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REPORT

2015.10.02

何度も口にした「ありがとう」と「かなえたい夢」は、何よりも素敵な言葉。“黒崎真音 LIVE 2015 ~5th Anniversary~”レポート!

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9月12日、黒崎真音が舞浜アンフィシアターにて“黒崎真音 LIVE 2015 ~5th Anniversary~”を開催。タイトル通りに彼女のデビュー5周年を記念して開催されたこのライブ、キラーチューンから久しぶりの曲まで、まさしく彼女自身の歴史をなぞるようなものだった。

はじまりの曲”で幕を開ける5周年ライブ

開演後、まずステージには黒いマントをまとい、スポットライトに照らされる黒崎の姿が。そのまま彼女にとってすべての始まりの曲「君と太陽が死んだ日」の頭サビを独唱。まずは自らの5周年を自分の歌声で祝ってみせた。そしてひと言観客へ告げる。「ようこそ」と。そのままスタンドマイクで、インサートするバンドサウンドを背に、凛々しく力強く歌う彼女の歌声に呼応するかのように、客席は紫へと染め上げられていった。その光景を間奏で目にした黒崎の表情には、ようやくほのかに笑みが。

曲が開け、スクリーンにこの5年の彼女のCDジャケットを紐解くOP映像が流れたところで、リフトアップで登場した黒崎は、1stシングル「Magic∞World」から「starry×ray」と、オーディエンスのテンションを爆上げする曲を連続でお見舞い。「みんなの声いっぱい聴かせて!」との呼びかけに歓声の量はさらに高まる。それに呼応するかのように、彼女の歌声は確固たるものに。そのうえダンサーとの見事なチームワークも同時に見せているから舌を巻く。

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この日の初MCで、やっとホッとしたような笑顔を見せる彼女。改めてこの日への意気込みを語ると、「飛ばしていくね?」のひと言を合図に、「楽園の翼」でさらにギアを上げる。ラスサビ前の1~2フレーズで、会場全体へ視線を送る意識の高さ、さすがである。そのうえ「黎鳴 -reimei-」ではそのボーカルの力強さを再度主張。Dメロでどこまでも伸びていく迫力ある歌声は、生で彼女の歌声を聴く醍醐味のひとつだろう。ギターソロからそのまま「十鬼の絆」へ流れる展開も、スムーズ。

MCでまだまだ元気いっぱいなファンの様子にご満悦の彼女は、ここで「Red Alert Carpet」のコール・アンド・レスポンスの練習を交わす。その揃いっぷりを確認したところで万全の態勢で楽曲へ。この日のこの会場とばっちりリンクした歌い出しのフレーズ「Welcome To The Party & Special Night!」で、みんな一緒にゴキゲンに。コール部でアンフィシアターが物理的に揺れていたのがその証拠だ――ということを、記者席に着席していた筆者からお伝えしておきたい。

さて、曲が終わると階段上には黒マントを羽織ったひとりのダンサーが。インストを背負い、黒崎がこの5年立ち向かってきた困難に立ち向かう強さをほか3人のダンサーとともに表現する。そうしていると、今度はセンターステージに、自らのイメージカラーである紫のギンガムチェックのドレスに着替えた黒崎が登場。スイッチを切り替えキュートに「K・O・N ♡」や「Dresser Girl…♡」を披露する。とはいえその歌声の軸にはどこかスタイリッシュさは残っているのだが、自身の軽やかなステップがその相反する性質を見事に両立させる。衣装については曲明けのMCでも触れられ、客席からは「かわいい!」の大合唱が起こる。やはり5周年の記念のライブ。彼女自身が希望した「普段ステージ上で着ないようなラブリーな」衣装に袖を通し、念願かなった様子だ。

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最新曲で見せた、培ってきた表現幅の拡張ぶり

そのまま今度は、MCで「女の子の気持ちを歌った曲を何曲か」と語ったとおり、最新シングルより「ハーモナイズ・クローバー」をそっと歌唱。騒々しい盛り上がりを一服させ、ほのかな切なさを穏やかなサウンドに乗せるような歌声は、この5年での表現の幅の広がりを象徴するもの。その意味で、本公演における中盤のキーにふさわしい楽曲だ。客席も、『がっこうぐらし!』のエンディング映像を連想させるオレンジのペンライトで、この曲に呼応する。そして「LOVE 〇 JETCOASTER」から会場はパーティ会場に戻り、客席にはタオルが舞う。ハンドマイクに持ち替えての「Scanning resolution」では、間奏直前の黒崎による「い・く・よ!」の煽りが光る。この日にふさわしい、とにかくお祭り騒ぎの繰り広げられた2曲だった。

ここでステージ後方の幕が閉まり、「アフターグロウ」をときに穏やかにときに力強く歌う。リリース直後の、しかも話題曲に、ここはファンもじっと耳を傾けていた。

照明が落ち、雷雨のSEとともに再度黒マントの登場。その雷音にドラムが重なり、バンドのプレイへと自然に移行。黒崎を待つ観客の心の温度を温めていると、不意に響いたオルガンの音色とともにセンターステージが開き、黒崎が再登場。「刹那の果実」のイントロが流れた刹那、そのボルテージは正常範囲を突き抜ける。再び攻め攻めな黒崎のターンがやってきた。「unchain.」を経て、ドラムソロからヘヴィなサウンドが活きる「SCARS」へ。黒崎もそのサウンドに負けないよう、いや、その上を行こうと、その歌声を精一杯振り絞るように力強く届けていた。

ここで再び振付けレクチャー。しかし今度は、体感的には先ほどよりはあっさりと終わる。それもそのはず、続く曲はライブでもおなじみ「FRIDAY MIDNIGHT PARTY!!」。振付けはおろか、コールまでも完璧に揃っているその光景に、ただただ圧倒されてしまった。ゾーニングしてのコール合戦などパーティ感満載のこの曲、振付け部分をはじめどのパートもメッチャクチャな盛り上がりを見せていた。でも正直、ここまで高まらせておいて「UNDER/SHAFT」を投入してくるのはズルいと思う。カウントダウンのコールやダークかつスピード感のあるロックで、直前に達したボルテージの最高点を更新しないわけがないでしょう?黒崎自身もこの空気の中で、かっこよさを前面に出した歌声を披露しつつ、細かいコール部分で客席へマイクを向けるなど会場の一体感を高めることも忘れない。それが成功したのを裏付けるように、客席は今度は真紅に染め上げられる。でも、「まだまだ足りないよ!」と言わんばかりに、彼女は勝負曲中の勝負曲をぶち込む。そう、「X-encounter」だ。完全にクライマックスを迎えたアンフィシアターで、さらなるボリュームの歓声を要求する黒崎真音。必殺ナンバーらしい、エグいほどの盛り上がりを見せるこの曲で、会場中に響き渡る「RAVENS!」のコール。最高だ。それに「ありがとう!」の言葉を忘れずに、しかも何度も何度も返す黒崎の姿まで含めて、何から何まで最高だ。

曲が終わり、静かに語り出す黒崎。1月にこのライブの開催が発表されてからの自らの心の中を「最初は不安もあった」と正直に語る。しかし「みんなの言葉に勇気をもらって、辿り着いたステージです」と、改めて感謝の想いをあらわにする。万雷の拍手に「やめて!泣いちゃうから!(笑)」と少々照れも込みで返す姿も、なんだかかわいらしい。

「昔は夢を口にするのが怖かったけど、『今やらないと一生できない』と思った日があって、そのとき初めて夢を口にしたんです。はじめは応援してくれる人も少なかったけど、デビューして5年経って、こんな素敵なステージに立てるなんて想像もつかなかった。今があることが驚きだし幸せだし……頑張ってよかった。どんなことにも意味があるなって、私は今日改めて思えました。みんなのおかげです!」と、過去の自分を述懐したところで、この5年で変われた“黒崎真音”を改めて提示。「今ここでみんなに、また夢を口にしたいと思います。『これからもずっと歌い続けていきます。みんなが応援してくれる限り』」と決意表明をしたところで、歌い出したのは「hear..」。この言葉を受けたことで、その歌声はより観客の心に染み渡る。1コーラス目では、黒崎自身も少々こみ上げるものをこらえながらのようにも見えた。後奏のラスト、「みんなと出会えて幸せです。ありがとう」と再び感謝の気持ちを届けてから、黒崎はステージを降りた。

「ま・お・ん!」の声に呼ばれてアンコール1曲目「story~キミへの手紙~」の演奏がスタート。しかし不思議なことに、ステージ上に黒崎の姿がない。どうした、トラブルか?……と思っていたら、なんと!客席通路に黒崎が突如登場!しかも歌いながらあらゆる方へと歩み寄り、すべてのファンに“最前”を味わわせる。観客の熱量は当然ダダ上がりで、曲ラストのラララの大合唱では早くも大団円感を感じてしまうほどだった。黒崎自身も終始楽しそうな様子で、「びっくりした?」といたずらっぽい表情も見せる。

さて、続いては予習がアナウンスされていた「Our Life Is Our Song」。その“確実にやる”という情報を逆手に取ったファン有志から、なんとサプライズ返しが!実は開演前にこの曲用に各座席にサイリュームを配布されており、それが一斉に灯されると、アンフィシアターは虹色にグラデーションされる!これには黒崎も驚きを隠せない。歌詞ともマッチした最高の景色に、仕掛けられた側の最高の笑顔。これぞ、ファンとの信頼関係や想いのやり取りの結晶だ。そう簡単にできるものでもない5年かかってできた1曲限りの最高の空間を前に、大サビ前では胸に手を当ててそれを隅々まで感じようとする黒崎の姿があった。そのテンションのまま、「VANISHING POINT」へとなだれ込み、これ以上ないほどの盛り上がりに包まれたままアンコールも終了。

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続いていく夢は“みんな一緒に”かなえたい

やはりここで、自然と湧き起こるダブルアンコールを求める「もう1回!」の声。それに応えて登場する黒崎のMCは、達成感もあってかどこかゆるさのあるものだった。これも5年間の活動による場慣れの賜物だろう。ほどよく肩の力を抜いて想いの丈を語りつつ、ここで重大発表!11月にニュー・アルバム『Mystical Flowers』を発売することを告げると、観客からは「おめでとう!」の大歓声が湧き起こる。これだけのパフォーマンスを観たあとだ、オリジナル・アルバムとしては実に2年半ぶりのリリースとなるこのアルバムの出来にも当然期待してしまう……と思っていたところに「そして!」と再び黒崎の声。さらに続けて、このアルバムを引っさげての2016年1月からの東名阪ツアーも発表!ファンのテンションも高まりきり、万歳三唱が会場中を包むほどに。「新曲祭りになりますよ!」との彼女の言葉が、このライブを踏まえたうえでの進化を提示したステージを観せてくれるはずと、またまた楽しみにさせてくれる。

そうしているうちに、いつしか話題は再び「夢を口にする」ことへと移り、「私ね、みんなをいつか武道館に連れて行きたい!」と、力強い言葉が飛び出す。しかもその反応を受け止めようと、イヤモニを外しての堂々の宣言だ。そして改めて自らの活動を振り返り、「“夢の始まり”ってそういうもんかなって思って……だから私も、夢を口にしていこうって、決めたんです!爆走して参ります、ついてきてください!」との言葉でMCを締め、本当にラストの曲へ。

最後の曲は、こちらもお馴染みのナンバー「メモリーズ・ラスト」。「君と太陽が死んだ日」同様に、サビの独唱から始まる。しかしこの曲は、「みんなと歌いたいな」との黒崎の意向から、会場中との合唱を敢行。その歌声を受け止めた彼女からは、「最高です」と感無量の言葉が。1曲目との対比で「はじめはひとりだった彼女が、5年間でたくさんの仲間と出会った」ストーリーを描き出した。その後バンドのサウンドが入っても、ところどころマイクを向け、ファンと合唱する黒崎。その姿は、直前で口にした「連れて行く」という言葉に一切の偽りのないことを感じさせる、立派なアニソンシンガーそのものだった。

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後奏で「世界でいちばん幸せです!」と叫び、「また次の夢を、一緒に追いかけていこうね!」と呼びかけ、5周年を記念するステージに幕を下ろした黒崎真音。そう、この夢は、決して彼女だけのものではない。彼女とともに進むみんなでかなえるものだ。11月のニュー・アルバムに来年の東名阪ツアーと、着実にその歩を進めていく黒崎真音。彼女とこの日見事にサプライズを決めてくれたファンと最高のバンド・スタッフとが一緒なら、その夢が実現する日は、そう遠くないはず――5年を総括する区切りのライブではあったが、そんな未来を容易に想像できる、そんなライブだった。だからこそ、彼女からは最後の最後に、こんな言葉がこぼれ落ちたのだろう。

「あたしが諦めたら、みんなも『やっぱり夢ってかなわないのかな?』って思っちゃうかもしれないじゃん?だからみんなのその気持ちを裏切らないように、頑張ります!」

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Text by 須永兼次

“黒崎真音 LIVE 2015 ~5th Anniversary~”
2015.09.12@舞浜アンフィシアター
【SET LIST】
M1.君と太陽が死んだ日
M2.Magic∞world
M3.starry×ray
<MC>
M4.楽園の翼
M5.黎鳴 -reimei-
M6.十鬼の絆
<MC>
M7.Red Alert Carpet
M8.K・O・N ♡
M9.Dresser Girl…♡
<MC>
M10.ハーモナイズ・クローバー
M11.LOVE 〇 JETCOASTER
M12.Scanning resolution
M13.アフターグロウ
<BAND TIME>
M14.刹那の果実
M15.unchain.
M16.SCARS
<MC・振付練習>
M17.FRIDAY MIDNIGHT PARTY!!
M18.UNDER/SHAFT
M19.X-encounter
<MC>
M20.hear..

EN1.story~キミへの手紙~
<MC>
EN2.Our Life is Our Song
EN3.VANISHING POINT

<MC>
D-EN.メモリーズ・ラスト


●リリース情報
黒崎真音4thアルバム発売決定!
「Mystical Flowers」
11月25日発売

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:GNCA-1473
価格:¥3,611+税
・デジパック&スリーブ仕様
・フォトブック(32ページ予定)

【通常盤(CD)】
品番:GNCA-1474
価格:¥3,000+税

<CD>(初回限定盤&通常盤共通)
・楽園の翼(TVアニメ『グリザイアの果実』OPテーマ)
・刹那の果実(TVアニメ『グリザイアの楽園』OPテーマ)
・ハーモナイズ・クローバー(TVアニメ『がっこうぐらし!』EDテーマ)
・アフターグロウ(TVアニメ『がっこうぐらし!』EDテーマ)
・scanning resolution
・Red Alert Carpet
・X-encounter (Remix)
他、全15曲収録予定

<Blu-ray>
・2015.1.11赤坂BLITZで行われたワンマンライブ「MAON KUROSAKI LIVE TOUR 2014~2015“WINGS OF EDEN –GARNET!!- ”」、をフル収録
・ANIMAX MUSIX 2015 OSAKAのライブ映像

※初回生産分特典(初回限定盤&通常盤共通)
2016年1月 東名阪ワンマンツアー先行販売応募券

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