INTERVIEW
2017.08.09
───ボンジュールさんも普段はご自身で作詞・作曲をされているわけですが、TECHNOBOYSさんの音楽のどんな部分に魅力を感じますか?
ボンジュール 私は自分で編曲してトラックも全部作っているので、「このアニメの音楽カッコいいなー!」と思いながら楽しむ一方で、ミュージシャンとしての感覚でも聴いてしまうんです。TECHNOBOYSさんの音楽はアニメの視聴者として世界観に惹きこまれますし、トラックメイカーとしてもお勉強させていただいています。
───TECHNOBOYSの皆さんは、ボンジュールさんの音楽にどんな印象を抱いていますか?
松井 フランス感とかエレクトロ感といった根っこの部分では共通してるところがあるので、ある意味、意外と意外な組み合わせではないという感じはしましたね。僕らも別に今回の曲だけでフレンチっぽいコード進行を使ってるわけじゃないですし、違うところはリズムのはめ方とかぐらいだと思うんですよ。詞もこっちの世界観が壊れることなくボンジュールさんの世界に沿うことができましたし。
石川 女の子で打ち込みをやっているのもいいですね。女の子ってあんまりそういうハードシンセやコンピューターみたいなガジェットにいかないと思うので、こんな奇特な女の人もいるんだなあと思って(笑)。
松井 でも、どちらかと言うと『good night citizen』(2014年)とか、僕らのオリジナル・アルバムの方が雰囲気は近いかも。だから元々持っている根底が近いんだと思いますね。
───今回のコラボも素晴らしい作品ですけども、今後も何か一緒に作れそうな感じはしますよね。
石川 アニメ関係なく、すごく暗い曲になったりしてね。
ボンジュール それはぜひやらせていただけましたらうれしいです。私は作業するとき、暗い曲を聴くと気分が高揚するので。フランス語で歌うところがあったらやらせてください!
松井 『good night citizen』を全曲カバーしてよ。タイトルは『ボンジュール鈴木のgood night citizen』とかで(笑)。
フジムラ 〈グッドナイト・ボンジュール〉でどっちやねん!ってね(笑)。
───カップリング曲の「夏と猫のソネット」は声優の井澤詩織さんが歌われていますが、どのような経緯で作られた楽曲でしょうか?
フジムラ カップリング曲はやりたいことをやっていいという話だったんです。それで、井澤さんとは『ウィッチクラフトワークス』(2014年)のときから繋がりがあって※、一度キャラソン以外のものでご一緒したいと思っていたので、今回オファーさせていただいたんです。
※井澤はTVアニメ『ウィッチクラフトワークス』に倉石たんぽぽ役で出演。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDが制作したKMM団によるED主題歌「ウィッチ☆アクティビティ」を歌唱している。
───曲調はメランコリックなバラードで、歌詞は猫の視点で書かれたものですね。しかも某SF小説を思わせる内容で。
松井 まあど真ん中ですよね。井澤さんは『ウィッチクラフトワークス』のときに猫っぽさがあったので、TECHNOBOYSと井澤さんなら猫がよいだろうと。あとは、井澤詩織さんにはあまりバラードのイメージがないので、逆にあえてバラードを聴いてみたいと思いまして。で、どうしようかとなって(笑)。
───猫がテーマのバラードというのはなかなか難題ですね。
松井 さらに鳴き声的な要素もほしいということだったので、それを自然に入れるにはもう猫を主人公にするしかないと思って。しかもリリースは夏に決まっていたので、もうこれは扉を開かなきゃダメだなと思って(笑)。わかる人はわかるだろうし、わからない人はわからないですよね、この話の流れ(笑)。でも僕はSFを書きたかったんですよ。実際にSF感はまったくないんですけど、僕のなかでこの曲はSFなんです。
●こちらは「世界初!コント付き試聴動画」。コントにはTECHNOBOYSの3人、ボンジュール鈴木、井澤詩織が出演している。
───今作のハイレゾ的な聴きどころはどこですか?
フジムラ やはりアナログシンセはいちばんの聴きどころになると思いますね。
石川 あとは最近96kHz対応のエフェクターが増えてきて。
松井 アナログシンセを録るときも、それを通してるので最初からハイレゾ対応だし、最終的に混ぜるときはアナログのリヴァーブとかを使ったりしていて。今回も音のレンジや奥行きは『グルグル』の明るい世界観にふさわしい広さはあるんじゃないかと。作品も広い世界を旅する内容ですしね。
フジムラ ボンジュールさんの声の聴こえ方もだいぶ変わると思います。
石川 そうそう、ささやき声にリヴァーブをあてているからね。
───倍音的な深みをよりしっかりと感じ取ることができそうですね。
石川 声はこの曲でベースを除いて唯一の生といえる部分ですからね。しかもマイクを使って録ってるのは声しかないから、いちばんに聴こえることになると思います。
松井 しかもみずみずしい感じがすると思うので。最終的なマスタリングはまだなんですけど、その辺がどのように処理されるか楽しみですね。
フジムラ そういえばシングルで100パーセント・アナログシンセというのは今回が初めてじゃないですかね。いままでは何かしらソフトシンセが入っていたと思うので。
松井 やはり『グルグル』という作品では、当時のファミコンやスーパーファミコンの頃の音を逆手にとった世界観にこだわったので、そこのシンセ感は聴きどころになりますよね。でもぶっちゃけ、毎回「シンセの音が聴きどころです」って言ってるからね(笑)。だんだん「このシンセを導入しました」とか、おかしなことになってきてるし。そんなバンド聞いたことないよ(笑)。
───(笑)。でも、そこがTECHNOBOYSさんならではの魅力ですから!
松井 そろそろアナログシンセが聴きどころと言うのも限界なので、これを機にこれからはもっと細かくいきます(笑)。〈END〉
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
トラックメーカー・フジムラトヲル(Ba/Syn/Vo)、
宇都宮隆氏、松岡英明氏、
●TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND公式サイト
●TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのTwitter
ボンジュール鈴木
作詞作曲・編曲、歌、演奏、mixマスタリングまで一人で行う女性マルチ・アーティスト、サウンドプロデューサー。幻想的でファンタジックなトラックの上に、ピアノ、お箏、Viola、アコーディオン、ハンドベルなどの楽器を生で重ね、サンプリングした犬の声や自然音なども混ぜ、面白い音作りを目指している。
3歳よりクラシックピアノをはじめ、Jazz歌手だった母とフランスの親族の影響で幼少期からヨーロッパを中心とした様々な音楽に触れ、次第に作曲活動をスタート。
南フランスのカトリックの大学へ留学中に触れた、ヨーロッパのエレクトロニカ/ヒップホップ・シーン、クラシック、教会音楽からの影響が色濃く出たサウンドには、北欧エレクトロニカ勢と共鳴する「透明感」と、ドリームポップ、トリップ・ホップの流れを汲んだ「深遠な響き」が見事なまでに共存。
『日本語』『フランス語』『英語』をPOPなメロディーで織り交ぜ、フランスのボイストレーニングで身につけた、甘ったるい中毒性のある独特のロリータウィスパー・ヴォイスと絡み合う童話の中のようなファンタジックで不思議なサウンドは、現在の音楽シーンの中でも一際異彩を放っている。
2017年夏放送のTVアニメ『魔法陣グルグル』ED主題歌「Round&Round&Round」にTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.ボンジュール鈴木として歌唱参加。2017年8月9日には初のベスト盤となる『The Best of Bonjour Suzuki』とリマスター盤3枚を同時リリース。
●ボンジュール鈴木 公式サイト
●ボンジュール鈴木のTwitter
●TVアニメ『魔法陣グルグル』公式サイト
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの連載【TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのPulse Craft Information】はこちら
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat.ボンジュール鈴木
Round&Round&Round
Lantis
2017.08.09FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit
ハイレゾの購入はこちら
©衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会
1.Round&Round&Round
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. ボンジュール鈴木
作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
2.夏と猫のソネット
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND feat. 井澤詩織
作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
3.Round&Round&Round -Instrumental-
4.夏と猫のソネット -Instrumental-
©衛藤ヒロユキ/SQUARE ENIX・「魔法陣グルグル」製作委員会
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