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INTERVIEW

2016.11.08

『うたわれ』楽曲が一堂に会したアルバム『うたわれるもの 偽りの仮面 & 二人の白皇 歌集』リリース記念、Suaraインタビュー!

『うたわれ』楽曲が一堂に会したアルバム『うたわれるもの 偽りの仮面 & 二人の白皇 歌集』リリース記念、Suaraインタビュー!

Suaraという歌手にとって代表作中の代表作である『うたわれるもの』。その3部作が完結した2016年、ゲーム・アニメで担当した全『うたわれ』曲が一堂に会するアルバムがリリースされる。10年以上の長きにわたってのつながりに幕が下りるときを、Suaraはどのような気持ちで臨んだのか。

――『うたわれるもの 偽りの仮面』(以下、『偽りの仮面』)『うたわれるもの 二人の白皇』(以下、『二人の白皇』)の楽曲はすべて、まとめてレコーディングしていたということですが、「ヌエドリ」だけはかなり制作期間が設けられていたというお話を聞きました。どのようにしてこの完成形たどりついたのでしょうか?

Suara 「ヌエドリ」の制作は、『偽りの仮面』発売の1年以上も前に進められていました。なので、仮歌を入れてテストをする機会もかなりありましたね。最初は雄大な気持ちで歌っていたんですけど、それだとバックの曲になじみ過ぎて、歌が曲を引っ張っていく感じがなかったんですね。それで声質を明るい感じに振ってみました。幼いというか、抑揚をつけずに純真無垢な気持ちで歌ったんです。そうしたら、壮大な音楽とのギャップが生まれて、『うたわれ』の第二章へと歌が導くようなイメージを持てました。大作の導入部として人の気持ちを掻き立てられるような。流れるような歌だとちょっと違うというか。

――歌だけでも立っている、ということでしょうか?

Suara そうですね。歌が立っているというのはすごく意識して歌いました。そのとき、下川(直哉)プロデューサーがレコーディング前に仰った「今までのSuaraのイメージをいい意味で覆す!」というのはこういうことだったのか!と思えましたね。結果的に、歌手として成長する、表現力を高める、ということができたんじゃないかと。

――ひとつ上のステージに行けたような?

Suara うん、そうですね。歌手としては基本的なことなのかもしれないですけど、今までにないものをつかめた感覚でした。

――「恋夢」はストックされていた曲のひとつだったとか。

Suara はい。5,6年前には仮歌も録っていて、いつかは形になったらいいなと思っていた曲で。ホント、いつも思うことなんですけど、「曲には曲が辿る運命」というのがあって、アルバムの曲になるとか世に出なかったとか、いろいろな道があるのに、『うたわれ』の曲に落ち着けたというのは本当に幸せ(な曲)ですね。ファンの皆さんの思い入れも強くて、先日のライブツアーでは大阪だけで歌ったんですけど、そうしたら「生で聴きたかった」という声をいただきました。でも、難しい曲なんですよ(笑)、ブレスのポイントとか。ゆったりしたテンポ間でメロディが長いので。だから、フレーズを大きく滑らかに歌いたくて、ライブで歌うにあたっては練習を重ねた曲でした。もちろん今ではかなり楽に歌えるようになって、思う存分気持ちを込めて届けられるようになりました。

――「不安定な神様」は人気曲になりました。

Suara 今までAQUAPLUSさんの曲を歌ってきて、こんなにテンポの速い曲は初めてだったんですけど、いただいたときから気にいって、すぐにでも歌いたいと思っていました。プロデューサーさんにも、練習しすぎてこなれるよりも勢いを大事にしたほうが良いから「あまり練習しないほうがいい」と言われていたんです。なので、自分のファーストインプレッションの勢いそのままにレコーディングしたんですけど、それが良かったのか、仮歌の段階でOKが出て。それはビックリしました。自分の魂を解き放つような、すごくオープンな感じで歌える曲ですね。ライブでもそこがすごく楽しくて。スピード感や雰囲気は今時のアニソンという印象を受けるんですけど、太鼓など和楽器を取り入れたアレンジや、“また会える日まで”といった歌詞の内容は『うたわれ』という感じがありますね。

――アニサマで歌ったときは涙ぐんでいましたね。

Suara 「キミガタメ」では完全に泣いていましたけど、「不安定な神様」でもちょっと泣きましたね。すごく久しぶりのアニサマだったんですよね。7年ぶり、という。しかも、今年のアニサマのテーマが「刻-TOKI-」で。それで、7年ぶりのアニサマという場所と時間でこの曲を皆と共有するなかで、「また、時がめぐっていつかアニサマに戻ってこられたら素敵なことだな」とかいろいろな思いが巡ってきて、“また会えるその日まで”“時かける旅人”という歌詞に重なってジーンとしていました。

――「ユメカウツツカ」はSuaraさんが歌詞を書かれました。

Suara 正直、作詞するときは『偽りの仮面』のストーリーを知らなくて、いただいたいくつかのキーワードを基に書いた歌詞でした。でも、アニメが終わったとき、「この歌詞が書けて良かった」と思いましたね。大サビの“偽り宿し 生まれる真実”というところは、“偽りの仮面”という物語の核心としっくり来たので。

――あの歌詞が浮かんだのはどういったところから?

Suara なんでしょうね?『うたわれ』ということで輪廻とか人が辿る運命といったところを考えていました。また“偽り”という言葉から、生きているなかで、隠さなければならない何かのために、何か新しく事実を創らなければならないことがある、というイメージが生まれました。オシュトルの遺志と運命をハクが引き継いでみんなもそれについていく、という部分とがうまくつながったと思います。

――「天かける星」は「不安定な神様」に続く、アニメ『偽りの仮面』の2期OPテーマでした。ただ、ゲームもアニメも全曲まとめてのレコーディングということは、「不安定な神様」の人気にプレッシャーを感じることはなかったですね。

Suara レコーディングは「不安定な神様」の数日後かそれぐらいというほぼ同時期でしたので、特にプレッシャーは無かったです。むしろ出来上がって、2期が近づいたり始まったりしたときに不安を感じました。やっぱり、OPテーマが変わって最初の1、2週は、「なんで?」って意見も見ましたし。ただ、ストーリーが進んでいくうちに、「むしろ『偽りの仮面』の世界観を表している曲ってこっちなんじゃ?」という声も出てきたんです。物語の展開にとても合っていた曲だったので、そこを評価していただけてうれしかったですね。でも、この歌はですね、気持ち(を込めるとかそういうの)の前に歌いこなすのが大変な曲で。ただ、ばっちり決まったらかっこいい曲だという感覚はありました。だから、ドラマチックな曲展開に自然と乗っかって、切なさや強さを表現した、という歌でした。

――この曲では、下川プロデューサーからはどんなことを言われたんですか?

Suara まあ、「がんばれ」って(笑)。

――難しい曲なのでそうなりますね(笑)。

Suara プロデューサーも歌のイメージは特に持ってなかったみたいですね。歌が乗っかるイメージのメロディではないですもんね。Aメロの“暗い闇の中一人”は怪しげな雰囲気を出しつつ、Bメロでガッと世界が開けたようにどんどん情熱を帯びていき、サビで駆け抜ける、という感じで歌いました。また、サビが1段階転調したところでさらに疾走感を増すという展開がドラマチックなので、しっかりとこの曲を表現したいという思いがありました。『うたわれ』だからこそ生まれたアニソンだと思います。

――「星降る空仰ぎ見て」についても教えていただけますか。

Suara 私はこの曲がすごく好きで、いただいたときから気づいたら口ずさんでいました。子守歌のような優しくて懐かしい思いを持てるメロディですね。特にBメロとかがグッとくるんですよ。歌詞との相性もすごくいいし。あとはサビかな。そうなると結局、全部ってことなんですけど(笑)。

――「星灯」はまだライブで披露したことがない曲ですね。

Suara 早く歌いたくてうずうずしています。これはタイトルだけ「付けてくれていいよ」と言われて付けたんですよ。歌詞から、星の灯りが煌々と光りながら未来を照らして導いてくれる、というところが読み取れたので浮かんだタイトルですね。

――歌うときはどんな気持ちで?

Suara これ、私のなかでは完成形が湧かなかったんですよ。今はもう、イントロが始まったら「こういう声質でこんな強さで」ってすぐ出てきますけど。最初はもっと優しく歌ってみたところ、「サビだけじゃなくて最初のAメロから全部エッジを効かせて、言葉が立つように歌ってくれ」というディレクションを受けたんです。「フレーズの最初だけではなく、いろいろなところにアクセントをつけてかっこよく」とか。そういうイメージを自分がつかめるようになるまでに少し時間がかかりました。

――そして、旧作の楽曲を新たにアレンジし、『二人の白皇』で挿入歌として使われた3曲が収録されます。

Suara はい。「キミガタメ 2016」は、最初に歌ったとき、あまりにも普段のライブ感が出過ぎていて、「オリジナル音源の歌唱をベースにしながら」と言われました。「今までライブとかいろんな場面で歌ってきたその年輪を感じられるような歌に」ということも言われていたんですけど、年輪が出過ぎたというか、歌い上げすぎたところがありましたね。「キミガタメ」や「夢想歌」は長く歌ってきた曲なので、キチッとレコーディングするにあたって成長を出さないといけないという思いが強かったんですね。技量が上がっただけではダメですし、初期の歌にあった良さも出さないといけないところでした。

――初期の歌の良さというのは?

Suara そうですね……、やっぱり歌に対して純粋でしたね(笑)。今が純粋ではないわけではないですけど、あのときは自分に表現の幅もなくて、この歌い方しかできないかわりに魂込めて歌います、という感じだったので。とにかく無我夢中でした。

――昔のバージョンにはピュアさがあると。

Suara そう、ピュアさ(笑)。当時は『うたわれ』という作品を知らなくてプレッシャーも感じなかったので、のびのび歌えたというのはありましたね。

――そんな『うたわれ』が完結する際のEDテーマである「麗しき世界」。どんな思いが去来しましたか?

Suara 『うたわれ』を歌える喜びとともに、これが最後かもしれないと思うと寂しかったですね。今までは何年空いても、「続編があるかも」という期待がありましたから。その意味では、『うたわれ』をずっと歌ってきた自分の気持ちが成就するような歌に、という気持ちがありました。そこはこの曲調に通じるところでしたね。実はこの曲も最初、タイトルがなかったんです。それで私としては集大成ということで、「うたわれるもの」ってタイトルにしたかったんですけど、BGMの曲ですでに使ったらしくて。

――それでこういう大団円なタイトルに。

Suara 大団円に相応しいタイトルを探しました。でも、最終的には冒頭の歌詞から取っただけなんですけどね(笑)。

――最後の『うたわれ』曲はどんな気持ちで歌いましたか?

Suara この曲は最終章のエンディングになると聞いていたので、『うたわれ』の集大成という気持ちで臨みました。でも、サビのように歌い上げるところもあるんですけど、想いを歌い上げるみたいな濃さを出すのではなく、ストレートに無の気持ちで歌いました。「歌声として透明感を意識して」と言われていたので、ニュアンスはつけないようにしたんです。登場人物の誰かになって、というよりは語り部のつもりで歌っています。「『うたわれるもの』とはこういう物語でした」と、私がストーリーテラーになった気持ちでした。

Interview&Text By 清水耕司(セブンデイズウォー)


●リリース情報
「うたわれるもの 偽りの仮面 & 二人の白皇 歌集」
11月9日発売
int-161108-002

【初回限定盤(2CD)】
品番:KIGA-90029
価格:¥3,800+税

【通常盤(CD)】
品番:KIGA29
価格:¥3,000+税

<DISC 1>
1. ヌエドリ
2. 恋夢
3. 不安定な神様
4. ユメカウツツカ
5. 天かける星
6. 星降る空仰ぎ見て
7. 星灯
8. キミガタメ 2016
9. 永久に 2016
10. 麗しき世界
11. 夢想歌 2016

<DISC 2>
1. 君だけの旅路
2. 夢想歌
3. adamant faith
4. キミガタメ

●イベント情報
Suara 「うたわれるもの 偽りの仮面 & 二人の白皇 歌集」発売記念インストアイベント
11月12日(土) 13:00 開場 13:30 開演
【名古屋】とらのあな名古屋店
イベント内容:Suaraミニライブ&イベント参加特典お渡し会
詳細は、とらのあな名古屋店まで

11月13日(日) 13:00 開場 13:30 開演
【東京】とらのあな秋葉原C
※受付終了

11月20日(日) 15:30 開場 16:00 開演
【東京】アニメイト池袋本店
イベント内容:Suaraミニライブ&イベント参加特典お渡し会
詳細は、アニメイト池袋本店まで

11月26日(土) 12:30 開場 13:00 開演
【大阪】アニメイト大阪日本橋
イベント内容:Suaraミニライブ&イベント参加特典お渡し会
詳細は、アニメイト大阪日本橋まで

参加方法など詳しい情報は各店舗へお問い合わせください。

●ライブ情報
「Suara ASIA TOUR 2017~声を聴かせて~台湾公演」
2017年2月18日(土) 現地時間15:00 開場 16:00 開演
会場:花漾HANA展演空間
問い合わせ:suara17tw@ed-production.com.hk (日本語可)

「Suara ASIA TOUR 2017~声を聴かせて~香港公演」
2017年2月19日(日) 現地時間19:00 開場 19:30 開演)
会場:九龍湾国際展貿中心G/F Music Zone@E-Max
問い合わせ:suara17hk@ed-production.com.hk (日本語可)

主催:ED Production Limited
イベント詳細はこちら

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