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REVIEW&COLUMN

2018.02.14

4thアルバム『Curiosity』中島 愛インタビュー

もう地声、裏声、その中間をずっと行ったり来たり繰り返してるような感じで(笑)

──そしてシングルのカップリング曲だった「最高の瞬間」を挿み、9曲目の「Odyssey」はこれまた新境地と言える楽曲ですね。この曲は聴いた瞬間に、前回のシングル「サタデー・ナイト・クエスチョン」のカップリングだった「はぐれた小鳥と夜明けの空」の流れを感じました。

中島 まさにそのとおりです。今回のアルバムはいろいろなところからの流れを汲んでいて、ファースト・アルバムからの流れもあれば、セカンド・アルバムからご一緒しているラスマスさんがいらっしゃったり、サード・アルバムっぽい要素もあったりして。この9曲目からの流れは、「サタデー・ナイト・クエスチョン」から始めた新しいテイストを盛り込んだゾーンになってるんです。なので8曲目の「最高の瞬間」はちょっと懸け橋みたいな感じでもあるんですよね。

──この曲はAvec Avecさんが作詞・作曲・編曲をトータルで手がけてます。

中島 Avec Avecさんとは自分の作品では初めてなんですけど、6年前にlivetuneさんの「Transfer」という楽曲でゲスト・ボーカルとして歌わせていただいたときに、そのシングルのリミックスをAvec Avecさんが手がけてくださっていたんです。それを聴いたときからすごく気に入っていて、いつか曲を書いていただけたらと思ってたんですよ。Avec Avecさんが思う中島 愛のイメージということで、この曲では詞も曲も全部お任せしました。

──ダンス・ミュージックを通過したメルヘンチックなブレイクビーツ・ポップといった印象ですが、実際に聴いてみていかがでしたか?

中島 とにかくトラックがカッコいいなと思いましたね。音数が少なくて空間が広く取られてるような、あえて空間を広く作られてるような曲なんですけど、よく聴くといろんな音が入ってるんですね。それが気持ちがガチャガチャしてるようにも捉えられて、無機質に歌うよりはどこかで気持ちがボロボロと零れるような歌の方がいいんだろうなと思いました。複雑な音がいっぱい入ってるんですよね。

──いろんな音がファニーな雰囲気を作り出してますよね。

中島 面白い音ですよね。ちょっとおもちゃっぽい感じの楽しさもありつつ、少し内省的な曲でもあるので、ここでちょっとクールダウンさせるというか。この曲はレコーディングがいちばん最後だったので、歌い方もひとつの集大成的な、いろんなことをやってないようでやっているような歌にしようと思いました。

──たしかに歌声も地声と裏声の境の絶妙なポイントを出されてます。

中島 狭間を突くなあっていうキー設定なので、もう地声、裏声、その中間をずっと行ったり来たり繰り返してるような感じで(笑)。メロディは穏やかに聴こえるようでアップダウンもあって難しい曲なんですけど、基本はつぶやくように淡々と歌いつつ、語尾の抜き方でいろんな色をつけるようにしました。「サタデー・ナイト・クエスチョン」のシングルを聴いてオッ!と思ってくださった方は特にこの曲も気に入ってくださるんじゃないかと思います。

この曲がいちばん最初にレコーディングした楽曲で、私ももうひっくり返りそうになりました(笑)

──そして10曲目の「サタデー・ナイト・クエスチョン」を経て、アルバムも終盤になりますが、11曲目の「未来の記憶」はちょっととんでもない曲だなあと思って。どこから聞けばいいのかわからないですけど、この曲は一体なんなんですか?(笑)。

中島 攻め攻めですよね(笑)。ちなみにこの曲がいちばん最初にレコーディングした楽曲で、私ももうひっくり返りそうになりましたよ(笑)。もちろん楽しかったんですけど、本当に自分の歌としてはやったことのないタイプの曲でしたから。イントロからして「SFファンタジー作品の主題歌かな?」みたいな厳かな感じで始まって、脳が気持ちよく侵されていくような、何かがジワジワと侵入してくるような、中毒性の高い曲ですよね。これぞCMJKさんという感じで。

──作曲&編曲のCMJKさんとは初顔合わせになりますが、これはどんな経緯でお願いされたのでしょうか?

中島 田村さんから提案いただいたんですけど、とはいえ私も好きで聴いてる楽曲のなかにCMJKさんの手がけられたものが何曲もあるので、アッ!と思いまして。

──例えばどんな楽曲でしょうか?

中島 初めてCMJKさんと意識して聴いたのは、私が『マクロスF』でデビューした頃に観た『マクロスプラス』の「INFORMATION HIGH」(シャロン・アップルによる挿入歌)だったと思います。あとはSMAPさんの楽曲で好きな編曲のものがあったり、アイドル曲のお仕事もいろいろ聴いてたので、ここにきてCMJKさんとご一緒できたのはビックリでしたね。でもいちばん最初にいただいたのがこの曲だったので、すごくエッジが効いてて「どんなアルバムになるのかな?」って思ったのが懐かしいです(笑)。

──この曲は終盤にオーケストラル・ヒットなども入ってて、中島さんの趣味に無理やり繋げるとするなら、80年代末から90年代頭のアイドル・ソングによくあったダンス・リミックス・バージョンみたいな雰囲気もありますね。

中島 そういうのありますよね。私はあまり通ってこなかったジャンルの音楽だとは思うんですけど、アイドルを通してかなり接してきてるタイプの曲調ではあるんですよね。なので、ビックリはしたんですけど、すごい大好きっていう。ただ、この曲も「タイアップですか?」って聞かれることが多くて。

──たしかに何かのキャラソンっぽい感じはします(笑)。

中島 そうなんですよ。別に主人公を立てて歌うということであればすんなりいくと思ったんですけど、これは私が主人公として歌う曲なので、どのくらいの年代のどういう女の子と解釈して歌ったらフィットするのかは悩みどころでしたね。ただ、歌詞は私が「乙女歌謡」というテーマで80年代、90年代ソングについて語った対談本(『音楽が教えてくれたこと』)のお相手だった甲斐みのりさんに書いていただいたので、その詞をいただいたらすんなり解釈できて歌うことができました。

──ちなみにその対談本『音楽が教えてくれたこと』はどんな内容なのでしょうか?

甲斐みのり・中島 愛 著「音楽が教えてくれたこと」(mille books)

中島 最初のスタートとしては「乙女たちに向けた歌謡指南ガイド」みたいな入り口なんですけど、もうちょっと深いところにもいったりしているので、初めての方はもちろん歌謡曲をよく知っている方にも面白い本になっていると思います。

──その本を読むことで「未来の記憶」の見え方も変わってきそうですね。

中島 そうですね。その本では歌謡曲をテーマに対談してるんですけど、例えば私や甲斐さんが少女の頃に何を考えてたかとか、乙女心に訴えかける詞とはこんなものだということを語ってるので、その内容のまとめみたいなものがこの曲の歌詞には詰まってるんですよ。たぶん甲斐さんがそれを意識して書いてくださったんだと思うんですけど、本の内容と思いがけずリンクしてる部分もあるので、ぜひ本と一緒に楽しんでもらえたらと思います。

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