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2017.05.03

春奈るな「ステラブリーズ」レビュー

春奈るな「ステラブリーズ」レビュー

TVアニメ『冴えない彼女の育てかた♭』OPテーマとなる10thシングル。青春の躍動感が爽やかに広がる「ステラブリーズ」、ピアノロックな青春ラブソング「恋するポンパドール」、切ないバラード「アイコトバ」を収録。

2015年1月から3月にかけて放送されたTVアニメ『冴えない彼女の育てかた』。その第2期となる『冴えない彼女の育てかた♭』が2017年4月より放送されている。

第1期のOPテーマ「君色シグナル」に引き続き、第2期のOPテーマ「ステラブリーズ」を春奈るなが担当。青春の躍動感が爽やかに広がるポップなナンバーに仕上がっている。春奈るなにとって10枚目となるこのシングルにはタイトル曲「ステラブリーズ」のほか、ピアノロックな青春ラブソング「恋するポンパドール」、切ないバラード「アイコトバ」を収録している。このシングルのリリース前日、2017年5月2日に春奈るなはちょうどデビュー5周年を迎えており、今作はそれを祝すアニバーサリー・シングルのようでもある。

「ステラブリーズ」

作曲は、杉坂天汰とツカダタカシゲ。ツカダタカシゲは、every♥ing!「君の*Favorite*」(作曲・編曲)、「サクライロ」(編曲)や、ELISA「Rain or Shine」(TVアニメ『91Days』EDテーマ。伊原シュウと共同作曲)などの楽曲に携わっている。杉坂天汰はツカダタカシゲとともに楽曲制作に参加することが多く、作詞を手がけた春奈るなの「Windia」(PS4/PSVita用ソフト『ソードアート・オンライン ―ホロウ・リアリゼーション―』OPテーマ。9thシングル)には、ツカダタカシゲがアレンジャーとして加わっている(作曲は伊原シュウ)。そして、作詞を春奈るなが担当している。

バンド編成によるポップなサウンドは、仲間たちとの一体感を表わすかのようにちょっと力強く、なんだか頼もしくさえもある。またキメを差し込みながら、ビートを刻み込みサビへと繋ぐブリッジは、もっと前へと促すように躍動的で、夢を追い続ける彼らのことを後押ししているみたいだ。「君色シグナル」よりも、さらに突き進むサウンドが爽やかな開放感を呼び起こす。ハイレゾは低域が整理されたすっきりとした音の印象で、この曲のポイントとなるアクセントの強弱を最大限活かしながら、でもヴォーカルの妨げにはならない、程よいバランスを保っている。

“いつだって”の言葉を入れたり、“もっと もっと” “どこまでも どこまでも”など言葉を繰り返したりと、「君色シグナル」のイメージを取り入れつつ、そこからさらに広がりを増した歌詞からは、ある変化が感じられる。それは、「君色シグナル」の“だけど踏み出すための勇気は 少しだけ まだ遠くにある”が、「ステラブリーズ」では“ひとつひとつ 重ねてきた世界へ しゃんと胸を張って 踏み出すんだ”と変わっているように、以前よりも積極的な姿で描かれているのだ。相変わらずのドタバタを繰り返し、変わらないようでいて、でも少しずつ変わっていく主人公たち。そんな彼らの成長も伺えるような歌詞となっている。

その成長に呼応するかのようにヴォーカルはちょっと大人っぽく、温かく見守るかのような優しい雰囲気。またサビの“誰よりも 隣にいるから”には、さらに距離が近づく、親密さを感じさせる。そして、「君色シグナル」に引き続き、今回もまた後半に愛らしいセリフが入っているのがうれしい。

「恋するポンパドール」

作詞・作曲は、おぐらあすか。TVアニメ『干物妹!うまるちゃん』OPテーマ ・土間うまる(CV:田中あいみ)「かくしん的☆めたまるふぉ~ぜっ!」、TVアニメ『三者三葉』OPテーマ・とりぷる♣ふぃーりんぐ(和久井 優・金澤まい・今村彩夏)「クローバー♣かくめーしょん」や、三森すずこ「Xenotopia」(TVアニメ「聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ」EDテーマ)などを手がけている。編曲は、「Overfly」「Startear」など、春奈るなのヒット曲を生み出してきたSaku。このシングルにはSakuが作詞・作曲・編曲を担当したバラードナンバー「アイコトバ」も収録されている。

さらに広く青春のイメージを追い求めた「ステラブリーズ」に対して、“教科書”や“放課後の校庭”、“通学路”といった言葉を織り込み、より学園青春のイメージに近づいた「恋するポンパドール」。歌詞は、“花びら舞うあの坂道”や、“車窓臨む公園の中 通り過ぎた君の影”など、その光景がぱっと目に浮かぶような具体的な描写をしている一方で、“ミルクの渦とシロノワール”のフレーズだけでふたりが喫茶店にいることを示したりと、場面によってその描き方を変えている。そのちょっとあと、さらに重ねるように、“夢に溶けた君の声”という語句を用いてこの曲のテーマである「甘い恋」を連想させたり、また“すれ違う二人のココロの面影”が、なぜ“路面電車”にかかっているのかを後半明らかにしたりと、離れた文脈の言葉をイメージで繋ぎあわせる仕掛けも面白い。

歌詞はやや穏やかな雰囲気を漂わせながらも、高まる胸の鼓動を表わすものか、ピアノロックなサウンドのBPMは思ったよりも速く、なるほどたしかに青春らしい。そこを楽器の音色やアレンジでメロウな方向へと舵取りし、夕暮れに染まるふたりの帰り道をちょっぴり切なく照らし出している。時たま意外な展開が現れるのがおぐらあすかならでは。ハイレゾではその凝ったサウンドを解像感がさらに鮮やかに描き出している。ヴォーカルは甘さを加えたガーリーなイメージ。秘めた“キモチに気付いて欲しい”女の子のいじらしさをキュートなニュアンスで表現している。

春奈るな
ステラブリーズ

Sony Music Labels Inc.
2017.05.03

FLAC 96kHz/24bit

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 収録曲

 1.ステラブリーズ
   作詞:春奈るな 作曲:杉坂天汰・ツカダタカシゲ 編曲:ツカダタカシゲ

 2.恋するポンパドール
   作詞・作曲:おぐらあすか 編曲:Saku

 3.アイコトバ
   作詞・作曲・編曲:Saku

 4.ステラブリーズ (Instrumental)

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