の〈みんなのところに自分の足で会いに行きたい〉という願いが、この秋にかなうことになりそうだ。

そしてライブはついにラスト2曲。「次の懸け橋になるように、今日を思いっきり楽しみたいと思います」と語った彼女は、まずエモーショナルなコーラスパートを備えた「One day sky」で、こぶしを突き上げながら「ウォーオーオーオー」と声を交歓し合い、ファンと一緒にライブを作り上げていく。ラストには天を仰いで星を掴むようなアクションも見せ、夜空の下で歌っている今という時間を心から楽しんでいる様子だ。

この日最後に歌われたのは、彼女の代表曲のひとつで、TVアニメ『ノーゲーム・ノーライフ』のOPテーマだった「This game」。「私にもいろんなことがあるように、みんなにも毎日いろんなことがあると思います。それでも一緒に走っていきたいと思います。みんな一緒に走ってくれますか?」との問いかけに、盛大な声で応える客席。「ラスト、この思いを託します」という宣言通り、ひと際熱のこもった歌声でオーディエンスを牽引する鈴木。2番サビ終わりの“二人(じぶん)だけの道を 最後まで”というフレーズでは上体を反らし、驚異的に伸びるハイトーンで観る者のテンションをぶち上げる。ラスサビの“空白ならば 何者にもなれる 二人(じぶん)だけは 二人(じぶん)信じてる”とは、『ノーゲーム・ノーライフ』の主人公である空と白の兄妹に合わせたフレーズではあるが、この場においては“二人(じぶん)”が鈴木とファンの関係性を指し示すものであり、この曲に鈴木のファンに対する気持ちがストレートに託されていたのだろう。ステージと客席、お互いの気持ちをひとつに重ねて、鈴木このみ初の野音ライブは大団円を迎えた。

最後は「帰りたくない気持ちでいっぱいですけど」とこぼしつつ、「みんなとまた会うときは、もっともっといい自分でいたいと思います!」と元気いっぱいに挨拶してステージを去った鈴木。最新曲「歌えばそこに君がいるから」で彼女が歌詞にした“君がいるから ずっとそこにいて欲しいから歌いたいよ”という言葉は、彼女の「歌う意味」であり「生きる意味」そのものを表した言葉だと思うが、その「誰かと一緒に走り続けたい」という想いは、彼女の歌声を生で体感したすべてのファンが抱いた気持ちでもあると思う。こんなにもエネルギッシュで、素直で、華やかで、自分の気持ちをとことんぶつけてくれるシンガーならば、いずれ今回の野音よりも遥かに素晴らしい景色を見せてくれることは間違いないだろうから。

Text by 北野 創

“鈴木このみ 4th Live Tour 2018 ~Magic Hour~”ファイナル公演
2018年5月19日(土)東京・日比谷野外大音楽堂
<セットリスト>
THERE IS A REASON
Join us
Blow out
夢へ繋ぐ今
アルカテイル
東のシンドバッド
Redo
Sky Blue OASIS
Tomorrow’s best
miss blue
Love is MY RAIL
My Days
真聖輝のメタモルフォシス
歌えばそこに君がいるから
Absolute Soul
DAYS of DASH
Beat your Heart
Moment
アンコール
MY SHINING RAY
One day sky
This game

●ライブ情報
「Konomi Suzuki Asia Tour 2018」
9月24日(月・祝) 東京・豊洲PIT(開場16:00 /開演 17:00)
9月29日(土) 香港・Music Zone@E-Max
10月7日(日) 台湾・Neo Studio
10月某日 中国大陸 予定
11月4日(日) 宮城・HooK SENDAI(開場16:30 / 開演17:00)
11月10日(土) 北海道・札幌COLONY(開場16:30 / 開演17:00)
12月1日(土) 岡山・YEBISU YA PRO(開場16:30 / 開演17:00)
12月2日(日) 福岡・DRUM SON(開場16:30 / 開演17:00)

東京公演:前売¥5,900/ 当日¥6,400 ※席種:全席指定
鈴木このみ OFFICIAL FC 会員限定1次先行受付:5月19日(土)21:00~5月31日(木) 18:00 (抽選)
一般発売日:2018年7月21日(土)

宮城・北海道・岡山・福岡:前売¥5,400/当日¥5,900 ※席種:オールスタンディング
鈴木このみ OFFICIAL FC 会員限定1次先行受付:2018年8月20日(月) 15:00 ~ 9月7日(金) 18:00 (抽選)
一般発売日:2018年10月13日(土)

企画/制作:MAGES./LIFE

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