「MY LIBERATION」「DREAMCATCHER」「Bull’s Eye」などシングル曲に、新曲8曲を加えた全12曲を収録。デビュー5周年を迎えるナノの4thアルバム。

ナノの2年4カ月振りとなるアルバム『The Crossing』。「MY LIBERATION」（TVアニメ『チェインクロニクル』オープニングテーマ）、「PARAISO」（劇場版『チェインクロニクル』エンディングテーマ）、「DREAMCATCHER」（TVアニメ『魔法少女育成計画』エンディングテーマ）、「Bull’s Eye」（TVアニメ「緋弾のアリア」エンディングテーマ）、これら4つのシングル曲と、新曲8曲を合わせた全12曲を収録。

WEST GROUND、中西航介、buzzG、ゆよゆっぺ、Powerless、重永亮介、龍田洪、MY FIRST STORYのSHOが参加し、ナノ自身が作曲を手がけた「Milestone」も収録されている。CDはミュージックビデオを収録したDVD付の【NA ver.】、シングルのカップリング曲と「GALLOWS BELL」のアコースティック・ヴァージョンを収録したCD付の【NO ver.】、通常盤の3形態でリリース。ハイレゾは通常盤の収録曲に準じた配信となる。

「The Crossing」

リードトラックとなるアルバムの表題曲で、「SAVIOR OF SONG」（TVアニメ『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』オープニングテーマ）でコラボレートしたMY FIRST STORYのSHOが、「HolloWorld」（シングル『DREAMCATCHER【ナノver.】』収録）に続き、作曲・編曲を担当している。

立ち込める霧のようなSEを切り裂いて始まるギターの轟音と、透き通ったピアノの旋律が絡み合うエモーショナルなナンバー。激しさと切なさが入り交じるドラマチックな展開の中、メロディの美しさが際立つ。どこまでも駆け抜けるような躍動的な演奏に、オーディエンスのシンガロングを誘うコーラスが一体となり、昂揚感がいっそう増していく。ハイレゾではたたみ掛けるように迫ってくるドラムと、煌めきを放つピアノの音色が印象的だ。

心の葛藤や苦しみを歌ってきたナノだが、今回はこのテーマをさらに突き詰めている。歌詞には揺るぎない信念が込められており、ひとつひとつの言葉が持つ意味が深い。儚い情景とそこから生まれる人間の限りない強さを描き出すナノの歌声はときにはこみ上げるように、内なる慟哭が表われた“The crossing is here”のフレーズが心を激しく揺さぶる。

ナノがオープニングテーマを担当したTVアニメ『BTOOOM！』で主人公・坂本竜太を演じた、俳優の本郷奏多を起用した「The Crossing」のミュージック・ビデオも公開されている。

「DREAMCATCHER」

2016年10月より放送されたTVアニメ『魔法少女育成計画』のエンディングテーマとなる7thシングルで、デビュー5周年記念の第1弾としてリリースされた。作曲・編曲は「MY LIBERATION」「Bull’s Eye」など、ナノに多くの楽曲を提供しているWEST GROUND。

この曲は戦いの渦中に希望を見出すといったこれまでの主題歌とは異なる視点から作られており、過酷な展開に翻弄され傷ついたキャラクターたちを癒すような、また本編を観終わった視聴者の気持ちをクールダウンさせるような優しい雰囲気が感じられる。同じくWEST GROUNDが手がけた『魔法少女育成計画』のオープニングテーマ、沼倉愛美「叫べ」のアグレッシヴさとはまた対照的な仕上がりだ。いつもの激しさとは異なり、歌詞にもポジティヴな言葉がいくつも散りばめられ、希望に満ちたイメージが伝わってくる。

次第に夜が明けていく様子を静かに映し出すシンセ・サウンドに柔らかく浮かぶ、出だしのウィスパー・ヴォイスも普段のスタイルとは違って新鮮。このニュアンスの繊細さもハイレゾの聴きどころ。そして、徐々にサウンドともに感情を高めながらサビでエネルギッシュな歌声を響かせるのもナノらしい。穏やかなバラードではなく、力強い歌で「癒し」を描き出したナノの多彩な表現力が感じられる一曲。

モノクロームなエレクトロニック・ビートが渇望する心を映す「Eye of the Beholder」、ピアノとストリングスによる壮大なロック・バラード「Because of You」、広大な星空をギター・サウンドで描き出す「Pentagram」。

シングル曲以外の曲はすべて英語詞で歌われており、せめぎ合う内面を描いた「Nameless Nemesis」、希望の祈りを捧げる「Beautiful Disaster」、先へと進む強い意志を示した「Milestone」など、どれも真摯な想いがこめられている。海外にも活動を広げているナノの今の勢いが感じられる意欲的な作品だ。