TVアニメ『魔法陣グルグル』OP主題歌「Trip Trip Trip」ORESAMA インタビュー

作曲家としても活躍するサウンドクリエイターの小島英也と、ボーカリストで作詞担当のぽんから成るポップス・ユニットのORESAMAが、ニュー・シングル「Trip Trip Trip」をリリースした。

今春にTVアニメ『アリスと蔵六』のOP主題歌「ワンダードライブ」で再メジャー・デビューしたばかりの彼ら。そこから間を置かず届けられた本作の表題曲は、このたび3回目のTVアニメ化となった人気ギャグ・ファンタジー作品『魔法陣グルグル』のOP主題歌として制作されたものだ。小島のルーツであるディスコ・ミュージックの要素を感じさせつつ、アニメや原作の世界観に対する深い愛情によって新しいORESAMAの扉を開いた、ワクワク感でいっぱいのアップ・チューンとなっている。

また、カップリングにはハイレゾ音源で聴かれることを意識して作ったという「耳もとでつかまえて」などを収録。サウンド面でもORESAMAらしいこだわりの詰まった本作について、ふたりに詳しく話を聞いた。

Interview & Text by 北野 創
Photography by 山本哲也
at Lantis

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【アニメ・スリーブケース内のCDジャケット】

新しい扉を開く「Trip Trip Trip」のワクワク感

───新曲「Trip Trip Trip」は『魔法陣グルグル』のOP主題歌に起用されていますが、どのように制作を進めたのでしょうか。

ぽん ふたりとも『魔法陣グルグル』のイメージが「おもちゃ箱」で共通していたので、そこから派生させてまず小島くんが曲を作って、そこに私が詞を乗せました。

───アニメ側から具体的なリクエストはありましたか?

小島英也 始まりのワクワク感だったり、ちょっと80’sや90’sのアニソンっぽい雰囲気を入れてくださいということだったので、それを噛み砕いて曲にしていきました。でも、僕たちがもともと思っていたイメージとそう遠くはなかったですね。

───確かにスピーディーかつ華やかで、ワクワク感はすごく感じるサウンドですね。歌詞も新しい世界の扉を開くようなイメージがあるし。

ぽん 魔王ギリを倒すという大きな目標に向かって旅を繰り返しながら一つひとつの目的を達成していく『魔法陣グルグル』の冒険と、よりたくさんの人と楽しめる音楽をめざしてリリースを重ねているORESAMAの活動には似てる部分があると思って。自分たちもそんな風にもっと旅を重ねて目標に近づいていきたいという想いも込めて「Trip Trip Trip」というタイトルをつけたんです。

───なるほど。

ぽん それと今回のお話をいただいて改めて原作を読み返したんですけど、ククリちゃんの未知の世界に飛び出していく輝きというかキラキラ感がすごくて、もしククリちゃんが年を重ねたとしてもそのままでいてほしいと思ったんです。私もそんなワクワク感を絶対に忘れたくないし、すごく大事なことだと思ったので、歌詞は何かを始める瞬間のトキメキをテーマに書きました。あと、この作品であれば「魔法」と「光」というキーワードは歌詞に絶対入れたかったんです。

───ぽんさんはもともと『魔法陣グルグル』がお好きだったのですか?

ぽん 私の家にはなぜか『グルグル』のビデオテープがあって、よく勉強をするふりをしてこそこそと観てたんです(笑)。現実から連れ出してくれるような世界観が大好きで、本当に繰り返し見て何度も笑っていたので、お話をいただいたときは夢かと思いましたね。でも、うれしい反面プレッシャーもすごくて……やるからにはいいものを作るしかないということだけ考えるようにしました。

───今日のぽんさんはいつにも増して饒舌なので、そんなところからも『グルグル』に対する想いが伝わってきますね(笑)。

ぽん もう気持ちが前に前にってなって(笑)。

小島 どんどんしゃべってください(笑)。

───一方で小島さんの『グルグル』に対する思い入れは?

小島 僕も小学生のときにアニメの再放送を観てはいましたけど、それ以前から主題歌が大好きで聴いてたんですよ。やっぱり(TOo’sの)「MAGIC OF LOVE」とか(奥井亜紀の)「晴れてハレルヤ」とか歴代が名曲揃いなので、今回僕らが作らせていただくということになって、正直見えないプレッシャーが自分の中にありました(笑)。

───そうだったんですね。でもアレンジ面でも見事に『グルグル』らしい「おもちゃ箱」っぽさを表現してますよね。ホーン風のシンセとかビヨビヨした鳴りのリード・シンセなど、音色もすごく豊富かつ多彩で。

小島 80年代のシンセブラスみたいな音を入れるのは頭のなかにずっとあったんです。音色作りはどの程度いまっぽさと懐かしさを共存させるかを考えながら行なっていて、アナログシンセの音をふんだんに使ったり、80年代や90年代っぽい音をいっぱい入れることにはすごくこだわってますね。

───イントロの部分はメルヘンチックなサウンドだけど、そこから曲調もどんどんと変わっていって。

小島 イントロはワクワク感を演出するためにかなり長めに尺を使っていて。おそらく89秒の尺でこれだけの長さを導入部分に使うのは本当に贅沢だと思うんですよ。でもそこで期待を高めることで、曲に入ったときの扉を開けた感じを演出したくて。今回ワクワク感というのはアレンジ面でも音の面でもかなり意識しましたね。

───それと個人的に耳がいったのはシンセドラムの音で。いわゆる『Dr.スランプ アラレちゃん』のOP主題歌「ワイワイワールド」のイントロで鳴ってる「ポポポン」といった感じの音が散りばめられてますよね。

小島 あれはシモンズという電子ドラムの音源を使ってるんですけど、個人的にマイブームで最近作ってる曲にはかなりの頻度で入れてます。少し昔を感じさせつつもいま聴くとカッコイイ音というか、ちょっとコミカルさのあるクールな音という印象があって。

───あの音が入ると80年代のアニソンっぽさが出ますよね。

小島 そうですね。僕は90年代生まれなんですけど、僕らと同じ世代の人たちのなかにはあの音を知らないっていう人もたくさんいると思うんですよ。でも、だからこそカッコよく聴こえるんですよね。

───前作の「ワンダードライブ」ではアナログシンセの実機を使われていましたけど、今回はいかがですか?

小島 キックにローランドのTR-808の音と、ベースにモーグの音を重ねて録音してます。やはり低音の部分は実機じゃないと出せない安定感があるので、そこは今回もサウンドプロデューサーの佐藤(純之介)さんに頼んで差し替えてもらって。その音とパソコン上で作った音を混ぜることで、打ち込み感とアナログ感のうまいバランスを演出したところですね。

───聴いていて懐かしさと新しさが共存している感じがしますよね。曲の後半に登場する間奏でのトイピアノっぽい音もかわいらしくていいです。

小島 あそこは本当におもちゃの世界をイメージしていて。今まであそこまでトイピアノの音でストレートに表現することはなかったんですけど、今回は歌詞や曲のテーマに合うと思ったので。リズムも3拍子でワルツっぽくして作ってみたら世界観とかなりマッチしましたね。ただ、あの部分のひとつのこだわりとしては、トイピアノがすごくかわいく鳴っている下で、モーグがえげつない音を出してるんです(笑)。

───そこはただかわいいだけじゃないぞというこだわりで。

小島 実は後ろに毒があるという(笑)。いままでのORESAMAと新しい音とをミックスして作った部分ですね。

───そういったサウンド面の仕掛けはもちろんですが、ぽんさんの歌声にもいつも以上のワクワク感を感じました。

ぽん 『グルグル』のパーティーって、キタキタおやじ以外はみんな子供のパーティーじゃないですか。なので、私も私の出せる「いちばん純粋な私」を出してきて歌ったイメージで。

───それは、単純に子供っぽく歌ったということではなく?

ぽん キラキラした、本当に新しい世界に対してワクワクしている私というか。でも、私は子供の年齢には戻れないので、そこにいちばん近づいてる大人の私というのをすごく意識して歌いました。でも、こういう歌い方をするとずっと口角が上がるんですよ。なので、レコーディングのときもずっとニコニコしていて、すごく楽しかった思い出があります(笑)。

───自然に笑顔になれるなんて素敵な現場ですね(笑)。そして「Trip Trip Trip」はミュージックビデオも話題となってますね。

ぽん 今回もうとまるさんのイラストと実際の私たちが二次元と三次元で融合していて。前回の「ワンダードライブ」と同じ荒船泰廣監督(KEYAKIWORKS)と佐伯雄一郎監督(HA8CA)のダブル監督で制作していただいてます。ゲームの世界観のなかに私がいるストーリーで、今回も私は踊ってるんですけど、前回と違ってバックダンサーがふたりいるので、もう寂しくないです(笑)。振り付けもELEVENPLAYのNONさんに再びつけていただきました。

───昔のRPG風の画面から始まって、最後は屋外でCGのドラゴンと共演する、見どころ満載のミュージックビデオですよね。

ぽん 撮影の日は近年まれに見るくらいの大雨だったんですよ。ずっと雨が降っていて、ラストのシーンは外で撮りたかったんですけど、なかなか撮ることができなくて。で、夕方くらいに突然パッと晴れて、そのときに外で慌てて撮ったら、夕日が後光みたいに差して(笑)。あれ、すごかったよね?

小島 ちょうど夕日の時間帯に晴れたんですよ。それでみんなで屋上に行って。

ぽん みんなで「急げー!」って(笑)。もう確認の前にとにかく撮るっていう感じで。

小島 奇跡的だったよね。

───ちなみに小島さんは踊ったりしたんですか?

小島 踊りはしなかったですね(笑)。ただ、おいしいところでちょくちょく出てます。

───なんかキタキタおやじみたいですね。

小島 ああー、そうかもしれない(笑)。

ぽん ええーそうなの(笑)?

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