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INTERVIEW

2015.10.16

ニューアルバム『PARABLEPSIA』発売記念 川田まみ超ロング・インタビュー!

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“アニサマ2015″でのサウンド披露が記憶に新しい川田まみ。このたび、約3年ぶりのリリースとなったオリジナルアルバム『PARABLEPSIA』は、今年デビュー10周年を迎える彼女の音楽E.M.R. (Electric.Mami Kawada.Rock)のひとつの集大成とも言える、恐ろしく濃密な音盤に仕上がっている。
もちろん音盤自体もすごいのだが、それ以上に制作陣のボルテージが熱い! 熱すぎる!というわけで今回は川田まみ自身によるニューアルバムの全曲解説をお届け!さらにはI’veサウンドチームにもコメントをいただいた。制作陣の思い入れたっぷりの解説は川田まみ、I’veファンならずとも必読の熱量、発売中のアルバムと共にじっくりご覧いただければ幸いだ。というよりも、読んだら聴きたくなるはずなので読む前に入手することをお勧めする。

ダンス・ミュージックとロックがきれいに融合した部分で、
「これが川田まみだ」というイメージを極めるというのが第一のコンセプト

――約3年ぶり、待望のオリジナルアルバムということですが、制作はいかがでしたか?

川田まみ 今年の頭から上半期は本当にずっとアルバム制作漬けでした。年越しの前後くらいからみんなで打ち合わせに入っていって音を作ってもらって、詞を書いて歌を歌うっていうのが春から夏にかけてだったんです。その期間は本当に……ひたすらそれを上げていく作業でしたね。そういう意味ではいちばん時間をかけることができたアルバムだったんですけど、音が上がったのは最後にいっぺんにだったので、一ヶ月に8曲あって、一週間で2回納期がやってくるという状況でした(笑)。

――こうお話してる様子を見ても、ものすごいエネルギーを今年前半使ってアルバム制作に臨んでいたんだなとわかります(笑)。

川田 今回音の制作チームのI’veのメンバーも、今まで以上に打ち合わせを重ねて、みんなの進行状況を確認し、週一で集まってデモをみんなで聴きながらと、もういつになく本気で、ストイックに制作していました。私は最初余裕があったんですが、夏に入るぐらいになると歌詞の制作が始まって今度は私の方が自分の時間なんてないみたいな。当たり前なんですけど、朝から晩までアルバムの制作に費やしていました。もう脳みそが膨れているような煮え方で! そういう上半期を過ごせたのは今思えばアーティスト冥利に尽きるというか、非常に濃厚な時間でしたね。

――音楽制作の現場としてはもしかしたら当たり前なのかもしれませんが、それにしてもベテランの皆さんがそんなになっているというのは相当ですよね。今回コンセプトとしてはどんなところから打ちだしましたか?

川田 コンセプトは「E.M.R.((Electric.Mami Kawada.Rock)」と銘打っていまして、デビューさせていただいてからの10年間、私が所属させていただいてますI’veという母体の打ち込みサウンドに、少しずつ私のサウンドでは生のギターの音を入れて、ロック調に魅せるということをしてきました。その中でデジロック的なものが確立してきたので、そこにひとつタイトルをつけて完成体みたいなアルバムにしようと。ダンス・ミュージックとロックがきれいに融合した部分で、皆さんにとっても「これが川田まみだろう!」って思ってくださるイメージを極めるというのが第一のコンセプトですね。

――どこを聴いても「まみさんだ!」となるアルバムですね。

川田 そうです。打ち合わせでもSkypeとかを利用してみんなでやるんですが、「まみちゃんらしい音」っていうのがみんなの中ではじめからあったので、そこはスムーズでした。クリエイターそれぞれの個性も出してもらいつつ、中には必ず私がいるというアルバムになりました。

――それでは一曲ずつ紹介していただきましょう!

 

M-1. parablepsia
作詞:川田まみ 作・編曲:高瀬一矢

川田 アルバムのタイトルにもなっている「parablepsia」。デビューして10年も歌わせていただくと、いろいろな経験をして、めまぐるしい世の中や時の流れで自分の周りの環境も渦巻くように変わるなかを生き抜いてきたっていう感覚があって。「parablepsia」というのは”錯視”のことなんですが、その本質は「動いてないのに動いて見える」ということで、同じように何度目を向けても動いてるようで変わらないものがあるんですよね。私自身、川田まみという個体は変わらない感覚でいるのに、周囲を取り巻くいろんなものの中でぐるぐる生き抜いてきた10年だったのかなと。先に行けば行くほど良いものが見れると思っていたら、急に未来が狭まって見えるようになったりもするんですが、でもその渦の先に夢だったり希望だったりがあって、私の気持ち次第で見抜けるようにもなるのかなと。じゃあそのトリックに騙されてやる! 世の中の渦に巻かれてやる! という今だから出せる自分の前向きさを表現したのがアルバム・タイトルであり、この楽曲になります。

――10年目の今だからこそ見えるポジティブさですね。

川田 いいことばかりでないけれど、その中に巻かれながらその先を見てやる! ってメッセージを今回は詰め込みました。アルバムのタイトルを決めるとき、曲を書いていた全員に、このことや音的なことも話しつつ、表現したいことを話しました。

――曲的にも激ハードな中で、サビは希望が見えるような清涼感があります。

川田 サビでのリズムが私の中で万華鏡が動いて世の中がどんどん変わっていくみたいなイメージがあります。いつも高瀬(一矢)さんと中沢(伴行)さんのどちらかかがレコーディングしてくれるんですが、今回は高瀬さんがやってくれました。毎回いろんな実験をお互いしながらやってくんですが、今回は私の中にイメージがあって、高瀬さんの中で合致した歌い方だったので、すんなりレコーディングできました。

M-2. Borderland(TVアニメ「ヨルムンガンド」OPテーマ)
作詞:川田まみ 作曲:中沢伴行 編曲:高中崎伴武矢

川田 実は『PARABLEPSIA』は「Borderland」が中心になってるんですよ。2年前のベスト・アルバムに一回収録されてるんですが、オリジナル・アルバムにどうしても収録したかったので今回入れようとなったことと、これを基軸にもっとデジタル、もっとロックな楽曲を構成していきました。それこそ今の”E.M.R.”の中心がこの曲であり、ここからデジタル・ロックな川田まみが表現できたような気がして、今の”E.M.R.”に繋がる曲だったなと思います。みんなの話し合いの中でもこれを中心にしましょうって話があって、ある意味私らしいもののひとつなんじゃないかと思っています。

 

<Creater Comment BY 高瀬一矢>

・アルバム『PARABLEPSIA』制作中の思い出は?
今回のアルバムも、制作するにあたってみんなで集まって会議などをするということをしたのですが、前回までと違った点は、楽曲製作中に実に7~10回もみんなで会議をしたということです。東京にいる舞ちゃん(井内舞子)にはSkypeで参加をしてもらいました。こういうことが出来るということは、一所に製作陣が集まっているということの長所であると思います。楽曲の制作についてはいつも苦労しているのですが『PARABLEPSIA』に関しては、ジャケットのデザインにもこだわり、かなり苦労したと思います。しかしながら、心配していたジャケットもかなり良いものになって満足しております。みんなの気持ちがひとつになった『PARABLEPSIA』、是非お手に取ってご堪能ください!

・ご自身が提供された「Parablepsia」「I…civilization」「HOWL」「Replica_nt」について意識した点、こだわった点などあれば教えてください。

「Parablepsia」
この曲に関しては、軽く作った最初のデモを会議で聴かせたころから「高瀬さんの曲は、タイトルに決定」と決められてしまい、超プレッシャーの中で制作を進行した思い出があります。実はイントロのシンセのリフが未だに納得がいきません。それから、土壇場でサビのメロディーも変えたのですよ。なので、まみちゃんにはちょっと大変な思いをさせてしまいましたね。そういう曲です。

「HOWL」
この曲は何年か前にパチンコ「BLACK LAGOON」用に作った曲です。製作中のこととかは……もう覚えていませんね(笑)。川田まみガールズバンドの三人を使って、シャウトを録音しました。意外にリエちゃんの声が図太く大きく録音されちゃってます。

「Replica_nt」
この曲は、俗にいうサイドチェーンを使った曲です。今風にしたくて。サイドチェーンを使った部分やボリューム・コントロールでそれを模した部分もあります。意外にボリューム・コントロールを使ったほうがいろいろなことができて、面白いなと思いましたね。ボーカルはオクターブ上を入れようと思って最初から作っていたので、他の曲と比べるとピッチが低くなっています。サビの印象的な歌詞とあいまって、素敵な曲になっていると思います。

「I…civilization」
この曲が最後にできた曲ではないでしょうか。クレジットで作/編曲が「HARD STUFF」になっています。悩みましたね。まみちゃんから、あるアーティストの曲を「こんな感じで…」と渡されてから、これかっ! と思い立ち、突貫工事でできた曲です。歌メロ、全体的な骨組みは、HARD君(私)が担当、それにシンセ等を足したのが、STUFF君(中沢)です。突貫工事のわりにはなかなかクールに仕上がったなと思っています。Aメロがふたつあるのですが、ふたつ目のAメロが特にお気に入りです。あと、STUFF君が入れてくれた間奏の雄叫びもお気に入りです。『PARABLEPSIA』の曲の中で一番気に入っている曲であります。

・アルバム『PARABLEPSIA』リリースに向けて、改めて川田まみさんに一言!
まみちゃん、お疲れ様でしたー!他の仕事もあったのに、歌詞、書きまくったね。よく頑張った。まあ、いろいろあったけど、今回のアルバムは私も深く関わったアルバムでもあるので、出来上がったときはとてもうれしかったです。これからツアーが始まりますね。私も数カ所、ご一緒させていただきますが、今後とも宜しくお願いいたします。

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