水の惑星「アクア」の観光都市ネオ・ヴェネツィアを舞台に、ゴンドラ乗りのウンディーネ(水先案内人)を目指す少女、水無灯里が過ごす日々を描く物語『ARIA』。この天野こずえの人気コミックは2005年に『ARIA The ANIMATION』としてTVアニメ化され、美しい映像と音楽で綴る心温まるエピソードの数々で多くの人々を魅了した。監督は『カレイドスター』『プリンセスチュチュ』『たまゆら』など数多くの名作を手がける佐藤順一が務めている。その後『ARIA The NATURAL』『ARIA The OVA ~ARIETTA~』『ARIA The ORIGINATION』とシリーズ化され、2015年にはTVアニメ10周年を記念して新作『ARIA The AVVENIRE』が発表された。
音楽を担当するのは“Choro Club feat. Senoo”。Choro Clubは、笹子重治(ギター)、秋岡 欧(バンドリン)、沢田穣治(コントラバス)からなる3人組のユニット。ブラジルのインストゥルメンタル音楽「ショーロ」に大きな影響を受けつつも独自の音楽を作り上げ、ジャンルを超えた多彩な活動を続けている。これまでに20枚以上のアルバムをリリースし、ジョイス、アート・リンゼイ、アン・サリー、畠山美由紀、大貫妙子など様々なミュージシャンと共演、作品への参加を行っている。
“Senoo”こと、ピアニストの妹尾 武もアーティストたちへ楽曲提供をしており、ロングセラーとなったゴスペラーズ「永遠に」も彼の手によるもの。劇伴音楽も多く担当しており、アニメ作品では『ARIA』シリーズのほか、『ひまわりっ!』『いなり、こんこん、恋いろは。』などを手がけている。自身のソロアルバムもリリースしており、『Travelin’』『蒼茫』などがおすすめだ。
Choro Clubと妹尾 武による第1期の劇伴を収録した『「ARIA The ANIMATION」オリジナルサウンドトラック』。アコースティックでシンプルな演奏によるに楽曲でアルバムは構成されている。
アニメ冒頭に流れる「ゴンドラの夢」、ピアノとバンドリンが追奏する「鐘楼のパトリ ~ネオ・ヴェネツィア~」、作品のメインテーマとなる「AQUA」、軽やかに口笛が踊る「夏便り」、ネコの足跡のようなコントラバスが印象的な「アクアアルタ日和」、妹尾 武らしいピアノタッチが光る「満月のドルチェ」、バンドリンの音色が美しい「恋とはどんなもの?」、緩やかに時が流れる「迷い込んだ路地へと」、不思議な旋律に誘なわれる「幻想カーニバル」、しっとりと爪弾かれる「静かにあふれる涙」。
切ない音色が胸を打つ「届かぬ想い」、灯里のひたむきな情熱を描く「逆漕ぎクイーン」、「AQUA」のメロディを歌声で表わした「ARIA」、まどろむような幻想的な「水の鏡」、爽やかにリズムが跳ねる「アドリアの海辺」、ロマンチックに情景を彩る「星影のゴンドラ」、洒落た雰囲気にピアノが戯れる「オレンジの日々」、優しく包まれるような「天気雨」、賑やかな市場をイメージする「歓喜の街」、夕暮れを映し出す「AQUA -reprise-」、静かに物語を締めくくる「そして舟は行く」。
水面に反射する陽光とオールの軋む音、昼下がりの路地裏や朱く染まる鐘楼。どの曲もネオ・ヴェネツィアの風景を思い出す魅惑的なものばかり。『ARIA』の世界がひときわ豊かに、いっそう鮮やかに膨らむ。
アルバムには、これらChoro Club feat. Senooによる演奏のほか、以下の曲も収録されている。
「ウンディーネ -forest mix-」
OPテーマ「ウンディーネ」の別ヴァージョン。牧野由依のコーラスがサウンドに溶け込むようなアンビエント・ポップスに仕上がっている。
なお「ウンディーネ」は造語詞を手がけた河井英里による歌唱ヴァージョンもあり、こちらは彼女のアルバム『ひまわり』に収録されている。このアルバムは、河井英里が携わったアニメ作品『ARIA』『スケッチブック~full color’s~』『バンブーブレード』のヴォーカル曲で構成されており、また2007年に開催された『LIVE「ARIA The CONCERT』の音源も収録されている。
「バルカローレ」
劇中でウンディーネのアテナが歌う船頭歌(バルカローレ)。歌唱は「ウンディーネ」をはじめ、『ARIA』シリーズOPテーマの作詞を手がける河井英里。
河井英里は、『ワーズワースの冒険』のテーマ曲「シャ・リオン」(大島ミチル作曲)や、TVアニメ『うたわれるもの』のEDテーマ「まどろみの輪廻」(伊藤真澄作曲)などで知られるシンガーソングライター。造語詞と安らかなヒーリングサウンドを作風とする彼女のアルバム(Erie名義の『Prayer』や『風の道へ』)や、またヴォーカリストとして起用された光田康典の『kiRite ~キリテ~』などは、NEW AGEミュージックや、幻想的な音楽を好むリスナーからの評価も高い。
「バルカローレ」は、『ARIA』シリーズでは河井とともにOPテーマを手がける窪田ミナ作曲による挿入歌。河井英里が得意とする造語詞による歌が静かに優しく空間に満ちる。Choro Clubの演奏曲に入ってくる歌声はすべて彼女によるもので、妹尾 武の演奏によるローズピアノの美しい音色に歌声が広がる、「サンタクロウスの空」も今作に収録されている。
「Rainbow -acoustic ver.-」
ROUND TABLE feat. NinoによるEDテーマのアコースティック・ヴァージョン。ROUND TABLEのハイレゾ音源としては恐らくこの曲が初であると思われる。アルバムのサウンドになじむアコースティックギターの音色とNinoの可憐な歌声が穏やかに響く。
ハイレゾでは特に楽器の響きが美しく描写されている。情感豊かに奏でられるギター、せせらぎのようにかき鳴らされるバンドリン、深く沈み込むコントラバス、水晶のように煌めくピアノ。弦楽器はふくよかな感触で、ピアノは透き通るような質感で表現されている。それぞれの楽器の特色をリアルに描き出し、演奏者の姿をありありと浮かび上がらせる情報量。ふわっとした温かみのある空気感が伝わり、みずみずしいその旋律の柔らかな響きに、美しい余韻に、じっくりと浸ることができる。
『ARIA』は「ヒーリングアニメーション」の名を戴く通り、ストーリーはもちろんのこと、音楽にもまた癒されてしまう。その美しいサウンドは作品ファンのみならず、音楽好きの耳を唸らすものであり、そして『ARIA』を知らない人の心さえも動かすに違いない(TVの紀行番組で『ARIA』の音楽が一体、幾度流れたことだろうか)。耳と心を満たす豊穣な音の響きをハイレゾで味わえる。
この『ARIA The ANIMATION』のほかに、『ARIA The NATURAL』『ARIA The ORIGINATION』のサウンドトラック、妹尾 武と窪田ミナによる『ARIA~ピアノ・コレクション~ スタジオーネ-季節-』『「ARIA The ORIGINATION」ピアノ・コレクションII ディパルテンツァ-旅立ち-』もハイレゾで配信されている。
Choro Club feat. Senoo
「ARIA The ANIMATION」オリジナルサウンドトラック
FlyingDog
2014.12.24FLAC・WAV 96kHz/24bit
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1.ゴンドラの夢
作曲:沢田穣治 編曲:Choro Club
2.ウンディーネ -forest mix-
歌:牧野由依
作詞:河井英里 作曲・編曲:窪田ミナ
3.鐘楼のパトリ ~ネオ・ヴェネツィア~
作曲・編曲:妹尾武
4.AQUA
作曲:笹子重治 編曲:沢田穣治 Choro Club
5.夏便り
作曲:笹子重治 編曲:Choro Club
6.アクアアルタ日和
作曲:笹子重治 編曲:Choro Club
7.満月のドルチェ
作曲・編曲:妹尾武
8.恋とはどんなもの?
作曲:秋岡欧 編曲:Choro Club
9.バルカローレ
歌:河井英里
作詞:河井英里 作曲・編曲:窪田ミナ
10.迷い込んだ路地へと
作曲:沢田穣治 編曲:Choro Club
11.幻想カーニバル
作曲:沢田穣治 編曲:Choro Club
12.静かにあふれる涙
作曲:沢田穣治 編曲:Choro Club
13.届かぬ想い
作曲:秋岡欧 編曲:Choro Club
14.逆漕ぎクイーン
作曲:沢田穣治 編曲:Choro Club
15.ARIA
作曲:笹子重治 編曲:妹尾武
16.水の鏡
作曲:笹子重治 編曲:妹尾武 Choro Club
17.アドリアの海辺
作曲:妹尾武 編曲:Choro Club
18.星影のゴンドラ
作曲・編曲:妹尾武
19.オレンジの日々
作曲:沢田穣治 編曲:Choro Club
20.天気雨
作曲・編曲:妹尾武
21.サンタクロウスの空
歌:河井英里
作曲・編曲:妹尾武
22.歓喜の街
作曲:秋岡欧 編曲:Choro Club
23.AQUA -reprise-
作曲:笹子重治 編曲:Choro Club
24.そして舟は行く
作曲:秋岡欧 編曲:妹尾武
25.Rainbow -acoustic ver.-
歌:ROUND TABLE feat. Nino
作詞・作曲:北川勝利 / 編曲:ROUND TABLE
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