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REPORT

2016.08.18

大熱狂のFuki Commune 1stワンマンライブ、超絶ハイトーンでアニソン名曲カバーも披露し20年の思いを継ぐ

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日本のヘヴィメタル界のトップであり、アニソン界へ大きな橋を架けようとしているシンガー・Fukiのソロ・プロジェクト、Fuki Commune 待望のファースト・ワンマンライブ「Fuki Fes.」が7月30日、渋谷・TSUTAYA O-WESTにて開催された。

「このFuki Communeとしての初めてのアニメソング、みなさんタイトルを一緒に言ってください」とMCで語りかけるFukiの表情は笑顔に満ち、そして誇らしげに見えた。

この日、完全満員となったTSUTAYA O-WESTに詰めかけたのは、彼女のこれまでの活躍を目にし、Fuki Communeとしてのファースト・ワンマンライブに大きな期待を寄せたファンたちだ。それを反映するかのように様々なオーディエンスがいるなかで、先のように振ってからTVアニメ『怪盗ジョーカー』のED主題歌「輝く夜へようこそ!」をスタートさせたことは、筆者にはひとつの宣言であるかのように映った。

先の本誌インタビューで彼女は、アニソン愛をじっくりと語ってくれている。これまでずっと歌いたかったアニソンをメンバーとライブで披露することの喜びがイントロのシャウトからも伝わってくる。ポップでメロディアスなラインに乗って、『怪盗ジョーカー』のホッシーのぬいぐるみを抱き、彼女の武器である超絶ハイトーンで歌いあげるギャップもまたキュートな魅力として映る。それはメンバーにも伝染したようで、超絶技巧の演奏を披露するなかでも彼らは笑顔だ。

そう、この日は会場全体が笑顔に満ち溢れていた。オープニング時、ひとりひとり入場するメンバーに対し拍手が贈られ、会場を温めたところで最後にFukiが登場し歓声が飛ぶ。ライトがカッと彼女を照らし、短いシンバルの音をイントロとして「月が満ちる前に」を歌い始める。この瞬間を待ちわびていたであろう、ハイトーンで頭サビを歌い上げたところで彼女は思わずシャウトし、オーディエンスに短く「ありがとう!」と投げかけた。

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会場はもちろん拳を振り上げ反応する。アッパーでメロディアスなナンバーに客席がアツくなったところでこの日、最初のシンガロングのタイミングで煽り、ロングトーンで応えるFuki。ISAOがまず軽々とギターソロを響かせるなか、涼しげな顔で彼女はリズムを刻み、落ちサビではステージの一段上に登って大きくシャウトした。つづく「I’ll never let you down!」は最初からツーバスを刻むメタル色の強い楽曲で客席は興奮の渦でモッシュ状態に。ギターとベース、キーボードも早速ソロで応酬を見せ、それを受け取ってFukiは「蹴飛ばして」の歌詞に合わせてキックポーズ。ジャンプやヘドバンも煽り、この時点で客席の体感度の針を振り切らんばかりの勢いだ。哭きの和メロソング「狂い咲け雪月華」ではSEによる和楽器だけでなく、ドラミングも太鼓を思わせる迫力。Fukiはクリアトーンでキメたかと思えばガナりを交えた迫力を見せる。

ハッピーなイントロから切なく歌い上げる「青い季節に」は流麗なギターソロと一音一音を大切にしたタッピング。ロッキンなイントロからシリアスな叫びを込めた「Liberator」ではパワフルなドラミングと、これぞメタルだという演奏も堪能できた。そうした構成をさらに勢いづけるゲスト・ギタリストが、ここで登場した。

編曲でも携わっている若井 望だ。

「リスアニ!」の読者にとっては榊原ゆいとのコラボレーションでご存じの方もいるだろう。ヴィジュアルからして綺羅びやかなメタルギタリストに会場が沸く。ドラマティックな「僕が生きる世界」ではMaoのキーボードのネオクラシカルなフレージングに続いてフロントに出て美麗なピッキングを披露したあと、ISAOと背を合わせ速弾きを聴かせる。そこから受け渡された落ちサビでのFukiの切々とした表現も魅力的だ。最後に若井はギターソロを決め、この曲を美しく繋ぎ合わせた。

つづいての曲はアニソン・ファンにとってうれしいサプライズ。いとうかなこの名に歓声が湧く。披露されたのはアニメ『STEINS;GATE』のOPテーマ「Hacking to the gate」のカバーだ。長谷川 淳の弾くイントロの唸るようなベースから高らかに、情感豊かにボーカルワークが乗る。転調とともに乗ったギターノイズがまたいい効果を生み、ビートを刻む。若井のメロウなギター・ソロが緩急を付け、複雑に絡みあう楽曲を彩った。

若井のゲストパート最後の曲は彼のプロジェクトであるWAKAI NOZOMU’S Destinia でFukiが参加した「No surrender」。荘厳なイントロからシャウトで扉を開け、ハイトーンで次々にアタックを仕掛ける。美しいギター・ハーモニーが鳴り響く中、頭を振ってラストはここまでいちばんのハイトーン・ロングシャウトを決めて中盤を締めた。

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「朝な朝な」ではMaoのピアノ・サウンドのみを伴奏にしたライブならではのアレンジ。しっとりとした節回しに切なくドラマチックな伴奏がスイングする。そこでのFukiは情感もさることながら声量も圧倒的で、マイクとの距離もかなり離れている。
それをTSUTAYA O-WESTというどこにいても実感できる場で実感できたファンはラッキーであろう。そう思っていたらさらにそれが強く表れた瞬間に立ち会った。MCでは自身を「ハイトーンお化け」と話し、「よろしくお願いしまーす」と大シャウト。
ここまで歌っても絶好調なコンディションだ。「ご静聴ください」と言った瞬間、彼女はマイクを外し、まったくのアカペラで「ゆずれない願い」(『魔法騎士レイアース』OP主題歌)を歌い始めたのだった。このワンフレーズで歓声が大きく湧き、次のフレーズでも7秒にわたるロングトーンを聴かせ、圧倒してからバンドが入っていく。アレンジもビートを効かせ彼女の良さを引き出すカバーで心を掴んでいた。

MCで彼女は「良いアニソンは後世に残っていくもの」と述べた。20年以上前にリリースされたアニソンではあるが、多くのファンを持つ名曲を継承していく姿にアニソン・シンガー1年生としての彼女の矜持が見えた。

続いては新曲「Liar(仮)」。ツーバスのビート感が強く、展開のハッキリした曲で主張の強い歌詞をハイトーンに乗せる。ギターとキーボードの聴かせどころも用意されており、リリースが楽しみな楽曲という印象を受けた。Fukiソロ名義で今年発表したメロディック・スピード・メタルナンバー「Strength」(『テラフォーマーズ リベンジ』ED主題歌)も披露され、ファンも満足したところで終盤へ。

「未来」でFukiはそれをじっくりと歌に載せていく。ベースが唸り、ギターが哭き、ツーバスが激情を表現し、キーボードが感情を揺さぶるバンド一体となってドラマティックな大曲を作り上げた。さらに観客を鼓舞し、続くのはアルバムの曲順と同じくラストを飾る「Sail on my love」。ゴツゴツしたサウンドに晴れやかな美メロが乗る。ここまで歌いに歌ってきた彼女なのだが、その表情を見ると笑顔で満ち、それに相応しいテンションでハイトーンを繰り出し尽くしている。3箇所のお立ち台に登りファンに声をかけまくり、会場の心をひとつにしたところで、ラストに大ジャンプして本編を締めた。

アンコールを待つ掛け声は客席のそこかしこから聞こえてきたるが、いろいろな呼び方が混在しており観客からも笑い声が漏れるほど。つまりはそれだけ彼女は様々な活動でファンを獲得しこの場所に呼び寄せている証拠である。

本編でアルバム曲を歌い尽くし、アンコールでは「Fuki Fes.」の趣旨=感謝祭に沿って、セルフ・カバーを披露すると語ると大きな歓声が沸き起こった。今日のメンバーが演奏するということもファンにとって非常にラッキーな体験だったであろう。Unlucky Morpheus(あんきも)の「La voix du sang」はひたすらに熱いメロディック・スピード・メタル。凛々しく声を張ったかと思えば、壇上では座ってコケティッシュな表情で魅せる。

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DOLL$Boxx(どるばこ)の「おもちゃの兵隊」は分厚いキーボードにゴリゴリのベースで形作り、そこに伸び伸びとしていながらも迫力のあるボーカルを載せてくる。さらにギターとキーボードのバトルが実にライブ・バンドらしく充実した時間だった。そしてオーラスへはマイクを外しハイトーンで煽ってからLIGHT BRINGERの「Love you」。
怒涛のイントロでトップギアで客席も熱狂の渦に包まれる。Fukiはステップをしながらメンバーとともに観客と目を合わせて多幸感溢れる表情だ。ギターとキーボード、ベースのバトルからシンガロングへと展開し、ハイトーンを繰り出し、大きくシャウトしてから最後にジャンプ。約2時間があっという間に感じられる濃密な時間を展開してくれた。

最後のスクリーンメッセージでFukiは「10年後も、20年後も歌い続けます」と宣言した。それは先の「ゆずれない願い」の例を見てもまったく絵空事ではない。この日はスタートにすぎない。そして極上のスタートだ。次回は早くも11月13日に東京・新宿ReNYで追加公演「Fuki Fes. Vol.2」が予定されており、今回とはまた違ったパフォーマンスやセットを見せてくれそうだ。刻々とキャリアを積み上げていく彼女のドラマティックな空間を間近で観られるうちに感じていたいと思わせる、そんなFuki Communeの記念スべき1stワンマンライブだった。

Text By 日詰明嘉

【Fuki Commune Oneman Live ~Fuki Fes.~】
7月30日(土) TSUTAYA O-WEST
セットリスト

01.月が満ちる前に
02.I’ll never let you down!
03.狂い咲け雪月華
04.輝く夜へようこそ!
05.青い季節に
06.Liberator
07.僕が生きる世界
08.Hacking to the gate ※Cover
09.No surrender ※WAKAI NOZOMU’S Destinia
10.朝な朝な
11.ゆずれない願い ※Cover
12.Liar(仮) ※新曲
13.Strength
14.未来
15.Sail on my love
-アンコール-
01.La voix du sang ※unlucky morpheus
02.おもちゃの兵隊 ※DOLL$Boxx
03. Love you ※LIGHT BRINGER

・バンドメンバー
Fuki(Vocal)/Mao(Keyboards)/ISAO(Guitar)/長谷川淳(Bass)/下田武男(Drums)/若井望(Guitar・スペシャルゲスト)


●ライブ情報
【Fuki Fes. Vol.2】
11月13日(日)新宿ReNY
OPEN 16:30/START 17:00
チケット発売中!

●リリース情報
Fuki Commune 1stAlbum
『Welcome!』
発売中

【初回生産限定盤(CD+DVD)】
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品番:VIZL-976
価格:¥3,600+税

<DVD>
*輝く夜へようこそ!(Music Video)
*メイキング

【通常盤(CD)】
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品番:VICL-64585
価格:¥3,000+税

<CD>
01. Welcome to my dream – Instrumental –
  作曲:Mao 編曲:Mao
02. 月が満ちる前に
  作詞:Fuki 作曲:Mao 編曲:Mao&若井望
03. 輝く夜へようこそ!
  作詞:Fuki 作曲:Mao 編曲:Mao&若井望
04. I’ll never let you down!
  作詞:Fuki 作曲:Mao 編曲:Mao
05. 僕が生きる世界
  作詞:Fuki 作曲:Mao 編曲:Mao&若井望
06. 朝な朝な
  作詞:hotaru 作曲:onoken 編曲:onoken
07. 狂い咲け雪月華
  作詞:一ノ瀬貴妃 作曲:MACARONI☆ 編曲:MACARONI☆
08. 青い季節に
  作詞:Fuki 作曲:Mao 編曲:Mao
09. Liberator
  作詞:Fuki 作曲:Mao 編曲:Mao
10. 未来
  作詞:Fuki 作曲:Mao 編曲:Mao
11. Sail on my love
  作詞:Fuki 作曲:Mao 編曲:Mao

<Fuki Communeとは>
元LIGHT BRINGERの紅一点ヴォーカリスト、Fukiのソロプロジェクト。
「Fukiとその仲間達が一つの共同体を形成するイメージ」が、プロジェクト名の由来となっている。

<Fuki プロフィール>
2011年、LIGHT BRINGERのヴォーカルとしてメジャーデビュー。
日本の若手ヘヴィメタル界でも群を抜いた声量と、突き抜けるハイトーン・ヴォイスが特長。
ストロングなメタル・ヴォーカルの発声に、明るく弾けるような声質、芝居心のある表現力も併せ持つ。
バラエティ番組のナレーションや、ラジオMC、ゲームのキャラクターソングの歌唱などもこなし、バンド活動・ヴォーカリストの型にとらわれない様々な声の表現に取り組んでいる。
少女期より小説・漫画・アニメに造詣が深く、特に「ジョジョの奇妙な冒険」好きを公言。
また、天外冬黄(テンゲフユキ)名義で、同人サークル:Unlucky Morpheusにも所属しており、コミックマーケット等でのファンとの交流を2008年より続けている。
ソロ・シンガーFukiとして様々なプロジェクトに歌唱参加したり、天外冬黄としてCD自主制作やライブ活動を続けるなど、フィールドにこだわらず幅広く活躍している。
2016年、アミュレート所属。
TVアニメ『テラフォーマーズ リベンジ』 ED主題歌「Strength」歌唱
ソロ・プロジェクト:Fuki Communeを始動させる。

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