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INTERVIEW

2017.05.13

【北川勝利・藤村鼓乃美 ボーダーズの“音の場” season2】~#12 新大久保篇~

――というわけでウィンドクルー山野楽器、西村さんのお話をお届けしました。本当にお世話になりました。

藤村 私も自分のトランペットを買うときの参考にしようと思います!

北川 そういえば今回お店に行く前にみんなでご飯を食べているときに、いつものカメラマンの方が「最近ギターを始めたんです」と言っていたんですよ。それで「毎日ドレミファソラシドと、コードの練習をしている」って言っていて。

藤村 でもTAB譜はわからないと言っていて、不思議な気持ちになりましたね。一体どんな練習をしているんだろう……。

北川 ギター教室に問い合わせて「1ヶ月で6曲は弾けるようになるよ」って言われたらしいんだけど、何をもって「1曲」なのか考え方がよくわからない……(笑)。

藤村 ちなみに北川さんは、どうしてギターを始めようと思ったんですか?

北川 ギターは友達がやってて、楽しそうだなって思って。

藤村 それは何歳くらいのときに?

北川 中学生かなあ。

藤村 アーティストじゃなくて、友達きっかけだったんですね。

北川 友達のお兄さんが高校でバンドを組んでて、それを見よう見まねでやって……みたいな感じだったね。

藤村 その頃から自分で曲も作っていたんですか?

北川 いや、そんな発想はいっさいなかったよ。好きな曲をコピーするだけ。高校生くらいになるとBOΦWYとかの全盛期になって、楽器を弾けなくてもみんなバンドをやりたくて、とりあえずベースなら弦を1本押さえれば音が出るからって始める人が多かった。簡単に弾ける曲があって「この3番目の弦の6個目でしょ?」みたいな感じで、周りが「俺にもやらせて!」って、みんなが同じ曲だけ弾けるようになってた(笑)。

藤村 え、じゃあ作曲はいつ頃始めたんですか?自分で歌おうと思って?

北川 作曲はだいぶ後だよ。大学に入ってから、自分はずっとベースをメインでやっていて、女の子が歌ってるイギリスっぽいバンドのベーシストだったの。そのバンドではギターの人が曲を作ってたんだけど、たまたまうちがリハをやるスタジオの近所だったから、リハ前にみんな集まって遊んだりしていて、その場でギターの人が「こういう新曲とか良いと思うんだよね」って弾きだしたりするんだよ。「ここまでは思い付いたんだけど」とか話してるうちに、「作曲って意外と適当でいいんだ」って思って、それならできるかもって作曲を始めた。ギターの人はコードの名前とかもよく知らなくて、「ここは5番目を押さえて……」みたいなことを言う人で(笑)。それを僕が採譜してたんだけど、音楽理論がわからなくても自由にやっていいんだって思ったんだよね。

藤村 私、ちょっと前に『シングストリート』でそんな場面を見ましたよ。

北川 ああー、あったね。見た見た。まさにそれ。

藤村 「あれだー!」と思って、今すごくワクワクしてます(笑)。

北川 アレンジはなんとなくやってたし、それまでのコピーでコード進行もなんとなくわかってたから、好きな曲のコードをなぞって鼻歌を乗せたり。ちょうど4トラックのカセットMTRが出た頃で、それをみんなでお金出して買って、デモテープを作ったりしてた。みんなで買った機材をどんどん家に置くから、家に機材が充実していったんだよ。鼻歌でやってると消えていっちゃうけど、ちゃんと録るとだんだん構築されていくから、そういうことの繰り返しでやり方がわかっていった感じ。

藤村 いちばん最初に作った曲って覚えてますか?

北川 覚えてないなあ。自分が歌うなんて思ってなかったから、いつも誰かがボーカルをやる前提で、女の子が歌っているバンドもやりつつ、違う音楽もやりたいと思って男の人が歌う曲も書いて、そのデモを作るときは自分で歌ってた。でもバンドのメンバーが集まらないから、どんどん曲が貯まっていって、歌詞も書いたことなかったけど必要に迫られて書くようになって。そうやってデモを作っていろんなところに送ってるうちに、「CDにしませんか」みたいな話をもらって……。

藤村 そんな流れで今に至るんですね……。

北川 曲そのものは誰でもすぐに作れると思う。良い曲かどうかは置いといて。誰でも頑張れば3曲くらいは、なんとなくそれなりのものは作れるはずなんです。そこから先にいっぱい書けるかはまた別の話だけどね。

――藤村さんも作ってみますか?

藤村 曲を作るんですか?トランペットは置いといて?

――藤村さんは日頃ギターは弾かれるんですよね。

藤村 一応家にアコギとエレキはあるんですけど、弾きながら歌うとリズムがぐちゃぐちゃになっちゃうことがわかって挫折をしてます、3回くらい。

――3回も!?

藤村 久々にやったらいけるんじゃないかなと思ってやるんですけど、やっぱり駄目で挫折してを繰り返してます(笑)。曲を作ってみようとも思って、何曲か作ってみたことはあるんですけど、ちゃんと最後まで形にできないで終わることが多くて。

北川 作りきる経験をしないで「サビだけちょっと思いついた」っていうのを繰り返してると、そのままだと思う。でも藤村は歌詞書いたり歌ったりしてるから、普通に書けそうだけど。

藤村 1曲作ったことあるんですよ。でもそれを全部自分で完成させようと思って、ドラムを入れようだとか、ギターを入れようだとか、パソコンでやろうと思ってストリングスとかも打ち込んでみたんですけど、すごく中途半端な感じになっちゃって。難しかったです。

北川 それはちょっとハードルが高いね。

藤村 全部自分でやろうとして挫折しました。

北川 ギターと歌だけ録って、誰かに「これアレンジよろしく!」って投げれば良いんじゃない?

藤村 最近興味があるので、空いた時間に曲を作ってみようかなという気持ちはあります。

北川 野望がありすぎる(笑)。トランペット、ギター、作曲……。

藤村 マウスピースをプーって吹きながら、ギターを弾きながら、曲を作ります。

北川 絞れよ(笑)。

藤村 あっ、キーボードもありますよ。

――鍵盤も弾けるんですか?

藤村 鍵盤は小学校低学年までやっていたんですよ。でも1曲を何ヶ月もかけてやるという子供だったので、たぶん向いてなくて一度やめちゃって。それで専門学校の頃にまた始めたんです。家にキーボードはあって、コードを押さえながら歌うことは一応できるんですけど……。

北川 絞れよぉ(笑)。マウスピース吹きながら、作曲しながら、ギター弾きながら、鍵盤弾きながら、前歯に鉄板を入れながら……。

藤村 鉄板を入れながら吹くのは大変ですよ(笑)。ギターと鍵盤なら鍵盤の方が弾き語りがしやすいですけど、持ち運びやすいのはギターなんですよね。

北川 トランペットを吹き語り。

藤村 それこそチェット・ベイカーだ。

北川 いや、吹くと同時に歌も歌う。吹いてるけど声も出てるっていう(笑)。

藤村 さっきのユーフォを吹きながら高い声を出した感じで(笑)。

――とりあえず今年の目標を定めてみてはどうですか?

藤村 そうですね。「1曲ちゃんと作る」ですかね。

――それはボーダーズで追いかけても大丈夫ですか?

藤村 追い掛けてくれます?ほんとに?

北川 できれば俺のいないところでやって(笑)。

藤村 なんでですか、ボーダーズって言ってるじゃないですか!

――「本日は諸事情のため北川さんはいません」という形で(笑)。スポットが見つからない駅があったら、その近辺にあるリハスタに入ってやりましょう。

北川 トランペットはやらないの?

藤村 マウスピースを買ったので、まずはそこからです。

北川 大学生の頃の僕らと一緒だ。全員がプラスチックのマウスピースを一度は買って、暇があると吹いて、でもすぐ飽きちゃうっていうね。今日買おうか迷って、その記憶が蘇って「やめとこう」ってなった(笑)。

藤村 私はその挫折経験がないから、絞れずにまたやりたいことが増えてしまいました。

北川 今日トランペットを買って帰るというのはさすがにハードルが高いけど、でも何か買った方が良いと思ってたからちょうど良いんじゃない。これで買わなかったら、楽器持って写真撮りましたで終わっちゃうからね。

藤村 そうですね。とりあえずマウスピースから頑張ります。

北川 トランペットについて西村さんに教えてもらったけど、アニメで使っていた型を調べて買いに来る人もいるみたいだね。

藤村 問い合わせが多数あって、『響け!ユーフォニアム』のDVDを置くことになったりもしたみたいです。

北川 教則ビデオが置いてある棚に、アニメのDVDが置いてあるのって不思議だよね。どういう人が問い合わせてくるんだろう?

藤村 元々吹奏楽をやっていた人が、偶然アニメを見てってことなんですかね。

――元からアニメ好きであれば、楽器屋に問い合わせずにDVDショップやネット通販で探すでしょうからね。

藤村 きっとそうじゃない人たちが、楽器屋さんに探しにくるんですよね。それはすごくうれしいことです。

北川 それぞれの楽器にそれぞれのスペシャリストが居て、奏者オススメの札が貼ってあったね。藤村はユーフォ吹けないけど、「藤村オススメです」っていう札をいつかは貼らせてもらおう。

藤村 「吹けないけど」って言ってる時点で信頼性がゼロじゃないですか。

北川 本気でやってる人からしたらなんじゃこりゃっていうね(笑)。

藤村 でも今回は本当に、いろんなことがすごく勉強になりました。

――かつてない音楽密度の高さでしたね。

藤村 良いのかな、連載1年にして「かつてない音楽密度」って。

北川 今まで音楽の話をしてないってことだからね(笑)。

――それでは、そんなかつてない音楽密度を誇った今回の選曲をお聞きしていきましょう。まずは藤村さんから。

★藤村’s Select
『!響けユーフォニアム』より「三日月の舞」

藤村 『響け!ユーフォニアム』の劇中曲なんですけど……。

北川 先輩のテーマだ。

藤村 先輩のテーマではないです(笑)。吹奏楽の曲です。

北川 先輩のテーマじゃないんだ……。「ゴリさんのテーマ」みたいなやつがあるんだと思った。

――「この曲が流れると中川先輩が出てくる」という、ダースベイダー的なやつが。

北川 「Gパンのテーマ」的なやつがね(笑)。

藤村 「三日月の舞」っていう、コンクールのときに演奏した曲です。

北川 これっていつやってたやつ?コンクールだから最後?

藤村 1期のときにも使われてますし、2期の関西大会のときにも演奏してます。コンクールの自由曲ですね。

――演奏のシーンがあるのは予想していましたが、1曲フルで演奏するとは思っていなかったので驚いた記憶があります。

藤村 すごいですよね。私もそんな台本を見たのは初めてでした。

北川 じゃあその回は、役者は喋らなくて良いの?

藤村 私は大会に出られないキャラクターなんですよ……ちゃんと見てくれました?(笑)。選抜から落ちちゃって、応援する側に居るんですよ。

北川 1期の途中までは見たよ(笑)。

藤村 何話まで見たんですか?

北川 最後の2話前くらいかなあ。

藤村 むしろなんでそこでやめられたんですか!?(笑)。

北川 「録ってあるから大丈夫」って思って、そのまま2期も録ってあるからいつかは見るよ。

藤村 ほら、ここがトランペットのソロなんです。さっきはこの子のトランペットを見に行ったんですよ。

北川 そうなんだ。あれでしょ、校舎の上でよく練習してるやつ。

藤村 指を掛けるところが、私たちが今日触らせてもらったものとは違うんですよね。丸じゃないんですよ。

――あんなに形に種類があるとは思いませんでした。

藤村 パッと見ではわからないですよね。

北川 金か銀かくらいしかわかんなかったんだけど、パーツごとの組み合わせが無限大過ぎたよね。

藤村 マウスピースですらそうでしたもんね。

――マウスピースがあんなに分解できるとは知りませんでした。

北川 そんな「先輩のテーマ」でした。

藤村 「三日月の舞」です(笑)。

――それでは続いて北川さんの選曲をお願いします。

★北川’s Select
CHEMISTRY「So in Vain」

北川 今日は映像を持ってきました。

藤村 これはまさか、前回言ってた……。

北川 ほら、見て見て見て。

藤村 あっ、いた!めっちゃ若い!(笑)。

北川 CHEMISTRYのバックでトランペット吹いてんの(笑)。

――これは、笑っちゃいますね。

藤村 カメラもうちょい右に!もうちょいもうちょい!あと一息!……居たーー!!

北川 居るーー!!(笑)。CHEMISTRYは最近復活しましたよね。

藤村 これ、一体どういう流れでこうなったんですか?

北川 担当の人が知り合いで、「この曲は後ろにトランペットを入れたいから」って言われて。

――音に対して指の動きとかは……?

北川 わかんない(笑)。隣のトランペッターがジャズ研の後輩で、この子にトランペットを2本持って来てもらったんだよ。それでふたりで出た。

藤村 吹けなくても出れるんですね……。

北川 だって音出さないから。出せないから。

藤村 さっきチラッと映りましたけど、唇の感じとかすごく吹けてる感ありますよ。さすがマウスピースを持ってただけある。まさかこんなところで役に立つとは……。

――こういう現場って、生音が出ている楽器はどのくらいの音量になっているんですか?

北川 ドラムはミュートしてあって、音は誰も出てないですね。カラオケの音だけが聴こえる。あっ、見切れた!

藤村 あー、いるいる!光り輝いてる!

――「北川勝利を探せ!」ですね。

北川 いました。

藤村 いましたね。

――……ちなみに選曲理由は?

北川 トランペット吹いてるから(笑)。この曲で、M○テにも○ップジ○ムにもうた○んにも出たんですよ。何回かやるうちに、周りのメンバーにどんどん知り合いが増えていったな。「○○のパートの人が来れないから、誰かいない?」って言われて、「じゃあ呼んできまーす」って。

――そんな北川さんの選曲でした。それでは次回の目的地を決めてしまいましょう。

北川 ほいっ。

――サイコロの出目は「11」ということで、次回の駅は「駒込」に決定です!ロケ時期的には、お花見ができる場所があると良いですね。

北川 桜の木はそこらへんにいっぱいあるし、いい感じの公園とかあれば行きたいね。

藤村 時期的に結構ギリギリな感じですけど、大丈夫ですかね(笑)。

(次回、駒込篇へつづく!)

PHOTOGRAPHY BY 山本哲也
INTERVIEW & TEXT BY 市川太一(クリエンタ/学園祭学園)


●店舗情報
山野楽器ウインドクルー

【住所】
東京都新宿区百人町1-11-22 リサビル2・3F

【営業時間】
楽器売場:[月~金]11:00-19:30、[土]10:30-19:30、[日、祝日]10:30-19:00
音楽教室:[月~金]11:00-21:00、[土]10:00-21:00、[日、祝日]10:00-19:00

【TEL】
楽器売場:03-3366-1106
音楽教室:03-3366-1087

山野楽器ウインドクルーHP

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