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INTERVIEW

2017.08.25

劇場版アニメーション『きみの声をとどけたい』公開記念!主題歌担当・NOW ON AIRインタビュー

劇場版アニメーション『きみの声をとどけたい』公開記念!主題歌担当・NOW ON AIRインタビュー

8月25日より公開される映画『きみの声をとどけたい』は、「声」の力を通じて新しい世界の扉を開き、心を通わせていく7人の女子高生たちのひと夏のキセキの物語を描いた、オリジナルの長編アニメーション作品だ。監督は『オーバーロード』などの伊藤尚往、脚本は『夜桜四重奏 -ハナノウタ-』などの石川 学、制作は『時をかける少女』などのマッドハウス。湘南をモデルとした街を舞台に展開される、少女たちの心温まるストーリーと美しい映像は、青春を経験したすべての人の胸に爽やかな余韻を残すものとなっている。

そんな本作の主人公となる女子高生たちを演じるのが、昨年に行われた新世代の声優を発掘する「キミコエ・オーディション」で選ばれた6名の新人声優。彼女たちはすでに声優ユニットのNOW ON AIRとしてCDデビューを果たしており、この映画でスクリーン・デビューを飾るほか、ED主題歌の「キボウノカケラ」や挿入歌も歌唱している。今回は「きみの声をとどけたい」と共に歩み成長中の彼女たちに、本映画の魅力について語ってもらった。

――まずは、皆さんが演じたそれぞれのキャラクターについて紹介してください。

片平美那 私が演じる行合なぎさちゃんは明るくて元気で、太陽みたいにみんなを照らしていく存在です。おばあちゃんの影響でコトダマを信じていて、それゆえに自分の本当に思っていることを言えなかったりするような女の子なんですけど、行動力がすごくて、可愛いんですよ!

岩淵桃音 土橋 雫ちゃんはお菓子作りが好きで、すごく女の子らしい子なんです。しっかりみんなを見守ってくれているところはお母さんみたいだし、癒し系の包み込んでくれるような存在ですね。

田中有紀 (龍ノ口)かえでは男勝りで負けず嫌いなところがあって、思ったことを何でも言ってしまう、クールな感じの女の子なんですけど、性格が悪いわけではなくて。ちゃんと友だちもいるし、ラクロス部の次期部長候補として頼りにされていて、これは私が勝手に思ってるんですけど、ちょっとツンデレなだけなんです(笑)。そこが可愛いポイントの女の子です。

神戸光歩 中原あやめちゃんは、メインキャラ7人のなかではいちばん変わった、あまり現実にはいないような個性の強いキャラクターで。性格としては、本当にラジオが大好きなラジオオタクで、好きなものについて語り始めると喋りが止まらないような情熱を持った女の子です。アフレコの際にもスタッフの方に「日常にいないような子だから大変だよ」と言われましたね。

鈴木陽斗実 琵琶小路乙葉ちゃんは音楽高校に通っている、作曲や楽器の演奏が得意な女の子です。見た目と性格はゆるふわな感じなんですけど、大人の人たちと演奏活動をしたり、ラジオのジングルとかみんなで歌う曲を作っちゃったり、音楽に関しては天才的な才能を持ってます。

飯野美紗子 浜須賀夕は、なんでも出来ておうちもお金持ちな〈文武両道のお嬢様〉なんですけど、それを鼻にかけたりはしない、やさしくてみんなのことを思いやれる素敵な子です。物言いがきつかったり、負けず嫌いな部分があるので、そういったところで周りとうまくいかないときもあるんですけど、心の底ではみんなのことを考えている、しっかりした女の子ですね。

――そんな個性豊かな6人に、三森すずこさんが演じる矢沢紫音を加えた7人の女の子たちを中心とした物語が描かれているわけですが、みなさん自分の演じたキャラと似ていると思う部分はありますか?

片平 私となぎさちゃんの似ている点は、明るいところかな…。うーん、演じてるときは似てると思ってたんですけど、よく考えたら違うかなと思う部分もあったりしました。でも、何かひとつのことに集中する情熱は私にもあると思いますし、おうちで「あちー」とか言ってだらけてるところは近いかもしれないです(笑)。

岩淵 雫ちゃんは自分の思ったことをはっきり言わずに、受身というか聞き手にまわるタイプの子だと思うんですけど、そういうところはすごく似てると思います。私もみんなを引っぱっていくというよりかは、後ろで支えていくほうが得意なので。

田中 かえでは言葉遣いがちょっと男の子寄りで、わりと乱暴に聞こえるじゃないですか。私も最近(NOW ON AIRの)メンバーの前では、そういう言葉がたまに出るようになってきていて。かえでを演じることによって、彼女と言葉遣いが似てきたと言われることはあります。きっとみんなと打ち解けたからこそ、そういう言葉で話しても大丈夫になってきた……ということなのかな(笑)。

――個人的に思ったのは、髪型もショートカットで似てますよね。

田中 オーディションのときはまだ髪が長かったんですけど、スタッフの方に「ショートのほうが似合うかも」と言っていただいて、髪を切ったんですよ。それからかえでの役に決まったので、合わせたのではなく、たまたま私がかえでに似ていった感じなんです。

――そうだったんですね。続いて神戸さんは?

神戸 私はオタクなところというか、好きなものに対しての情熱みたいなところは似てると言われますね。私はアニメが大好きなんですけど、その好きなものについて語り出すと歯止めが利かなくなって、次から次へと言葉が出てきてしまうんですよ。この間、アニソンについて語るラジオをやらしていただく機会がありましたが、その時に本当に止まらなくなって、尺をどんどんオーバーしてしまって(笑)。「私、あやめちゃんみたいだな」って思いました。

鈴木 私はもう、キャラ設定から同じだなって思ってます。私も音楽高校に通ってて、いまは音大に進学しているので、日常の過ごし方とかすごく似てるんですよ。演奏したり、突然ピアノを弾き出したりとか(笑)。ミュージシャンは少し浮世離れした雰囲気があったり、ちょっと変わった言動をしたりするんですけど、そういうところも似てるなあって。違うのはキャラクターとの見た目の違いだけだと思います(笑)。

飯野 夕とは気が強いところと、何か問題があったときに自分が何とかしたいと思う気持ちが似てると思います。例えば、さっきももちゃんが言ったように、しずくちゃんは他の人を支えるタイプですけど、私や夕は率先して解決策を提示したり、自分で何とかしてあげたいという気持ちが強いと思うんです。でも、その言い方がキツイせいで、他の人から偉そうに思われたりしてしまって。私も中学や高校時代にそういう経験があったので、その境遇は一緒だと思うんですよ。ただ、夕は誰かに「それは違う」と指摘されたら素直に謝れる気持ちがあるんですけど、私はそう言われたらカチンときて喧嘩になるので(笑)。中高時代の私はちょっと尖ってたんです。

神戸 いまはやさしいけどね。

飯野 私が丸くなったのかな? 夕を演じることで、そういう気持ちもわかるようになったので、夕はいい子だなって思います。

――なるほど。みなさんそういった自分と近しい部分を持つキャラを演じたわけですが、今回がアフレコ初挑戦ということで、苦労も多かったんじゃないですか?

田中 苦労しかしなかったです(笑)。

飯野 演技がどうこうと言うよりも、マイクにどう入るのかというところから本当に何も分からなかったので、アフレコでは先輩の姿すべてを吸収するものだと感じました。台本を繰る姿とか、待っている間の姿とか、全部学ばなきゃという姿勢で臨んだんです。でも、私たちがガチガチになっているなか、どの先輩方も休憩時間にすごくやさしく話してくださって。

神戸 すごく和やかで、親戚の集まりみたいな感じでしたね(笑)。

飯野 それと、台本にある台詞だけではなくて、部活のほかの部員の声とかガヤでも、私たちが参加させていただいたんですよ。みんな台詞に関してはすごく読み込んだし、自分の役についてちゃんと考えていったんですけど、現場で音響監督からガヤを入れようと言われたときに、「ハッ!?ガヤとは?どうしよう!」みたいな感じになってしまって(笑)。そこも先輩方に救われて、私たちが何か言ったことに対して会話が成り立つように返していただいて、ガヤはこうやってできてるのかって勉強になりました。

田中 みっちゃんはすごい楽しんでたよね。

神戸 基本的にそのシーンに合ってれば何を言ってもOKなので。例えば学校のシーンなら「何組の田中くんが好きで~」と言ってもいいし、しかもそこに先輩方が「私は○○くんのほうが~」という風に参加してくれるのが楽しくて、すごくおもしろかったです。

――台本を読み込んでの表現だけでなく、アドリブ力みたいな部分も声優には必要だということを学ばれたわけですね。今回の映画ではみなさんキャラクターとして挿入歌も歌われていますが、レコーディングはいかがでしたか?

神戸 私たちのデビュー・シングルの歌は、自分として歌えばよかったんですけど、今回はキャラクターで歌うということが難しくて。私の演じたあやめちゃんは、すごく変な風に歌うイメージがあったので、最初はどのように歌えばいいのか悩んでいたんですよ。その時にディレクターの方から「変にあやめちゃんに寄せようとしないでそのまま歌えば、それがあやめちゃんの口からも出るものだから」と言っていただいて。それで、あやめちゃんの性格とかを意識しながらも、私のまま無理なく歌うことができたんです。それはきっとみんなも同じだったと思うので、自分とキャラの寄り添った良い歌声になってると思います。

――そのように苦労を重ねて吹き込んだ自分の声が、ひとつの映画として形となったわけですが、実際に完成した映画をご覧になった感想を聞かせてください。

片平 観てるときは自分がちゃんと喋ってるか不安で、すごく緊張して心配だったんですけど、素敵な作品で、この映画に出られて本当に良かったと改めて思いました。あまりに不安すぎて泣けなかったんですけど……。

岩淵 自分の声が映画館のスピーカーから聞こえてくることにまずビックリしたんですけど、観てるうちに物語の中に入り込むことができて、純粋にストーリーに感動しました。「すごくいい作品だね」って普通にお客さんのように言ってしまいました(笑)。

田中 私も最初は自分がどういう喋り方をしてるかとか、いろんなところが気になって純粋に作品を楽しめるか不安だったんですけど、映画が始まってアフレコのときには入ってなかったいろんな効果音が聴こえてくると、「わーっ!素敵だー!」ってなって。かえでがしゃべってるシーンは大丈夫か不安でしたけど、他のメンバーが話していたり魅力的なシーンのときは、ストーリーを知ってるのに「これからどうなっていくんだろう」という視点で見れたし、最後のシーンでは普通に泣いてしまいました。これまでに2回観たんですけど、2回とも泣いてしまって、メンバーからいじられてます(笑)。

神戸 私がゆっきーの隣に座って観てたんですけど、パッと見たら泣いてたので、思わず可愛いなあと思って(笑)。私の感想は正統派のキラキラした素敵な作品だと思いました。別に映画に詳しいわけではないんですけど、ハラハラドキドキするような作品が多いなかで、最後まで心の温まる日常が描かれていて、日常だけどずっと飽きずに見ていられるというか。忙しい毎日のなかで干からびてしまった心がすごく潤っていくような印象を受けました。

鈴木 私もエンドロールまで見たときに、胸がジンワリあったかくなりました。自分が演じるキャラの声を聞くのが初めてだったので、すごくドキドキしましたし、劇中で私も一部ピアノ演奏で参加したので、私の弾いた演奏と私の声が組み合わさったのを最初に聞いたときはすごく感動しました。手の動きも私の実際に弾いたときの手に合わせてアニメを作っていただいたので、一体感を感じてすごく嬉しかったです。

飯野 私たちはアフレコの前にマッドハウスさんにも見学に行かせていただいて、本当に線の状態の絵を見せていただく機会があったんです。よく声優はキャラに命を吹き込む仕事と言われますけど、私たちだけではなくてたくさんのキャラに命を吹き込んでいる人がいて、いろんな人たちの手を経て、ひとつの作品になってるんだということにすごく感動して。だから映画を観たときには、この作品に携わった一人ひとりの人たちの愛をすごく感じて、その一員になれたことが本当に嬉しかったんです。デビュー作がこの作品で、夕を演じることができて本当に幸せな気持ちでいっぱいになりました。

――では最後に、そんな思い入れたっぷりの作品となった今回の映画について、それぞれが思う見どころを挙げてください。

飯野 本当に見どころしかない映画だとは思うんですけど、私は特に見た目が鮮やかな映画だと思っていて。景色もすごくキレイですし、光が全体的にキラキラしてて、透明感のある絵になってるので、ずっと爽やかな気持ちで観られると思います。そのなかでも私は、キャラクターが着てる私服や制服がすごく可愛いと思うんですよ。制服も夕はみんなと違う高校なので違うし、乙葉は私服の学校、それに夏休みのお話なので私服のパターンもいくつかあって。そういう女の子として可愛いシーンがたくさんあるので、そこにも注目してもらえればと思います。

鈴木 私はやっぱり音楽ですね。なぎさと乙葉はソロで挿入歌があったり、クライマックスのシーンではみんなで歌う曲もあって。みんなキャラクターのことを考えて、歌ってる場面を想像しながらがんばってレコーディングしたので、ぜひ聴いてほしいです。

神戸 私は効果音というかサウンドエフェクトです。あやめちゃんがメガネを上げるときとか指を指すときに、「シャキーン」とか「キラーン」とかほかと違った効果音が付くのがすごく可愛くて(笑)。あとは江ノ電の走ってる音とかも、スタッフの方が実際に録ってきた音を使っているとお聞きしたので、そういった部分にも注目していただきたいですね。

飯野 (劇中でなぎさが突く)鐘の音も、実際にあのお寺の鐘の音なんですよ。わざわざ録りに行ってくださったみたいで、すごくいっぱい突いたらしいですよ(笑)

――じゃあ聖地巡りとかも楽しくできそうですね。

神戸 実際に鳴らして「あの音だ!」ってできると思います(笑)。

田中 私は最後のシーンがすごく好きです。いろんな人の願いが奇跡を起こす、そういう暖かさが出ていると思います。

岩淵 私は物語のなかでも大きく関係してくるコトダマの描写ですね。作品のなかですごくキレイに描かれていて、口では上手く説明できないような光や色を放ってるんです。やっぱりコトダマ自体が目に見えないものですし、言葉では表わせられないものなので、ぜひその描写を見てほしいです。

片平 やっぱり7人の女の子たちが一人ひとり抱えている思いだとか悩みは、いろんな人に共感してもらえることだと思いますし、いま桃ももちゃんが言ったコトダマがどうやってキャラクターに影響していくのかというところも見どころだと思います。あと、個人的にはカエルはとても大事だと思うので注目してほしいです。

田中 みんなカエルを愛してますから。あれがいなきゃ始まらない、導きのカエルだもんね。

一同 うん。

――自分も映画を拝見して、カエルは重要な存在だと感じましたよ。何気に映画の終わりにもいますよね。

岩淵 そうなんですよー!

飯野 実はポスターにもいるので、みなさんもぜひチェックしてみてください!

Interview&Text By 北野 創


●作品情報
『きみの声をとどけたい』
8月25日(金)全国公開

【キャスト】
片平美那/田中有紀/岩淵桃音/飯野美紗子/神戸光歩/鈴木陽斗実/三森すずこ/梶裕貴/鈴木達央/野沢雅子

【スタッフ】
監督:伊藤尚往
脚本:石川学
キャラクターデザイン:青木俊直
アニメーションキャラクターデザイン:髙野綾
音楽:松田彬人
制作:東北新社 マッドハウス
製作:「きみの声をとどけたい」製作委員会
エンディング主題歌「キボウノカケラ」NOW ON AIR
イメージソング「この声が届きますように」NOW ON AIR

<ストーリー>
舞台は湘南。
高校生たちの友情、葛藤、そして夢。届けたい“声(想い)”――。
海辺の町、日ノ坂町に暮らす行合なぎさは将来の夢が見つからず少し焦っている16才の少女。
「言葉にはタマシイが宿っているんだよ、コトダマって言ってね――」
小さいころ祖母から聞いたコトダマの話をなぎさは信じていた。
ある日、古びたミニFMステーションに迷い込んだなぎさはDJの真似事をする。
「本気のコトバは、本気の願いは、いつか現実になるんです!」
すると、偶然にも放送されたコトバは 思いがけない人に届いていた――。

©2017「きみの声をとどけたい」製作委員会

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