「予定調和」を壊して「その先へ」――“angela Live Tour 2018 Beyond”セミファイナル ライブレポート

angelaのライブはさまざまな演出で楽しませる「大サーカス」と、演奏主体のライブに分かれているが、どちらにも言えるのは何度見ても楽しく、それでいて初めて来たファンにも優しいということだ。angelaファンである「ぢぇらっ子」たちは温かくて反応がよく、風通しが良い。これらアーティストとファンで作るオープンな姿勢が長らく愛され、なお新しいファンを開拓しつづけられている理由だと思う。さらに次々に新たな境地を開拓しそれぞれでアンセムを生み出していくアクティブな姿勢もこの15年以上持ち続けてきた。今回のアルバム「Beyond」では「angelaのその先へ」と示しており、パワフルだ。デビュー15年記念イヤーの「最初の最後」を飾る東京公演、そのセミファイナル公演をレポートする。

2014年以来のEX THEATER ROPPONGI。「angela Live Tour 2018 Beyond」ツアーのセミファイナル/ファイナルの2公演は六本木という場に似合う、白を基調とした衣装で登場したKATSUのDJプレイでオープニングを飾った。バンドメンバーとともに登場し一礼すると「ツアーBeyond、セミファイナル。いくぜ東京!」とブチ上げてフロアを盛り上げる。ぢぇらっ子たちはアーティストからの提示をスムーズに受け取り、リズムよくタテノリで反応していく。そこから「Beautiful day」のエレクトロなサウンドに乗せて登場したatsukoは「その向こうの景色を見るために」と艶やかな声を響かせ、高らかに幕を開けた。スタイリッシュな演出から一転、「全力☆Summer!」の陽気なメロディのイントロを使って「うっ!はっ!」と盛り上げ、KATSUはスルド(手持ちの大太鼓)を持って歩き回る。転調のところでatsukoはたっぷりとコブシを効かせてからサビのタオル回しに展開していく。間奏では客席を左右2つに分け、「セミ」「ファイナル」のコール・アンド・レスポンスといきなりの参加型演出。落ちサビで哀愁たっぷりのメロディに振ってから早口歌唱、そして朗々と歌い上げる。自身をして「転機」と言わしめたこの曲をangela流のエンターテイメントで見せきった。

「Beyondツアー、ついに47都道府県を回ってきて」(atsuko)に「ホントは6箇所です。そのうち2回は今日と明日です」(KATSU)というボケ・ツッコミの息がピッタリのMCはバンドメンバーを巻き込み、会場を爆笑の渦へ変える。「まだまだ戦って行ける?」の声でスッとシリアススイッチを入れて、「Beautiful fighter」身体を折り曲げ手を挙げ、これまたエモく歌い上げ、それに応えるギターソロとストリングスからの落ちサビの歌いまわしは絶妙の一言。その流れで「SEVEN STORIES」も髪を振り乱してモニターに足をかけ、サビの手前で一音一音の味わいを変えサビでは強烈な肺活を使い感情を込めて、アウトロではオーディエンスとシンガロングを繰り返し最後に小さく「ありがと」と囁きドラマティックに締めくくった。さらに「語り継がれしもの」ではKATSUがアコギに持ち替え、大地を感じさせるサウンドを繰り広げ、atsukoはそこに相応しい生命力溢れる歌声を響かせる。ビブラートを得意とする彼女の中でもこれはライブでなおそれを最も強く表した楽曲ではなかろうか。感動的な空気に対して照れ隠しであるかのような軽妙なMCから、通算700回を迎えたラジオ「angelaのsparking!talking!show!」のテーマソング「道しるべ」を、これまでの積み重ねを込めるかのように一言ずつ、届けるように歌う。KATSUの三線が郷愁を誘う音を奏でる「あの夏空」。時間がゆったりと流れる中、間をじっくり溜めたり節回しをアレンジしたりとさまざまな歌声を聴かせてくれる。楽器もひとつひとつのがじっくりと聴けるサウンドで、その空気感も含めてライブ映えした時間が流れていった。

「Dream on」はメッセージを投げかける曲らしく一体感のある演出で見せる。コール・アンド・レスポンスだけでなくお立ち台に登りファンのすぐ近くまで行き、寄り添うように、あるいは率いるかのように歌う。そのパフォーマンスは温かく力強く届いたことだろう。最後に天を仰ぎ歌い上げるatsukoの姿が輝いて見えた。激しい前奏から煽っていく「ANGEL」はゴリゴリのベースにタイトなドラムで腹の底から上がってくる楽曲。激情を前面に出し熱く魅せた。「Prologue -君の向こう側-」はディープな入りからコーラスが重なりドラムが力強く、じっくりと聴かせていく。ファンの中ではまだ見ぬ「蒼穹のファフナー THE BEYOND」のイメージソングとしてまだまだたっぷりと解釈を重ねていける余地があるだろう。それを導くようにatsukoの情熱的な声が響き渡った。MCでは「Spiral」の振り付けを初心者にも優しく練習し、サビで展開する一体感を演出。

次の「LOVE★CIRCUS」はangelaの大サーカスを10数年にわたって盛り上げ、惜しまれつつ空に旅立ったクラウンのダイアナ氏に捧げた楽曲。ビッグバンドのサウンドのイントロが聴こえると察し良くすぐに手拍子が鳴り始める。湿っぽくならないための明るいサウンドだが、歌詞に織り込まれた彼女の名前が口に出るところでどうしても意識が向いてしまう。atsukoは切なげに目を伏せたあと、笑顔で思い出しつつKATSUと目を合わせ頷き、背中合わせでパフォーマンスするようすが見えた。そして彼女の振り付けを思い起こさせるように手を叩き回る。リスペクトとプロフェッショナルさを同居させた素晴らしいパフォーマンスだった。ハイスピードな応援ソング「Yell for you」はこれまたファンの近くに行って歌い、美しい歌メロにベースの太い音が並走する。ソロの間に皆で手を挙げストレートに元気にさせた。つづけてイントロの力強いドラミングに熱い声が飛ぶ。キラーチューンの「イグジスト」がドロップされた。「そこにいますか」で回転し、腕を挙げっぱなしにして間奏をたっぷり取って「follow me,follow you」のコール・アンド・レスポンスも交わし、演奏もドラマティックに盛り上げていった。アガる曲が続いたところでクールダウンさせる「Calling you」。ライティングも青バック+スポットに変わり、同期音をKATSUがDJで生プレイ。音の体感圧が凄まじいだけでなく生スクラッチも披露され、これまたライブならではのプレイを体感させてもらった。一礼したところにフロアからは惜しみない拍手が贈られた。

MCで、2018年がangelaにとってデビュー15周年の記念イヤーであることを話すとまず大きな拍手が湧く。atsukoは「正直、15年もやれるとは思っていませんでした!移り変わりの激しいこの世界で15年やれたということは……、すべて私の才能あってだと思います!」と、「予定調和」を壊していくパターンに会場爆笑。そして「すべてはここから始まりました」と前フリをしてデビュー曲の「明日へのbrilliant road」へ……行く前に振り付けの練習。2014年のこの会場でのライブのときはアン・ルイスの「六本木心中」で行なったことを唐突に思い出したatsukoは同じくアン・ルイスの「あゝ無情」に合わせて(?)行なうのだった。アンセムとあって拍手がAメロから入りコールもより力強い。ギターソロもたっぷり泣きメロを奏で、落ちサビはシンガロングでatsukoがコーラス上パートを歌うという、ぢぇらっ子との共同作業ぶりだ。最後の「旅立ちはいつだって孤独」で見つめ合って、「私がいてぢぇらっ子がいる」と言い換える絆。この日の中にはデビュー以来15年、もしかしたらそれ以前から応援してきたぢぇらっ子がいるかもしれない。そんな思いを改めて口にしてくれることの喜びを感じていたことだろう。ラストはハイスピードなドラムから入る「僕は僕であって」。静かに感情を込めて展開しつつ、サビに入ると高速で振り力強く振り上げられる腕。最後に頭を思い切り、エモーショナルに最高潮の盛り上がりを見せて、本編を終えた。アンコールはお馴染みの規則的なSEに乗せて登場。再び圧の高い音が会場を支配し、「シドニア」が鳴り響く。さまざまなスタイルのアンセムが続けざまに投下され、ハイスピードな音の洪水にぢぇらっ子は小気味よくレスポンスを返していく。間奏ではメンバー紹介からKATSUのお馴染みの「ジーク・ジオン」コール……と思いきや今度は歌で「予定調和」を壊していく展開。足を上げ背を反らし、全力で何度も叫んだ。「いつだってライブはぢぇらっ子がいてくれる、シャングリ・ラです」と一言述べ、オーラスの「Shangri-La」を朗々と歌い出す。タオルを素早く手に取り回し、皆が放り投げると空中に乱舞する。ホイッスルのコール・アンド・レスポンスをし、最後の最後は全体でシンガロングを繰り返した後、タオルを投げてジャンプを繰り返し、セミファイナル公演は大団円を迎えた。

「もう、今日がファイナルで良くね?」(KATSU)と満足げな言葉に「本当にファイナル、みんなのお陰で本当に楽しいツアーになりました」とすぐさま乗っかり笑いを誘うatsuko。「こんなバカみたいなことを言ってもみんなに許してもらえると思っている……のは、こうして10年以上私たちがangelaを貫いてやってきた証拠なのかなと。みんながとても優しいから今日もステージに立っていられます。伸び伸びと自由に好きな音楽を作っていられて、それをいいなと思ってくれるぢぇらっ子がいることによって続けていられることだと心から思っています」と温かく締めくくり、翌日のファイナル公演に期待をもたせた。

そのファイナルの場で「angela 15年周年記念ライヴ!!」の開催が発表となった。日時は5月19日(土)(16時開場/17時開演)。会場は2年ぶりとなる山梨県河口湖ステラシアターだ。武道館公演ライブビデオにも収録されているように、ほかにはない天然の演出が加わる会場での記念ライブ。ここで今度はどんなセットでどんな音を奏でてくれるのか。2年前にここを訪れたぢぇらっ子のみならず、たとえこの会場ではじめて触れることになったとしてもangelaは間違いなく楽しい時間を約束してくれることだろう。

Text By 日詰明嘉

「angela Live Tour 2018 Beyond」セミファイナル
2018年2月23日(金)EX THEATER ROPPONGI

セットリスト
01.Beautiful day
02.全力☆Summer!
03.Beautiful fighter
04.SEVEN STORIES
05.語り継がれしもの
06.道しるべ
07.あの夏空
08.Dream on
09.ANGEL
10.Prologue -君の向こう側-
11.Spiral
12.LOVE★CIRCUS
13.Yell for you
14.イグジスト
15.Calling you
16.明日へのbrilliant road
17.僕は僕であって
<Encore>
EN1.シドニア
EN2.Shangri-La

関連リンク

この記事に関するキーワード

この記事を書いた人