リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2016.03.25

主演賞は松岡禎丞と水瀬いのりに!「第十回声優アワード」授賞式レポート

int-1603252300-c002

3月12日、第十回声優アワードの授賞式が執り行われた。本稿では、当日発表された各賞受賞者の言葉を中心に、その模様をレポートする。

今回は前回までと異なり、一般投票により一次選出を行う部門(第1群)とキッズ・ファミリー賞の受賞者は、事前発表ではなく授賞式にて発表。ほぼ第五回までの発表スタイルに戻った形となった。

まずは新人女優賞を上坂すみれ、高橋李依、田中あいみが、新人男優賞を梅原裕一郎、武内駿輔、村瀬歩が受賞。第3回の本賞・シナジー賞部門の代表登壇者である清水マリがプレゼンターとして登壇して6人に「声優って、人間の心を伝えるというすごい作用を持っている職業だと思うんです。これからも頑張ってください。応援しています」と言葉をかけ、受賞者スピーチへ。「この賞はひとりで取った賞ではなくて、支えてくれた方や応援してくれた方、作品・キャラと一緒に取らせていただいた賞だなと思っています」(高橋)、「自分のような年端もいかない子供がこのような賞をいただくことは本当に恐れ多いと思っています。何より、高校生という期間の中で一番応援してくれた自分の両親に、『この賞を取ったんだ』という誇りと自身と期待を伝えることができたら」(武内)などと、それぞれが今の感慨を素直な気持ちで言葉にしていた。

続いて発表されたパーソナリティ賞は、鈴村健一が2度目の受賞。コメントでは昨年惜しまれつつ終了した『有限会社チェリーベル』にも触れ、そこで共演した故・松来未祐さんからの「鈴村さんはこれからもくだらない、バカみたいなラジオを届けてください。私もそれが励みになりますし、きっと誰かが笑ってくれるはずです」との言葉が背中を押してくれたと感謝の言葉を述べ、「それ以来、しっかりラジオと向きあおうと改めて心を正した」と語っていた。

また、キッズ・ファミリー賞は、『ミニオンズ』の主役・ミニオンの声すべてを担当しながら、彼らの話す言葉・ミニオン語まで作り上げた、同作の監督であるピエール・コフィンが受賞。なんとビデオメッセージを寄せてくれた。

また、式の途中では、今回の選考委員のひとりである音響監督・長崎行男氏が登壇しての、質問形式でのトークも。「音響監督とは作品の目指す方向を音の面から補佐する、音に関することはすべて行う仕事」との回答から始まり、新人声優のあり方や本賞への期待、さらには現場でのいわゆる“ダメ出し”が緊張するとの話も披露。「深掘りされるときに説明しなければいけないが、それが僕らのパフォーマンス」と語り、「僕たちの仕事は『こういう演技をしなさい』というものではなく、役者の気持ちを盛り上げてより良い芝居にするために、肩の力を抜いて全力を出せる場を作る」と芯に迫る内容に。声優という職業に興味を持つ人から実際に憧れ目指している人まで、あらゆる人にとって間違いなく興味深いものだったはずだ。

そして歌唱賞受賞者として登場したのは、声優アイドルグループ・i☆Ris。「i☆Risも10周年を迎えられるようこれからも頑張っていきたいです。私は、三十路になっても頑張りたいです!」とリーダー・山北早紀は今後の抱負を語り、「i☆Ris結成前は、私は歌もダンスも全然やったこともなくて、人は4年の月日があれば変わるものだな、としみじみ思っております」(久保田未夢)と、これまでを振り返る。ほかにも「i☆Risは、この6人だからこそ歌唱賞を取れた」(澁谷梓希)、「これからもこの6人で頑張って参ります」(茜屋日海夏)など、メンバー間の絆を感じさせる言葉が多く聞かれた。そして受賞を記念して、彼女たちが初めてオリコンTOP10入りを果たしたシングル「ドリームパレード」を披露。会場を大いに盛り上げてくれた。

さらに、特別賞を受賞したA応Pも登壇して「はなまるぴっぴはよいこだけ」を生披露。歌唱に先立ってのコメントで、リーダー・荻野沙織が語った「私たちをずっと応援してくださっている皆様のおかげです!」との言葉に重みを感じた。今でこそ注目を浴びているが、ここまで地道な活動やメンバーチェンジなど苦しい時期も多かった彼女たち。それが頭にあるファンにとっては、実に重いフレーズであったはずだ。

さて、続いては助演女優賞の発表。こちらは伊藤静と早見沙織が受賞。伊藤は「始めた頃には10年続けたら一人前だと思っていたものが、もうすぐ15年になろうとしていますが、今だ階段を一歩登ったあたりでうろうろしているように思っているなかで受賞できうれしく思います。これからも迷いながらですが、階段を一段でも上がれるよう励んでいきたいです」語り、早見は「私自身もデビュー10年で、素敵なご縁を感じています。すべての皆様に感謝を申し上げます。そして、両親に感謝を述べたいと思います」と、終盤少し声を詰まらせながらその想いを届けていた。

そして助演男優賞は鈴村健一と細谷佳正が受賞。鈴村はパーソナリティ賞とのW受賞、また細谷は二度目の助演男優賞受賞となった。「芸歴を22年を迎えて業界への関わり方も変わるなかで、助演も増えました。いろんな人たちをこれからも支えていけるような役者になっていきたい」との抱負やキャラへの感謝を語り、最後には『おそ松さん』で自身演じるイヤミへの感謝も込めて、“生シェー!”も披露。また、細谷は「フリーとして活動していますが、すべて自分で行っているわけではなく支えてくれるマネージャーのおかげです。『ひとりでは何もできなかったな』と思っています。スケジュール調整の采配で自分にチャンスをくれたマネージャーや、それを受け入れてくださった制作会社の方々のお気持ちがなければ様々な作品に関われなかったと思っております。改めて、自分は幸せな演者だと思っています」と語っていた。

続いて発表された最多得票賞では、なんと神谷浩史がV5を達成。今回をもって殿堂入りの称号が与えられた。この展開に若干笑みも浮かべながらも、スピーチでは「自分自身後ろ向きなので『誇りに思えることがひとつもないな』と思ってました。でも『俺にとって神谷さんは誇りです』と言ってくれた事務所のスタッフがいて、『こんなスタッフと一緒に仕事ができることは、僕の誇りであり自慢だな』と思えるようになりました。この賞と殿堂入りの名誉は、皆さんが自信のない僕に与えてくれた、数少ない誇りです」と真剣に感謝の言葉を紡いでいた。

最後に発表されたのは男女それぞれの主演賞。まず主演女優賞を手にしたのは、水瀬いのり。着物姿で登壇した彼女は、5歳の頃に持った「キャラとお話したい」という“声優”という職業へのあこがれを語り、「それから15年後、このような賞をいただけるなんて夢のようです」と続ける。そして「今日がゴールだとは思わずに、高みへと邁進し続けたいです」と、さらなる意欲を語ってくれた。

そして主演男優賞は、松岡禎丞が受賞。緊張からか額に汗もにじむ彼らしいスピーチに。「今も手が震えて仕方ないんですが、未だに現場ごとの緊張は取れません」と語る。しかし「これからもひとつひとつの現場を大事に、期待と不安を胸に、僕は現場へと向かいたいです。これかもスタッフ・素晴らしい役者の皆様と、イチ表現者として皆様に伝えて残していきたいです」と前向きな言葉で締めくくってくれた。

毎回感じることだが、今回も決して若手だけでなく中堅の域に達し脂の乗った役者、さらに事前発表の賞も含めればベテランまで偏りなくそのパフォーマンスが評価されているのが声優アワードである。この日受賞した役者は、間違いなく昨年1年を代表する者ばかり。その芝居がどう発展していくのか?そしてそれに勝るとも劣らない新星や名演が、今年はどれほど登場するのか?そんなワクワクや、賞設立の意義のひとつである“声優業界の今後の発展”を、この日の授賞式は再度感じさせてくれた。

Text by 須永兼次


【第十回声優アワード 受賞者(※敬称略)】
●第1群 一般投票により一次選出を行う部門
<主演男優賞>
松岡禎丞(まつおか・よしつぐ)
所属:アイムエンタープライズ
<主演女優賞>
水瀬いのり(みなせ・いのり)
所属:ソニー・ミュージックアーティスツ
<助演男優賞>
鈴村健一(すずむら・けんいち)
所属:インテンション
細谷佳正(ほそや・よしまさ)
所属:フリーランス
<助演女優賞>
伊藤 静(いとう・しずか)
所属:賢プロダクション
早見沙織(はやみ・さおり)
所属:アイムエンタープライズ
<新人男優賞>
梅原裕一郎(うめはら・ゆういちろう)
所属:アーツビジョン
武内駿輔(たけうち・しゅんすけ)
所属:81プロデュース
村瀬 歩(むらせ・あゆむ)
所属:ヴィムス
<新人女優賞>
上坂すみれ(うえさか・すみれ)
所属:スペースクラフト・エンタテインメント
高橋李依(たかはし・りえ)
所属:81プロデュース
田中あいみ(たなか・あいみ)
所属:81プロデュース
<歌唱賞>
i☆Ris(あいりす)
所属:エイベックス・ピクチャーズ/81プロデュース
山北早紀(やまきた・さき)
芹澤 優(せりざわ・ゆう)
茜屋日海夏(あかねや・ひみか)
若井友希(わかい・ゆうき)
久保田未夢(くぼた・みゆ)
澁谷梓希(しぶや・あずき)
<パーソナリティ賞>
鈴村健一(すずむら・けんいち)
所属:インテンション
<最多得票賞>
神谷浩史(かみや・ひろし)
所属:青二プロダクション

●第2群 選考委員会にて顕彰される特別賞など
<特別功労賞>
今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰しました。
<功労賞>
千々松幸子(ちぢまつ・さちこ)
所属:81プロデュース
中村 正(なかむら・ただし)
所属:俳協
野村道子(のむら・みちこ)
所属:賢プロダクション
<シナジー賞>
ちびまる子ちゃん
代表登壇者:TARAKO(たらこ)
所属:トルバドール音楽事務所
<富山敬賞>
森久保祥太郎(もりくぼ・しょうたろう)
所属:ヴィムス
<高橋和枝賞>
井上喜久子(いのうえ・きくこ)
所属:オフィス・アネモネ
<キッズ・ファミリー賞>
ピエール・コフィン
<特別賞>
A応P(えーおうぴー)
所属:エー・ティー・エックス
荻野沙織(おぎの・さおり) 所属:エー・ティー・エックス
桜奈里彩(さくらな・りさ) 所属:エー・ティー・エックス
巴 奎依(ともえ・けい) 所属:ホリプロ
広瀬ゆうき(ひろせ・ゆうき) 所属:サンミュージックプロダクション
水希 蒼(みずき・あおい) 所属:エー・ティー・エックス
福緒 唯(ふくお・ゆい) 所属:81プロデュース

衣装協力:京都きもの友禅(TEL:03-3639-9576)
(C)声優アワード実行委員会

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP