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2017.08.28

3年ぶりのツアーで、小松未可子が見つけ出した新しい“地図”――「小松未可子TOUR 2017“Blooming Maps”」ファイナル公演レポート!

3年ぶりのツアーで、小松未可子が見つけ出した新しい“地図”――「小松未可子TOUR 2017“Blooming Maps”」ファイナル公演レポート!

実に3年ぶりとなる、声優・小松未可子のライブツアー「小松未可子TOUR 2017 “Blooming Maps”」が、8月12日に東京・恵比寿のLIQUIDROOMで行われた追加公演でファイナルを迎えた。今年5月に発売されたアルバム『Blooming Maps』を引っ提げて行われた今回のツアー。アーティスト・小松未可子としては“再出発”の旅でもあったツアーだが、ファイナル公演ではライブを積み重ねることで着実に成長を遂げた姿を見せてくれた。

ライブが終わってみれば、経過したのはわずかに2時間ほど。だが、体感的にはあっという間に思えたし、それでいて2時間とは思えないほどの中身が詰まった濃密なライブだった。もっとこの空間にいたい――そんなことを感じさせるライブだったからだ。

今回のツアーは、小松未可子にとって3年ぶりとなる。最近も単発のライブイベントは行っていたのだが、本格的なツアーは本当に久しぶり。しかも2016年からTOY’S FACTORYに所属してからは初めてのツアーである。TOY’S FACTORYでは、畑 亜貴、田代智一、黒須克彦、田淵智也 (UNISON SQUARE GARDEN)からなるプロデュースチーム・Q-MHzの全面プロデュースを受けており、Q-MHzの楽曲を中心にツアーを行うのも初めてということになる。
というわけで、このツアーはいくつもの意味合いを持つものになった。まず、ファンにとっては待ちに待った“みかこし”のツアーであること。Q-MHzのプロデュースを受けて以前とは異なるイメージの楽曲でのライブを行っていくということ。そして「Blooming Maps」とタイトルが示すように、彼女自身がアーティストとして新しい“地図”を見つける旅であるということ。――早い話、期待値が相当高まってる状態での満を持してのツアーなのである。

会場のLIQUIDROOMに詰めかけた大勢のファンの期待が膨らむ中、アルバムの1曲目でもある「また、はじまりの地図」からライブは始まった。ライブのプロローグにふさわしい短めの楽曲。
その後の2曲目、「Imagine day, Imagine life!」で一気に会場はヒートアップした。最初はみんな各自の楽しみ方をしているのかなという感じだったのだが、この曲でいきなり声を合わせてものすごい一体感を見せた。続く「エンジェルナンバー」は、「Happy Birthday!!」というコールが定番となっている誕生日ソング。ステージ上に設置されているお立ち台に上がって観客を煽ると、すごいパワーで反応が返ってくる。
LIQUIDROOMはアーティストと観客の距離が近いこともあって、3曲目にしてもうみかこしの色に染まった空間ができあがっていた。

「小松未可子です!」と短い挨拶があった後、「Infinity Sky」、「純真エチュード」を熱唱。「純真エチュード」は大きな振り付けが楽しめる曲だ。もちろんテンションの高い曲ばかりではない。6曲目からは「ランダムメトロノーム」「硝子の地球儀」「ふれてよ」というスローテンポな曲が続く。ちょっとクールダウンするところではあるが、曲調が変わってもどんな曲でも軸がぶれない強さがあって、ここでも観客を引き付けて離さない。

その次には「新曲やってもいいですか!?」との問いかけの後、ニューシングル「Maybe
the next waltz」のカップリング曲である「Tornado voice」を披露する。これで空気が一変。
さっきは涙まで浮かべてたような観客たちが、この曲で一気にぶち上がった。新曲とは思えないような反応の良さで、今回のステージの中でもかなり印象的な曲だった。
10曲目「short hair EGOIST」はQ-MHzの1stアルバムに彼女が参加した時の曲で、いわばQMHzとの出会いの曲ともいえる。アーティストとしての小松未可子のリスタートはここか
ら始まったといってもいい。もちろん観客の反応も抜群だ。続いて「だから返事はいらない」、「流れ星じゃないから」とアルバムのトラックの並び順に歌ったのも感慨深いものがある。

ここまでMCなしで突っ走ってきたが、やっとフリートークのゾーンとなった。今回のツアーは7月22日の東京・渋谷のTSUTAYA O-EASTから始まって、名古屋、大阪、そして今回の東京・恵比寿の追加公演と週に1度行われたが、こんなに毎週ライブをするツアーは初めてだという。「ライブをしているより新幹線に乗っている時間のほうが長い」と冗談で笑わせていたが、大阪公演などは「体感5分」というほど短く感じたとのことで、それだけ充実したライブだったのだろう。
ツアーというのは全国を巡る文字通りの“旅”であると同時に、ライブを積み重ねることで何かを見つけ出す心の旅でもある。「過去に書いてきた歌詞をこうして改めて歌ってみると、過去の自分からのメッセージであるかのように思えます」と、今回のツアーで過去に作詞した曲を歌うことで新たな自分を再発見したと語る彼女。そのMCを受けて歌ったのは2014年に作詞を行った楽曲、「Sky message」だった。聴き慣れた曲でも、こうしてツアーのセットリストに組み込まれて、前述のM Cの後で聴くと違った印象を持つ。
「Blooming Maps」という地図を得て、“流星より速く 今より鮮やかに”旅立とうとする彼女の姿がイメージされた。

今年4月に「Humming Maps」で対バンを行ったfhanaが参加している楽曲「My sky Red sky」では、客のサイリウムが青から赤に。
ジャズの要素を取り入れた挑戦曲「Catch me if you JAZZ」、ライブでは鉄板で盛り上がる「HEARTRAIL」と続く。本編最後の曲はマリンバで参加した楽曲「my dress code」。もちろんライブでは自ら演奏するわけではないが、得意とするマリンバを活かした小松未可子にしかできない楽曲には違いない。観客からは大合唱が起き、彼女もその姿を見て少し目に涙が浮かびそうになったという。こうして、アルバムの1曲目「また、はじまりの地図」でライブが始まり、アルバムの最後の曲「my dress code」で締めるという、アルバムを引っ提げてのツアーにふさわしい構成で本編を終えた。

メンバーが舞台袖に下がってから、間を置かずにアンコールの大合唱が巻き起こった(ちなみに小松未可子のライブのアンコールは「みーかーこ!」の後に「し!」と合いの手が入る「みかこ・し!」コールが定番となっている)。アンコールに応えて、彼女は笑顔で再登場。

アンコール最初の曲は8月9日に発売されたシングル「Maybe the next waltz」。社交ダンスをテーマにしたTVアニメ『ボールルームへようこそ』のEDテーマで、ワルツを取り入れた曲となっている。アニソンとしては異色の楽曲で、優雅な身のこなしも相まって意外とライブ映えする仕上がりになっていた。2曲目の「Starry Rally」は2013年の楽曲で、彼女自身が作詞をした曲だ。そして観客も歌って盛り上がれる「Lonely Battle Mode」を歌い終えるとステージを後にした。

派手な演出も入れず、MCも短めにして、小松未可子が持つ歌の魅力とパワフルなバンドサウンドだけで駆け抜けた2時間。音楽の楽しさにあふれる濃密な時間を過ごすことができるライブだった。今回のツアーでライブを積み重ねたことで、彼女がアーティストとしてさらなる高みに到達したことは間違いないだろう。

さて、11月4日には毎年恒例となっている誕生日記念のライブイベント「ハピこし!ライブ2017“名探偵コマツ ~探偵たちの聖誕祭~”」が東京・赤坂BLITZで行われる予定。ここでは自らの楽曲以外にも、彼女が愛するアニメ『名探偵コナン』の主題歌も何曲かカバーする予定とのことだ。バラエティ感あふれるタイトルだが、歌だけでなくトークの面白さも彼女の大きな特長なので、こちらも非常に楽しいライブになりそうだ。

Text By 金子光晴
Photography By 森 久

「小松未可子TOUR 2017 “Blooming Maps”」
8月12日(土)【東京】LIQUIDROOM

<セットリスト>
01.また、はじまりの地図
02.Imagine day, Imagine life!
03.エンジェルナンバー
04.Infinity Sky
05.純真エチュード
06.ランダムメトロノーム
07.硝子の地球儀
08.ふれてよ
09.Tornado voice
10.short hair EGOIST
11.だから返事はいらない
12.流れ星じゃないから
13.Sky message
14.My sky Red sky
15.Catch me if you JAZZ
16.HEARTRAIL
17.my dress code !
EN1.Maybe the next waltz
EN2.Starry Rally
EN3.Lonely Battle Mode

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