TVアニメ『あまんちゅ!~あどばんす~』音楽担当・GONTITIインタビュー

伊豆半島を舞台に、高校のダイビング部に所属する少女たちの日常を描く青春ストーリー『あまんちゅ!』。そのTVアニメ第2期となる『あまんちゅ!~あどばんす~』が、今春より好評放送中だ。時の流れを忘れてしまう程のゆったりとしたムードが魅力の本作において、第1期から継続して劇伴を担当しているのが、今年で結成40周年を迎えたアコースティックギター・デュオのゴンチチ。その時代もジャンルも超越したリラクシンサウンドは『あまんちゅ!』の世界観に欠かせないものとなっている。同作のサントラをリリースするふたりに、『あまんちゅ!』との素敵な出会いについて語ってもらった。

――おふたりは『あまんちゅ!』という作品について、どのような印象をお持ちですか?

チチ松村 僕も昔にパラオでダイビングの免許を取ったことがありまして、おととしのアニメ(『あまんちゅ!』のTVアニメ第1期)を観ていたら、免許を取っていく過程を思い出しましたね。溺れそうになったりとか、いろいろ苦労があったんですけども(笑)。でも、観ていたら若い頃に戻れる感じがしますよね。心がゆったりしますし、(キャラクターから)発せられる言葉にもドキッとするようなフレーズがあったりして。

ゴンザレス三上 僕たちは、第1期の音楽をやる以前はこういったアニメにあまり親しんでなかったので、最初はどのように感情移入したらいいのか難しかったんですけど、今回の第2期を観てるとなんとなくわかってきまして。歌舞伎や文楽にしても、最初はよくわからない部分がありますけど、そこに入り込んでいくうちに語法がわかってくるようなところがあるじゃないですか。それと同じで、1期は物語自体を説明しないといけない要素がたくさんありましたけど、2期は制作されてる方の叙情のようなものがドスンと前に出てきたような気がして、僕たちも物語のなかで表現したい核のようなものを何となくわかってきたんですね。結局、何でも語法は違いますけど、表現したいものはわりと似通った部分があるということがわかって安心しましたし、そういう意味で2期は1期よりも近く感じましたね。

――1期の作業で作品の性質を把握したうえで、今回の2期の制作に取り組まれたかと思いますが、全体的なコンセプトのようなものはありましたか?

三上 1期の時は『あまんちゅ!』がどんな作品なのかを説明するような明るさを多く求められたんですけど、2期では最初の段階で「しっとりめのもの」ということを言われました。内省的というか内側に入る感じ、弾けたものよりもバラード主体というお話だったので、そういう曲作りにしてます。

――たしかに前作には賑やかな楽曲が多くありましたが、今回は全体的にロマンチックな曲調が増えている印象を受けました。具体的にはどのように楽曲制作を進めていかれたのでしょうか。

松村 まず「こういう場面でこういう曲がほしい」という指定で新しい曲を作ったのと、1期で使った曲の別バージョンというお話をいただきました。ただ、「こういうアレンジにしてほしい」と提案されたときに「それはちょっと無理ちゃうかな?」と思うものもあったんですよ。もともとはワルツだった「landscape」を「4ビートに変えてほしい」と言われたときは「えぇっ!」ってなりましたから(笑)。でも、それを何とか形にして楽しんだ部分はありますね。

三上 前作でテーマ曲的に使ってた「海と空と太陽と」と「landscape」も大編成のオーケストラで録り直したりしたので、作業的には濃かったですね。自分の作った曲ともう一回向き合わされたので、結構厳しいものがありましたけど(笑)。特に「海と空と太陽と~epilogue~」には僕たちの演奏が入ってないんですけど、今まで自分たちの楽曲が自分たちのまったく関わってない状態でフルオーケストラになる経験がなかったんです。だから新鮮でしたし、「あのメロディがこういうふうになるのか」という感動はありましたね。この曲の仕上げがいちばん最後ぐらいだったんですけど、自分たちのゴンチチハウスというスタジオでミックスダウンしながらちょっと泣きそうになりましたから(笑)。

――結成40周年にして新しいことにも取り組めたわけですね。

三上 今回はそういうことが多いですね。

松村 今までといちばん違うのは、曲が多いということですね(笑)。これまでも映画音楽であったり、アニメであれば『ぼのぼの』(1993年公開の劇場版)とか『ヨコハマ買い出し紀行』(1998年のOVA)の音楽を作りましたけど、曲数はそれほど多くなかったんですよ。『あまんちゅ』はすごく多かったので堪えました(笑)。これがひとりなら大変でしたけど、僕らはふたりいるので良かったなあと思いますね。

三上 最初にどの曲を担当するか大体分けてますから。今回だと新曲系はしっとりしたものが多かったので松村さんの方が多めで、僕は前からある曲を変えたりすることが多かったですね。

――新曲は使用されるシーンを想定して作っていかれたのでしょうか?

三上 シーンというよりも「派手やかなもの」とか「山が描かれてる」とか、そういうちょっとしたコメントをいただきまして、そこからイメージして作った感じですね。

松村 僕らは実際にお話がどうなっていくのかはわからないまま作ったんですよ。なのでアニメを観てるときも「ここでこの曲が使われるのか」と思いながら楽しんでるんです。それと、僕らの昔の曲を例に出していただいて「こういう感じの曲を作ってほしい」という指定が多かったので、僕らとしてはやりやすかったですね。

三上 年だけは重ねてきてるので、曲はいっぱいあるんです(笑)。もちろんその曲と同じものは作らないですけど、求められてるもののテイストがわかりやすいというのはありましたね。

――そういえば、三上さんはツイッターで『あまんちゅ!~あどばんす~』での音楽が挿入されるタイミングに触れて、佐藤順一総監督と音楽演出の佐藤恭野さんのセンスについて絶賛されてましたね。

三上 もともと間合いのセンスがおありなんだなと思いましたし、僕たちは楽曲をお渡しするときにパートごとの音も全部データでお渡ししてるんですけど、それを抜き差しして上手に使ってくれてるのを聴くと「僕らよりアレンジセンスあるんちゃうか」と思うぐらいで(笑)。そういう意味では、僕らの曲をそのまま貼って使う感じではなくて、映えるようにしてくれてるというか、調理していただいてる感じはありますね。そういうセンスは2期になってより濃厚になっているように感じますし、すごくありがたいです。

この記事を書いた人