リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2018.04.04

新天地をめざすふたりのこれから!3rdシングルの発売決定も発表された“Pyxis Live 2018 “Pyxis Party” 〜Pop-up Dream Match〜”レポート

新天地をめざすふたりのこれから!3rdシングルの発売決定も発表された“Pyxis Live 2018 “Pyxis Party” 〜Pop-up Dream Match〜”レポート

豊田萌絵と伊藤美来からなる声優ユニット・Pyxisの3rdライブ“Pyxis Live 2018 “Pyxis Party” 〜Pop-up Dream Match〜”が2月3日、ディファ有明で開催された。昨年1月に行われた前回の単独ライブからおよそ一年の期間を経たイベントとなったが、8月には「Animelo Summer Live(以下、アニサマ)」へ出演、そして12月に2ndアルバム『Pop-up Dream』をリリースするなど様々な大舞台への出演で着実に実力をつけてきた。そんな彼女らが満を持してお届けする今回のライブは、ハイレベルなライブパート、笑いの絶えないトークやゲームコーナーで構成された高クオリティなエンターテイメントへと仕上がった。本稿では二部制で行われた本イベントのうち、昼の部にあたる1R(ラウンド)の模様を紹介する。

ディファ有明といえば、かつてプロレスリング・ノアが本拠地を置いていた言わずと知れたプロレスの聖地。当日の会場は中央に本物のリングが据えられ、その四方を観客席がぐるりと囲むように配置されるという、一見声優ユニットのライブとは思えない驚きのセットが観客を出迎えてくれた。格闘とは縁遠いイメージの彼女たちが、このリングの上で一体どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。全方位のオーディエンスに向けどんなダンスを披露してくれるのか。開演前の会場には期待に包まれた一種独特の緊張感が漂っていた。

そして定刻。アップテンポな音楽に合わせて会場北側の入場口から現われたふたりは、キレの良いダンスをばっちりキメると係員の誘導でリングへと登壇。OPナンバーの「ダイスキ×じゃない」でライブをスタートさせる。ふたりの衣装は「ダイスキ×じゃない」のMVで着用されていたおなじみのワンピースだが、今回はそれをライブ用に仕立てた特別仕様になっていた。暗転した場内は、ふたりのイメージカラーであるピンクと青のペンライトの光が所狭しとゆらめき、幻想的な光景を作り出していく。背中合わせのポジションからダンスを始めたふたりは、それぞれが前後の観客に向かってパフォーマンスを披露し、2-Aからはポジションをスイッチして存在感をアピール。Pyxisによって“背中合わせ”とは彼女たちのアイコンと言っていいほど、これまでも強烈な印象を観客に植え付けてきた。「アニサマ」を始めとする数々の大舞台でも、彼女たちは互いに背中を預けてスタートし名演を繰り広げてきたのだ。そこにはお互いへの信頼と、会場一体となってその瞬間を存分に楽しもうとする思いが込められているように見える。今回のステージはファンとの距離が非常に近く、客席後方からもふたりの表情が目視できるほど。しかし、彼女たちに緊張の色は一切見られず、純粋にパフォーマンスを楽しもうとする様子が見て取れた。2曲目の「First Love 注意報!」では、楽曲のイントロにコーナーポストからスモークが立ち上り、試合を見ているような高揚感を覚えた。キラキラとした笑顔で観客のひとりひとりの表情を確認するように見渡すふたりにファンもMIXで応えていく。ここまでのパフォーマンスに一切のウォーミングアップ感はなく、すでに“慣らし”を終えた彼女らがこのライブに駆ける気迫を十分に感じ取ることができた。

楽曲が終わったところでトーク。伊藤が「リングがあってびっくりした?前日のセットを片付け忘れてると思ったでしょ」と場内を沸かすと、豊田は「リングにあわせて360°の角度に対応した特別な振り付けを用意してきたの」と語りファンを驚かせる。さらに「(会場の)どこからでも衣装が見えるから、今日は『回って!』って言われないの新鮮だね(笑)」と会場を和ませた。続いての楽曲は1stアルバム「First Love 注意報!」から「初恋の棘」。紫のライトに照らし出されたセクシーな雰囲気の中、リングロープに設置されたネオンが瞬きふたりのシルエットを妖しく照らし出す。さらに息をつく暇もなく「ミライSniper」へ。ふたりはリングを降りると客席の目の前でもパフォーマンスを続行する。手を伸ばせば届くほどの距離にファンも大興奮。そして楽曲の終了とともにふたりは入用口からステージを後にした。ここで場内に設置されたスクリーンから本邦初公開の映像が流されることに。仕事のオフをぬってふたりが色んな場所へ遊びに行く様子を描いた「Pop-up Dream」のMV。そのセルフィーのシーンが一挙放映されたのだ。動物園に始まり、元町・中華街、観覧車と一日がかりの撮影の模様を追った映像の中では、観覧車の中でリップシンクを行なう様子も映されていた。

場内が再び暗転すると、「あーぁ、塾さぼっちゃったなぁ。ここが原宿かぁ」とスポットライトに照らされたセーラー服にメガネ、髪を結わえた姿の伊藤が登場する。これは「Pop-up Dream」に収録されている伊藤のフィーチャリング曲「初めて塾をサボった日~みくと原宿とクレープと~」のシチュエーションだ。歌詞さながらの嬉しい演出にファンたちも大盛り上がり。客席は伊藤のイメージカラーである青一色のライトに染まり、JKファッションの伊藤がスタイリッシュなダンスをキメていく様は圧巻。曲の間奏では、猫風のコスチュームをまとった豊田もリングに登壇する。歌い終えた伊藤は持っていたスクールバックの中からクレープを取り出すと、「『これを渡すと萌絵さんがすごく良いリアクションしてくれるよ』ってスタッフさんが言ってた」と豊田にプレッシャーをかけるコメント。しかし、「これ持ったら『東京ミュウミュウ』感が増しちゃうでしょ(笑)」と上手くかわし、場内の笑いを誘っていた。さらにカバンの中からは「うちの学校の教科書」と語られたパンフレットや“学校指定”のライブタオルが出てきたりと女子高スタイルにちなんだ用語でグッズ紹介をしてくれた。そして、猫のポーズをイメージした振り付けをファンにレクチャーして臨んだ「Call Me もえし」では、豊田が猫のようにロープにもたれかかったチャーミングな姿を見せてくれたり、曲の途中から伊藤もリング上に登壇してコーラスや合いの手を入れるなど、サービス満点のステージングを披露。ラスサビの「Hands up! & Call my name!」歌詞では「もっともっともっと」とファンを煽り続け、“もえしーコール”で会場を埋め尽くした。続いてはふたり揃ってのライブパートがスタート。こぶしをあげる振り付けが印象的な「恋でした」では、元気な歌声を響かせながらも間奏のパートに対角のコーナーポストへと移動し、バスケットから節分の豆や少し早めのバレンタインプレゼントとしてチョコレートを投げ始める。その後の「Welcome! My best friend」ではリングを降り、客席を練り歩くサプライズも。客席に向かって手を振るふたりに合わせ、名前を呼んでコールを繋ぐファンたちのコントラストが印象的。そして、ライブ中盤をアップテンポな「Shiny day」で盛り上げると、衣装チェンジのためにリングを後にした。

ここで再び会場にムービーが流されると、もはや恒例となっている彼女たちの歴代の対決の模様が紹介される。「ポカポンゲーム」や「叩いて被ってじゃんけんぽん」「身体測定勝負」など名勝負の数々に観客たちもテンションを上げていく。ここにきてようやくディファ有明で開催された真意を読み取ることができた。そして映像の終わると会場が暗転し、ステージ上にリングアナ役のセクシー齋藤氏が登壇すると、ピクシスのふたりを呼び込みする。それぞれが選曲した入場曲とともに赤いガウンを纏った豊田と紫のガウンを羽織った伊藤が登場すると、「やんのかこらー。こっちは猪木仕様だぞ(豊田)」「こっちだってラスボスっぽいだろ(伊藤)」と不思議な舌戦を繰り広げる。齋藤氏に「どちらが多く勝ってるかご存知ですか?」と問われた豊田が「私が10代の頃はよく負けていたけど最近は勝ってるからなぁ」と返すも「伊藤さんが9勝6敗1引き分けで勝ち越してます」とすぐさまツッコミを入れられてしまった。ただ、2016年の後半からは豊田がずっと勝ち越しているのだという。そんな彼女たちの今回の勝負を決めることになったのは「手押し相撲対決」。ディファ有明で前代未聞の勝負が行われることになった。「萌絵さんの連勝を断ちたいです」とコメントした伊藤に対し、豊田は「変わらず連勝します!」と今回も気合十分の様子。早速対決がスタートさせるがなかなか勝敗は決さず、その攻防はおよそ2分にも渡る長丁場となった。最後は豊田をフェイントで引きつけた伊藤の勝利。およそ一年ぶりとなる勝利を奪還することとなった。すっかり疲れた様子のふたりは「こんなに長くなる予定でしたっけ?」と齋藤氏に聞かれると、豊田が「負けず嫌いなので本番だとついつい本気になちゃいました」と悔しそうな表情を浮かべる。一方、勝因を聞かれた伊藤は「油断したところをついていきました」と冷静なコメント。するとここで嬉しいニュースが届けられた。なんと、彼女たちの結成3周年イベントとして「Pyxis 3rd Anniversary Party 2018」が5月20日(日)、新宿BLAZEで開催されることが決定したのだ。新たな舞台でリベンジを誓った豊田だが、今回はふたりの熱戦に免じて勝負はドロー。そしてライブパート後半戦へと移行する。

さて、ライブを続行するためにガウンを脱いだふたり。その姿は初めてお披露目となるおそろいの淡い紫のワンピースだ。それぞれのイメージカラーを合わせて配色に決定したのだという。最新アルバムの表題曲「Pop-up Dream」では、スモークが立ち込める中で小指を繋いだふたりが可愛らしく、彼女たちの関係性を端的に表現した象徴的なシーンだと感じられた。その後も高レベルなダンスを展開する「FLAWLESS」や、しっとりとしたスローバラード「残像」を披露。ここでもふたりは観客をまっすぐと見据えながら対角のコーナーポストに移動し、間奏ではポジションをスイッチしていく。お互いが向き合い「好き」とつぶやく姿には心を打たれた。次はイベント初披露となる「Pinkie×Answer」。ラテンのリズムに合わせて情熱的なダンスを繰り出す大人っぽいナンバーだ。赤と青のダウンライトに照らされた妖艶な表情が艶めかしく、表現の幅と成長を感じさせてくれた。
ライブも終盤に差し掛かったところで彼女たちが選んだのは、トロピカルなリズムが特徴的な「Sweat&Tears」。アップテンポなビートがタオル回しにぴったりなナンバーだ。オーディエンスも巻き込んだ壮大なタオル回しや、落ちサビのコールアンドレスポンスでラストに向けて興奮を生み出していく。ここで、ラスト一曲を前に最後のあいさつ。「今回のステージはいろんな挑戦の連続でした。ダンスのフォーメーションも変わったし、試行錯誤スタッフも含めて緊張したけどバラエティに富んだステージに出来てよかった」と語った伊藤。そして「まだ単独ライブは3回目だったことがすごく意外でした。でも、去年は色々な合同イベントに参加できたのでみんなとの距離を縮めることができたのかななんて思ってます。3周年も決まったので、(Pyxisの)3歳のお誕生日をみんなで応援しに来てください!」と豊田が締める。そして最後には2018年5月に3rdシングルの発売が決定されたことを発表した。こちらは4月から放送となるTVアニメ『ありすorありす』のEDテーマとなっている。ラストは未来に花を咲かせるという意味でチョイスした「Next Flowers」でイベントを締めくくった。
今回のライブは、彼女たちとファンで作り上げた凄まじいエネルギーの集大成だった。成長と経験で進化してきた2人は当然ながら、その空気を作り上げてきたファンとの世界観は声優ユニットの到達点だとも感じられる。ミニマルなステージで行われたマキシマムなライブ。それこそが醍醐味ではないだろうか。光の速さで駆け抜けてきたPyxisも気づけば3周年。新たな旅立ちの幕開けとなる5月を期待して待っていてほしい!

Text By 鈴木遼介

“Pyxis Live 2018 “Pyxis Party” 〜Pop-up Dream Match〜”1R
2018.02.03@ディファ有明
【SET LIST】
M1.ダイスキ×じゃない
M2.First Love 注意報!
M3.初恋の棘
M4.ミライSniper
M5.初めて塾をサボった日~みくと原宿とクレープと~
M6.Call Me もえし
M7.恋でした
M8.Welcome! My best friend
M9.Shiny day
M10.Pop-up Dream
M11.FLAWLESS
M12.残像
M13.Pinkie×Answer
M14.Sweat&Tears
M15.Next Flowers


●リリース情報
Pyxis 3rd シングル
TVアニメ『ありすorありす』EDテーマ
「LONELY ALICE」
5月23日発売

【初回限定盤A(CDM+DVD)】
品番:TECI-617
価格:¥1,800+税

<CD>
1.LONELY ALICE
2.タイトル未定

<DVD>
LONELY ALICE ミュージックビデオ、特典映像1

【初回限定盤B(CDM+DVD)】
品番:TECI-618
価格:¥1,800+税

<CD>
1.LONELY ALICE
2.タイトル未定

<DVD>
LONELY ALICE ミュージックビデオ(踊る宝石箱 篇)、特典映像1

【通常盤(CDM)】
品番:TECI-619
価格:¥1,300+税

<CD>
1.LONELY ALICE
2.タイトル未定
3.LONELY ALICE(Instrumental)
4.タイトル未定(Instrumental)

●ライブ情報
「Pyxis 3rd Anniversary Party 2018」
5月20日(日) 新宿BLAZE
1st 開場 14:00/開演 14:30
2nd 開場 18:00/開演 18:30

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP