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INTERVIEW

2018.02.21

彼女の2018年の“一手目”は、優しく包み込むようなナンバーに。 伊藤美来「守りたいもののために」リリースインタビュー

彼女の2018年の“一手目”は、優しく包み込むようなナンバーに。 伊藤美来「守りたいもののために」リリースインタビュー

昨年はアニメの主題歌シングルやフル・アルバムのリリースなど、ソロアーティストとして充実した活動を行ってきた伊藤美来。勢いそのままに彼女がリリースする2018年第一弾シングル「守りたいもののために」は優しいミドルナンバーであり、そのサウンドとの相性の良好な、透明感と温かさを併せ持つ伊藤の歌声が心地よく響く1曲だ。本稿ではその心地よさが完成するまでの裏側や彼女の楽曲への想い、さらには昨年の活動から見えてきた“ソロアーティスト・伊藤美来”としての音楽の方向性など、幅広い話題について伊藤に語ってもらった。

──少々前のお話になってしまうのですが、昨秋のバースデーライブは伊藤さんにとってどのようなものになりましたか?

伊藤美来 アルバムを引っさげてのライブであり、自分のバースデーライブでもあるというところで緊張もあったんですけど、ファンの方々へ「21歳までの1年を支えてくれてありがとう」という気持ちを込めてすごく楽しくやれました。でもまさかデビューから1年でほぼ全部自分の曲でのワンマンライブができるとは思ってなかったので、その事実に今でも驚いてますし、同時にすごくうれしいです。

──その中には、ご自身で歌詞を書かれた「あお信号」もありました。そのうち昼公演では……。

伊藤 ……ちょっとまぁ、目から汗が(笑)。

──やっぱりご自分で歌詞を書いた曲を、生でファンの方が聴いてくれているという光景に、感極まった?

伊藤 そうですね。たくさんのファンの皆さんに直接披露して伝えることへの緊張もあって、ちょっと不安定でもあったんですけど、聴いてくれてる皆さんの顔が結構はっきりとステージ上から見えまして。その表情を見て「私、このみんなに支えられてるんだな」っていうのを自分の歌詞とともに実感できて……自分で「いい歌詞だなぁ」って感動しちゃいました。

──実際に届けたからこそ、より自分の心にもグッときた。

伊藤 はい。それに「違うふうにとらえられちゃったらどうしよう?」みたいにも思っていたんですけど、ちゃんと私の気持ちが伝わっているのを感じられて、よかったです。なので今度は「あお信号」と違って、ひとつ物語を作るような歌詞を書きたいなと思っているんですよ。それも詞先だった「あお信号」とは逆に、曲のイメージからのインスピレーションで書いてみたいです!

──さて、今回のニュー・シングル「守りたいもののために」は、表題曲がミドルナンバーでカップリングがバラードです。こういう曲調は特にアルバムから増えたような印象があるのですが。

伊藤 そうなんですよ。そのアルバム『水彩 ~aquaveil~』でアーティスト・伊藤美来としての方向性が決まったかなって思っているので、またこういう曲に挑戦できたのはすごくうれしいです。アルバムより前は挑戦したことがあまりなかった曲調なんですけど、自分自身としても大好きなものなんです。

──こういう曲調をやりたいというのは、前々からおっしゃられていたのでしょうか?

伊藤 はい。私、aikoさんとかがすごく好きなので、ディレクターさんにどういう曲を歌いたいかっていうお話もしていたんですよ。そうしたらディレクターさんも「いいと思う」って言ってくださったんです。ただ実際に歌ってみると「難しいんだな」とは思いますね(笑)。「聴いてただけのときには、気づけなかったな」って思うことがたくさんありますし……でも、自分の好きな音楽をやれているっていうのはすごく幸せなことだなって思います。

──では続いて、今回の表題曲「守りたいもののために」を聴かれたときの印象をお教えください。

伊藤 とても温かくて、オトナっぽい曲だなと思いました。この曲がEDテーマになっている『りゅうおうのおしごと!』は作中での将棋の試合がとてもアツい作品なので、キャラクターたちを温かく包み込んであげられるようなEDになればいいなと思いましたね。

──そんな楽曲を、すごくまっすぐな歌声でうたわれている印象がありました。

伊藤 ディレクションも「感情的にというよりは、きれいな音と声を出すイメージで歌ってください」というものをいただいたんですよ。しかも「EDでもあるので、キャラクターたちを包み込むように、お姉さん的な目線で歌ってあげてください」というディレクションをもらったので、その両方を意識しながら歌いました。でもそのうえで、一つひとつの言葉を大事にもしたいし、ちゃんと気持ちも乗せたいし……という気持ちそのバランスを、いろいろと試しながら歌っていきました。

──作詞の金子麻友美さんと作編曲の水口浩次さんも、レコーディングにもいらっしゃったんでしょうか?

伊藤 はい。歌い方の相談もさせていただきました。金子さんからは「お姉さんっぽく、大人っぽく」と、水口さんからは「メロディ的にはここで区切れるけど歌詞は切れないから、ひと息で頑張ってみようか」みたいに息継ぎのところまで相談しながら、皆さんと一緒に作り上げていきました。そうやって完成したものって、最初に自分が持っていったイメージと全然違うものになるので、すごく面白いなぁって思うんですよ。

──ということは、伊藤さんが最初イメージしていったのは、また違うアプローチだったんでしょうか?

伊藤 結構感情的に、強めに歌いたいなと思っていました。でも、ディスカッションしていくなか今の方向性のほうがいいなと思って、この形になっていってたんです。だから毎回レコーディングは、自分の力がまだ足りないところに対する悔しさ・苦しさもありますけど、できあがったものを聴いたときの達成感はすごく大きいんですよね。

──その表題曲のMVでは、アルバムリード曲の「ワタシイロ」に続いてまた旅に出られています。

伊藤 そうなんですよ。また旅に出ちゃって(笑)。ストーリーとしては、昔の自分の写真をふと見つけて懐かしい気持ちになって、その場所を見つけに行く旅に出る、というものなんです。ちょっと非日常的な旅に出て、「こんなのあったな」っていうのを身体で実感して思い出していくんですけど、ストーリー自体がすごく心温まるものになっているので、曲ともハマる素敵なMVになったんじゃないかな、と思います。

──普段の生活と切り離されたからこそ感じられる、感慨のようなものも織り込まれているといいますか。

伊藤 そうですね。そういうものを肌で感じて思い出して……っていうのは、本当に素敵なことだなと思います。今回は特に山のほうを、階段を上がったりトンネルに行ってみたり、あと龍宮窟だったり神秘的な場所にも行けて。自分的には、すごくパワーをもらった感じがしますね。

──そのなかでキーアイテムとして登場するのがビー玉です。あれを覗き込んで、過去と繋がるようなシーンもありましたが。

伊藤 そうなんです。子役の女の子が演じる、小さい美来さんと。幼い頃から変わってるところと変わってないところみたいなのを考えることって、誰しもあると思うんですけど、それを表現できていてよかったなぁって思います。それと、その小さい美来さんがすごくかわいらしかったんですよ。ずっと一緒に回ってたんですけど、癒やされましたね(笑)。

──それがどんな結末を迎えるのか、YouTubeに上がっているバージョンだといちばん気になる場所でおわるんですよね。

伊藤 そうなんですよ。曲的にもストーリーも気になるところで。あそこからちょっとファンタジーのような展開もあるんですけど、そこが今回の魅力にもなるポイントなので、ぜひ楽しみにしてもらえたらなと思います。

──そしてカップリング曲「あの日の夢」は、実は先日オンエアされた『りゅうおうのおしごと!』の第7話のスペシャルED曲でした。

伊藤 そうなんです。なのでこの曲にも将棋のことや、「諦めたくない」とか「強い気持ち」っていうキャラクターの気持ちが反映されていて、シングル全体としても統一性があるものになっているんですよ。その第7話は(清滝)桂香さんにとってすごく大事な回で、夢を諦めるかどうかというところで桂香さんの心情がすごく動く回になんです。その回に流れる曲なので、レコーディングのときにはそのときの桂香さんの気持ちも踏まえて、歌わせていただきました。

──では、曲を聴いたときの伊藤さんの第一印象をお伺いできますか?

伊藤 サビもすごくキャッチーだし覚えやすくて、この曲もすごく好きな曲調でした。プリプロの段階で金子さんに「この曲を美来さんがすごく気に入ってくれてるのが伝わってきた」と言ってもらえたぐらい(笑)、お気に入りの曲ですね。

──それは曲だけではなく、歌詞の部分も?

伊藤 そうですね。一見ネガティブに感じられるかもしれないんですけど、前向きにそっと背中を押してくれるような歌詞で、一つひとつの言葉選びが本当に素敵なんですよ。だから、レコーディングしながら私の方も勇気をもらっていました。ただただ明るく「頑張って!」と言うじゃなくて、「やっぱり頑張ろう!」となるまでの悩んでいる過程までしっかり表現できるように作ってもらえているところはすごく私らしいなとも思いますし、それが伝わればいいなとも思いますね。

──歌声からは、表題曲よりも感情の波がより大きいものになっているという印象がありました。

伊藤 そうなんです。「守りたいもののために」との違いを出すために、「あの日の夢」のほうはもっと気持ちを表に出すように気をつけて歌いったんですよ。そのほかにも、「切なさをどうやって出そう?」というところも結構考えて歌いましたね。

──その切なさという点だと、サビは気持ちは伝わるものの決して押し付け感のない、絶妙なバランスのボーカルなように感じました。

伊藤 いやー、そこは考えに考えましたね。「守りたいもののために」もそうだったんですけど、どこを地声で引っ張ってどこをファルセットにするかっていうのは、毎回悩むところなんですよ。この曲も最初は強くしっかり伝えようと思っていたんですけど、Aメロの「幼い頃の夢が 胸の奥で 『思い出して』と そっと笑う」っていう部分をちょっと落ち着いて歌ってみたりしながら、いちばんいいところを見つけられるように歌っていきました。

──この曲も生で歌うと、伊藤さんの中にまた違う感慨が浮かんでくるように思います。

伊藤 そうですね。もちろん「桂香さんを想って」とか「作品に寄り添って」というのはもちろんなんですけど、ステージ上で歌うとやっぱり自分に当てはめてしまうところがいっぱいあるので、私自身がもっと感情的になって歌えるのかな、っていうふうには思っています。私自身、アーティストとして役者として思っていることをしっかり伝えようと思うんですけど……バラードをライブで生で歌うっていうのはすごくドキドキするんですけど、とても大好きな曲なので早く歌いたいですし、そのときは曲に入り込んで苦しみも感じながら歌えたらいいなと思ってます。

──このシングルから今年の伊藤さんのアーティスト活動がスタートするわけですが、最後にソロアーティストとしての今年の目標をお教えいただけますか?

伊藤 また新しいことにもチャレンジしたいんですけど、『水彩 ~aquaveil~』で作り上げてきた方向性は保ちつつ、そのなかでそれこそファルセットみたいな技術的な部分を向上させて表現の幅を広げて伝え方を変えられたらと思いますし、ライブもやりたいですね。ライブがあるからこそ、応援してくださる皆さんに直接音楽を届けられると思うんです。それに、私自身もライブでの光景を見て曲から思い浮かべる景色が変わったりしますし、来てくださった方も私の歌い方やパフォーマンスを見てイメージが変わることもあると思うので、絶対にまたやりたいです。あとは、先ほどお話した作詞も楽しかったので、今年中にできたら……いいな。

‎Interview&Text By 須永兼次


●リリース情報
伊藤美来
「守りたいもののために」
2月21日発売

【初回限定盤(CD+DVD)】

品番:COZC-1418-9
価格:¥1,800+税

【通常盤(CD)】

品番:COCC-17422
価格:¥1,200+税

<CD>
1. 守りたいもののために
作詞・作曲:金子麻友美 編曲:水口浩次
2. あの日の夢
作詞・作曲:金子麻友美 編曲:水口浩次
3. 守りたいもののために(off vocal ver.)
4. あの日の夢(off vocal ver.)

<DVD>
1. 守りたいもののために MV
2. 守りたいもののために メイキング映像

●作品情報
TVアニメ『りゅうおうのおしごと!』

<放送中>
TOKYO MX 毎週月曜日 深夜0時30分~
サンテレビ 毎週月曜日 深夜0時30分~
KBS京都 毎週月曜日 深夜0時30分~
BSフジ 毎週月曜日 深夜0時30分~
三重テレビ 毎週月曜日 深夜0時35分~
AT-X 毎週月曜日 夜10時00分~
(リピート放送)毎週水曜日 昼2時~/毎週土曜日 朝6時~/毎週日曜日 深夜1時30分~AbemaTV 毎週月曜日 深夜0時30分~
※放送・配信日時は予告無く変更になる可能性がございます。

【スタッフ】
原作:白鳥士郎(GA文庫/SB クリエイティブ刊)
キャラクター原案:しらび
監督:柳 伸亮
シリーズ構成:志茂文彦
キャラクターデザイン:矢野 茜
美術監督:里見 篤
撮影監督:川田哲也
音響監督:本山 哲
音響制作:マジックカプセル
音楽:川井憲次
音楽制作:日本コロムビア
OPテーマ:Machico
EDテーマ:伊藤美来
プロデュース:ドリームシフト
アニメーション制作:project No.9

【キャスト】
九頭竜八一:内田雄馬
雛鶴あい:日高里菜
夜叉神天衣:佐倉綾音
空 銀子:金元寿子
清滝桂香:茅野愛衣
水越 澪:久保ユリカ
貞任綾乃:橋本ちなみ
シャルロット・イゾアール:小倉 唯
神鍋歩夢:岡本信彦
清滝鋼介:関 俊彦
供御飯万智:千本木彩花
月光聖市会長:速水 奨
久留野義経:間島淳司
月夜見坂 燎:Machico
男鹿ささり:伊藤美来
池田 晶:諏訪彩花
生石 充:興津和幸
生石飛鳥:篠田みなみ
山刀伐 尽:津田健次郎
鹿路庭珠代:M・A・O
祭神 雷:戸松 遥
釈迦堂里奈:大原さやか
雛鶴 隆:水木一郎
雛鶴亜希奈:堀江美都子
ほか

© 白鳥士郎・SBクリエイティブ/りゅうおうのおしごと!製作委員会

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