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INTERVIEW

2018.05.22

オーイシマサヨシ4年ぶりのシングル!TVアニメ『多田くんは恋をしない』OPテーマ「オトモダチフィルム」インタビュー

オーイシマサヨシ4年ぶりのシングル!TVアニメ『多田くんは恋をしない』OPテーマ「オトモダチフィルム」インタビュー

実に4年ぶりとなるオーイシマサヨシのシングル・リリース。今回はアニメ『多田くんは恋をしない』のオープニング曲「オトモダチフィルム」で久々にその歌声を聴かせる。そんな「オトモダチフィルム」について、そして思い入れも深い『多田恋』への想いも含め、直撃した。

――オーイシマサヨシ名義でのリリースは実に4年ぶりとなります。非常にご活躍されているイメージだったので、その事実に驚きました。

オーイシマサヨシ そうなんですよ。作家としては、「A3!」を含めていろいろと露出もあったりしておりまして、水面下でいそいそと仕事はしていたものの、カタカナ名義としては4年ぶりのリリースとなりました。

――4年ぶりの個人名義の歌唱作品の制作となると、心持ちも4年前とは変わって来るのではないでしょうか。

オーイシ 気合はたしかに入っていましたね。『多田くんは恋をしない』が、4年前にオーイシマサヨシとしてデビューさせていただいたときに「君じゃなきゃダメみたい」というオープニング曲を歌わせていただいた『月刊少女野崎くん』というアニメのチームがまたもう一度集まって制作する作品ということで、そのチームにもう一度入れていただけるという喜びもありましたし、貢献したいなぁ、という気持ちもすごく強かったので、すごく気合は入っていましたね。

――その4年間。ご自身の中ではどのような変化や変遷があったとお感じになりますか?

オーイシ オーイシマサヨシ名義でリリースがなかったとは言うものの、Tom-H@ckとのユニット、OxTとしてのリリースや活動がたくさんあったり、提供曲でヒットソングとなった楽曲を作らせてもらったりもしていたので、自分の作ってきたものに対する自信や、そんな楽曲たちの価値を付加したうえで、『多田くんは恋をしない』のオープニングが作れたらいいかなぁと思いましたね。なので、『月刊少女野崎くん』のときとは違うことがひとつありまして。『月刊少女野崎くん』のときには、「無名の新人が放つオープニング主題歌」みたいな感じだったと思うんですね。でも今回は「オーイシマサヨシが4年ぶりに放つテレビアニメオープニング曲」というところがあるように感じるんです。多分、看板の掛かり方が、自分が背負っている看板の大きさも含めて、4年前とは全然違うものだと思うので。自分としてはそのことを大きく意識はしていました。だからいい意味で、例えば、「オーイシマサヨシが歌っているからその作品を観よう」という入口になれたらいいなと思いましたし、実際にその現象は起きているようなので、それがうれしいなと思っています。

――オリジナルアニメなだけに入口は大きく拡げていきたいですよね。

オーイシ そうなんですよ。原作が存在しないんです。もちろん監督のファンであったり、キャラデザのファンであったり、シナリオのファンや声優さんのファン、いろいろな入口があると思うんですけど、その中のひとつの要素に僕がなれたらいいなとも思いましたね。

――『月刊少女野崎くん』もそうでしたが、大石さんがテーマソングを作るラブコメに外れなし、なんて声も聞こえてきます。

オーイシ アニメファンの方に言っていただけているようですよね。光栄です。

――今や、大石節が街を席捲するときだってあるだけに、大石さんの楽曲に対するその評価もうなずけます。

オーイシ それもこの4年で大きく変わったことですね。「大石節」という言葉が誕生していることにだって驚きですから。「イントロ2秒で大石とわかった!」というような評価もしていただいていますしね。

――個性やカラーが表に出てきていますよね。

オーイシ 「アイツ、色濃いなぁ」「キャラ濃いなぁ」とか思われているんでしょうか(笑)。ありがたいですけど。でもそれが個性なんですよね。そういう意味ではこの4年間でアニメソングファンの皆さんに、そういうブランドを提案し続けることができたのかなと思いますね。「2秒聴いたら大石とわかる」ということはつまり、過去の作品含めて僕の作品をたくさん聴いてくださっていたり、皆さんの耳へ届いている、ということですから。なのでそこは誇らしいです。自分の今までのワークスを褒めたいなと思います。

――そのワークスのカラーを存分に発揮できたのが今回の楽曲「オトモダチフィルム」かと思います。楽曲の生まれるとっかかりとなった『多田くんは恋をしない』という作品に対してはどのような印象をお持ちですか?

オーイシ ひと言でいえば、ラブコメですね。毎話毎話、キュンキュンするんです。『月刊少女野崎くん』よりもキュンキュンの要素が多いですよね、『多田くん』は。『月刊少女野崎くん』もたしかにキュンキュンしたんですけど、あっちは笑いの要素の方がすごく強かったんですよ。原作では4コマで描かれているこの物語は、どちらかというと「コメディ7:ラブ3」みたいな配分だったんです。それが『多田くんは恋をしない』は反転していて。「ラブ7:コメディ3」みたいな感じに毎話展開していっている。ついクスクスと笑ってしまうけれど、しっかりキュンとさせるポイントが各カップルの元で行われる。ラブコメという言葉に対して誠実な物語だなと思います。僕も毎週、まんまとキュンキュンさせられています。

――男子も胸キュンするアニメ『多田くんは恋をしない』!

オーイシ 男子もキュンキュンするでしょう!僕ね、今期のアニメの覇権妹キャラは多田ゆいちゃんだと思っているんです。覇権獲ったでしょう。そうでなくても、妹キャラとしてはかなり上位に食い込んでいるはず。そんなかわいいキャラや個性的なキャラクターがたくさん出てくる良いアニメだと思っています。

――そのアニメのために作られた「オトモダチフィルム」ですが、制作では特にどのような部分を意識して作られたのでしょうか。

オーイシ 実は最初に作った曲があって、この「オトモダチフィルム」はその次に作った曲で。要は第二稿なんです。最初はまったく違う曲を提出していたんですね。それはラブコメの楽曲ということで作ってアニメの制作サイドに投げたら「ちょっとコミカル要素が強すぎます」って言われて。「ん?でもラブコメですよね?」と思ったんですが、原作がないものですから、シナリオを改めて読まさせてもらったところ、先ほどもお話したようにラブの要素の強いラブコメだと思って。コミカル要素をなくして、ラブに寄せて、普遍的な告白ソングのようなものを作ってみようかなと着手した結果出来たのがこの「オトモダチフィルム」だったんです。でも告白ソングではあるんですけど、制作サイドからは「ポップで踊れる曲にして欲しい」という発注もいただいていたので、この形になりました。

――ストリングスが華やかですが、やはりバンドサウンドでのポップ感がまた大石節ですよね。

オーイシ バンドが好きなんでしょうね、僕(笑)。今回はストリングスも自分で書かせてもらって、本当に全部のアレンジを自分でやっているので、自分色に染まったなという感覚はあるかな。意外と手間暇掛かったな、と思っていますね。

――特にこの物語だからこそ出てきた最強のフレーズというと?

オーイシ どうなんでしょうね。今回は全体的にカメラがモチーフになっていまして。『多田くん』も写真部のお話だったりもするので、カメラについて一度自分で考えたところがありましたね。「写真に撮る」という行為自体が、「思い出を作る」「思い出を形に残す」っていう行為ですが、慣用句的に使われるのが「写真に撮った瞬間にその瞬間が過去になる」というか。時間を切り取る機械、ということをよくカメラを表現するのに使われると思うんですけど、誰しもが「思い出にしてしまった過去」というものを持っていると思うんです。例えばこの曲の中だと、言いたいことが言えずに終わってしまった過去とか、高校時代にあの子に気持ちを伝えておけばよかった、とか。勇気があったなら、というような心の中にしまい込んでいる過去のフィルムみたいなもの。誰しもが持っていると思われるそのあたりを題材にして書いたところはありました。自分ももちろん「あのときこう言っておけばよかった」ということはたくさんありますし、その前にちゃんと「伝えたいことがあるんだよ」っていう歌にした、という感じですね。

――普遍のものだからこそ、多くの人に伝わる想いがこの曲にはありますね。

オーイシ カメラってやっぱり、昔からある機械で。そこには普遍的な哲学とかもあったりする。そこがポップソングに乗って紐解けたらいいかな、という感じはありました。

――その話題曲「オトモダチフィルム」のカップリングには、『月刊少女野崎くん』の「君じゃなきゃダメみたい」に続く“君シリーズ”第二弾の「ぜんぶ君のせいだ」が収録されています。この曲もキュンキュンしていて、『多田くんは恋をしない』っぽさもあるなと感じます。

オーイシ そうなんですよ。実は先ほどお話した『多田恋』主題歌の第一稿がこの曲だったんです。これもいいじゃんってことで、今回収録しました。この曲は一番のサビと最後のサビを繋げたらちょうどTVサイズの1分半になります。黄金の89秒がここで完成しているんです(笑)。アニメサイドの意図もあって、「オトモダチフィルム」で決まったんですが、個人的にはこの曲もA面で出してもおかしくないと思って作った曲ではあるので、気持ちとしては両A面シングルくらいの気持ちです。こういう曲って得意分野でもあるので、どんどん生まれてきちゃうんですけど、的の種類の違いみたいなものが今回はあったので、いい意味で勉強させてもらいました。

――でもこの「ぜんぶ君のせいだ」も『多田くんは恋をしない』というモチーフと出会わなければ出来なかった奇跡の一曲だと感じるので、両方を合せて聴けるこのシングルはとても素敵な一枚ですね。

オーイシ そうそう。だからこの曲はどうしてもシングルに入れたかったですし、第一稿なんだよ、ということも含めて楽しんでもらえると思うんです。例えば僕の、クリエイターとしての面に興味を持っておられる方がいれば、こんな変遷で楽曲が出来ていくんだ、というふうに聴いていただけるかなとも思うので、カップリングに敢えてこの曲も収録しました。「オトモダチフィルム」はカメラに焦点が当たっているんですが、「ぜんぶ君のせいだ」に関しては恋に焦点が当たっている感じですね。だからふたつとも『多田恋』の主題歌、と言っても普通に通用するくらいのクオリティだと思います。

――では最後にそんなシングル「オトモダチフィルム」をレコメンドしてください。

オーイシ いい曲です。MVがYoutubeで公開されていまして、中には全編踊っている特別バージョンも公開されているので、ぜひ一緒に踊って楽しんでもらえたらいいなと思っています。本人的にも踊っていてめっちゃ楽しいので、この楽しさを皆さんにも味わっていただきたいと思っています。このダンス、振り付けは星野 源さんの恋ダンスを振りつけたELEVENPLAYさんにお願いしているので、変わっているけど、簡単で面白い振り付けになっています。なので歌ってもいいし、踊ってもいいし、いろんな形でこの曲が世の中に広がっていってくれたらうれしいです。僕はほぼ踊りはやったことがなかったですが、すごく楽しかったので、初めてだからと躊躇せずに、一緒に踊りましょう!

Interview&Text By えびさわなち


●リリース情報
TVアニメ『多田くんは恋をしない』OPテーマ
「オトモダチフィルム」オーイシマサヨシ
5月23日発売

品番:ZMCZ-12024
価格:¥1,200+税

<CD>
1「オトモダチフィルム」
作詞・作編曲:大石昌良
2「ぜんぶ君のせいだ」
作詞・作編曲:大石昌良
カラオケ含む、計4曲収録

●ライブ情報
「仮歌ワンマンツアー 2018」
6月28日(木)梅田クラブクアトロ
OPEN 18:00/START 19:00
6月29日(金)名古屋Electric Lady Land
OPEN 18:15/START 19:00
7月5日(木)TSUTAYA O-EAST
OPEN 18:00/START 19:00
【追加公演】
7月6日(金) TSUTAYA O-EAST
OPEN18:00 / START19:00

©TADAKOI PARTNERS

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