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INTERVIEW

2016.11.28

約1年9か月ぶりのニュー・アルバムが完成!『luminescence Q.E.D.』リリース記念 分島花音インタビュー

約1年9か月ぶりのニュー・アルバムが完成!『luminescence Q.E.D.』リリース記念 分島花音インタビュー

アニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』EDテーマ「RIGHT LIGHT RISE」、『ストライク・ザ・ブラッド OVA ヴァリキュリアの王国篇』EDテーマ「君はソレイユ」、『劇場版 selector destructed WIXOSS』メインテーマ「Love your enemies」を含む、分島花音のニュー・アルバム『luminescence Q.E.D.』が完成。11月30日に発売となる。この作品に彼女がどんな想いを込めたのか、その扉を開こう。

――アルバム『luminescence Q.E.D.』が完成。1曲目に収録した「Unbalance by Me」は、相手と自分との心のバランスを記した楽曲のようにも感じました。この歌には、どんな想いを詰め込んだのでしょうか?

分島花音 原作やアニメの世界観を自分なりに考えて表現したアニメソングと言われる音楽と、それとは別に、シンガーソングライターとして衝動のもとに生まれる楽曲。一見すると二極化しているように見えるけど、どっちも自分の音楽を表現しているのに変わりはなくて。もちろん、どちらの表現も自分の中では大切なので、これからも求められる限り、どちらも自分は追求していきます、ということを「Unbalance by Me」を通してみんなに伝えようと思いました。というのも、前アルバム『ツキナミ』のときにも、その両方の創作バランスを取りながら、自分にできることはすべてやっていこうという気持ちで制作を行っていたのですが、その気持ちをファンの人たちには伝えていなかったなと思ったんです。シンガーソングライターとしての私をずっと応援し続けてくれる人たちも、アニメソングを通して私のことを知って応援してくれる人たちも、分島花音のもとへ寄り添ってくれる人たちはみんなすごく大切な存在で。だからこそ、私は誰も失いたくも手放したくもない。その想いをしっかり伝えなきゃということで書いたのがこの曲でした。

――今の分島さんを形成するふたつの表現の世界観は、本当に大切なものなんですね。

分島 これは、アルバムの最後に収録した「luminescence Q.E.D」に込めた想いにも重なることですが、20代前半頃までの私は、自分のために音楽を作って表現している気持ちが強かったんですね。それを表現できていないと自分自身が苦しさを感じていて。求めるものを自己現実できればそれでいいと思っている節もあれば、相手のこと以上に、いかに自己表現が成り立つか成り立たないかに気持ちの重心を置いていた面もあったと思います。でも、お客さんたちからの評価がダイレクトに返ってくることが増えるたび、聴いてくれる人たちがいるからその音楽は意味を成すものなんだと強く思うようになりました。それは、アニメソングに出会った経験も大きいことでしたね。

――アニメソングとの出会いも、分島さんのいろんな価値観を変えたのでしょうか?

分島 アニメソングは、自分のエゴだけでは作れないじゃないですか。そのアニメの特色をどれだけ汲み取り、アニメ本編をより魅力的に見せるようにするかが重要になっていくので。そこで学んだのが、聴いてくれる人のために音楽を作る大切さでした。自分だけの楽曲ではなく、その作品を聴いてくださる人がいる限りは、その人たちの気持ちにもちゃんと届く楽曲を作っていかなきゃだめだなと、アニメソングに出会ってから強く思うようになりました。誰かの心の支えや指標になるような歌を、聴いた人の心の光となる音楽を、私はこれからもたくさん作り続けていきたいと思っています。

――その想いは、「luminescence Q.E.D.」の歌詞にも含まれているように感じます。

分島 「luminescence」とは照明のことで、「Q.E.D.」は、証明が完了したときに末尾に付ける文字で、「照明」と「証明」を掛けてます。タイトルには「この歌やアルバムが、誰かの人生を照らす証明となる作品になるように」という想いを込めまして、アルバムの最後に収録しました。

――すごく深い想いですね。そのほかにも、いろいろ気になる楽曲が詰め込まれているのでお聞きしたいと思います。「ノットフォーセール・フォッシル」には、最先端のものと変わらないものとを対比しながら歌詞にしている印象を覚えましたが、この曲にはどのような想いを込めました?

分島 ファンの方のなかには、デビューした19歳当時の私の印象のまま捉えている方も多く、今の私を見て、ロリータファッションでもなければ髪の毛も短くて驚かれる方もいます。もちろん、ずっと時系列的に分島花音の活動を追いかけ、その変遷も、その理由もわかってくれている方たちもいます。いくら情報が普及し、調べればすぐにわかる時代とはいえ、発信している情報が伝わらないことには、19歳の自分のままの印象がずっとその人の中には取り残されてしまうんですね。だからこそ、私の変化を見てくれている人たちの存在や価値をとても大切に思えれば、いくら情報過多の時代とはいえ、伝わらないことには時が止まってしまうこともたくさんある。そういうことを「ノットフォーセール・フォッシル」には記しました。

――「Odette」は、長年ライブで演奏してきた楽曲だともお聞きしました。

分島 「Odette」の歌詞を書いたのは15-16歳の頃なんです。自分がほかのものになり代わりたくても自分以外のものにはなれない。そのもどかしさというか、その存在が大好きだからこそ嫉妬してしまう、そういう愛憎を記した楽曲になっています。この歌はライブでずっと演奏し続けてきたこともあって、「音源化して欲しい」という声も多く寄せられていたので今回収録をしました。「Odette」の次に「平凡な僕」を並べたことで、この2曲が対照的に見えてくるようにもしてあります。「Odette」が“非凡になりたい”歌であるなら、「平凡の僕」は“僕の視野に自分の光となる相手がいることで、平凡な自分の日々がドラマチックになる”という、全肯定的な楽曲になっています。

――歌謡ジャズが爆裂した「Drink Drunk Music」も強烈に耳へ飛び込んできました。

分島 12月の14日と16日に東京と大阪でワンマンライブを行うんですが、そのステージにホーンを8人呼ぼうと思っているんです。そんな豪華な編成で今度いつできるかわからないなら、やれるときに思いきりやってしまおう、と。そこから、その編成で演奏する12月のライブ楽曲として「Drink Drunk Music」を作りました。

――分島さんといえばチェロなどの弦楽器の印象が強いですが、楽曲によってはブラスセクションも巧みに用いて表現していますよね。

分島 その楽曲にとって何が必要か次第だと思います。私自身がずっとクラシックに触れていてチェロを演奏することもあって、アニメソングでは弦楽器を用いた楽曲を求められることも多いですが、たとえばアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のEDテーマ「RIGHT LIGHT RISE」の場合、主人公たちが冒険者っぽい感じなので、弦の音色が入るとどこか高貴な印象を与えてしまうところから、トランペットを用いたマーチ風の楽曲にして。元気に行進しているような、冒険していく印象を与えたりと、そこは臨機応変に対応しています。

――楽曲のアレンジ面でも、お馴染みのsugarbeans(Tommy & Sammy)さん。アニメ『selector spread WXOSS』のOPテーマ「world’s end,girl’s rondo」の編曲を手がけた江口 亮(Stereo Fabrication of Youth)さんとふたたび組むことで、楽曲の色分けも巧みに行いましたよね。

分島 ソリッドなロックよりの楽曲を江口 亮さんに、ジャジーやクラシカルな曲調はsugarbeansさんに編曲をお願いしてと、そこはうまくバランスを取りつつ、他にも千葉”naotyu-“直樹さんや古川貴浩さんなど、私が組みたいと思っていたアレンジャーさんと、求めたい楽曲でご一緒できた作品になりました。

――今回のジャケットでは、かなりセクシーにせまっていますよね?

分島 かわいいものとクールなものなど、二極化というのは自分の中でずーっと重きを置いているテーマなんです。今回のイメージは、歌を届ける郵便屋さん。だから、床に手紙がたくさん落ちているんです。

――なるほど、そういうテーマがあったんですね。そして先にも触れていましたが、12月には東京と大阪でワンマン公演を行います。

分島 ライブは、私にいろんな気づきを与えてくれる大切な場です。アニメ系のイベントでしか分島花音のライブステージングを観たことのない方は、ぜひワンマンライブに足を運んでください。本来の分島花音というカラーを味わってもらえるはずです。しかもそこには、非日常な空間が広がっていく。そこでぜひ、分島花音の音楽を共有しあいましょう。

Interview&Text By 長澤智典


●リリース情報
『luminescence Q.E.D.』
11月30日発売

【初回生産限定盤(2CD+BD)】
int-1611282000-c002

品番:1000629294
価格:¥5,500+税
封入特典:特典ブック
(分島花音セルフライナーノーツ、アナザーフォトなど掲載)

【アーティスト盤(CD+DVD)】
int-1611282000-c004

品番:1000629176
価格:¥4,000+税

通常盤(CD)】
int-1611282000-c003

品番:1000629178
価格:¥2,500+税

<CD>
01. Unbalance by Me
作詞/作曲:分島花音 編曲:sugarbeans(Tommy & Sammy)
02. RIGHT LIGHT RISE
作詞/作曲:分島花音 編曲:千葉“naotyu-”直樹
03 the BEAST can‘t BE STOpped
作詞/作曲:分島花音 編曲:江口 亮 (Stereo Fabrication of Youth)
04. odette
作詞/作曲:分島花音 編曲:sugarbeans(Tommy & Sammy)
05. 平凡な僕
作詞/作曲:分島花音 編曲:sugarbeans(Tommy & Sammy)
06. ノットフォーセール・フォッシル
作詞/作曲:分島花音 編曲:江口 亮 (Stereo Fabrication of Youth)
07. 君はソレイユ
作詞/作曲:分島花音 編曲:古川貴浩
08. Drink Drunk Music
作詞/作曲:分島花音 編曲:sugarbeans(Tommy & Sammy)
09. Love your enemies
作詞/作曲:分島花音 編曲:千葉“naotyu-”直樹
10. luminescence Q.E.D.
作詞/作曲:分島花音 編曲:sugarbeans(Tommy & Sammy)

<CD DISC-2>※初回生産限定盤のみ
「luminescence Q.E.D.」ストーリーCD (出演:加隈亜衣)

<Blu-ray/DVD>
分島花音 LIVE TOUR 2016 『Unbalance by Me 』より 2016/6/26(日) 東京 Zepp DiverCity Tokyo 公演の模様を全曲収録

[特典情報]
メーカー特典1:「luminescence Q.E.D.」オリジナルメッセージカード
対象法人:アニメイト、ゲーマーズ、とらのあな、ソフマップ、TSUTAYA、HMV、タワーレコード
対象商品:「luminescence Q.E.D.」【初回生産限定盤】

メーカー特典2:B2告知ポスター
対象法人:アニメイト、ゲーマーズ、とらのあな、ソフマップ、TSUTAYA、HMV、タワーレコード
対象商品:「luminescence Q.E.D.」【アーティスト盤】【通常盤】

●ライブ情報
ワンマンライブ『The strange treat!』
12月14日(水)【東京】日本橋三井ホール
開場 18:00/開演 19:00
12月16日(金)【大阪】味園ユニバース
開場 18:00/開演 19:00

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