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2017.08.09

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.ボンジュール鈴木「Round&Round&Round」レビュー

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.ボンジュール鈴木「Round&Round&Round」レビュー

テクノポップ・サウンドにウィスパーヴォイスが軽やかに弾む、TVアニメ『魔方陣グルグル』のED主題歌。カップリング曲には、声優・井澤詩織をヴォーカルにフィーチャーしたSFナンバー「夏と猫のソネット」を収録。

衛藤ヒロユキによる人気ギャグ・ファンタジー作品『魔法陣グルグル』。連載25周年を迎える今年、3度目のTVアニメ化となり、7月より放送が始まっている。

OP主題歌は、ぽんと小島英也からなるポップ・デュオ、ORESAMAが担当。主題歌を収めたシングル『Trip Trip Trip』は7月26日にリリースされている。ED主題歌は、今作の劇伴も手がけるTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDが担当している。

この「Round&Round&Round」では、『ユリ熊嵐』のOP主題歌「あの森で待ってる」や、TeddyLoidの楽曲にヴォーカリストとして起用された『宇宙パトロールルル子』のED主題歌「Pipo Password」など、TVアニメの楽曲にも携わっているシンガーソングライターのボンジュール鈴木をヴォーカルにフィーチャー。アナログシンセを全面に使用したテクノポップ・サウンドと、彼女のウィスパーヴォイスが絶妙にブレンドされた、華やかな楽曲に仕上がっている。

●「Round&Round&Round」についてのロング・インタビューはこちら

「Round&Round&Round」

パステル調の色彩を思わせる柔らかなシンセの音色が空間に弾ける、軽やかなテクノポップは、80年代初頭にTVで流れていた化粧品のCMソングといった洒落た雰囲気を感じさせるもの。心がちょっと浮き立つ躍動感や、ヴォーカルの魅力が引き立つアレンジなど、これらCMソングにも共通する要素が音作りに盛り込まれている。またORESAMAによるOP主題歌『Trip Trip Trip』とは違った角度から、物語が始まるワクワク感を捉えており、スピード感のあるサウンドと、“いつでもストーリーを彷徨ってるよ 地図に載ってない未来に向かうの”というフレーズを織り込んだ歌詞が、物語はまだまだ先へ先へと続いていく、そんなイメージをさらに書き加えている。

そして、ポップなサウンドと戯れるようにボンジュール鈴木のヴォーカルがリズミカルにはずむ。ウィスパー・ヴォイス特有のアンニュイな語感を活かした歌詞も相まって、サビにもふわっとした独特な雰囲気が漂う。自らの作品ではエレガントなヨーロピアン・センスを基盤としたアブストラクトなエレクトロニック・サウンドを生み出している彼女の音楽センスと、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの洗練された音楽性とは重なる部分も多く、それらが見事に調和しているのが感じられる。

今回はMono/PolyやProphet-T8という個性的なアナログシンセを導入しており、楽曲がますます鮮やか。ハイレゾでは太さや深み、粒だった質感といった実機ならではの音の存在感がさらに顕著で、それらが立体的に配置されているのがよくわかる。そして、ボンジュール鈴木の囁くような声の甘い響きが、いっそうリアルに伝わってくるのもハイレゾならばこそ。微粒子がミスト状に広がっているようなサビのコーラスには、思わずうっとりさせられる。

こちらはTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの初となるミュージックビデオ。映像も80’sフレイヴァー全開である。

「夏と猫のソネット」

カップリング曲にはヴォーカルに声優の井澤詩織をフィーチャー。井澤詩織はTVアニメ『ウィッチクラフトワークス』に倉石たんぽぽ役で出演しており、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDが手がけたED主題歌「ウィッチ☆アクティビティ」をKMM団の一員として歌唱している。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDは、ほかにもKMM団のキャラクターソングを多く制作しており(『Witch Craft Works THE BEST ~日本語盤~』などに収録)、『ウィッチクラフトワークス』が繋いだ縁が再び彼らを引き合わせている。

「動物の耳(ケモミミ)と縦長の目を持つのが特徴の獣耳族」(TVアニメ公式のキャラクター紹介より)である倉石たんぽぽ→見た目も喋りかたもちょっと猫っぽい→そんなキャラクターを演じた井澤詩織がヴォーカルを担当→井澤の個性的な声を活かした楽曲とは?→では猫を主人公にしたものはどうだろうか?→そして、リリースは夏に決定……このような過程を経たものか、結果として「猫」+「夏」というテーマが時の扉を開けてしまった!→つまり、TECHNOBOYSのSF愛が静かに伝わってくる、そんな楽曲なのである。

しかしながら、歌詞やサウンドにSF的なイメージへとすぐさま直結するような言葉や音要素は含まれておらず、強いて挙げるならば空間でたゆたう音の響きはコールドスリープな感じといったところだろうか、メランコリックなシンセの音色が奏でるリズムとメロディーが、時間を引き伸ばすかのように緩やかに交錯する。

「ウィッチ☆アクティビティ」や、KMM団のキャラクターソングでは、倉石たんぽぽとして快活な歌声を披露している井澤詩織だが、この曲ではちょっとまどろむような穏やかな雰囲気。“ボク”という一人称で語られる(やはりオス猫なのだ)、猫らしいニュアンスを交えた井澤のキュートな歌声と、アンビエント・テイストのサウンドとじゃれ合う、“ニャオ ニャオウ”の鳴き声が魅力的だ。

こちらは「世界初!コント付き試聴動画」。コントにはTECHNOBOYSの3人、ボンジュール鈴木、井澤詩織が出演している。

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.ボンジュール鈴木
Round&Round&Round

Lantis
2017.08.09

FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit

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mora

©衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会

 収録曲

 1.Round&Round&Round
   TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. ボンジュール鈴木
   作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND

 2.夏と猫のソネット
   TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. 井澤詩織
   作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND

 3.Round&Round&Round -Instrumental-

 4.夏と猫のソネット -Instrumental-

©衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会

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