meg rockワンマンライブ [ jet setter, jet lag tours ♥ chocolat noir ] レポート

様々なアーティストの楽曲に詞を提供しつつ、独自の音楽活動を行っているmeg rockが、バレンタインを控えてワンマンライブを行った。彼女らしく、そして彼女にしかできないスタイルは、デビュー20周年を迎える今年、ますますの充実を見せていた。

何年か前には、作詞仕事のあまりの多さに「なかなか自分の作品に手が回らない」とも漏らしていたmeg rock。質の高い詞を数多く提供して需要が高いのは喜ばしいことながら、彼女自身のアーティストとしての才能とオリジナルティを知るメグロッカー(=ファン)には、歯がゆさも禁じ得なかった。
作詞依頼の多さは相変わらずで、専業の作詞家と思われたり、クレジットから性別不明に取られたりもするらしいが、近年は自主レーベルの立ち上げから配信シングルのリリース、そして毎年の年末ライブなど、着実なペースで本来の立ち位置での光も放っている。

今回のライブはバレンタインとホワイトデー近くに東京と大阪で開催する“年度末ワンマン”ということで「chocolat noir」と銘打たれた。恒例の「ダースベイダーのテーマ」が流れるなか、バンドメンバーに続き、黒い衣裳にツインテールのmeg rockがステージへ。シックでシャレた演奏が始まり、1曲目は「Romantic Flight」と意表を突く。メロキュアでの相棒・岡崎律子さんが堀江由衣に提供したナンバーをジャジーなアレンジに仕立て、meg rockが肩の力を抜いた感じで歌う幕開け。

そこから一転、台の上に乗って「1!2!3!4!GO!ロック!」とコール&レスポンンスを煽る「レジへGO!」、疾走感ある人気曲「clover」と立て続けで盛り上げる。サウンドはロックだが、ヴォーカルは軽やか。ヒートアップというより、ポップに弾けて心地良い。この独特なグルーヴ感がmeg rockならでは。

MCで「Romantic Flight」について「ここ数年の私の密かなテーマ曲で、カバーするタイミングをうかがってました」と話し、バンドメンバーにマイクを振っている間に、ドラムセットの前に据えられたケーキスタンドからハート型のイチゴをほおばる。ライブ中にモノを食べるとは、普通のアーティストは絶対やらないが、meg rockではお約束の光景。

腹ごしらえを済ませると、「heart」からはより声も張って、またポップでロックなナンバーを連発。あえて言えば“ポップロック”ではなく“ポップでロック”のほうが、meg rockの楽曲にハマる。アグレッシブなサウンドのなかで、音符が跳ねているような歌声。間奏などで大きなバチ(マレット)でタムを飛び跳ねながらブッ叩くのも、彼女のライブでお馴染みのひと幕だ。

MCではまた「ティータイム」と称してティーカップからお湯を飲み、キウイを食べる。
「もやしっ子を改善しなきゃと思って、生活スタイルを変えています。夜ふかしをやめる。朝ちゃんと起きる。太陽の光を浴びる。そしたら体がどんどん変わってきたのか、天然のものを欲するようになって。ケーキもありますけど、オーガニックのローケーキです」。

そして「緊張する」と言いつつ、セルフカバー・コーナーへ。内田真礼に提供し発売2日前だった「aventure bleu」、『終物語』のOPテーマで八九寺真宵(加藤英美里)が歌った「terminal terminal」とキュート系の曲から、フレンチ、パワーポップなど多彩な6曲を披露。最後の中川翔子のアルバム曲「pretty please chocolate on top」では、顔の横で指を回すかわいらしい振りも付けて(中川の中野サンプラザライブでしょこ♡ロックとしてコラボしたときのもの)。

あえて後から「ショコラメドレーでした」と明かすと、会場が「オーッ」とどよめく。3曲目「chocolate insomnia」(羽川翼(CV:堀江由衣)/『猫物語(白)』OPテーマ)、4曲目「too late for chocolate」(花澤香菜)とタイトルにchocolateが入り、5曲目「through the looking glass」(中川翔子)はLOOKチョコレートのCMソングだった。曲順はタイトルの長さ順で並べて、セットリストを書き出したときに斜めになることにこだわったとか。

後半はメロキュアコーナーから。「今の季節にピッタリかも。一緒にお散歩気分を味わいたい」と語った「木枯らしの舗道を 花の咲く春を」は、岡崎さんパートと一緒にデュエット。しっとり歌って会場の空気を変えて、暖かい拍手が起きた。「Agapē」は情感のこもった歌いっぷりで力強く。キメの前には天を見上げた。

「(メロキュアのツアー)『メロディック・ハード・ツアー』も『jet setter, jet lag tours』も一生かけて回ると思っているので、長生きしないと。健康第一。目指せ!老衰、大往生(笑)」
そんな話もしながら、「2018年は地味にデビュー20周年なんです!」とも。大きな拍手と歓声を浴びたが、ツインテールの似合う眼前のmeg rockにベテラン感は薄く、意外な感じもあった。そして、1998年に“グミ”名義でリリースしたデビュー曲「Catch You Catch Me」を。『カードキャプターさくら』のOPテーマで今も根強い人気のあるナンバー。20年経っても、meg rockの歌にはピュアリティが漂った。

振り返れば当時、帰国子女で学業と二足の草鞋だった彼女を取材したときは、「日本の学校では赤い傘をさして行っただけで“不良”と言われます」などと笑って話しながら、たたずまいがアバンギャルドというかフリーダムというか。やっぱり帰国子女らしいな、と思ったが、今考えたら、単にアメリカで育ったからでなく、元から感性が独特で捉われるものがなかったのだろう。彼女の音楽をずっと聴いてきて、それはわかってきた。

終盤のスパートは「行くぜー!」と「play loud」からギアを上げていく。ビートに軽快に乗りながら、体だけでなくヴォーカルもより跳ねる。「まだまだ暴れ足りないですか? まだまだほとばしりたいですか? 私もまだまだ歌いたいです!」と勢いを付けた「この左手は君のもの」では、オーソドックスなロックサウンドに明るいパーティー感が広がった。

ラストは「流星ピクニック」。エレピだけの伴奏からmeg rockのヴォーカルがフィーチャーされて、熱のこもった歌声に引き込まれる。台の上に乗って観客の歌を誘い、“君とどこまでも”“君といつまでも”と会場一体のシンガロングが生まれた。

アンコールでは、グッズのTシャツの袖をリメイクした衣裳で登場。「まだこの曲を歌える季節なので」と「twinkle, sparkle」を歌うと、キラキラ感が弾けて星の海が浮かぶようだった。

そして、オーラスは「slight fever」。これまた定番で「meg rock合唱団の皆さん、準備はいいですか?」と会場に呼び掛けると、イントロから「タラッタッタ~」と大きな歌声が沸き起こり、こぶしが一斉に振られた。meg rockのヴォーカルはガーリーかつスマッシュを打つように響いて小気味良い。マレットも力いっぱい連打し、会場も「オイ! オイ!」と呼応していく。ロックな光景だが、グルーヴはやはりポップ。meg rockはまた台の上に乗って、指揮棒を振るように合唱団の「タラッタッタ~」をアゲて、「さいごー!」と振り切ると、指を天に差して「ありがとうございました!」と叫んだ。

この日も開演時間が17:66(PM6:06)で、最後も「2018年もよロックしく」と締めるなど“ロック”にとことんこだわっていたが、meg rockというのはアーティスト名でもあり、ハードロック、プログレッシブロックなどと同じ並びでメグロックという、彼女だけのジャンル名でもあるのでは。他では味わえないグルーヴに2時間20分浸りながら、そんなことも思った。

途中のMCでは、提供曲を共に作ったラスマス・フェイバーのストックホルムのスタジオに出向いて何曲か録ってきた、という話が出たり、「20周年にいろいろ企みがあります」との発言もあった。メグロッカーには楽しみな1年になりそうだ。

Text by 斉藤貴志

meg rock [ jet setter, jet lag tours ♥ chocolat noir ]
2018年2月12日(月・祝)【東京】shibuya TSUTAYA O-Crest

<セットリスト>
01 Romantic Flight
02 レジへGO!
03 clover
04 heart
05 ベビーローテンション
06 笑顔の理由
07 self-cover chocolat medley
・aventure bleu
・terminal terminal
・chocolate insomnia
・too late for chocolate
・through the looking glass
・pretty please chocolate on top
08 木枯らしの舗道を 花の咲く春を
09 Agapē
10 Catch You Catch Me
11 incl.
12 star
13 play loud
14 この左手は君のもの
15 流星ピクニック

<encore>
16 twinkle, sparkle
17 slight fever


●ライブ情報
[ jet setter, jet lag tours ♥ chocolat noir ]
3月2日(金)【大阪】心斎橋 Music Club JANUS
open PM6:06 (18:06) / start PM6:66 (19:06)

オールスタンディング
・一般前売¥5,666(税込)
・当日¥6,000(税込)
いずれもドリンク代別¥600

●配信情報
meg rock “twinkle, sparkle”

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