リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2018.03.23

取り戻した“声”に乗せた、彼女の強い意志とは? 牧野由依ミニ・アルバム『WILL』インタビュー

取り戻した“声”に乗せた、彼女の強い意志とは? 牧野由依ミニ・アルバム『WILL』インタビュー

マイナスも、発想の転換でプラスへと変えられる

――続く2曲目「song for you」は、岡本真夜さんが作詞・作曲を手がけられています。

牧野 真夜さんには、学生の頃に楽曲を聴かせていただいたり、「そういえば『TOMORROW』で朝礼の行進をやっていたな」っていうのをふと思い出したりとか(笑)、いろんな思い出がありますね。しかも私「TOMORROW」を、“30 Selection”っていう2016年に30歳になった記念にやったライブで歌わせていただいていたりもしたので、「真夜さんに、もし楽曲をお願いできるのであれば……」と思っていたんですよ。

――楽曲自体は、ポップなうえにサビのメロディもすぐに覚えられるほどのキャッチーさもありますが、こういった方向性は牧野さんからのリクエストによるものですか?

牧野 はい。上げていただいたデモはバラード調だったんですけど、私の中では真夜さんって、元気に前に進んでいける強さのある楽曲をすごく書いてらっしゃるっていうイメージが勝手にあったので、「そういう方向性が、いいかもしれないな」というところで、完成版の雰囲気になっていきました。

――歌詞も今の牧野さんにすごくハマっている印象がありました。

牧野 そうですね。それはこの曲に限らず、『WILL』の新曲はすべてそうで。やっぱり状況を伝えさせていただいていたというのもあって、自分とはそう遠くないところの話なので(笑)。なので歌うときもイメージが、湧きやすい部分はありました。

――この曲の歌声が、7曲の中でいちばんストレートなものに聴こえました。

牧野 それは、ノドを壊してからちょっと歌唱法を変えたからだと思います。

――どのように変えられたんですか?

牧野 すごくマニアックな話になってしまうんですけど、ノドを壊すまでは声帯をピタッとくっつけすぎず、ちょっと隙間を開けてウィスパーっぽくして倍音を出すという歌い方だったんですね。でも、これから自分が歌っていきたいと思ったときに「このノドとどうすればうまく付き合っていけるんだろう?」というのと、「どうやれば表現の幅を広げられるのか?」と考えて、「もう1回ちゃんと勉強し直したい」と思ったんです。それでボイストレーナーの先生のところについて、元々の要素も残しつつピタッと声帯をくっつけて声の中に芯を持たせるという歌唱法を教えていただいて、それをまさに「song for you」でやっているんですよ。

――逆に、残された元々の要素が強く出ているのが、ピアノ1本の弾き語りで収録された「What A Beautiful World―Studio Live Version―」だと思います。

牧野 この曲は、夏のライブの2日目のセットリストに本当は入っていたんですけど、高音が出ないのでカットになってしまった曲なので……これも、“リベンジ”の曲ですね(笑)。

――そこから先は、サウンド感の面で新しさを感じる曲が多かったように感じます。「Colors of Happiness―Rainbow Mix―」のようなクラブっぽいリミックスは、ライブではよくされていますが音源としては今回が初めてですか?

牧野 初めてです。それは“意志の強さ”というコンセプトに繋がるんですけど、やっぱりライブやコンサートというのはすごく大事にしている場所でもあるので、そこでの新しいチャレンジをどうしても音源の中にも反映させたかったんです。ライブの中で取り入れていることをアルバムでもやってみようというので、いつもライブアレンジをやってくださっているMEGさんにアレンジをお願いしました。実はライブで使われているSEが、このバージョンの中には入っているんですよ。たとえばパチンっていう音は、夏のライブで「Reset」に入る直前のイントロダクションで使っていた音だったりと、ライブにいらしてくださっている方がもし覚えていてくださったら、気づいていただけるかなっていう音が入っています。

――続く「それはきっとボクらしく生きる勇気」は、アコースティックな寄り添ってくれるような感じの強い曲ですね。

牧野 この曲は今回のアルバムの新曲の中ではいちばん最初にいただいた曲なんですけど、キーを決めましょうというときにもう1回ノドの調子を壊してしまって。それが悔しすぎて、泣きながらキーチェックをしたのを覚えてますね(笑)。でもその「思うようにできずに悔しい」というこの曲にも結びつくような想いがまさにジャストなタイミングで来ていた時期だったので、やっぱり歌うと感情がガッと入ってしまうところはすごくありました。ただレコーディングのときは、歌うというよりかは“語る”という方向に、意識を持っていった曲になりましたね。

――なるほど。だからこそ、サウンドも相まっての寄り添ってくれるような感覚が。

牧野 うん。生まれているのかもしれません。

――そしてアルバムの最後を飾る「ハウリング」は、未来へ向かって開けていくようなイメージがありました。曲を聴かれたとき、最初どんな感想が湧きましたか?

牧野 「あー、きたきたきたー!」って思いました(笑)。実は楽曲の打ち合わせのときに、かなり細かいことをいろいろお願いしていまして。参考の楽曲も何曲か用意させていただいて、kzさんとその場でお話したときに「この曲の、こういう感じの部分が……」とかっていう細かいリクエストもさせていただいたんですよ。で、上げていただいたラフを聴いて、「ここの部分はこういうふうに歌いたいです」という感じでメロを「こんな感じはいかがですか?」とお戻しして、それに対してまたいろいろ変更したものを返していただいていて……というやり取りがあったんですけど、もう「めちゃくちゃかっこいいー!」と思いましたね。

――かっこよくて、しかも爽快感もありますね。

牧野 そうですね。「悲しい」とか「苦しい」っていうアルバムには絶対したくなかったので、このアルバムを引っ張っていってくれる楽曲でありつつ、未来を見据えられるような楽曲がいいなとお願いしていたんですよ。それにすごくピッタリな、前に進んでいく力120%みたいな楽曲をいただけてすごくうれしかったですね。

――またタイトルが、すごくいいですよね。

牧野 「ハウリング」って、普通はマイナスなイメージですもんね。だから最初「おや?」って思われる方もいるかもしれません。

――でもそれが、1曲ちゃんと歌詞とサウンドを感じながら聴くと、本当にピッタリで。

牧野 はい『WILL』の中では、「ハウリング」のようにマイナスの言葉なんだけど、歌詞の世界の中に描かれた考え方を読むと「あ、これってプラスの言葉だったんだ」って思えるものが結構入っているんですよ。たとえば、「それはきっとボクらしく生きる勇気」にも「溜め息だって深呼吸」というフレーズがありまして。溜め息ってすごくマイナスなイメージですけど、それを発想の転換で“深呼吸”というふうにとらえたりと、「考え方次第で、状況ってすごく変わっていくんだよ」っていうのを教えてくれるような楽曲がいくつも入っているアルバムになりました。

――今回のアルバムには“リベンジ”という想いも込められているというお話もありましたが、音源の次はライブやコンサートで、という想いもあるかと思います。なので最後に、次ソロでのライブやコンサートの機会があったら、どういうものにしたいと思われているかお聞かせいただけますか?

牧野 やりたいことはどんどん溜まっていくんですけど……「ライブでもありコンサートでもありっていう形をどうしても見出したい」という想いがあったなかで去年の夏のライブをやったことによって、「どちらかである必要ってないんだな」って思ったんですよ。なので、そのとき見えた形をもっと具現化していきたいです。ステージもひとつの作品だと思うので、エンターテイメントなものを作れたらいいな、と思いますね。

Interview&Text By 須永兼次


●リリース情報
Mini Album
『WILL』
3月21日発売

【初回限定盤(CD+DVD)】

品番:TECI-1582
価格:¥3,241+税

【通常盤(CD)】

品番:TECI-1583
価格:¥2,315+税

※初回限定盤・通常盤共にプレイパス対応

<CD>
1. Reset―A Cappella Version―
words by Manami(TRYTONELABO)/music by 滝澤俊輔(TRYTONELABO)
arranged by 光田健一
2. song for you
words and music by 岡本真夜/arranged by 上杉洋史
3. ウイークエンド・ランデヴー
words, music and arranged by 矢野博康
4. What A Beautiful World―Studio Live Version―
words and music by 矢野博康/arranged by 滝澤俊輔(TRYTONELABO), 牧野由依
5. Colors of Happiness―Rainbow Mix―
words by 牧野由依/music by ハマサキユウジ/Re-mixed by MEG
6. それはきっとボクらしく生きる勇気
words and music by UZA/arranged by 上杉洋史
7. ハウリング
words, music and arranged by kz

<DVD>
Making of 「What A Beautiful World―Studio Live Version― 」
「ResetーA Cappella Versionー」Special Movie

●ライブ情報
2Days Live Concert開催決定!!
6月9日(土)、10日(日)東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo
チケット料金:全席指定 ¥6,480
一般発売日:4月21日(土)

公式HP先行受付
3月24日(土)12:00~4月1日(日)23:59
※詳細は牧野由依オフィシャルサイトをチェック!

●イベント情報
Mini Album「WILL」リリース記念スペシャルイベント
3月24日(土)兵庫・阪急西宮ガーデンズ
時間:13時00分/15時00分
内容:ミニライブ&特典お渡し会

3月25日(日)東京・ららぽーと豊洲
時間:13時00分/15時00分
内容:ミニライブ&特典お渡し会
※詳細は、インペリアルレコード内・牧野由依サイト まで

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP