REPORT
2018.04.04
2月10日、EX THEATER ROPPONGIにて“山崎エリイ Concept Concert 2018 「millefeuille harmony」”が開催。開始までシークレットにされていた1日のコンセプトをやり遂げつつ、これまでも、そしてこれからもファンと一緒に歩み続ける山崎エリイの姿勢を改めて感じられるコンサートとなった。
開演時間を迎えると、まずは山崎のナレーションからスタート。このコンサートのコンセプトを「私の大好きな昭和のアーティストさんの曲と私の曲を、ミルフィーユのように織り交ぜながらお届けしたいと思います」と伝えると、「それではこの曲から、どうぞ!」とのナレーションに続いて流れたのは、松田聖子の「夏の扉」のイントロ。そしてステージに円錐状にかかっていた幕がふわっと開くと、その中から山崎が登場。確かな歌唱力をもって、しなやかさと切れ味を兼ね備えたダンスも交えつつ、甘い歌声でこの曲を歌っていく。2サビでは山崎の「いくよー!」とのフリに続いてファンも一緒に「フレッシュ!フレッシュ!フレッシュ!」のコールを行い一体感を高めていく。続く「アリス*コンタクト」は思い切りキュート方向に振った曲で、イントロでの両手でウサ耳を作るようなポーズが印象的。振付の足運びはスムーズで、引き続きパフォーマンスにはまったく隙がない。また、曲中ではステージの両端へと移動しつつファンへ手を振ったり指切りを交わしていたのだが、自身の持ち歌でありながらも、その姿は彼女が愛する昭和のアーティストとも重なるものだった。そこから今度は一転、セクシーささえ漂う歌声でピンク・レディーの「ペッパー警部」をカバー。表情も一気にオトナモードに“入る”。1曲通してすっかり別の魅力を見せたところで、曲の最後には不意打ち的にかわいらしく「ばんっ♪」と指鉄砲。いったい幾人のハートが、この瞬間撃ち抜かれたことだろうか。
まず3曲を歌った山崎からは、改めてこの日のコンセプトが“昭和のアイドルさん”であることが説明。「知ってる人!」との呼びかけに挙がった手が会場の半分ほどという光景に若干不安を感じつつも、「知らない方には、新しく『こういう曲があったんだな』と覚えていってもらえたら」と呼びかける。その一方で、「夏の扉」で「エリイ!」とコールが上がったことへのうれしさも語っていた。
そこから続けたのは、ダークな3曲。「空っぽのパペット」はゆっくりと入り、クールに歌いゆく1曲に。ここでもサビのフリはしなやかでありつつ、ときに座ってフロアを見やったりとどこか挑発的な場面もあり、改めて表現力の多彩さを見せつける。透き通るようなファルセットでラストフレーズをスーッと歌い上げたら、今度はスタンドマイクで中森明菜の「Desire~情熱~」を歌唱。いきなりそのスタンドマイクを持ち斜めに傾けて視覚面からもかっこよさを出す。A・Bメロは溜めるように入り、サビではドンと力強さを一気に爆発させ、さらにラスサビではマイクを引き抜いてより情熱的なステージングを展開すると、今度はタンバリンを手にして「Lunatic Romance」へ。ファンからもクラップが起こるなか、自らもそのタンバリンを用いてリズムを取りつつ強くダークに歌っていく。加えて間奏後のスタンドマイクの抱え方も、どこか色っぽいものだった。
サビのキメまでかっこよく見せて曲を締めくくると、「ふぅっ」と素に戻ってひと息。そこに上がった「かわいいよー!」の声に、照れてフリーズする山崎。そこからのここ3曲の振り返リトークでは、「Desire~情熱~」中の「はーどっこい」のコールをこの曲を歌うことになるまで山崎は知らなかったことが判明。「そんな面白いものが!?」と驚いたと語っていた。
さてここからは、ピアノと一対一での生セッションに挑戦。ステージ上でふたりきりで歌うのは初めてとのことで、「緊張しちゃってしょうがない」と口にする山崎。それもそのはず、合わせたのはリハ1回とゲネプロの計2回のみ。緊張余ってか、自らが椅子に座って準備万端になったところで、演奏を担当する大坂孝之介を呼び忘れてしまったことにようやく気づいたのだった。そして「声をね、変えなきゃ」との言葉に続けて歌ったのは、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」。リスペクトからか本家に近い太い歌声で、しゃくりの入れ方まで原曲をしっかりなぞって歌われており、彼女のこだわりが感じられる1曲に。ピアノとのセッションであり歌声のより映える曲であった点も、そのこだわりを呼び込んだ一因だったのかもしれない。そこから続けてもう1曲ピアノとのセッションで披露されたのは、「雨と魔法」。傘を差して細く甘い歌声で歌われた。序盤のかすかな歌声の震え方からは、彼女の緊張具合も感じられるが、その一方で彼女の表情は穏やかで、ゆっくりとステージを歩きながらしっとりと歌われていく。曲明けには「レコーディングの際から『傘を持って歌えたらいいな』と思っていた」と明かし、続けて「ミュージカル風に見せられてうれしい」と振り返っていた。そして松田聖子の「天使のウィンク」では冒頭のスローな部分を歌い上げると、アップテンポになったところでは歌声も明るさ全開に。観客に要求したクラップに包まれて歌えていることの喜びからか、山崎の表情はここでは笑顔。この曲でも歌声の映えどころは満載で、中~高音域での伸びやかさ・高らかさはもちろん、歌い出す直前には息遣いも駆使して微笑みを表現していった。
ここでピアノとのセッションは終了。山崎も一旦降壇する。再び場内には山崎のナレーションが流れ、自らが書き下ろしたおとぎ話『Cherii’s Story』の朗読が始まっていく。夢を持つ素晴らしさを歌にすることが大好きな魔法使い・シェリーが悪い魔女にとらわれてしまい、それを妖精たちが助けるというストーリーのもの。もちろん幾人もの登場キャラクターも、山崎がひとりで演じ分けていった。
そして朗読後のナレーションでは、バレンタインが近いことにも言及。計画した“とあること”の実行のため、座って待っていてほしいとお願いをする。
山崎の合図に合わせての「エリイちゃーん!」のコールに応じる形でステージに再登場した山崎は、そのままなんと客席フロアに!国生さゆりの「バレンタイン・キッス」を「4日後特別スペシャル・デー」と歌詞を変えて歌いながら、観客へとチョコをプレゼントしていく。この距離でのパフォーマンスが不慣れなのか若干わたわたしていたり、チョコの撒き方の配分を誤って序盤にほぼほぼ配りきってしまったのはご愛嬌。笑顔で通路を練り歩いてフロアを1周する。そしてステージに戻った彼女は「Dreamy Princess」を披露。アーティストデビュー前、自身のラジオのテーマ曲としてできた初めてのソロ曲に、ファンは再び沸き立つ。この曲も2コーラス目に入ってからの見せ方が少々ミュージカルチックな、歌詞に沿ったパフォーマンスとなり、サウンド感や振付、サビの指差しまでまさしく昭和のアーティストのようなものに。曲後半には2階席にも手を振り、笑顔を振りまいていった。そしてクラブサウンドに軽いダンスも交えて披露したのが、「ドーナツガール」。タイトル通りとびきり甘い楽曲を、リズムに合わせてぴょんぴょん跳ねながら見せていく。その甘さは、チョコが届かなかったファンにとってのバレンタインプレゼントに十分なりうるものだったのではないだろうか。
曲明けには、久方ぶりのMCでここまでのライブを一旦振り返り。朗読についてはスタッフからの提案でできたものが明かされ、戸惑ったものの「いっそおとぎ話で、とことんメルヘンにしよう」と決めていたことや、シェリーが山崎自身、妖精たちがファンをモチーフにしていたことが次々と明かされていった。
そしてライブも終盤が近づき、ここから2曲はカバー曲続き。まずピンク・レディーの「S・O・S」では曲になぞらえてオオカミダンスを披露。イントロでは、その山崎に合わせてファンも一緒に踊る。間奏でもリズムに合わせて「がおがお」とコールを入れ、曲全体を通して繰り広げられた甘々なパフォーマンスとあわせてファンをメロメロにしていく。と、歌いきったところでステージに背を向けた山崎は、再度モードをスイッチ。工藤静香のクールなナンバー「MUGO・ん・・・色っぽい」で、再び強めの歌声を響かせていく。サビの終盤でほのかに顔を出す甘さが歌声の魅力をより高めていったのも印象的であり、工藤静香とも重なっていたように感じられるポイントでもあった。
そして「言いたくありませんが……」とぽつりと語り始めた彼女の口から、次がラストナンバーであることが告げられる。思えばライブ冒頭でもファンに会えない時期の続いた冬休みを「イヤでイヤで仕方がなかった」と語っていた彼女が、「結構ホントに言いたくなかった」とまで言ってくれたのは、ファンにはとてもうれしい事柄だったのではないだろうか。しかしただ別れを惜しむだけではなく、ここでうれしいお知らせも。なんと、ファンクラブ「Cherii♥」の結成を発表!“愛しい人”という意味のフランス語「Cheri」と「エリイ」をミックスした造語で、“エリイが愛する人の集まる会”という意味を込めて名付けられたこのファンクラブについて、「ライブのないときも、距離が近いところで皆さんと通じているようなものにしたいと思います」と発足にあたっての想いを述べていた。
そして「ラストは皆さんと歌って踊りたい」と語り、振付講座を経ての本編ラスト曲「Zi-Gu-Za-Gu Emotions」へ。ファンのフリも頭サビからいきなり高い精度で揃い、その他サビでの合いの手もバッチリ。そうして盛り立てられた山崎はフューチャーベースに乗せて、キュートなパフォーマンスを展開。Dメロ前に交えていたロボットダンスも止まるところをピタッと止める美しいもので、スキルの高さを感じさせるポイントに。そしてラスサビでは「イエーイ!」と気持ちよさそうにシャウトし、本編の楽曲を歌いきったのだった。
山崎がステージから降りると、客席からはまずクラップが起こり、続いて上がったアンコールの声も徐々に「エーリーイ!」に徐々に塗り替えられていく。そんななか、「全部キミのせいだ」のイントロが場内に流れ、続けて山崎が登場。デビューアルバムのリード曲という、彼女にとって意味の大きな曲でアンコールをスタートさせる。浮遊感と神秘性も併せ持つこの曲を、ときにいたずらっぽい笑みも浮かべながら披露していく山崎。そんな彼女に向けて、サビではファンからも大きなコールが起こっていた。
歌い終わった山崎は、すごく楽しかったこのコンサートができるのは、常日頃から応援してくれているファンの皆さんの笑顔や言葉に勇気づけられたおかげ、加えてこの2ndコンサートの場を作り運営してくれるスタッフの皆さんのおかげだと語り、そのどちらへも感謝を口にする。そして、「この幸せの気持ちをいーっぱい吸収して、それをまた直接、たくさんお返ししたいです!」と今後への意気込みを言葉にしたところで、ラストに歌ったのは自ら歌詞を紡いだ「Pearl tears」。スポットライトに照らされて、その他の照明効果は一切なしに、穏やかな表情とともに自らの今の想いをファンへと届け始めていく。すると次第にステージには、色と光が増えていく。これこそまさに直前に語られたように、彼女とともに歩むファンやスタッフがどんどん増えていく様子とリンクするものではなかっただろうか。大サビではステージ奥から客席を照らすライトも点灯し、歌声を届けたい相手が山崎からもはっきりと見える形に。山崎の表情と歌声は終始優しいもので、曲の誕生時からさらに曲に込められた想いが募っているように感じられるほど、最後まで大事に大事に歌っていったのだった。
全体を振り返ると、この日のコンサートの掲げたコンセプトはしっかり貫きつつ、物理的にも精神的にもファンとの近さを感じさせるものになっていた。ファンクラブも発足し、よりいっそう両者の距離は縮まっていくことだろう。そんなファンがいるからこそ、これからも山崎エリイは着実に自らの世界を作り上げ、表現していける。そんな未来への期待を高めてくれたのが、この日のコンサートだった。
Text by 須永兼次
photograph:アー写.com ®
“山崎エリイ Concept Concert 2018 「millefeuille harmony」”
2018.02.10@EX THEATER ROPPONGI
【SET LIST】
M1.夏の扉
M2.アリス*コンタクト
M3.ペッパー警部
M4.空っぽのパペット
M5.Desire~情熱~
M6.Lunatic Romance
M7.恋のバカンス
M8.雨と魔法
M9.天使のウィンク
M10.バレンタイン・キッス
M11.Dreamy Princess
M12.ドーナツガール
M13.S・O・S
M14.MUGO・ん・・・色っぽい
M15.Zi-Gu-Za-Gu Emotions
EN1.全部キミのせいだ
EN2.Pearl tears
●リリース情報
山崎エリイ1st写真集発売決定!
●配信情報
「山崎エリイ 21時でも起きてます◇」
FRESH!にて好評配信中
●イベント情報
山崎エリイイベント開催決定!
5月12日(土)発明会館 地下ホールにて昼・夜の2回公演!
SHARE