「私、本当に武道館に立ってる」CHiCO with HoneyWorks初の日本武道館ワンマンは最大級のハピネスに満ちていた――“CHiCO with HoneyWorksワンマンライブ「i contact」ライブレポート

地下鉄の九段下駅を出て坂道を上る。すぐ隣で、同じ目的地へと向かうであろう4~5人の制服姿の女子高生たちが、冬の名残を感じさせる冷たい風を吹き飛ばすかのように、「めっちゃ楽しみ!」「うん、早く早く!」と、ウキウキした口調で駆け足になる。3月16日、日本武道館。入場口では、大勢のファンがかわいらしいCHiCOのイラストと「CHiCO with HoneyWorks i contact」と描かれた横断幕を背にして、肩を寄せ合い、大きな声ではしゃぎながら、スマホで写真を撮り合っている。中に入れば、客席も掛け値無しの満員御礼。完全ソールドアウトという情報は耳にしていたが、ステージセットのほぼ真横まで客席が開放され、ぎっしりとファンで埋め尽くされている光景は壮観だ。CHiCO with HoneyWorks初の武道館ライブを、みんながどれだけ心待ちにしていたかが、開演を待ちわびるファンの紅潮した表情から、しっかりと伝わってくる。

18時半、客電がパンと落ち、ハードでスラッピーなデジタル・ミュージックが流れ出すと、約1万人のオーディエンスから「うわっー!!」と声が挙がり、次々に手拍子が巻き起こる。下手から薄暗いステージに、AtsuyuK!(Dr)、Hiroki169(B)、中西(G)、cake(Key)、そしてバンドマスターを務めるOji(G)が手を振りながら入ってくると歓声はますます増え、メンバーの名前を呼ぶ声が、あちらこちらから響いてくる。ポジションについたバンド・メンバーが曲を奏で出し、拍手が次第に大きくなったところで、ドラムとキーボードの間から、キュートな赤いギンガムチェックのドレスに身を包んだCHiCOが、左手を高く上げて登場した。

記念すべき1曲目は、ニューアルバム『私を染めるiの歌』でもオープニングを飾った「私、アイドル宣言」だ。「CHiCO with HoneyWorksでーす!!」と張り上げたCHiCOの声に応えるように、曲に合わせた大きな歓声が、レーザー光線の隙間を縫うように広い武道館にこだまする。歌い終わってニッコリとポーズを決めたCHiCOだが、1万人もの大観衆を前にして、ちょっと緊張しているのだろうか? 次の曲を紹介する「ハートの主張!」のコールは、ほんの少しうわずっているようだ。だがバンドとオーディエンスの勢いはますます高まる。Ojiの横でジャンプし、ステージを走り回るCHiCOの伸びやかな歌声を応援するかのように、観客全員から放たれる「OK!!」の声が、会場を揺るがしながら渦を巻いていく。

「皆さんこんばんはー!あー、泣きそう!! 〈私、アイドル宣言〉でめっちゃ泣きそうになったの我慢してたんです!」と語るCHiCOに、バンド・メンバーから「早いよ!」とさっそくツッコミが入る。そして去年の夏に武道館公演を発表してから、今日までの心情を話す彼女に、「待ってたよー!」とファンから声が飛ぶ。随所にCHiCOの正直なMCを挟みながら、アットホームな雰囲気で進んで行くのがチコハニ流。初武道館だからと必要以上に気負いすぎることなく、いつも通りの景色が広がっていることに、どこかホッとする。

キュートな2曲からスタートした「i contact」のステージは、スクリーンに映し出されたMVと連動した「可愛くなりたい」や「恋色に咲け」からも、再び軽やかポップチューンで彩られる。CHiCOの真っ赤なタンバリンに合わせた手拍子がリズムを刻む「ツインズ」、レインボーに輝くミラーボールの光がハッピーなオーディエンスの合唱を照らした「カヌレ」を歌い終えると、CHiCOがステージを後にする。始まったのは、バンドによるインストタイムだ。1人ひとりが思いのままにアクティブにソロを披露すると、メンバーの名を呼ぶ歓声が大きく響く。

熱のこもった演奏が終わると、白のフォークロアなワンピースに着替えたCHiCOが「カッコいいー!」といいながら再びステージへ。そして「ここで、ずっと黙ってきた……初お披露目したいしたいことがありまーす!」と言うと、スタッフが赤いアコースティック・ギターをCHiCOに手渡し、「ギターを弾きます!」と宣言。客席から驚きの声が挙がる。2月からOjiの指導で一生懸命アコギを練習してきたというCHiCO。「めっちゃ緊張してます」と言いながら、自分自身に「ふぅーーー!」と気合いを入れてバンドとともに弾き語ったのは「color」。曲のエンディングで笑顔を見せたCHiCO。「あー、緊張した!!」と叫んだ、心からの安堵の表情が会場を温かな想いで包み込んだ。

毎回、ワンマンのたびにワクワクする趣向を届けてくれるチコハニだが、この日もまだまだサプライズは続く。現在公開中の映画『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』の挿入歌となった「ツノルキモチ」では、武道館公演のためにスペシャル編集された映画の映像が流され、続くメロディックな卒業ソング「贈り歌」では、杉並児童合唱団の可愛らしいコーラス隊20名が、CHiCOの歌声を温かくサポート。ビジョンには、ファンから募集した学生時代の思い出の写真や映像を散りばめた初の実写MVも流され、卒業シーズンにふさわしい感動的な光景を作り上げた。

そして「贈り歌」の歌詞に、父母、恩師への思いを込めたと話すCHiCOが、「私にはもうひとり、今、大変お世話になっている方がいらっしゃるんです。2014年3月16日に、オーディションに受かって、その2日後に“初めまして”をして、現在進行形でお世話になっているHoneyWorksから、あの方を呼びたいと思います!」とステージに呼び込んだのは、Gomだ。「CHiCOと出会ってから4年ですか? 最初会ったときは、緊張して壁しか見ていなかった娘が、武道館でガンガンみんなを煽ってるのを見ると……おじさん、涙が出そうになっちゃうよね」と笑うGom。

曲作りの相棒であるshitoと昔、いつかオリジナル曲をやりたいと願っていた彼は、「今日演奏されているのは全部、俺たちが書いた曲。1万人の前で夢がかなったかと思うと、本当にうれしいです」とHoneyWorksファミリーとしての喜びを笑顔で語った。そんなGomと歌でセッションされたのは、CHiCOが「初のセクシーソング」と語るジャジーでダンサブルな「平成バブル」と、HoneyWorksのハードでロックなカバーナンバー「イノコリ先生」。パワフルなふたりのボーカルが絡み合い、武道館のステージにカラフルな彩りを加えていった。

ここでもう一度、CHiCOはお着替えタイム。バンド・メンバーが、賑やかなインストとコール&レスポンスを交えて会場を盛り上げ、ラメ入りのライダースとレーシーなスカートでクールに決めたCHiCOがさっそうと戻ってワイルドな「ウルフ」で力強いボーカルで魅了する。キュートでポップに始まったセットリストは、ここからチコハニお得意のロックなライブへと姿を変え、客席のテンションをさらに上げていく。CHiCOがファンには おなじみの真っ赤なホイッスルを響かせて「ラブホイッスル」がスタートすると、バンドとオーディエンスも元気なホイッスルの音色で応える。客席との音楽を通じたやりとりが、ハートを熱くする。

流れてくるしっとりとしたピアノの音色。輝くペンライトの波が、客席を青色に染める。デビューからの道のりを振り返り、ファンへの想いを切々と語るCHiCOに、ファンからの励ましの声が飛ぶ。

「たくさんの曲を、ここ日本武道館で歌うことができて幸せです。自分の中で悩んだり、環境に追いつけない自分に悔しくなることもありました。でも歌が増え、ライブをするたびに、皆さんの声援が大きくなって、こうして私に会いに来てくれることが、うれしくて仕方ないです。私、本当に武道館に立ってるんだなと、歌いながらひしひしと実感しています。ライブが始まる前は、皆さんを楽しませられるか不安しかなかったですけど、笑顔で迎えてくれたから、そんな悩みが吹っ飛びました。いつも背中を押してくれるみんなが大好きです!」

そして、「ここで小さなお願いです。私のデビュー曲、一緒に歌ってくれませんか?武道館で歌えるなんて、すごい幸せですよね?」。かすかに声を震わせたCHiCOを支える全員の「世界は恋に落ちている」の大合唱。CHiCOが高々と左手を挙げて歌った「♪輝く1ページ」のフレーズは、この武道館から新しいページをめくり、さらに前に歩いて行こうとする彼女の道を、明るく指し示していた。何度も感動と笑いが訪れた本編ラストを飾るのは、「プライド革命」「今日もサクラ舞う暁に」のアッパーな2曲。オーディエンスの大きな掛け声とクルクルと回されるタオルの波が、「みんな大好きだー!」のCHiCOの声と鮮やかに溶け合った。

大歓声に迎えられたアンコール。さわやかな風を吹かせた「ノスタルジックレインフォール」に続いてCHiCOは、「重要なお知らせがあります!」と7月16日からスタートし、全国8都市9会場をまわる初の全国ホールツアーと、去年と同じ8月26日に開催する日比谷野外大音楽堂での野外ライブを発表。ファンの熱狂的な喜びの声に包まれながら、チコハニライブのアンセムとも呼べる「アイのシナリオ」でさらに会場は一体に。客電が上がり、キラキラと輝くテープが舞い降りた「ホーリーフラッグ」では、会場の1人ひとりの顔を目に焼き付けるようにCHiCOがステージを行き交い、幸せそうな表情でフラッグを大きく振った。「次は夏に会いましょうー!!」。CHiCOが放った約束の言葉に、大声で応えるオーディエンス。CHiCO with HoneyWorks初の武道館ワンマンは、デビューからCHiCOとファンが一歩ずつ積み重ねてきたハピネスに満ちあふれていた。

Text By 阿部美香
Photography By mosa inc.

CHiCO with HoneyWorksワンマンライブ「icontact」
2018年3月16日(金)東京・日本武道館
セットリスト
M1.私、アイドル宣言
M2.ハートの主張
M3.可愛くなりたい
M4.恋色に咲け
M5.ツインズ
M6.カヌレ
M7.color(withアコースティックギター)
M8.ツノルキモチ
M9.贈り歌
M10.平成バブル  ゲストボーカル:Gom(HoneyWorks)
M11.イノコリ先生  ゲストボーカル:Gom(HoneyWorks)
M12.ウルフ
M13.ラブホイッスル
M14.世界は恋に落ちている
M15.プライド革命
M16.今日もサクラ舞う暁に

<ENCORE>
EN1.ノスタルジックレインフォール
EN2.アイのシナリオ
EN3.ホーリーフラッグ


●ライブ情報
CHiCO with HoneyWorks 夏の全国ホールツアー
7月16日(月・祝)北海道 道新ホール
7月28日(土)大阪府 大阪国際会議場(グランキューブ大阪)メインホール
8月10日(金)福岡県 福岡国際会議場 メインホール
8月12日(日)広島県 JMSアステールプラザ 大ホール
8月16日(木) 神奈川県 神奈川県民ホール 大ホール
8月18日(土) 東京都 中野サンプラザホール
9月1日(土) 宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
9月9日(日) 愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール

CHiCO with HoneyWorks 真夏の野外ワンマンライブ
8月26日(日)東京都 日比谷野外大音楽堂

【チケット先行情報】
ローチケ超速先行(抽選)
受付期間:2018年3月16日(金) 21:30 〜4月22日(日)23:59

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