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INTERVIEW

2018.05.31

TVアニメ『あまんちゅ!~あどばんす~』音楽担当・GONTITIインタビュー

――今回のサントラには全25曲を収録していますが、前作でも多数のアレンジが制作されたメインテーマ的な楽曲「海と空と太陽と」は、フルオーケストラでリアレンジされた「海と空と太陽と~epilogue~」に加えて、ピアノの独奏による「海と空と太陽と~piano tune~」というバージョンもあります。

松村 この曲は、僕たちがすごく信頼してる黒木(千波留)さんというピアニストの方にお任せしました。自分の思った間で弾いてくださったんですけど、すごく世界ができるんですよ。

――前作のサントラに収録された「new waltz」も「old-fashioned waltz」という曲にリアレンジされていて、だいぶ印象が変わりました。

三上 それは(映像との)尺を合わせるために「もっと遅くしてほしい」と言われて作ったんです。(尺を)伸ばすとバイオリンの弓の感じもギリギリになるので、僕は心の中で「そんなに伸ばしたら良くないなあ」と思いつつやってみたんですけど(笑)、出来を聴くと曲の新たな側面というのがあって、全然違うものになっておもしろかったですね。伸ばした方が曲の持つ純度みたいなものが良かったりして、この年になっても勉強させていただく部分が多かったです。制約があるがゆえの新しさというか。

――個人的には「old-fashioned waltz」などに昔のムード音楽のような雰囲気を感じたのですが、そういうものを意識されたりは?

松村 それは三上さんがムード音楽好きなので。

三上 コードとかもすごく影響を受けてると思いますね。僕は昔おじさんと一緒に住んでたんですけど、その人がムード音楽の大家みたいな人で、毎夕方に家のステレオでマントヴァーニからベルト・ケンプフェルトまで、ムード音楽しかかけない人だったんです。そういうのが身体に染みついてるんで、ストリングスが入る曲はそういうふうになってしまうというのはあるかもしれませんね。

――それと新曲のなかには、80年代のゴンチチ作品を彷彿させる楽曲があるのも印象的でした。ちょっとコミカルな「AneChan」は、シンセベースの響きなどが「STRANGE SOCKS」(1988年のアルバム『In the Garden』収録)を思わせるもので。

三上 それ、よく見抜きましたね。そういうことなんですよ(笑)。

松村 まさにそれみたいな曲がほしいと言われたんです。

三上 曲は曲としてあったんですけど、アレンジはベースライン的なものが「ああいう音が好きです」というお話だったので、じゃあそうしましょうということで。

――「CHAKOMON」も打ち込みのビートとトイピアノ風の音色が印象的で、初期の作品を思い出しました。

三上 それもどの曲とは言わないけど当たってますね(笑)。メロとかはまったく違うんですけど、雰囲気としてはなんとなくわかるようにはしてます。

――そういう意味では、昔からのゴンチチファンの方も楽しめる作品になってますよね。

松村 そうですね。「これはどの曲?」って当てるクイズを出したいぐらいです(笑)。

一同 ハハハ(爆笑)。

――「ゴンチチ カルトクイズ」ですね(笑)。それと個人的には、おふたりのギター演奏のみによる「夕涼み」が風情たっぷりでお気に入りです。

三上 これも1期の「マジックタイム」という曲をものすごくゆっくり弾いてるんです。もともとはこの倍ぐらいの速さだったんですけど、また違う表情が出たので、ゆったりしてる方が良かったかもわからないですね(笑)。これも最初は「できるかなあ?」という感じで心配だったんですよ。速いと音足も短いですし、リヴァーブ感も短くなるので、ハーモニーがぶつかって濁ってもあまり気にならないんですけど、ゆっくりになると、それが白日の下にさらしたような状態になるので「これで大丈夫かな?」と思ったんです。でも、こうやって聴いてみると様になってますし、自分たちとしても自信ができて良かったですね。

松村 これも言われてやもんね。だから今回はある種、いろんな曲を実験させていただいてる感じですよね。自分たちではやらないようなことをやって、新たな発見があるっていう。

三上 やっぱり制約というのは大事なものでね。僕たちも昔は自由に作るのがいちばんだと思ってましたけど、そうではなくて制約のもとの自由というのもありますからね。そういう意味で制約が必要なんだとすごく思いましたし、いろんな人の言うことを聞いてみようと思いましたね。昔はほとんど聞いてませんでしたから(笑)。僕らみたいなギターデュオはどうしたらいいかなんて誰もわからなかったので。

松村 アドバイスできる人がいないですから。

三上 先達がいないので自由自在にやってたんですけど、今回はいろんな人の意見を聞くことの重要さを勉強させていただきましたね。自分の曲の違う面を知るということですから。本当は活動10年目ぐらいでわかってないといけないんですけど(笑)。

――そういう意味でも『あまんちゅ!』との出会いは、おふたりにとっても素敵なものだったのでは?

三上 そうですね。曲のいろんな面を見ることができましたし。

松村 曲もたくさんできましたから(笑)。アニメのファンの方とか、聴いてくださる層も広がったんじゃないかと思いますしね。20歳ぐらいの方が「良い音楽だなあ」と思って聴いていただけたら、すごくうれしいです。

――あらためて、ゴンチチにとって今回のサントラはどういう作品になりましたか?

松村 僕らはアニメやサントラだからということは意識してなくて、できることしかできないので、今回もひとつのゴンチチの作品になったと思います。また僕らの作品がひとつ増えたなという感じですね。

三上 それと先ほど言ったように、今回は制約がたくさんある中から育った楽曲というか花みたいなものなので、僕たちがこれまであまり経験してなかったことに遭遇してますね。今までは自分たちだけでこだわりを持ってやってきましたけど、制約の中で今までと違うものが生まれて、自分たちの曲を客観的にゆっくり聴くことができたのはありがたいです。

Interview&Text By 北野創


●リリース情報
TVアニメーション『あまんちゅ!~あどばんす~』
オリジナルサウンドトラック
音楽:GONTITI

5月30日発売

品番:VTCL-60471
価格:¥2,900+税

<CD>
1. 海と空とウクレレと〜prologue〜
2. 海と空と太陽と〜sunshower〜
3. 夜明けのギター
4. AneChan
5. Ensemble of Landscape
6. エーデルワイス
7. 学園祭の準備
8. 海と空と太陽と〜piano tune〜
9. ありがとう
10. 幻想のカノン
11. Tieleusha / 窪田ミナ feat. MIYUU & MASUMI(Mistera Feo)
12. CHAKOMON
13. old-fashioned waltz
14. 今日の終わりに
15. 温泉日和
16. Skin-Dive
17. 恋心
18. 流れ星にお願い
19. Structure of Landscape
20. きっと会える〜その日まで〜
21. 夕涼み
22. 幸せの達人
23. 言いたかったこと
24. 出会いと別れ
25. 海と空と太陽と〜epilogue〜

all tracks composed & arranged by GONTITI
except track 11 written, composed & arranged by 窪田ミナ
track 2〜6, 9, 13〜15, 17, 19, 25 arranged & strings arranged by 菅谷昌弘
track 8, 23 piano arranged by 黒木千波留

●作品情報
TVアニメ『あまんちゅ!~あどばんす~』
放送中
AT-X 毎週土曜日23:00~
TOKYO MX 毎週日曜日23:00~
BS-11 毎週火曜日24:30~

©2018 天野こずえ/マッグガーデン・夢ヶ丘高校ダイビング部

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