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2018.02.06

西浦の熱い夏がステージによみがえる!舞台『おおきく振りかぶって』ゲネプロレポート

西浦の熱い夏がステージによみがえる!舞台『おおきく振りかぶって』ゲネプロレポート

TVアニメ化もされたひぐちアサの人気コミック『おおきく振りかぶって』が、演劇集団キャラメルボックスの成井豊演出のもと舞台化!初日となる2月2日の公演前に公開ゲネプロが行われ、囲み取材には、三橋廉役の西銘 駿、阿部隆也役の猪野広樹、モモカンこと百枝まりあ役の久住小春、花井梓役の白又 敦、田島悠一郎役の納谷 健、脚本・演出を手がけたキャラメルボックスの成井 豊が登壇した。

埼玉県の公立高校・西浦高校へ進学した三橋 廉。中学時代には祖父が経営する群馬県の三星学園野球部でエース・ピッチャーだった彼だが、当時チームメイトから学園の贔屓によってエースの座にいると疎まれ、酷い言葉を浴び続けたことで暗い中学時代を過ごし、高校を越境して入学してきたのだ。

西浦高校には発足したばかりの野球部があり、部員は三橋と同じ1年生のみ。しかも部員数は10人。部員不足もあり、三橋はここで再びピッチャーとしてマウンドに上がらなくてはならなくなる。そこで三橋が出会ったのがリードの巧みなキャッチャーの阿部隆也だった。彼との出会いによって、完璧な制球力と独特の球筋を持った三橋は開花し、中学時代とは違い、三橋を全力で支え勝利へと共に駆ける仲間を得て、野球への強い情熱を燃やすようになっていく――。

そんな西浦高校野球部の快進撃とその裏のドラマを描く『おおきく振りかぶって』は、ひぐちアサ氏の手で2003年よりマンガの連載がスタートし、2007年にはアニメ化され大人気となった作品だ。その『おお振り』を、演劇集団キャラメルボックスの成井 豊が舞台化。三橋役には『仮面ライダーゴースト』で主人公・天空寺タケルを演じた西銘 駿、阿部役には舞台「刀剣乱舞」で大倶利伽羅を演じた猪野広樹がキャスティングされ、舞台制作発表より注目の高かった本作がいよいよ開幕した。

「稽古期間にすごく絆も深まって、いいカンパニーで。原作では表しきれない部分を舞台では表現したいという想いがチームにはあるので、見どころは全てのシーン。1シーン1シーンを凝縮して舞台でお届けしています。三橋 廉は内気で弱気なタイプなんですけど、それをみんながバックアップしてくれて、阿部くんのおかげで三橋の人間性がどんどん変わっていくシーンは僕自身もすごく好きで見どころなんじゃないかなと思います」(西銘)

「絵がとてもかわいらしいタッチなんですが、中身はすごく青春だな、と感じますし、いろんなスポーツマンガがある中で大きな色として確立していて、それをどう伝えていくのかなというのはひとつ課題でした。あとは演劇集団キャラメルボックスさんというすごく憧れていたところに誘っていただけて、ありがとうございます。好きだからこそ稽古場では戦って、舞台上でも戦って、戦い抜こうと思いました」(猪野)

ゲネプロ取材前に行われた記者会見では三橋、阿部、両名を演じるふたりからの作品に対する強い想いが伝えられると、今度は司会から演出の成井氏へ向けて『おおきく振りかぶって』の舞台を作るのに苦労した点が訊ねられる。

「いちばん苦労したのはまさしく“野球の舞台である”ということですね。ほかのスポーツに比べて、多分、野球がいちばん難しいんじゃないかと思ったんですけど、理由はベースランニング。ほかのスポーツとは違って、一塁、二塁、三塁、ホームベースがもう決まっている。バッター、ランナーはそこを走らなきゃいけない。舞台上で例えば、ピッチャー・ゴロを見せると、普通はアウトになるはずなんですけど、舞台上では塁が近いからセーフになっちゃう。それをいかにアウトにするかをみんなで話し合って、たとえば遠回りをするとか、いろいろな工夫をしています。稽古期間、僕のアイディアだけではなく役者みんなにアイディアを出してもらって、その結果、恐らくはちゃんと野球の試合に見えるようにできたと思うんです。お芝居全体で半分近くは野球の試合ですけど、その試合一つひとつが全部見どころだと思うので、ぜひ楽しみにしていてもらいたいと思います」(成井)

そんな舞台「おおきく振りかぶって」は、自分に自信を失ってしまった三橋と、その三橋の努力と実力を見出した阿部をはじめ、三橋を支え奮闘する花井梓(白又敦)や田島悠一郎(納谷健)らチームメイトたちとの熱い友情の物語だ。彼らの「プレー」による支えとチームメイトを想い合うことでの励ましを得て、三橋は自信を取り戻すことが出来るのか。そしてチームのエースとしてマウンドに向かうことが出来るのか。三橋の葛藤に、観客もハラハラとしてしまう。それはまるで彼らと同じ一年にしてマネージャーである篠岡千代(澤田美紀)の視点にも近いように感じる。手に汗握る試合展開、そして登場人物ひとりひとりの想いが、まっすぐに届くこの舞台。これぞ「青春スポ魂」!スポーツモノならではの、情熱がストレートに胸に響くのを感じさせる。



テーマとしては「舞台上で会話をして人間のドラマを作ろう」だ、と話す成井。原作の流れを追うだけではない、登場人物たちの気持ちの流れが繋がって、大きな波となって物語を魅せていくのはさすが演劇集団キャラメルボックス。舞台上に登場する22人の登場人物それぞれにドラマがあり、深みを持って物語を作り上げていくのを感じさせた、まさしく熱い青春の時間だった。この熱戦を、ぜひ体感して欲しい。

Text By えびさわなち


●公演情報
舞台『おおきく振りかぶって』
2月12日(月・祝)までサンシャイン劇場にて上演中

【スタッフ】
原作:ひぐちアサ(講談社「月刊アフタヌーン」連載中)
脚本・演出:成井豊

【キャスト】
西浦高校
三橋廉:西銘 駿
阿部隆也:猪野広樹
百枝まりあ:久住小春
花井梓:白又 敦
田島悠一郎:納谷 健
泉孝介:安川純平
栄口勇人:竹鼻優太
水谷文貴:湯本健一
西広辰太郎:亀井賢治
沖一利:関根翔太
巣山尚治:元木 諒
篠岡千代:澤田美紀
志賀剛司:筒井俊作

桐青高校
高瀬準太:金井成大
河合和己:加藤潤一
島崎慎吾:松本祐一

武蔵野第一高校
榛名元希:平田雄也
秋丸恭平:川隅美慎
加具山直人:島野知也

三星学園
叶修吾:石渡真修
織田裕行:鶏冠井孝介
畠篤史:吉田英成

(C)ひぐちアサ・講談社 / 舞台「おおきく振りかぶって」製作委員会

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