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2017.08.02

V.A. 「『らき☆すた』歌のベスト~アニメ放送10周年記念盤~」レビュー

V.A. 「『らき☆すた』歌のベスト~アニメ放送10周年記念盤~」レビュー

M-15からM-31まではCDのDisc-2に収録。連続してリリースされたキャラクターソング・シリーズのVol.001からVol.008までを収録している。

『キャラクターソング Vol.001 泉こなた』からは、「どんだけファンファーレ」「Dドライヴ/ラヴ」を収録。橋本由香利作曲の「どんだけファンファーレ」は、勢いのあるバンド・サウンドがオタクならではの受難を描く。ネトゲもこよなく愛するこなたらしいナンバー「Dドライヴ/ラヴ」は、nishi-kenによるゲーム風なサウンドと巧みなヴォーカル・エディットが聴きどころ。

 

『キャラクターソング Vol.002 柊かがみ』からは、「ケンカ予報の時間だよ」「100%?ナイナイナイ」を収録。「ケンカ予報の時間だよ」は、言葉を詰め込んだ早口なラップのような歌唱が披露されており、つっこみキャラであるかがみの特徴を捉えているかのよう。清々しく、でもちょっとメロウ、洒脱なヒップン・ソウル「100%?ナイナイナイ」は、田代智一が作曲、橋本由香利が編曲を担当。強がりで寂しがり屋のツンデレ系・かがみ。彼女の胸の内が表われた、友達想いの歌詞がいじらしい。

 

『キャラクターソング Vol.003 柊つかさ』からは、「寝・逃・げでリセット!」「しすたー・うぉーず」を収録。nishi-kenのアレンジによるテクノ・トラックと、つかさのふわふわした癒し系ヴォイスが抜群の相性をみせる「寝・逃・げでリセット!」は、音や声の響きが非常に心地好い。「しすたー・うぉーず」の作曲は、田村ゆかりや『けいおん!』などの楽曲を手がける田村信二。編曲は、TVアニメ『惡の華』や、TVアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』の音楽を手がける深澤秀行。リミックスCD『もってけ!セーラーふくRe-Mix001~7 burning Remixers~』では、“eicheph” “baasjack” “名無しさん”の名義でリミキサーとして参加している。つかさの夢や思考を覗き込んでいるような、ちょっとファニーな歌詞がポップなサウンドに重なっている。

 

『キャラクターソング Vol.004 高良みゆき』からは、「萌え要素ってなんですか?」「たぶんかなり普通の休日」を収録。「萌え要素ってなんですか?」は、能登有沙や『ひだまりスケッチ』の楽曲などを手がけるとものかつみが作曲を、神前 暁がアレンジを担当。歌詞には才色兼備の真面目キャラ・高良みゆきの素直な性格がそのまま表われている。「たぶんかなり普通の休日」はさらにのんびりとしたサウンドで休日のみゆきの姿を描く。「萌え要素ってなんですか?」では“天然じゃありません”と自身が天然系であることを否定している彼女だが、この曲の途中で差し込まれる宅配ピザを受け取るシーンでは、天然を超えた不思議な人物であることを感じずにはいられない。

 

『キャラクターソング Vol.005 小早川ゆたか』(CV.長谷川静香)からは、「みにまむテンポ」「たとえばピンクとブルーでも」を収録。「みにまむテンポ」は「たぶんかなり普通の休日」と同じく菊谷知樹が作曲・編曲を担当。スティールギターの音色を交えたのんびりとしたサウンドが彼女のピュアな心を映し出す。「たとえばピンクとブルーでも」は、「寝・逃・げでリセット!」を手がけたISAOが作曲している。大切な友人・岩崎みなみとの関係をチャーミングなサウンドに乗せて歌っている。

 

『キャラクターソング Vol.006 岩崎みなみ』( CV.茅原実里)からは、「黙っと休み時間」「透明リボン」を収録。「黙っと休み時間」は、「ケンカ予報の時間だよ」や日下部みさおの「すげえんだって・ヴァ!」「だよな3秒たまには5秒」を手がけた綾原圭二による作曲。アレンジは、『涼宮ハルヒの憂鬱』『ひだまりスケッチ』や、堀江由衣などの楽曲に携わる近藤昭雄。普段は無口で、感情を露わにすることはあまりないみなみだが、こんなことを考えているんだと、豊かな内面を綴った歌詞と、ゆったりとしたメロディーがほのぼのとした気分にさせてくれる。こちらもミディアム・テンポの楽曲「透明リボン」は、rinoが作曲、虹音(松田彬人)が編曲を担当。煌びやかなウィンドチャイムや穏やかなフルートの音色がみなみの気持ちを温かく紡ぐ。キャラクターソングの枠から一歩踏み出したような、挿入歌やイメージソングといった雰囲気さえも感じられる秀逸な仕上がり。

 

『キャラクターソング Vol.007 田村ひより』( CV.清水香里) からは、「も、妄想マシーン。」「デフォルト女子高生にゃん」を収録。「も、妄想マシーン。」は、作曲が田代智一、編曲は安藤高弘の「ハレ晴レユカイ」コンビ。ノリのよい歌謡ロック的なサウンドに乗って、腐女子の熱い魂が止めどもなく暴走している。「デフォルト女子高生にゃん」は、黒井ななこ&成実ゆい「適齢期なレイディ」も手がける伊東大和が作曲・編曲を担当。“腐ったら鯛はたべらんない 腐っても 女子は元気いっぱい”というフックがすべてを物語る。己の欲望に忠実であれと訴えかけているような、ヴォーカルのつんのめった勢いが痛快。

 

『キャラクターソング Vol.008 パトリシア・マーティン』( CV.ささきのぞみ) からは、「こすぷれノこころえ」「最大聖地カーニバル」を収録。「こすぷれノこころえ」の作曲は、泉そうじろう「女はヨメとムスメだけ」、黒井ななこ、成実ゆい「結婚なんてさパッパヤー」を手がける金井江右。そして、アレンジはパティの大好きなアキバ・カルチャーの黎明期を音楽で支えたこの人、元UNDER17、現ULTRA-PRISMの小池雅也。軽やかな打ち込みポップ・チューンに、パティの天真爛漫な歌声がこだまする。泉こなた、田村ひより、パトリシア・マーティンと同じオタクでも、やはり表わすサウンドは三者三様である。なお小池雅也は、『もってけ!セーラーふくRe-Mix001~7 burning Remixers~』にもリミキサーとして参加している。パティのキュートな歌声が弾む「最大聖地カーニバル」は、神前 暁が作曲・編曲を担当。毎日がお祭り騒ぎの街、オタクの聖地“アキハバラ”の風景を、ソフィスティケートされたサンバ・サウンドで描写している。

『もってけ!セーラーふくRe-Mix001~7 burning Remixers~』

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