INTERVIEW
2015.12.04
地球を3周まわってから聞く「今日もいい日だっ」が、すごく響いてくる(小南)
小南 「リスキー」が、ちゃんとLiSAちゃんらしい音源になってよかったです。ほら、私って歌詞に思いっきり“死にたい”と書いたり、物事の真実を歌うためにあまりいい表現ができなかったり、どうしてもこう、ギリギリな感じになっちゃうじゃないですか。LiSAちゃんがそっちに引っ張られたらどうしようって実は不安だったんですよ(笑)。
LiSA あははははは(笑)。
小南 最初は依頼されたことが単純にうれしくて、こんな曲あんな曲といろいろ歌ってもらいたいなと思ったんですけど、小南が入ることで、いい反響ばっかりが起こるとは限らないじゃないですか。自分が歌うなら何を言われても全然いいけど、ここでは何かあるとボロボロになるのはLiSAちゃんなんだなと思うと、すごく責任が重いことだと感じて。
――「リスキー」には大きな反響がありましたよ。
小南 私は怖くてTwitterとか見れないんですけど、周りから教えてもらって、いい評価をいただけてるみたいで、うん、すごくうれしいですね。LiSAちゃんの新しい一面が見れたとか、その中にも小南テイストが残ってるといった声を聞いて、すごく安心しました。
LiSA あはは(笑)。よかった!
小南 私、LiSAちゃんのことでうらやましいことがあって。よく、「今日もいい日だっ」って言うじゃないですか。それはプロとしての発言なのか、元々そんな子っていう本質からきている言葉なのかはわからないけど、すごくいい言葉だと思うんですよね。こういう言葉をシンプルにポジティブに言うことって難しくて、私はどうしても個性を出したくなって変な言葉を使っちゃたりしちゃう。なんか、ぐーるぐる地球を3周まわってから聞く「今日もいい日だっ」が、すごく響いてくるんですよ。
LiSA この言葉は、19歳のときに母からもらった言葉なんです。何もかもが嫌で、自分に夢も未来も何もなくて、何がやりたいのかよくわからなかった頃に、母が「“今日もいい日だっ”って言ってみ」「一個でもいいから今日に希望を見つけなさい」と言ってくれて。でも、当時の私には全然刺さらなかったんですよ。けど大人になって、自分が歌手になってだんだんわかってきたんですよね。一日のなかでひとつでもいいことがあったら、今日はいい日なんだって思うと少し気持ちが楽になって。そして今は人生においてだって、いいことがあっても悪いことがあっても、結果的によくなればそれはそれでいいんじゃないかと思える器の大きさを手に入れることができたんですよ。言葉って、それを受け取る人の状況とか環境によって大きく意味が変わるんですよね。それは音楽も一緒で、作り手の意図が伝わるっていうことよりも、その曲が、その人にとってどんな曲なのかっていうことのほうがすごく大事だと思うんですよ。
小南 じゃあ19歳の頃からずっと、この言葉を掲げてるってことですね。
LiSA そうですね。
小南 すごいなぁ。こういうところがLiSAちゃんの歌い手としてのフィルターのすごさなんだなって思います。大きさと、横だけじゃなくて縦が深いというか。
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