REPORT
2016.06.08
2012年よりTVアニメがスタートし、現在、原作のPart4にあたる『ダイヤモンドは砕けない』が放映中の人気作品『ジョジョの奇妙な冒険』。その歴代アニメオープニングテーマを手掛けてきたアーティストの富永TOMMY弘明、Coda、橋本仁によって結成されたJO☆STARSのワンマンライブ「JO☆STARS Special Live 2016 ~Bizarre Night~」が、5月28日、Zeppダイバーシティ東京にて開催された。
スモークが妖しく立ち込める中、ライブは『スターダストクルセイダース エジプト編』オープニングテーマ「ジョジョ その血の記憶 ~end of THE WORLD~」で幕開け。冒頭からJO☆STARSによる迫力のトリプルボーカルが炸裂した。さらにバックドロップには承太郎たちが歩んだ日本からエジプトへの軌跡が映し出され、「アヌビス神」の格好をした男性ダンサーやベリーダンス風の衣装に身を包んだ女性ダンサーも登場するなど、作品の世界観を具現化したかのような演出にファンたちは大興奮。さらには「ザ・ワールド」(登場人物DIOが持つ時を止める能力)が発動し、最後のサビのワンフレーズを残して演奏が一瞬ストップするという演出も。突如、静まり返った会場にコツコツとDIOの足音だけが響くと、どよめきのような歓声がフロアを揺らす。するとおもむろに演奏は再開。まるで承太郎とDIOのラストバトルを思い起こさせるような熱い演出に、会場は大いに沸いた。
のっけから強烈な一発をぶちかましてくれたJO☆STARSに、フロアも一気にヒートアップ。この盛り上がりに、「いいねえアツいねえ、おれらも燃えてるけどな、めちゃめちゃ燃えてる」と最初のMCで意気込む橋本。また富永も「こんなにたくさんの連中が集まるなんて、ちょっとだけ思ってたぜ!予想通りだ!ニヤニヤしちゃったぜ」と、サングラスの下では喜色満面な様子だ。
ここからは、JO☆STARSのメンバーによるソロステージへと移行する。まずは富永が「1ページめを開くのはこのおれだ!」とPart1『ファントムブラッド』のオープニング「ジョジョ ~その血の運命~」を熱唱。歌の中にも繰り返し出てくる「ジョジョ」という名前を観客と共に連呼し、ときには大シャウトもかましながら会場を盛り上げた。さらにモハメド・アヴドゥルのイメージソング「Fire of Soul」や、ウェブラジオ番組『オラオラジオ!』のテーマ「ゴォ! ウエストォォォッ! (GO WEST)」など、情熱的な楽曲を立て続けに披露。作中の名言「ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!!」を体現するかのごとく、全力のパフォーマンスでライブを先導した。
次に登場したのはCoda。イギーをイメージして制作されたブルースロック「IGGY WALK」でハスキーボイスを情感たっぷりに響かせると、会場の空気はアダルティに一変する。ジョセフ・ジョースターのイメージソング「Crazy my Beat」では弾むビートに乗って軽快に、またPart2『戦闘潮流』の主題歌「BLOODY STREAM」では緩急をつけて妖艶に歌い、多彩な声色で観客を惹きつけた。Codaは「ハンパじゃねえってこういうことなんだな、とってもいい汗かいてます」とサングラスを外し、充足感に満ちた表情を見せる。そして「スタンドって音楽に近いと思うんだよね。だから、あんたらはスタンド使い。ぼくは音楽になりにきました」と語り、花京院典明を歌ったバラード「Goodbye Nostalgia」へと繋げる。アコースティックギターの音色に乗せて響き渡る、力強くも優しいCodaの歌声が観客席を包み込んだ。
中盤では、JO☆STARSの後輩にあたる女性シンガー・愛マリアンジェラによる「STAND PROUD Bossa Style」が披露された。原曲の持つ情熱を感じさせつつ、どこか哀愁を感じせるボサノヴァ・アレンジを、鮮やかなポルトガル語で歌い上げる愛マリアンジェラ。ブラジル人とのクォーターである彼女は、日本のアニメソングをポルトガル語に翻訳して歌う活動を続けているそうだが、そんな彼女だからこそ歌える珠玉のアクトだった。
ほどよくチルアウトしたところに、今度は橋本が本家「STAND PROUD」を放つ。再び熱気に包まれていく会場に、ギターのいななきと歓声が響いた。観客たちは、Part3のスタンドバトルを彷彿とさせる激しいツーバスに打ちのめされそうになりながらもヘッドバンキングで応酬。拳を突き上げて咆哮した橋本は、その後もジョセフ・ジョースターのギラギラした男気が全開の「OH MY GOD JAHHHHHHH!」や、ジャン=ピエール・ポルナレフのいぶし銀なカッコよさが光る「NAKED SILVER」、壮大なバラード曲にアレンジされた「STAND PROUD Dramatic Ver.」、そして無骨ながらも正義感に溢れる空条承太郎にぴったりな「Star Platinum」と、『スターダストクルセイダース』の面々をイメージした楽曲を中心に歌い上げ、ファンを沸かせた。会場を見渡しながら「こうやっておれたちがライブできるのも、みんなが来てくれるおかげさ。ありがとう!」と喜びを言葉にした橋本。「みんなジョジョ馬鹿やしな」という呟きには、「その通り!」と言わんばかりの拍手が巻き起こっていた。
ライブも終盤戦、というタイミングで現在放送中のPart4『ダイヤモンドは砕けない』オープニングテーマ「Crazy Noisy Bizarre Town」を歌うTHE DU(城田純、和田泰右、Jeity)が登場した。「今日という日を待ちわびていたので、このステージではっちゃけたいと思います」と気勢を示した和田と、「みなさんと同じくらいジョジョ好きです! 自分もそっち(客席)で見たいくらいです」と興奮気味のJeity。そこへ城田が「グレートですよ、こいつはァ」と掛け合い漫才のようなトークを展開する3人だが、いざパフォーマンスが始まると、息ぴったりのハーモニーとダンスを披露。この曲は、Codaこと小田和奏が作曲を手掛けたエイティーズ風ディスコチューンで、軽やかな身のこなしで踊るTHE DUにぴったりの楽曲だ。「Animelo Summer Live 2016 -刻 TOKI-」への出演も決定し、ますます勢いに乗る彼らの「今」をパッケージしたかのようなステージに、フロアも熱狂した。
その後JO☆STARSもステージに再登場し、出演者揃い踏みのクライマックスへ。ここで披露されたのは『スターダストクルセイダース』のEDテーマ「Walk Like an Egyptian」だ。迫力のバンドサウンドに6人のボーカルが交互に乗っかり、「oh whey oh」の大合唱が広がる。The Banglesによる原曲はスザンナ・ホフスによるアンニュイなボーカルが印象的であったが、ソウルフルな歌声を持つ男性陣が歌うことによって、ここまで楽曲は力強く生まれ変わるのかと驚かされる。
さらにアンコールでは、アニメ第1期のエンディングとして起用されていたYESの名曲「Roundabout」までもが、JO☆STARSのカバーで披露された。ギターを務めるIMAJOをはじめ、JO☆STARS BANDのベテランミュージシャンたちによる超絶技巧も飛び出し、会場は興奮の渦へと巻き込まれていった。演奏時間8分を越える壮大なプログレッシブロックだろうとセットリストに組み込むことができるのは、洋楽アーティストに由来する用語が作中に多く登場する『ジョジョ』のライブイベントならでは。また、長年音楽ファンに親しまれているロックスタンダードの数々が、アニメソングとして21世紀に日本で歌われているというこのミラクルに、「ジョジョ」という作品の持つ普遍性や音楽への強いリスペクトを感じた。
そしてラストは、再び全員で「ジョジョ その血の記憶 ~end of THE WORLD~」を熱唱。出演者6人がズラッと並び、「オラオラ」ラッシュで拳を突き出す様子に『スターダストクルセイダース』の承太郎たちの姿が重なって見えたのは筆者だけではあるまい。アニメ『ジョジョ』の歴史を音楽と共に辿った激動のライブは、これにて締め括られることとなったが、公演終了後、Savage Gardenの「I WANT YOU」がフロアに流れる中「ツアーやりたいぜー!」という富永の叫びが轟いたことを最後に書き残しておこう。“To Be Continued.”なるか? 期待したい。
Text By 魚屋スイソ、有田シュン(シティコネクション)
JO☆STARS「Special Live 2016 ~Bizarre Night~」
2016年5月28日(土)Zepp Diver City 東京
<セットリスト>
01. ジョジョ その血の記憶 ~end of THE WORLD~(時止めバージョン)
02. ジョジョ ~その血の運命~
03. Fire of Soul
04. ゴォ! ウエストォォォッ! (GO WEST)
05. 未来への遺産 -Jonathan’s Ballad-
06. IGGY WALK
07. Crazy my Beat
08. BLOODY STREAM
09. Goodbye Nostalgia
10. STAND PROUD Bossa Style
11. STAND PROUD
12. OH MY GOD JAHHHHHHH!
13. NAKED SILVER
14. STAND PROUD Dramatic Ver.
15. Star Platinum
16. Crazy Noisy Bizarre Town
17. Walk Like an Egyptian (Cover)
ENCORE
01. Roundabout (Cover)
02. ジョジョ その血の記憶 ~end of THE WORLD~
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