Suara「不安定な神様」レビュー

Suaraによる快心の一撃!ダイナミックな和のサウンドと美しい声があふれ出る、『うたわれるもの 偽りの仮面』OPテーマ。

2015年10月より放送されたTVアニメ『うたわれるもの 偽りの仮面』。『うたわれるもの』シリーズのTVアニメとしては9年ぶりとなる今作の主題歌は、前作と同じくSuaraが担当している。「不安定な神様」というタイトルからして心がざわつくが、それ以上に心を震わせる音楽が展開されている。

TVアニメ『うたわれるもの』のOPテーマとなった「夢想歌」における“和”のイメージを引き継ぎ、さらにダイナミックなものと変化を遂げた、ロックのダイナミズムを内包した疾走感溢れるそのサウンドは、ライヴ映えするあらたなアンセムとなった。シングルには、タイトル曲とEDテーマ「ユメカウツツカ」、「花鳥風月」の3曲を収録している。

「不安定な神様」

前期OPテーマとなるこの曲は、アクアプラスの下川直哉による作曲。編曲は数多くの作品の作曲、編曲を手がけ、ピアノトリオ“WaJaRo”のメンバーとしても活動している小林俊太郎。彼は筒美京平の弟子であり、その師匠が作曲した「時空ツアーズ」「齧りかけの林檎」を始め、竹達彩奈の楽曲の多くをアレンジしている。

うっすらとストリングスが入り、ヴォーカルと共に重いキックが打ち鳴らされる冒頭から、その印象は鮮烈。ドラムと和太鼓が絡み合うビートの連打、重厚なストリングスが曲の昂揚感を強める。音の分離と定位の良さが壮大な空間をイメージさせ、また充実した低域とスピーディな音の立ち上がりは演奏にライヴ感を与え、さらに迫力を増大させている。

音の鳴り始めが雅楽で使用される笙の音のように聴こえるストリングスと祭囃子の鉦を思わせる鐘の音が混じり合うさまは、『うたわれるもの』における政の中心である宮廷世界と帝都に住まう庶民の生活を映し出しているように聴こえ、作品との親和性をいっそう強く感じさせる。多彩な人物、多様な文化が入り混じり、大きな流れを形成している物語の世界。その時代のうねり、脈動といったものもエネルギッシュなサウンドによって表現されていることがわかる。

ヴォーカルは豊穣な音色に埋もれずしっかりとその存在を表わす。BPMがかなり早いこの曲だが、揺るぎなく佇む姿は曲を司る巫女のよう。絢爛なサウンドを従える余裕の歌声は、さすが安定のSuara。芯の強さを保ちつつ、しなやかに歌い上げる歌唱力の高さが存分にハイレゾで表現されている。

「ユメカウツツカ」

作曲・編曲は、Suaraのデビュー曲「星座」から多くの楽曲を手がけている松岡純也、そしてSuara自身の作詞による前期のEDテーマは、アッパーな「不安定な神様」の熱を冷ますようなミドルテンポのナンバー。ハイレゾでは曲がもたらす幻想的な雰囲気がより濃厚に迫る。空間に漂ううっすらとした音の粒子の密度が増したようにさえ感じられる情報量。

大河のように雄大な調べを奏でるストリングスは悠久の時が流れるさまを、シャープな音像のドラムは拍を刻むことで、巡り合っては離れ行く「運命」の無常さを表わしているかのようだ。ヴォーカルは語り部のような落ち着きを感じさせるも、温かみのある歌声で広がる。低域の倍音ににじむ声の艶もしっとりとした質感で表現されており、また声の抜き差しというような語感の繊細なニュアンスを捉えている。

TVアニメ『うたわれるもの 偽りの仮面』後期OPテーマとEDテーマを収録したシングル『天かける星』もハイレゾにて配信されており、どちらもCDより求めやすい価格となっている。

Suara
不安定な神様

F.I.X.RECORDS
2015.11.04

FLAC・WAV96kHz/24bit

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 収録曲

 1.不安定な神様
   作詞:須谷尚子 作曲:下川直哉 編曲:小林俊太郎

 2.ユメカウツツカ
   作詞:巽明子 作曲・編曲:松岡純也

 3.花鳥風月
   作詞:巽明子 作曲・編曲:衣笠道雄

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