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REVIEW&COLUMN

2015.10.28

うたパス×リスアニ!「アニソン・コンピレーションch」第10回【DJ和が選んだ「アニソン系クラブアンセム40」】

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 auの“音楽聴き放題”サービス「うたパス」と、リスアニ!編集部がコラボレーション企画をスタート! 最新J-POPからアニソン、カラオケ定番曲まで様々な音楽チャンネルが月額300円で聴き放題となる同サービスのなかで、リスアニ!編集部が“アニソン限定”で様々なチャンネルを作成します。なお「チャンネル」とは、膨大な楽曲の中から30〜40曲をピックアップした、言わば「うたパス」オリジナルのコンピレーションアルバム。「うたパス」にはいろいろなジャンルのチャンネルが常時500以上もあるのでぜひチェックしてみよう! 本企画では毎回異なるテーマを設け、アニメソングがより楽しくなる深掘りウンチクと共に名曲たちをお届けしていきます。お楽しみに!

★リスアニ!×うたパス特集チャンネル【DJ和が選んだ「アニソン系クラブアンセム40」】はこちら


数々のアニソンミックスCDをリリースし、アニソン系クラブイベントで日々活躍するDJ和。今回のうたパス×リスアニ!チャンネル企画は、キャッチーかつスキルフルなプレイでフロアを沸かすDJ和に選曲を依頼。第一線級のDJならではの視点による、“今現場が盛り上がるアンセム”、ひいては“ヒットアニソンの性質”に迫ります!

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――本題に入る前にまずお聞きしたいのですが、和さんはサブスク系の音楽サービスは利用されていますか?

DJ和 使ってますよ。DJをやっていると、音源が手元に欲しいじゃないですか。なのでサブスクは今まであまり聴かなかった曲をチェックするのに利用しています。年月が経って埋もれた曲を再発見できるいい場所。CDショップには棚に並ぶ枚数に限界があるし、メディアが紹介するのは新譜が中心なので、サブスクは旧譜を聴くよい機会だと捉えています。

――当時あれだけハマった曲なのに、たった2、3年経っただけで聴かなくなる曲ってありますものね。

DJ和 アニソンがそれだけ入れ替わりが激しいジャンルだということですね。昨年の曲すら「うわ〜懐かしい」みたいな感じがしますから。

アニソンはイントロが命

――今回の選曲ですが、クラブでかけると盛り上がるという基準で選んでいただきました。

DJ和 最近はクラブだけでなく音楽フェスの現場でもアニソンをかける機会が多いんですけど、かけたときの絵が想像できるというか、客席に動きが生まれる曲を中心に選んでみました。このリストはサビでお客さんが声を出すとか、みんなの振り付けが揃うとか、そういう光景が記憶に焼き付いているものばかりですね。

――そのようになる曲とならない曲の違いってなんだと思いますか?

DJ和 まず「みんなが知ってる」というのが大前提なんですけど、コスプレしやすいとか、サビのときのコールが決まってるとか、みんなで共有できる要素を持つ曲が比較的強いと思います。

――たしかに、このリストの楽曲は、各アーティストのワンマンライブでも定番曲になっているものばかりですものね。

DJ和 アニソンのDJだと特にそうなんですが、やっぱり知ってる曲に対するお客さんの反応ってすごいじゃないですか。イントロが鳴っただけで「キター!」となったり「泣かせにきたぞ!」と頭を抱えたりするときの激しさと、知らない曲が流れたときの「スーン」という静まりっぷりの落差が半端ない。とはいえ盛り上がる曲だけを連続でかけても体力が保たないし……アニソンのDJはこのバランスをどう保ちながらプレイするかが試されると思います。それは同じテンポでずっと踊らすのとは違う気の遣い方で、歌でDJする特有の難しさなのかなと。ただ盛り上がる曲の傾向としては、やっぱりイントロが印象的なものが多いですね。イントロは名曲のキーポイントなのかも。今回選んだ40曲も、そうした頭からインパクトのある曲ばかりです。

――どんなDJでもかけたくなる40曲ですね。

DJ和 アニソンDJって、だいたい最初にインパクトのある曲をかけて、中盤で趣味に走り、そして最後にまた定番曲で盛り上げて、次の人に繋げていく構成を考える人が多いですよね。もしそうしたDJが5、6人プレイするイベントがあったとしたら、この40曲は終盤の段階で半分も残っていないと思います(笑)。

――ちなみにアニソン初心者がたくさんいる現場を想定して、この40曲から序盤の盛り上がりを作ろうとすると、和さんはどんなセットを組みますか?

DJ和 超初心者向けですよね? 最初は……Dream5の「ようかい体操第一」から入ります。みんななんとなく振り付けを知ってると思うんですよ。次に後ろから這いより隊G「太陽曰く燃えよカオス」の“()・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!”を指導しますね。この部分をひたすらループさせて、みんなの動が揃うまで続ける。その次はfripSide「only my railgun」かなぁ? そしてClariS「コネクト」、ST☆RISH「マジLOVE2000%」と続き、“こころぴょんぴょん”が通用することを願ってPetit Rabbit’s「Daydream café」ですね。

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意外に受け入れられているJ-POP系タイアップ曲

――中盤の趣味的なパートではどんな曲を狙いますか?

DJ和 MAN WITH A MISSIONの「database feat. TAKUMA(10-FEET)」あたりかな。それに続けてポルノグラフィティの「メリッサ」とか。こうしたJ-POP系アーティストの曲って、コアな深夜アニメファンには若干抵抗があると思われがちですが、意外に広くフラットに受け入れられていると思うんですよ。DJ的にもライブ感のある音を出せるので、サウンドのアクセントにしやすいメリットがあります。そもそも今の若い人たちにとってのロックって、MAN WITH A MISSIONのようなミクスチャーが主流じゃないですか。そういう意味でも結構通用するサウンドなのかなと思っていまして。

――たしかに、最近のバンドは8ビートよりもデジタルを多用した4つ打ちが多い印象がありますね。

DJ和 やっぱりクラブシーンは4つ打ちが中心なので、バンド特有の激しさのあるサウンドでそれが流れると、フロアが自然と盛り上がるんですよね。

――J-POP系だと、ロックとは真逆のGoose house「光るなら」のような爽やかな曲にも人気がありますよね。

DJ和 一時期、どの現場でもかかっていましたね。出自は違いますがCHiCO with HoneyWorksの「世界は恋に落ちている」も似たようなタイプで、クラブという現場で、こういうキラキラしたピュアなサウンドも通用するこの業界って面白いと思います。

――「光るなら」は、最近になってまたよくかかるようになった気がします。

DJ和 そうですね、僕も一周まわって人気が再燃している気がしています。Linked Horizonの「紅蓮の弓矢」とかもそうでしたけど、いちどブームがあったあとにお休みの期間があって、誰かが久しぶりにかけたことがきっかけで「やっぱりいい曲だ!」となり、人気が復活する曲というのがあるんですよ。「光るなら」はその典型的なパターンですね。

――まさしくDJ同士で曲の奪い合いになるレベル。

DJ和 3〜4ヵ月前はUNISON SQUARE GARDENの「シュガーソングとビターステップ」がちょうどそんな感じでした。リハーサルや楽屋での、DJたちの「オレがかけるからね」アピールがすごいんですよ。わざと音を鳴らしたり口に出したりして、周囲に圧力をかけるんですよね(笑)。直近だと学園生活部「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」がそうですね。合いの手がわかりやすいのと、そもそも曲自体がアニメとリンクしてネタになっているのが強い。ここからゾンビアニメの曲に繋げていける広がりやすさも人気の要因ですね。

――「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」から『これはゾンビですか?』や『学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD』の曲へと展開する繋ぎを何度聴いたことか!(笑)。

DJ和 その繋ぎこそまさに今の流行りです。

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声優ユニットが歌うキャラクターソングは儚い!?

――終盤はどのようにまとめ上げましょうか?

DJ和 やっぱり声優ユニット系のキャラソンが入ってくると思います。

――リストを見ると声優ユニット系の曲はここ2、3年のものが中心ですね。アニメ作品を通じ、出演声優が時限的なユニットを組んでキャラソン活動するスタイルが主流になってきたのが2006年頃。今となってはずいぶんユニットの数もタイプも増えました。

DJ和 相当なシェアを占めていますよね。ファンがとにかく熱狂的で、ものすごい爆発力を秘めているのが特徴的。同じアニメ主題歌の歌い手でも、明らかにアーティストの方たちとは違う種類のパワーを秘めているのが声優ユニットだと思います。思うに声優ユニットはアーティストと違って、人気があってもいつまで続くかわからない怖さがあると思うんですよね。例えば声優とはちょっと違いますけど、僕の好きな『アイカツ!』も、AIKATSU SUTARS!が中心になってSTAR☆ANISの活動が落ち着いてしまいましたよね。先日、台湾で彼女たちのフリーライブを観てきたんですけど、これが最後かもしれないと思うとめちゃくちゃ応援に熱が入ってしまって(笑)。アニメがきっかけで結成されたユニットは、限られた期間内で集中的に盛り上がらざるをえない仕組みを持っているので、旬の曲に対する盛り上がりがものすごいんです。

――アニメの放送が終わると同時に、解散してしまうのが声優ユニットの宿命ですものね。

DJ和 『Wake Up, Girls』は2期がありそうですけど、例えば『ハナヤマタ』はわからないじゃないですか。たった1年前の曲なのにもう過去の思い出になっちゃう側面はありますよね。

――この声優ユニットの儚さはどこからくるのでしょう?

DJ和 新しいアニメが放送されるたびにどんどん若い声優さんが登場してユニットが誕生するけど、それぞれが売れっ子になって多忙になっていくことで、二度と再結成できなくなるケースを僕たちは経験上知っているからだと思います。『ラブライブ!』が最もわかりやすくて、今となっては9人揃うのが奇跡みたいなところがあるじゃないですか。もはやワンマンライブでしか完全版のステージを観られない状況になっていて、世界中に難民が溢れかえっている(笑)。その限りある活動が、ますます声優ユニットを尊いものにしているんだと思います。

――『ラブライブ!』もサンシャイン!!が始まって、μ’sはどうなるんだ!? という不安が漂っていますものね。

DJ和 ファンは本能的に恐怖を感じていると思いますね。もし解散なんてことが発表されれば、何かが崩壊するんじゃないかと違う意味でもドキドキしています(笑)。

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アニソンとアニメ映像を一緒に楽しむことができたら……

――こうしてお話を聞いていると、改めてサブスクの役割は旧譜を掘り返すことにあるのだと実感できますね。

DJ和 週に40本以上もTVアニメがある今、すべての曲をリアルタイムで聴くのは難しいと思います。さらに最近はアニソンの活用のされ方も多様化してきていて、例えばパチンコでしか聴けないとか、ゲームセンターの筐体でしか聴けないとか、テレビやCDショップをチェックしているだけでは追いきれない状況が生まれてきているので、しばらくしたらサブスクで聴けるようになるというのは、個人的にもうれしいことですね。

――こぼしてしまっていた楽曲をサブスクで聴くことで、新たにCDや配信を購入する動線が確立していけば、音楽業界も元気になるのかなと。

DJ和 それにはサブスクがもう一段大きく盛り上がる必要があると思いますね。例えばクラブやフェスの現場で、モニターにアニメ映像が映し出されたときのお客さんの反応ってすごいじゃないですか。今はイベントでアニメ映像を使おうとすると許諾が必要になっていて、音を作っている会社と映像を作っている会社で権利先が別々だったり事情があるのは仕方のないことですが、せっかく最大値のゴールが見えているのに、ちょっと壁になっているのが惜しい気がしていて。もし、サブスクがアニソンと一緒にアニメ映像も配信できるようになったら……単純に盛り上がると思うんですよ。

――なるほど。曲だけでなく映像に関しても、旧作に触れられる機会になりそうですね。

DJ和 そんなに単純かつ簡単なことでないことはわかっているんですけどね(苦笑)。とにかくDJにできることは、新譜から旧譜までいろんな曲を紹介して、それらをみんなの記憶にとどめてもらうことなので、これからもたくさんのアニソンを繋いでいきたいと思います。

Photography By 小賀康子 / Text By 西原史顕

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10月27日(火)10:00 〜 11月3日(火)23:59
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<プロフィール>
ディージェーカズ/1986年生まれ。初期のHIP HOP DJとしての活動から、J-POPオンリーのミックススタイルへと移行。2006年頃より急速に動員を伸ばし、リミックスCDもリリース。さらに2012年には『J-アニソン神曲祭り [DJ和 in No.1 胸熱 MIX]』が大ヒット。一躍アニソン系クラブ界にも名を轟かす。
◇HPはこちら

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